平成15年11月14日
経済活性化に向けた景気対策の要望
社団法人全国木材組合連合会
会 長 久我 一郎
木材産業の振興につきましては、日頃から格別のご支援を賜り、ありがとうございます。
さて、最近の我が国経済は、日銀「業況判断指数」が示すように、底離れしつつある景気が企業の景況感にもはっきり表れてきています。
一方、円高の進行、金利の上昇、業種間の回復の遅れなど、景気浮揚に向けて解決すべき問題点もあり、こうした状況を一日も早く克服して、経済を本格的・持続的安定軌道に乗せることが重要であります。
木材業界は、住宅不況に加え、材価の低落、金融機関の貸し渋り・剥がし等により、経営は益々深刻な状況にあります。
このため、さる10月21日、大阪で開催の第38回全国木材産業振興大会の宣言決議(別添)に基づき、現下のデフレ不況を払拭し、経済活性化に向けた景気浮揚対策として、早急に平成15年度補正予算を編成する等、下記事項について強く要望いたします。
記
1. 大規模な即効のある景気対策=早急な補正予算の編成
木材産業構造改革をスピードを上げて推進するためにも、早急に補正予算を編成する等して、景気に即効性のある需要創出を図り、デフレ不況から脱却することが急務である。そのため、平成15年度補正予算として次の事業を要望する。
- 地域材を活かした新事業・企業創出緊急対策事業(全国4ヵ所・5億円)
- 地域木材産業革新事業者対策リース促進事業(2億円)
2. 活力とゆとりを生む住環境整備=住宅ローン減税の継続延長
住宅建設の拡大は、景気対策の主要メニューであり、住宅ローン減税は景気刺激、とりわけ個人部門の需要刺激と住宅の質の向上に寄与し、かつ、消費需要の誘発にも貢献してきたところである。
このため、本年12月末に期限が切れる現行の住宅ローン減税の継続延長はもとより、リフォーム住宅ローンの拡充、さらには自己資金分にも減税範囲を広げるなど、景気浮揚に向けて住宅への潜在需要を掘り起こす必要がある。
また、中古住宅の性能表示のための費用の一部を国や自治体が補助して、住み替え、住み継ぐ等、住宅を重要な社会資本に位置付け、欧米並みに住環境を整備し、併せて資産価値を向上させることが重要である。
○ 住宅ローン減税の継続延長 ○リフォーム住宅ローン減税の拡充
○ 自己資金分に対する減税範囲の拡大○中古住宅性能表示費用への補助
3. 中小企業に対する貸し渋り対策
景気回復の近道は、中小企業を活性化させることにほかならない。
現下のデフレ不況に苦しむ中小企業を金融面から支援し、活力ある産業再生を図るためには、中小企業の隅々にまで資金が行き渡るよう、金融支援措置を講じられたい。
ちなみに、公的資金注入銀行の中小企業向け貸出額は、本年3月末で前期比5兆6千億円余減少しており、これは明らかに貸渋り、貸し剥がしである。
4. 中小企業に対する公的信用保証への融資改善
中小企業向けの信用保証制度を改善し、融資を公的信用保証する際の担保は企業が有する機械設備や製品などの「動産」にまで拡大する等、米国などで一般的な手法として定着している動産担保融資の導入を早急に検討され、中小企業の資金繰りを円滑にされたい。
5.消費税引き上げ議論を当面行わないこと
消費税率の引き上げや引き上げのための議論を行うことは、消費者と企業の不安を煽り、景気回復の足を引っ張ることとなるので、当面、議論すべきでない。
とりわけ、経済が停滞している状態で引き上げることは、個人消費を中心にマイナスの影響が出ることに通じて、経済を一層悪化させる。これは税収の一層の低迷につながり、財政赤字の増加要因にもなりかねない。
当面は、構造改革のさまたげになる引き上げの議論はすべきではない。
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