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モデル地域鹿児島圏域
対象流域一覧

大隈流域、南薩流域、北薩流域、姶良流域、熊毛流域

参加事業体

(社)鹿児島県森林整備公社、鹿児島県森林組合連合会、かごしま森林組合、鹿児島いずみ森林組合、長島地区森林組合、薩摩西部森林組合、薩摩東部森林組合、伊佐森林組合、北姶良森林組合、姶良東部森林組合、姶良西部森林組合、きもつき森林組合、垂水市森林組合、内之浦町森林組合、南大隅森林組合、曽於地区森林組合、大隅町森林組合、曽於市森林組合、種子島森林組合、屋久島森林組合、王子製紙(株)、(株)島津興業、鹿児島大学(演習林)、(有)畠中林業、三好産業(株)、協栄木材(株)、(有)鹿児島フォーレスト企画、大口地区素材生産事業協同組合、伊佐愛林(有)、(有)橋元林業、(株)共立、中村林産、大隅素材生産事業協同組合、(株)岩崎木材工芸、上野物産(株)、鹿屋愛林(有)、肝付木材工業(株)、駿河木材(有)、山生産業(株)、(有)おおのがら林業、大川原造林(有)、荒武木材、(有)橋口木材センター、(有)屋久島林産、(有)ハマモト産業、野口産業、牛嶋産業(株)、(有)古川木材興業、(有)萬造寺林業、山佐木材(株)、(株)野元、鹿児島木材銘木市場、ベネフィット森林資源協同組合、鹿児島県林材協会連合会、肝属木材事業協同組合、鹿児島県林業試験場、(株)西村

森林・所有者情報データベース事業運営者

鹿児島県森林組合連合会

担当コンサルタント

鹿児島大学

 
概要

加工事業体は2社ですが、林業関係者、森林組合、流通業者については県内関係者のほぼすべてが参画しており、全県を挙げての取り組みとなります。最重要課題は山元の素材生産力強化による原木の安定供給体制の構築で、システム事業体による素材生産量を平成17年の21万8,000m3から36万m3に引き上げることを目指します。
このため、施業の集約化や路網整備、リースやレンタル制度も活用した高性能林業機械化などに取り組むほか、原木流通については県森連に原木流通情報センターを設置し、需給情報を一本化して原木を安定供給する新たな流通システムを構築します。
製材加工についてはラインの増強・整備、規模拡大などによって効率的な経営を実現し、県外需要者向けの販売ルートを確保します。
コンサルタントの鹿児島大学が中心となり、適切な全体調整のもとに取り組みを進めます。

加工事業体

山佐木材(株)、(株)野元

加工事業体の素材受入量の現状と目標
取り組み内容
素材生産の強化策

南九州の有力林産地にあって鹿児島は資源蓄積量こそ多いが、齢級が若く、所有構造も分散的であることから、生産体制整備がやや立ち遅れています。こうした中で、北薩地域は県内他地域に比べて資源が成熟し、隣接県の業者による活発な素材生産活動の刺激を受けているために、生産性が比較的高いのですが、しかし全般的に素材生産能力の強化が必要なことに変わりはなく、当地域では山元の体制整備を重要課題として取り組んでいます。
施業方式は間伐とし、現在(平成17年)の間伐の生産性2.8m3/人日を5年後には5.3m3/人日にまで引き上げることを目指しています。
そのための方策としては、施業の集約化と高性能林業機械の導入促進、列状間伐の推進などに取り組んでいます。
ただし、素材生産業者の資本力が低いため、機械の導入に当たってはリースやレンタルも検討しています。
また、素材生産業者や森林組合が原価計算に基づく森林所有者への施業提案を行ったり、経費節減のためには何を改善する必要があるのかを把握できるようにするため、損益などに関する経営分析手法を身に付けさせるようにしています。

素材の安定供給対策(直送等)

当地域の原木流通は以前から原木市場を介した流れが主体であり、山元から製材工場への直送方式の導入を図りつつ、原木市場を集積場所として位置づけ、その集荷、仕分け、ストックといった流通機能は従来どおり活用します。具体的には、県森連に設置する原木流通情報センターが各市場の椪積み結果を集約し、原木を協定相手の製材工場向けと市売向けとに仕分けることにより、まとまった量を安定供給する体制を構築します。当初は森林組合系統の共販所によってセンターを立ち上げましたが、民間の市場にも参加を呼びかけ、全県的な体制を整備しています。
立木を安定的に買い付け、山元の事業量を確保するための方策としては、比較的規模の大きな森林所有者を当面のターゲットとした取り組みを展開しています。個人所有林は規模が小さく、効率化が困難ですが、面積がまとまっている森林を核に周辺の個人所有者との一体的な施業といった取り組みも可能性があり、規模拡大を進めやすいと言えます。そこで、まずは公有林や会社有林等を供給源とした集荷販売活動を展開し、山元に利益を還元する事例をつくって所有者の出材意欲を刺激します。このようにまずは生産性を確実に上げることができる林分を確保し、そこを舞台に技術のレベルアップに取り組んで生産コストの引き下げを図っています。その上で、個々の森林所有者を対象とした集約化に取り組んでいます。
なお、民間の大規模森林所有者が林業経営担い手モデル事業の実施主体となっており、自社有林を核とした周辺林地の集約化を進めています。

材木加工の強化策

加工事業体については、①既存の市場システムの維持にこだわらない、②地元業者との競合を避けるために県外向けに製品を出荷する――を条件として選考し、山佐木材(株)と(株)野元を中核事業体として決定致しました。
山佐木材(株)は製材ラインの増強と工場の拡充によって規模拡大を図り、年間原木消費量を5年間で3万m3から10万m3に引き上げています。製品の種類は人工乾燥を施したスギの管柱、間柱、集成材量ラミナ、板類などです。多様なアイテムの製品を製造するため、末口径16cm以上の原木をすべて受け入れることとし、流通の合理化を図っています。
(株)野元は既存の施設を活用し、規模拡大と効率的な生産体制の確立に取り組んでいます。年間原木消費量は現在の1万6,000m3から3万m3への引き上げを図っています。

製品の販路確保策(マーケティング)

出荷地は県外とし、主に大消費地の木材流通企業やプレカット工場、大手ハウスメーカーなどとの取り引きを確保します。

全体推進対策

当地域の取り組みには県内の主要な林業関係、森林組合、流通業者のほぼすべてが参画しています。業者を選考した加工事業体以外の業態については、参加を希望する事業体をすべて受け入れたという結果によるもので、システム事業体数は60事業体近くという大所帯となっています。そのため、事業体間の意識レベルに差があり、各種の取り組みをスムーズに進めるためには適切な調整が欠かせません。そのため、事務局体制を強化し、連絡調整も密接に行っています。
具体的には、事務局をコンサルタントの鹿児島大学内に置き、常駐の専任スタッフを配置しています。すべてのシステム事業体による運営会議を年2、3回開催するほか、事務局メンバー(専任スタッフ、大学、県庁、県森連、県森林公社で構成)による事務局会議を週1回開催し、日常的に工程を管理しています。このほか関係団体との調整も遅滞なく行うとともにニューズレターを発行し、意識啓発にも努めています。鹿児島大学が中心となって運営している「儲かる林業研究会」の協力も得ております。また、同大では平成19年度から木材の生産~流通~加工の全般にわたる課題解決を研究する社会人向けの大学院講座(修士課程)を開設し、人材の育成に取り組んでいます。

鹿児島圏域モデル地域の供給フローチャート