日本の森を育てる木づかい円卓会議について
日本国内で生産される木材、いわゆる国産材の有効利用は、わが国の水土を保全し、豊かな環境を守るためにも、また地域経済の活性化を図るためにも大切なことです。
このため、間伐材を始めとする国産材が積極的に市場で取引され、経済活動を通じて適切な森林整備が進展していくことが望ましいわけですが、残念ながら、日本の木材需要はその8割以上を輸入材に依存しており、国産材の比率は2割以下まで低下しています。この結果、森林地域での森林整備意欲が減退し、管理の不十分な森林の増大や里山の荒廃が進んでいます。
このような状況を打破し、我が国に適した循環型社会を構築していくためには、経済活動の中に国産材の循環的利用を組み込むことの重要性について、消費者や企業が強く意識し、日々の経済活動が日本の森を育てることにつながっていくように、社会を変革していくことが欠かせないと考えます。
このため、本会が発起人となって、学識経験者、経済界、市民団体等からなる「日本の森を育てる木づかい円卓会議」を企画したところであり、様々な観点から議論を行って、本年末を目途に議論を取りまとめ、提言として世間に公表したいと考えております。
1. 趣旨
木材は、人間生活に欠くことのできない材料であり、環境との調和を図りながら持続的に利用すべき資源である。このために、植林から保育、伐採利用、再植林に至る適切な施業、すなわち、森林資源の循環的な生産と利用システムの構築が求められる。
とりわけ、国産材の有効利用は、わが国の水土を保全し、豊かな環境を守るためにも、また地域経済の活性化を図るためにも大切である。しかし、現在、わが国の木材需要はその8割以上を輸入材に依存する反面、国産材の比率は2割以下まで低下し、わが国の森林の成長量に見合う資源利用が十分なされていない。結果として、管理の不十分な森林が増加し、健全な森林の減少が危惧されている。林地残材や間伐材も十分に活用されないまま、大半が放置されているのが現状である。
このような現状を打破し、わが国の森林資源の持続的な管理と利用を通して地域環境を保全し、資源循環型社会を実現することが重要である。そのためには、経済活動の中に国産材の循環的利用を組み込むことが必要不可欠であることをアピールし、消費者や企業の理解を深めると共に、社会的な合意形成を図ることが大切になっている。
この度、日本木材学会が発起人となり、学識経験者、経済界および市民団体等からなる「日本の森を育てる木づかい円卓会議」を企画し、国産材の持続的な利活用に向けて、その理念の構築と消費者や企業への呼びかけを図る。
2.会議の目標
(1) 国産材利用の理念形成
(2) 消費者、企業、マスコミ等への国内森林資源の持続的な利用の呼びかけ
(3) 関係省庁への提言
3.会議の構成員
学識経験者、企業、市民等14名
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