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「木材産業の課題と展望」について、自民党林政基本問題小委員会で要望


平成16年10月20日、自民党林政基本問題小委員会において、庄司会長は参考資料「木材産業の課題と展望」を提示して、次の「発言メモ」のとおり要望いたしました。

 

木材産業の課題と要望(発言要旨)

 

1. 木材産業の現状のあらましと直面する課題につきまして、お手元の資料によりご説明させて頂きます。

2.まず項目の1番でございます。

木材製造業のGDPは、約1兆円で、関連産業を含めて約4兆円であります。これらに雇用されている人数は13万6千人であります。このように地域の中では重要な役割を担っており、地域経済にとって大きなウエートを占めています。

 3.次に、項目の2番でございます。

  木材産業は長期間にわたって厳しい状況が続いております。価格の低迷や倒産件数に、その厳しさが如実に現れておると考えております。

 4.そこで、項目の3番でございます。

地域経済の活性化のためには、木材生産、利用の推進そして森林育成という森林の循環的利用が重要であります。とりわけ地域材の利用推進が、森林の整備を促進するために必要な資金を山に還元する鍵になると考えています。

また、地球温暖化防止に向けた京都議定書の目標達成のためにも地域材利用の推進が重要と考えます。

しかし、世論調査の結果にありますように、地域材利用の意義が幅広く認識されているとはとてもいえない状況にございます。とりわけ、家計を預かり子供を教育する主婦や、将来の我が国を担うべき若い世代において、認識度が低いということは、ゆゆしき事態であり、僭越ながら、今、まさに国を挙げて早急な対応をしなければ、日本の森も木も滅びてしまうのではないかと憂慮しております。

 5.次のぺージの4番に進ませて頂きます。

これまで申し上げてきたようなことを踏まえまして、全木連は、従前から木材利用の推進、需要の拡大を最っとも重要な課題として、活動方針の中に取り上げてまいりました。

なかでも、「地域材等を公共建築物等に優先的に活用すること。そのための制度作り」につきましては、永年にわたり要望して参ったことでございます。

一方、需要者対策も必要であります。木材需要の太宗は住宅建設用でありますから、施主や消費者の木材に対する認識を深めてもらい、木にこだわりを持っていただくことが木材需要の拡大にとって必要なのではないかと考えています。

木の文化、木の復権のためにはもっと木のPRが必要なのですが、木材業界には残念ながらその余力がありません。過去3年間続いた「木材フェアー」は非常に効果的でありましたが、補正予算がなくなって中止となりましたことは誠に残念であります。あのような木材PRのための予算措置については、ゼヒともよろしくお願いしたいと思っております。

 6.私は、会長職を引き受け半年ほどでありますが、いろいろ勉強させていただきました。その中で、林野庁の全予算に占める木材関連予算、いわゆる川下予算は、僅か1%程度と聞き大変驚いております。私は、川下の木材産業が元気を取り戻せば、川上の森林・林業は絶対に活性化すると信じております。川上を支える川下を元気にするためにも、川下予算を拡充することが私の役目かと考えております。

そのためにも、先ず17年度の新規予算につきましては、「日本の森を育てる木づかい推進緊急総合対策事業」をはじめとする「木づかいビッグバン」関連予算約10億円を是非満額確保していただきたいと思います。

 

. また、全木連では、今、木材の原産地などの情報を自主的に表示しようという制度を立ち上げたいと具体的な検討を進めております。情報の公開と説明責任を果たすということは企業の責任であり、木材のイメージアップにもなると思っております。この制度によるラベリング木材の普及推進につきましても、予算措置を通じてご支援いただきたいと思います。

 

8.最後に、資料の5番でございます。

木材の需要構造の変化に対応して、我々としても木材流通業・加工業の構造改革の必要性を十分理解していますが、技術開発力、原料の安定確保、資金不足などの課題を抱えて、改革が後れているのが実情であります。特に昨今、企業体力が弱まり、自助努力のみではどうにもならない企業が多く見られます。

  そこで、我々自身も自助努力は続けますが、構造改革を一層促進するため、利子助成やリース促進対策などの支援策につきまして、更なる拡充を期待しているところであります。

 

9.以上いろいろ申し上げましたが、我々は皆生き残りを掛けて日々真剣勝負をしております。我々全木連は、木材のプロであり、乾燥材を始めとする品質・性能の確かな木材の供給に努めるとともに、木材の利用を真剣かつ責任を持って進めていく立場にありますが、厳しい情勢の下で、なかなか思うように参らず、忸怩たる思いがあります。

先ほども申し上げたとおり、川下にも目を向けていただき、川下対策の充実を是非ともよろしくお願い申し上げ、終わりに致します。

 

〔提出資料〕

平成16年10月20日

(社)全国木材組合連合会

 

木材産業の課題と要望

 

〜地域材利用拡大に向けた消費者への働きかけの充実を〜

 

1.木材産業は森林・林業を支えるとともに、地域雇用や地域経済の活性化にとって重要な産業。

 

木材・木製品製造業の重要性 名目GDP1兆円

              産業連関 4兆円 

木材・木製品製造業の雇用人員   136千人(平成15年)

 

2.木材価格は長期間にわたって低迷しており、厳しい経営環境のなか企業の大幅縮減、高水準の倒産件数。

 

素材価格 昭和55年 38,700円/m3 

→ 平成15年14,300円/m3(スギ中丸太)

 製材工場 昭和55年 22,230工場 → 平成15年 9,920工場

倒産件数 483件 (平成15年実績 全企業の3%に相当)

 

3.森林の整備を進めるためには、木材売却収入の活用が有効であり、森林の整備と木材の利用を一体的に進めることが必要。

 

木材や木質バイオマスの需要を拡大するためには、消費者が地域材利用の重要性を正しく理解し、地域材にこだわりを持つことが重要。

 

「地域材利用が森林整備にとって必要」ということの認識度は、

学生21%、 主婦54%、 総数60% 

(平成15年 内閣府世論調査)

 

4.これを踏まえ、木材産業の振興と木材需要の拡大があってこその森林・林業の発展があると認識。そこで地域材等の利用促進を図るための施策と木材関連予算の拡大が必要。

  

  公共施設等への地域材利用の優先使用について制度作り。

 

特に、「攻め」の消費者対策の推進に必要な次の予算の確保を要望。

 

  日本の森を育てる木づかい推進緊急総合対策事業

  ラベリング木材普及対策事業

 

5.また、木材流通・加工業は木材の需給構造の変化に対応した構造改革が必要。そのために、業界の自助努力を超えるものについて支援を要望。特に次の予算の拡充を要望。

 

  木材産業の構造改革を推進する事業(利子助成、リース促進対策等)

 

 

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