このページを >保存 >お気に入りへ >印刷 中央環境審議会審廃棄物・リサイクル部会の「廃棄物・リサイクル制度の基本問題に関する中間とりまとめ」に対する意見 |
中央環境審議会廃棄物・リサイクル部会は、平成14年3月22日付けで「廃棄物・リサイクル制度の基本問題に関する中間とりまとめ」を行い、パブリックコメントを実施したことから、次の意見を提出いたしました。 住 所 :〒100-0014 東京都千代田区永田町2−4−3 永田町ビル6階 〔意見1〕 該当箇所 2頁 2 制度見直しの基本的視点 「天然資源の消費の抑制及び環境負荷の低減」とあるが、以下に示すとおり天然資源の種類によっては消費の抑制は不適当であり、一律に消費を抑制すると逆に環境負荷が増大する可能性があるので、問題である。また、(1)廃棄物の排出抑制の推進、(2)合理的な廃棄物処理・リサイクル制度の確立、(3)適正処理の確保についても一律的なものでなく、資源の特性を踏まえた上で、推進すべきである。 理 由 ・人類が資源を消費して生きている以上、再生産可能な資源の利用を最優先すべきである。そのような再生産可能な資源は木材を始めとする生 物資源をおいて他には存在しない ・森林には生物多様性確保や水源涵養などの多くの機能と恵みをうるために「保護する森林」と「持続的な資源生産を担う森林」があり、その保護、伐採、再生産が共存・共 生していく必要がある。森林が資源生産の活力を失えば循環型社会などありえない。また、森林が環境保全の機能を失っても循環型社会は成立しない。循環型社会の成否は、近年の化石資源に依存し、資源の枯渇に向かってきた豊さ追求の視点を、森林や木材のような再生産可能な生物資源との共存に向けることができるかにかかっている。 ・建築資材(木材の最大の用途)を見ると、木材は極めて特異な位置にある。第一に木材は建築資材中で製造エネルギーが極めて小さい(地球温暖化に関係する二酸化炭素の放出が少ない)。第二は樹木が大気中の二酸化炭素を吸収し、太陽エネルギによって樹幹形成して炭素を固定していることである。この伐採から焼却までの時間が長ければ(すなわち耐用年数が長い、あるいは使用後の解体材を再生資源としてリサイクルすれば)、森林の樹木に生長する時間を与えることになる。一方、「伐ったら植える」という森林管理の基本が行われていれば、新たな樹木で二酸化炭素を吸収し、炭素の固定が再開されることになる。 ・木材を焼却したり廃棄する量が森林での成長量を上回らないならば、大気中の二酸化炭素は減少方向に向かうことになる。また、最終段階で燃焼させるときも熱エネルギーとして利用すれば、化石燃料の使用を削減できる。他の建築資材は、使用すれば確実にその資源の枯渇があり、しかも生産過程でのエネルギー消費は化石燃料の消費を伴う(リサイクル化についても同様に多くのエネルギーを消費する。)。このように、木材資源が真の再生可能資源で、極めてエコロジカルな資源である。 ・資源確保と環境保全からみたとき、化石資源、鉱物資源から木質資源、生物資源への移行は人類存亡に関わる課題である。 ・我が国の人工林から生産される木材は「持続的な生産ができる」資源として重要であり、その森林これからの世代へ受け継ぎ得る最大の資産でもある。人工林はその適正利用があって推持されるものである。 ・生物資源が他の資源と異なる点は更新、すなわち世代交代である。更新は森林の保全と相反するようであるが、両者の共存こそ重要である。すなわち、循環資源のためには若い層が一定量存在することが重要である。 ・森林は、伐採更新しない限り、循環資源として機能しない。伐採、すなわち木材利用は、保管される場所を都市に移動するという意味と、循環更新を促すという二つの意味を有するのである。 〔意見2〕 該当箇所 4頁 廃棄物の定義 A見直しの方向性 ア 定義の見直しに関する基本的方向性 処理方法によって、処理される物質がどのような物質であっても、一定以上の環境に対して影響のある処理を「廃棄物処理」として規定し、規制する一方で、一定基準を満たすマテリアルリサイクルやサーマルリサイクルなどを「廃棄物処理」から除外して、廃棄物ではなく、資源としての再利用を促進するべきである。 また、「廃棄物処理」に対する規制については、物の生産・利用から廃棄・処理に至るまでのトータルでの環境への影響を少なくする必要があることを踏まえ、一定以上の環境に対して影響がある行為については、廃棄・処理時における環境への直接の排出のみを近視眼的にとらえるのではなく、その処理に至るまでの資源の利用から製品の生産、利用、廃棄までの間の環境への影響の全てをトータルで評価して定めることが重要である。それとともに、「廃棄物処理」に際して、環境負荷に応じて差をつけ、それぞれに必要な規制措置を講ずるべきである。 〔意見3〕 該当箇所 5頁 廃棄物の定義 A見直しの方向性 イ 定義の明確化 「不要物は……総合判断説の判断要素のうち、占有者の意思、取引の有無よりも物の性状、排出の状況等の客観面の判断要素を優先させるべき場合もあり得ることを明確化すること。不要物以外のリサイクル可能物を廃棄物処理法の規制対象とする場合には……」とあるが、現状においては、本来、廃棄物として規制されないリサイクル可能物の定義の判断基準が明確でないため、資源として再利用することが阻害されている現状に問題があることを踏まえ、対象物が不要物であるかどうかなどで一律的に規制するとの判断を行うのではなく、資源利用トータルでの環境への負荷の程度によって、規制すべきは規制し、規制が不適当なものは規制から除外するとの判断を行うようにすべきである。 理 由 木質資源は、加工エネルギーが少なく、かつ、昔からサーマルリサイクル、マテリアルリサイクルが行われているが、端材等の処理に当って廃棄物として取扱われる例がある。 〔意見4〕 該当箇所 5頁〜6頁 廃棄物の定義 A見直しの方向性 ウ リサイクル可能物を廃棄物の定義から除外することについて 「リサイクル可能物を廃棄物から除外するのは不適当である。」とあるが、廃棄物を定義し、それを規制することによって、不適切な処理をなくすという、はじめに廃棄物ありきという一律な位置付けにより適切な処理までをも規制してしまうというこれまでの規制行政の矛盾や非効率性を打破し、はじめに不適切な処理とは何かを定義し、それに該当する処理を効果的に規制することにより、効率的かつ適正な廃棄物処理を進める方策を考えるべきである。 「循環型社会」を積極的に推進する上で、木質資源のようなリサイクル可能物は、トータルの環境負荷も小さくいことから、規制すべきではない。 〔意見5〕 該当箇所 7頁〜9頁 (2)廃棄物の区分 環境影響物質の総量削減という観点を考えるとき、最も効率的な方法として、安易な排出は厳しく規制し、やむを得ない排出は一定程度認めるということが必要である。すなわち環境に対するトータルな影響度の大きさによって規制の度合いに差を設けることにより、処理の合理化及び適正化につながる。 このため、リサイクルするものと処分するものを区分して規制する必要があり、そのための区分を設けることが必要である。 例えば、木質資源の場合、製品化までの加工エネルギーが小さく、かつ、製品として使われている間は、製品の中に二酸化炭素が固定されている。使用後に焼却してもトータルの地球温暖化の観点では環境負荷につながらない。 また、単に地球温暖化ガスの排出ということのみを考えた場合、廃棄物を焼却炉により焼却することと、ボイラー燃料によるサーマルリサイクルとでは、同様に二酸化炭素等を排出するが、前者は廃棄物を再利用せず焼却をしているとすれば、物質の終末処理の部分における環境負荷に影響を及ぼす行為であるといえるが、後者は二酸化炭素を排出するもののエネルギー利用を伴うことから、石油資源の使用を伴わないことを考えると、地球温暖化防止の視点では大きく貢献するものである。このように木質資源は、トータルの環境負荷を考えた場合、焼却処理する場合にあっても地球温暖化に影響を与えない。 なお、特定物に限られる産業廃棄物については、排出者の事業規模の大小によらず排出者責任が課せられ、環境対応コストが増大し、持続的な経営が困難となり、環境対応コスト負担ができないため企業を廃業する事業者が増えてきているので、中小零細な事業者への配慮が必要である。 〔意見6〕 具体的には、再生利用に関する廃棄物処理等については規制を緩和し、容易にその処理が行えうるようにすることが必要と考えられる。 多額の費用と労力を全ての者に課す規制強化ではなく、事業者にとって採用しやすい簡易な方法を進めるとともに、違法行為を行う者を選別・取締まる方策を講ずることが、廃棄物の処理の合理化・適切化を図る上で必要である。すなわち、脱法行為が横行する恐れがあるため、適正に行なう者まで含めて全ての者を厳しく規制し過度の負担を求めるという従来からの考え方は手法として合理的とはいえず、不適当である。 また、零細事業者にとって、現行の廃棄物処理の適正化のための設備投資等は困難な点が多く、適正処理の阻害要因ともなっているため、零細事業者が共同して廃棄物処理を行うような取組について、廃棄物処理法上の手続きを簡素化し、自社処理の扱いと同等の規制とするようにすべきである。 〔意見7〕 例えば、生産者であれば、生産や利用において環境への影響物質の排出が多い製品、リサイクルができない製品、廃棄物を多く製造する事業者の負担を増加させるとともに、これらを多く販売した流通業者、販売業者、そしてこれらを多く使った消費者の負担を増加させる方策と、逆にこれらを使わず再生利用等が可能となるような生産・利用などの取組を行った事業者等については、負担を軽減するような方策が必要である。 環境影響物質の排出量の測定等に関する排出者の責任についても、測定結果において排出が少ない業者については、その処理方法や廃棄物等の性状・排出の危険度等に応じて、測定の方法や頻度を緩和するなどの合理的な措置をとり、排出の少ない者が有利となるような措置を検討することが必要である。 また、ダイオキシン類の測定など環境影響物質の排出量の測定等には多大な費用がかかり、零細事業者に過度の負担を強いている現状にかんがみ、一時間当たりの焼却能力200s以下の小型焼却炉については、早急な簡易測定法の確立を図り、測定が安価でかつ簡単に行えるようにすることが適正処理を進めるうえで極めて重要である。たとえば、最も毒性の強い種類のダイオキシンの濃度を簡便な方法で計測し、その他の種類のダイオキシンについては、過去の測定結果を係数にして加算してトータルのダイオキシン類濃度を算出する方法などが実用化できるのではないか。あるいは、それぞれの簡易測定法と現行の測定法の測定値の乖離がある場合、乖離のパターン特性により、一定の補正値を設けて測定することなどを含め、簡易測定法を早急に実現すべきである。 (以 上) 〔参考:中間取りまとめの内容〕 |