〔文責:企画部指導課・細貝〕

パーク&レジャー展・グリーン環境セミナー

NO11「ふるさとの森を都会に」

             NO12「木質利用材の発生地域内リサイクル」

 

日  時   平成11年10月28日(木)11:00〜12:00

場  所   東京国際展示場 西3ホール 第3会議室 

講師 潟Eッドカンパニーニチナン 浅 川 三 郎 専務理事

   許リの家いちばん 米 山 敏 代表(一級建築士)

 

NO11の概要

〔浅川〕

・昭和15年東京生まれ、目黒区に住んでいたが、鳥取に養子になり、日南町に住んでいる。東京は全部が都市になり、光り輝いている。逆に田舎が過疎化し、農村地域が疲弊している。このまま経済優先の社会が続くと、森林が駄目になる。

・都会の人に国産材を使ってもらうことをうったえたい。日南町は鳥取県の西南端に位置し、周辺は岡山、広島、島根の、3県にまたがる総面積34,000ha、県の1/10の面積にあたり、中山間地域の典型的な町である。

・現在の造林面積は、約18,000ha、人工造林が60%、うち戦後造林が85%を占め、全体的に間伐の促進が急がれる。

・このような中で、経済至上主義に翻弄され、地方の森林が置き去られている。我が国で使われる木材の外材が8割、国産材が2割と外材に押されている。

・3代にわたった森林から産出される100年生の木材がお金にならないので、間伐もできない状態である。

・このまま進むと、既に密林状態になった山が多くある中で、数年するともやしのような山になり、自然災害も多発する可能性もある。

・都会の皆さんと山を守る運動をしないといけないのではないかと存ずる。間伐をしないことにより、密林状態になって草が生えないので、地面に水が流れ、土石流になってしまう。自然災害が発生しやすい状態のところが多くなっている。

・森林から産出される木材の経済的価値がなくなっているので、山林労働者がいない。年々高齢化が進展し、若年労働者の不足が深刻化している。若者の養成には10年位かかるが、零細規模の企業では養成費すら捻出できない。今後、山を守るのは行政の仕事になるのではないかとも思われる。

・自然のメカニズムを壊さないことが重要で、間伐を促進しながら、間伐材を利用することを都会のみなさんにお願いしたい。

・外材依存から、森林の保全に対する政策を強化し、森林の循環機能を達成する必要があるのではないか。この問題を都会の皆さんに提起し、皆さんのお知恵を借りて、循環機能が守られるように努力したい。

・日本の森林と環境を守る(緑を守る)ということでは、CO2の6%削減の目標があるが、そのうち、森林が3.7%であるが、まだ森林に対する認識が低い。

・外材依存体質から間伐を行い、都会の皆さんに国産材を使ってもらうことにより、新しい国産材利用システムを確立すれば、日本の森林と環境保全が達成できるのではないか。

・次に話しがある、間伐材を使ったフリーウッドの住宅は、調湿機能があり、強度も従来の建築の5倍の強度がある。外材中心の住宅から、国産材中心の住宅を造ることにより、都市と農村のつながりが生まれ、新しいシステムができることを期待したい。

〔米山〕

・間伐材を多用した住宅は、壁に木を充填したようなもので、ここ15年で300棟の実績がある。間伐材ということでは、ログハウスをイメージする方もいると思われるが、ログハウスとはまったく違うもので、日本の住宅の歴史の中ではログハウスはない。ログの流れをくむものではない。土台があり、柱、梁があり、土壁→木で代替 という在来構法住宅の2000年の流れの一貫である。

・言いたいことは、日本の国、子孫、地球を守るためには、色々なことが必要で、森を何とかしたらつながる。各県の森林組合が山を守ることをやっているが、国産材を使わないで、外材を多用する住宅造りは見直しが必要で、国産材を何らかの形で使うことが役割ではないかと感じて、これまで展開し、地元で300棟の実績がある。

・この間伐材を使った住宅は、各地の森林組合で悩んでいることを解決する一つの提案である。

・また、都会地で住宅を建てたい人に向けての一つの提案である。ヒノキは人間にって良いことがありすぎるくらいある。スギも同様。国産材を使わなくなってきたのはこの30年くらいのことである。しかし、ここにきて、化学物質、地下資源を使った住宅がチェックを受けている。

・シックハウスを考える会は、西宮の医者の方が、自宅を建てる際に、住宅の健康上の問題があることを感じて、その後、患者も同様に感じていることが分かった。しかし、この問題を解決するところがないことから、組織化し、相当な広がりを見せている。

・もうひとつは、欠陥住宅110番のNPOであり、現実に被害を受けている人がいる。原因は2000年の住宅の知恵を忘れ、ここ30年間の住宅に姿を変えてしまった。ここでどういう住宅を建てるか、これを皆さんに建ててほしいということ、自然の木を沢山使うことを展開し、間伐材を使った住宅の機能を表で表したりしたが、この木の住宅は全ての項目でAランクにある。

・自然のものを積極的に使うことが重要で、ここ30年で今反省していることは、60年後に反省しないようなものにしたいものである。知りうる現在の不合理性は色々な形で解決している。

・2×4住宅や大手ハウスを選択するのも選択肢であるが、こういうものがあるということを知ってもらいたい。

・今、住宅を建てようとすると、住宅展示場にいったりして、@住宅メーカや工務店に依頼する、A建築設計士+施行業者に依頼するということが一般的にある。

・もう一つ提案したいのは、オープンシステムである。工務店や住宅メーカーに依頼した場合、余りにも決まりごとが多い。決められた範囲内での選択でしかなく、オプションについても同様である。大手の2千万円の価格の住宅は、工場出荷額は850万円、原その他の原価を入れて1200万円であり、800万円は本社維持費、現場費用、利益、税金などである。地元工務店に頼んだ場合でもこの費用は25%程度必要である。問題なのは、どれにどれだけかかっているかわからないことである。

・半年とか1年掛かって造る住宅の提案をしたい。現在、工務店に設計を頼むと設計費がないような形であるが、実際には7%とか1割の設計料を払っている。工務店に細かいことも任せて進めると、満足した、満足しないの両方の意見がある。

・これらのことを解消するものがオープンシステムである。その概要は、住宅を建てる場合に必要な基礎屋、大工、サッシ等の約10位の専門職種にそれぞれ見積もりを取り、それぞれ価格だけでなく細かく内容を精査し、一つの住宅を建てるのに、それぞれの職種にそれぞれ契約するやり方である。メリットは、価格に納得できること、品質に納得できることである。これまでの契約の仕方と違うのは、自己責任が加味されることである。

・住宅を建てたいという場合、展示場等で選択することになれすぎているきらいがあるが、納得して建てたい人のために選択肢の一つとして提案したい。

・このシステムは、自分で納得して建てたいという人のために、木材だけでなく、鉄骨住宅等を含めオープンシステムで建てる住宅取得のやり方が、今後、エンドユーザー側の自己責任の中で、満足度が高い住宅が建てられるものと確信している。

・このやり方について、細かい点は省略するが、建築を20年以上やっているが、50年後に悪いと判断されるようなことはないと確信している。

・オープンシステムは、途中で業者の倒産などの問題には、保険に頼るしかない。東京海上の倒産保証では、10年の瑕疵担保を含んでカバーする。オープンシステムで手がけた住宅は100棟以上ある。

・これまでに、住宅を建ててきて、顧客から話が合ったことを考えると、住むための箱(機能や性能)ではなく、家族から家を考えるべきである。住宅=家族のための住宅、吹き抜けのある住宅、個人の部屋はなるべく小さくとること、何故かというと、吹き抜けのある居間があると、そこで勉強やテレビを見て、自分の部屋にいかない。そのような造りにすると必然的にそこに集まるものである。

・住宅の造る場合、大黒柱は是非ほしいし、収納も沢山ほしい。そのような家を造るとアレルギーが直ったという事例がある→データがあるわけではないが、床材は芯のところを使っている。木は成長段階で自分を守るために芯に沢山の成分がある。芯の所を住宅の内側に使う。人間は臭いに馴れるので住んでいる人は感じないが、10年経っても他人は木の臭いを感じるものである。湿度がないのでダニや細菌の発生が少ない。綿埃もない(ダニや細菌の死骸)、トイレの臭いがなくなったということもある。

・間伐材の住宅を建ててほしいということではなく、このようなものがあるということを知ってほしい。

・住宅は自分の世代だけでなく子供、孫の世代まで伝えたい。大手のメーカーが推進している強制換気システムは数年するとダクトの中に埃が溜まる感じがするが、自然に帰るようなやり方で考えたい。

・この住宅の価格は、坪50万円、40坪で2千万円、30坪1.5千万円である。

 

NO12の概要

YMS循環ウッド研究会(昭和コンクリート工業(株))

 10月28日 東京ビッグサイト

 第14回パーク&レジャー展公開セミナー(参加者約30名)

 演題「木質利用材の発生地域内リサイクル」

   山田尚人氏(研究会事務局、昭和コンクリート総務課長)

    〒500-8703 岐阜市明徳町10番地杉山ビル

    tel058-265-5151 fax058-266-8199

    http://www.showa-con.co.jp

    info@showa-con.co.jp

 

1..ポイントは、

 接着剤を使わずに、チップ等をボード化する(製品名はYMS循環ウッド「バスターボード」)。

  高圧水蒸気による圧縮加工、形状記憶の技術開発。寸法安定性  は実証済み。

  技術開発は、岐阜大学農学部、棚橋光彦教授。

2.研究会は棚橋教授を中心に、地元企業5社(パンフレットに記載)。

 生産は、上之保国産材加工協同組合と(有)レールフラワー。機械開発はコマツ環境事業部。

3.生産工程は、

  @プレス機で仮圧縮

  A高圧水蒸気で軟化処理

  B本圧縮(チップを1/6〜1/7に圧縮)

  C高圧水蒸気で形状記憶加工(ヘミセルロース等が融合、形状記憶)

4.販売単価は、4,500円/平方メートル

 現行(試験プラント)の生産能力は、2mもの60枚/日程度(チップ使用量5立米程度)。本格的なプラントの建設を計画中。

5.用途は、土木用資材、道路中央分離帯の植栽敷きなど。

 地方建設部などにアプローチ。徐々に実績があがっている。

 特長として、雑草が生えない。土壌還元する(自然にやさしい)。有害化学物質を含んだ接着剤等を一切使わない(人にやさしい)。  ほか伐根、剪定木など

未利用資源の有効利用(循環、リサイクルニーズ)など。

 「地域内利用」を強調。岐阜県の方針(廃棄物の県内処理)による→県の指導がある模様。

6.「住宅や家具の部材としても使えるが、コスト的に外材に太刀打ちできないので、

 今は考えていない。部材化するとすれば、精密度を試験研究する必要あり」

  

 

パーク&レジャー展について

 平成11年10月27日〜29日に開催され、今年で14回目を迎えるもの。展示関係は、緑化と公園施設、水辺環境整備、水質浄化、自然エネルギー、資源再利用、福祉のまちづくりに関連する設備機器関連メーカ・販売店等が出展している。

 展示規模は小さく、来場者も少ない。事務局はシステム研究会(東京・上野03-3837-5741)。

木材関連の展示は次のとおり。

潟Eッドレックス(長野) 表層WPC処理の野外大型案内板等

許リの家いちばん(鳥取) 間伐材大量使用住宅 坪50万円

昭和商事梶i岐阜) 間伐材、廃木材の粉砕→YMSウッドプラント→バスターボード

 →土木用資材→4ヶ月で風化が始まり、5年程度で土壌化

鰹コ和企画(愛知県) 炭焼き十字軍、エコドリームプラント(炭化・堆肥化処理)

関東自動車工業梶i神奈川) 美化木(スギ材等を心部までWPC処理したエクステ

リアウッド、比重は1.2程度、価格は3倍、京大木研の話しでは耐久性は20年とメンテナンス費用を考えると低コスト)

三省物産梶i東京) マルチング用ベイマツ樹皮「パインバーク」

昭和リンク梶i東京) 輸入木製増築ルーム(3坪で250万円)、ウッドデッキ

大成ロテック梶i東京) ウッドチップを粉砕、ウッドファイバー化し、樹脂で成形

 した舗装材

樺|内製作所(長野) ウッドファイバーシュレッダー(チップを更に粉砕)

鞄本リサイクルリングシステムズ(東京) ウッドリサイクラー(輸入粉砕機)

蒲ム物産(茨城) モクレンブロック等

ファイバーレジン梶i東京) ウッドチップ等を骨材化し、舗装

富士車輌販売梶i滋賀) 剪定枝葉を粉砕処理する車両

北海道森林組合連合会 トドマツ間伐木から油吸着材

三井物産林業梶i東京) 総合緑化等

ニユオンジャパン梶i栃木) ポータブルチッパー等