昭和50年の文化財保護法の改正によって伝統的建造物群の制度が発足し、城下町、宿場町、門前町など全国各地に残る歴史的な集落・町並みの保存が図られるようになった。市町村は、伝統的建造物群保存地区を定め、国はその中から価値の高いものを重要伝統的建造物群保存地区として選定し、市町村の保存事業への財政的援助や必要な指導または助言をすることができるとされている。
重要伝統的建造物群保存地区については、市町村が、条例で保存地区の現状を変更する行為の規制などの措置を定め保護を図っており、文化庁長官または都道府県教育委員会は、市町村に対し保存に関し指導助言を行うほか、管理、修理、修景(伝統的建造物以外の建造物を周囲の歴史的風致に調和させること)などに対して補助を行っている。
また、重要伝統的建造物群保存地区は主に木造の建築で構成されており、防災、特に火災に対する対策が必要なため、市町村は景観に配慮した防災施設等の整備事業を計画的に進めている。これについても、文化庁長官または都道府県教育委員会は、市町村に対し指導助言するとともに補助を行っている。
平成14年3月現在、重要伝統的建造物群保存地区に選定されている地区は、54市町村で60地区(合計面積約2,390ha)あり、9千件の伝統的建造物が保存すべき建造物として特定されている。