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通商白書2004の公表について(経済産業省)


   

 

経済産業省では、我が国の通商及びこれに関連する世界経済・貿易について調査・分析した「2004年版通商白書」を6月29日に発表されましたのでお知らせいたします。

〔情報掲載URL〕

他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2004/2004honbun_p/index.html

 

2004年版通商白書要旨

最近の世界経済について、主要先進国間ではGDP成長率に短期的な変動幅の縮小傾向とディスインフレ基調が同時に見られる状態であり、日米では景気回復と雇用回復の関連が弱っていること等も見受けられる状況です。

今年の通商白書では、こうした新しい景気循環パターンの下での課題に対応し、成長を実現していくために『新たな価値創造経済』に移行していくことが必要と指摘しています。

『新たな価値創造経済』とは、

  1. 知的資産(人材、組織、イノベーションなど)を活用して価値創造の源とする経済
  2. 「差別化・個性化」を図りながらも「競争」する経済
  3. 非経済と見られる価値(環境、地域など)の実現と経済的価値の創造との両立を工夫する経済であり、企業、地域などそれぞれの立場からその実現に取組んでいくべきとしています。

更に我が国が『新たな価値創造経済』へ移行していくことは、現在、『東アジア分業ネットワーク』が形成されつつある、東アジアの経済統合にも備えることになり、両者の相乗効果も期待出来るとしています。

 

ピックアップ

  • 成長する中国経済の中の不均衡とその影響
  • 中国経済は設備投資の拡大が主なけん引役となって高成長を持続しているが、一方で設備投資の急速な拡大による景気過熱化のリスクを指摘する向きも出ている。

    近年の世界経済における中国経済のプレゼンスの拡大に伴い、我が国をはじめとする東アジア各国・地域は、中国との経済的つながりを深化させつつあり、今後、中国の景気が調整・下降局面を迎えた場合、東アジア各国・地域に大きな影響を与える可能性がある。このため、中国の景気サイクルやその振幅に影響を与え得る中国が抱える様々な成長リスク要因(国有企業改革、不良債権処理問題、所得格差問題、失業問題等)について今後とも注視していく必要がある。

  • 企業の価値創造力と「企業の社会的責任(CSR)」

    (1)CSRを果たすことと企業の価値を高めるための知的資産への投資が重複する、(2)知的資産を、企業価値を高めるプロセスの構築としての側面からとらえた場合、同様なプロセスがCSRにもつながる、(3)CSRの推進が競争力の源泉としての企業の個性の構築につながる、といった理由から、CSRの推進と企業の収益性は両立し得ると考えられる。

    対象企業のCSRと財務的パフォーマンスを投資主体が自ら事前に評価した上で投資先の選別を行う社会的責任投資(SRI)は、米国及び英国を中心に大規模化している。背景としては、年金基金や生命保険等の機関投資家がSRIを組み込むようになったことによる。

    年金基金を中心とする機関投資家がSRIに参入してきたことで、SRIの性格にも変化の兆しが見られ、SRIがカバーする範囲は人的資本や知識創造企業も含むようになり、知的資産の概念と接近しつつある。

  • 地域経済

    地域の独自性を活かした地域経済の再生が重視される背景には、(1)経済のグローバル化によって流動的となっている経済環境の下でも、持続的な発展を遂げ得る強靱な経済構造を形成する必要がある、(2)「三位一体の改革」に伴い、「地方にできることは地方に」という原則に従い、地域経済政策の立案を各地域自身において主体的に取り組む必要がある、ことが挙げられる。

     地域経済分析の枠組みについては、(1)地域内・地域間のヒト・モノ・カネ・情報の流動を把握・分析する地域経済循環分析と、(2)地域内の人材の集積や教養・文化遺産といった当該地域が有している「資産」を把握・分析する地域固有資産分析の2つに分けることができる。この2つの分析を統合して用いることで、地域経済の全体像を把握することが可能になり、個別の政策領域からの発想にとらわれない、地域の総合的な戦略と政策の立案を行うことが可能となる。

    地域経済循環モデルの活用によって、自地域の特徴を経済循環面から把握することができるようになり、またこうした分析を産業別・業種別に行うことで、地域として産業政策を立案することが可能となる。

  • 中国進出日系企業の機能分業体制 〜ケーススタディ

    4つの日系企業の中国での事業展開における具体的な機能分業体制の実態を見ることで、(1)高付加価値部品の生産機能や、(2)商品企画・研究開発・システム設計等のイノベーション機能を、国内において引き続き維持・強化するとともに、国内で創り出された技術やシステム等の付加価値を中国で具体的に活用・実現させるために、製造・販売拠点という形で積極的に中国での事業展開を図っていることがわかった。

    業種や事業規模を問わず、各企業は、国内と海外進出先地域における知的資産等の特性を考慮しながら、柔軟かつ戦略的に国内事業と海外事業の機能分化を図るよう努めている。このような努力を通じ、絶えざる価値創造を追求していくことで、企業は自らのコア・コンピタンスを高め競争優位を確保しようとしていると考えられる。

 

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