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「金融検査マニュアル別冊(案)中小企業融資編」への意見

   

 金融庁検査局では、平成14年4月12日、中小・零細企業等の経営実態の把握の向上による適切な検査の運用確保のため、金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編等に対するパブリックコメントを実施したことか、次の意見を掲出いたしました。

〔関連文献〕
金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編等の作成、整備について(別添1〜12を含む)
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/f-20020412-2.html

氏名   久 我 一 郎
年齢   72歳
性別   男性
E-mail  info@zenmoku.jp
職業   団体会長
郵便番号 100-0014
住所   東京都千代田区永田町2−4−3 永田町ビル6階
電話番号 03−3580−3215
件名   「金融検査マニュアル別冊(案)中小企業融資編」への意見

本文
 政府は、"景気底入れ宣言"をしたが、木材産業では、需要先の住宅建設が長期にわたり低迷を続けているため、需要量・価格の低迷、コストの増高などで深刻な経営不振におちいっている。もちろんこれまでも木材業界一人一人は生き残りをかけて血の出るような自助努力を続けて参ったところであるが、企業体力として限界にきている。
 このままでは木材産業の存立さえ危ぶまれることになり、特に地域の重要な産業であり、国土保全・温暖化防止に貢献する森林・林業の活性化に欠かすことの出来ない地域の木材産業は壊滅的影響を受けると考える。

 昨年成立した森林・林業基本法では、木材の利用推進の担い手である木材産業が森林・林業活性化にとって重要な役割を果たすものとして位置付けられており、木材生産目標が定められ、その目標達成のためには、木材産業の果たす役割は益々大きなものと考えると、財政的、制度的支援が是非とも必要である。

 一方、「金融検査マニュアル」をもとに地域金融機関の金融検査が進められ、ペイオフの実施を前提に、昨年の1月から今年の3月までの信用金庫や信用組合だけでも60近くの金融機関の破たんに結びついている。この地域金融機関の破綻・淘汰は、借り手の木材企業にとっては存続を左右されかねない大変大きな問題である。事実、取引金融機関の破綻にともなって「受け皿金融機関へ移転」が進展せず、資金繰りができず破綻した例もある。

 また、「借入がしにくい」、「金利の引き上げ要求」、「追加担保・保証人の要求」、「貸し剥がし」にあうなどの状況もあり、2期連続赤字になると金融機関は資金を引き揚げる実態にある。財務体質の脆弱な企業や債務超過に近い企業は、金融機関から借り入れができないばかりか、債務の返済を迫られ、破綻のシナリオに行き着くしかない状況にある。事実、最近の経済の裏側では、商工ローンや法律事務所に中小企業が押し寄せていることを考えると、この問題は、今後、さらに木材産業の不振に追い討ちをかけることが予想されるところである。

 このようなことから、地域金融機関が取引先中小企業を支援し、経営改善を促進することを重点とした施策を進めるべきである。
「金融検査マニュアル別冊(案)中小企業融資編」は、具体的な運用例を公表し、広く、パブリックコメントを行っていることは大いに評価するものであるが、金融取引での借りる側の立場からすると、弾力的な運用とあわせ、より拡充すべき点がある。

〔意見1〕自己査定結果の検査を省略できる与信額の拡充
 与信額が2000万円以下の債務者については被検査金融機関の自己査定に委ねることができるとしているが、与信額を5000万円以下の債務者まで拡充すべきである。

〔意見2〕債務超過企業のランクアップ支援を主とした債務者区分の判断
マニュアル別冊では、債務者区分のグレーゾーンにある赤字・債務超過企業の13の事例を例示し、代表者の個人資産の加味や信用力、技術力などを勘案して判断する手法は評価するものであるが、財務状況以外の要素として、当該企業の地域に果してきた貢献、雇用状況、経営理念・計画の状況、経営革新支援法、ISO等の対応状況なども勘案すべきである。

〔意見3〕中小企業に対する弾力的な運用
マニュアル別冊(案)は、13の事例が例示されているが、逆に、その事例にとらわれ、画一的に判断される可能性がある。地域や環境に対する中小企業の貢献を加点するなどの措置が必要である。


〔参考〕
金融検査マニュアル別冊・中小企業融資編等の作成、整備について(別添1〜12を含む)
他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.fsa.go.jp/news/newsj/13/f-20020412-2.html

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