このページを >保存 >お気に入りへ >印刷 1.木の街・むらづくり事業とは |
20世紀は、大量生産・大量消費の時代でした。それは物質的な豊かさをもたらす一方で、地球環境問題に代表されるさまざまな課題を人類に突きつけることとなりました。 また、日本は、1990年代後半のバブル崩壊から今日まで、かつてない不況、景気低迷に見舞われています。この閉塞感を打破し、21世紀にふさわしい「循環型社会」を実現するためには、私達自身の手で、現在の社会・経済システムを変革していくことが必要になっています。 人が植えた森林(人工林)は、継続的に手を入れて整備していくことが不可欠です。「循環型社会」においては、地域の木材を使いながら環境を保全していく、地域の生活空間を維持していくことが大切であり、そうした認識が広く理解されるようになってきました。 こうした状況の中で、地域でどのようにして毎日生活していくのか、安全で活力のある生活空間をどう形成していくのか、地域にある森林、あるいは近所の山にある木材という再生可能な資源をどのように利用していくのか、これらの課題解決に向かっての街づくり・むらづくりが改めて注目されています。 1970年以降、日本の円が自由化され、かつて1ドル=360円だったものが、現在は120円近い水準で推移しています。それだけ、外国の製品が安価に輸入されるようになり、木材の分野でも、円高の恩恵を受けて、外国から大量の木材が入るようになりました。 その結果、国内の森林資源、特に戦中から戦後にかけて造林された木材の利用が進まないという問題が生じています。一方、木材の主たる需要先である住宅建築の分野は、プレカットの普及や品確法の制定・施行などで、マーケットが大きく変化しています。非常に長いスパンをかけて築き上げられた森林資源と地域材も、この変化に対応する商品化が求められています。 このような状況を受けて、2000(平成12)年度の林野庁予算によって、地域材を活用し、地域の活性化を考えようという「『木』の街・むらづくり事業」がスタートしました。この事業は、従来のように、単なるものづくりのビジョンを策定するだけではなく、地域の人々とともに、これからの社会・経済、あるいは住空間・ライフスタイルなどについて考える、いわゆるソフト重視の事業として進められているところに特色があります。 「『木』の街・むらづくり事業」を進める上での基本コンセプトを参考にしていただき、全国各地で地域の自発性を活かした「『木』の街・むらづくり事業」が展開され、地域材の経済的な循環を含め真の地域における循環型社会の構築が図られることを願っています。 平成13年3月 木の街推進支援全国事業企画運営委員会委員名簿(2000(平成12)年度)
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