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消費税の事業者免税点制度と簡易課税制度の改正のあらましについて


 

 

平成15年度の税制改正による消費税の改正により、新規に課税事業者となる方については、消費税に関する各種届出書の提出や、平成17年1月から記帳と請求書等の保存が必要になるなど、事前の準備が必要となります。

消費税の主な改正のポイントは次のとおりですのでお知らせいたします。

〔情報掲載URL〕

他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.nta.go.jp/category/syouhizei/index.htm

 

 

平成15年度税制改正により消費税法の一部が改正され、平成16年4月1日から施行されています。このうち事業者免税点制度と簡易課税制度の改正のあらましは、次のとおりです。

○ 事業者免税点の引下げ

納税義務が免除される課税期間の基準期間における課税売上高の上限が1,000万円(改正前3,000万円)に引き下げられました。

《適用関係》

◇ この改正は、平成16年4月1日以後開始する課税期間から適用されています。

◇ したがって、個人事業者については平成17年分から適用され、平成17年分は、基準期間である平成15年分の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、納税義務が生じます。

◇ また、事業年度が1年である法人については平成17年3月末決算分から適用され、例えば3月末決算法人の平成17年3月期(平16.4〜17.3)は、基準期間である平成15年3月期(平14.4〜15.3)の課税売上高が1,000万円を超えている場合には、納税義務が生じます。

【注意事項】

◇ 課税事業者(納税義務が免除されない事業者)に該当することとなった事業者は、速やかに「消費税課税事業者届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。

◇ 課税事業者は、その課税期間における課税売上げに対する消費税額から課税仕入れに係る消費税額を控除した残額を納付すべき消費税額として申告し、納税することになりますが、仕入税額控除を受けるためには、簡易課税制度を選択適用する場合を除いて、課税仕入れの事実を記録した帳簿及びその事実を証する請求書等の両方の保存が必要となります。

 

<参考> 一般課税(簡易課税制度を適用しない場合)における納付すべき消費税額(地方消費税額を含む)の計算の概要

【設例】課税期間中の課税売上高1,500万円、課税期間中の課税仕入高1,000万円

【計算】(1,500万円×5%)−(1,000万円×5%)=25万円(納付すべき税額)

○ 簡易課税制度の適用上限の引下げ

簡易課税制度を選択適用することができる課税期間の基準期間における課税売上高の上限が5,000万円(改正前2億円)に引き下げられました。

 

《適用関係》

◇ この改正は、平成16年4月1日以後開始する課税期間から適用されています。

◇ したがって、個人事業者については平成17年分から適用され、平成17年分は、基準期間である平成15年分の課税売上高が5,000万円を超えている場合には、簡易課税制度を適用することはできません。

◇ また、事業年度が1年である法人については平成17年3月末決算分から適用され、例えば9月末決算法人の平成17年9月期(平16.10〜17.9)は、基準期間である平成15年9月期(平14.10〜15.9)の課税売上高が5,000万円を超えている場合には、簡易課税制度を適用することはできません。

【注意事項】

◇ 簡易課税制度とは、課税仕入れに係る消費税額を計算することなく、その課税期間における課税売上げに対する消費税額に事業区分ごとに定められた「みなし仕入率」をかけて仕入控除税額を計算する制度です。

 

<参考> 簡易課税における納付すべき消費税額(地方消費税額を含む)の計算の概要

【設例】課税期間中の課税売上高1,500万円(すべて第五種事業に係るもの)

【計算】(1,500万円×5%)−(1,500万円×5%×50%)=37万5千円(納付すべき税額)

◇ 簡易課税制度の適用を受けるためには、課税売上げの内容を記載した帳簿等にそれぞれの売上げが第一種から第五種事業までのいずれに該当するかを区分できる程度の記載が必要となります。

◇ この場合、2種類以上の事業を営む事業者は、課税売上げを事業の種類ごとに区分する必要がありますが、区分していない場合は、その2種類以上の事業のうち最も低い事業のみなし仕入率を適用することとなります。

◇ 事業区分とみなし仕入率は下表のとおりです。

事業区分

みなし仕入率

該当する事業

第一種事業

90%

卸売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで他の事業者に対して販売する事業)をいいます。

第二種事業

80%

小売業(他の者から購入した商品をその性質及び形状を変更しないで消費者に販売する事業)をいいます。

第三種事業

70%

農業、林業、漁業、鉱業、建設業、製造業(製造小売業を含みます。)、電気業、ガス業、熱供給業、水道業をいい、第一種・第二種事業に該当するもの及び加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を除きます。

第四種事業

60%

第一種・第二種・第三種・第五種事業以外の事業をいい、具体的には、飲食店業、金融・保険業等などが該当します。また、第三種事業から除かれる加工賃その他これに類する料金を対価とする役務の提供を行う事業も第四種事業となります。

第五種事業

50%

不動産業、運輸通信業、サービス業(飲食店業に該当する事業を除きます。)をいい、第一種から第三種事業までの事業に該当する事業を除きます。

◇ 簡易課税制度の適用を受けるためには、適用を受けようとする課税期間の開始の日の前日までに「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。

◇ ただし、平成16年4月1日以後最初に開始する課税期間が課税事業者となる場合で、直前の課税期間において納税義務が免除されていた事業者が、平成16年4月1日以後最初に開始する課税期間から簡易課税制度の適用を受けようとする場合には、その課税期間中に「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出すれば、簡易課税制度の適用を受けることができます。

したがって、上記の場合、

⇒個人事業者は、平成17年中に提出すれば平成17年分から適用を受けることができます。

⇒法人の場合は、例えば事業年度が1年である3月末決算法人は、平成17年3月末日までに提出すれば平成17年3月期(平16.4〜17.3事業年度)から適用を受けることができます。

◇ 基準期間における課税売上高が5,000万円を超える課税期間については、「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出している場合であっても、簡易課税制度を適用して申告することはできません。

◇ 簡易課税制度の適用を受ける事業者は、例えば、多額の設備投資をした場合など、仕入控除税額を一般課税により計算すれば還付となる場合であっても、還付を受けることはできません。

◇ 簡易課税制度の適用を選択した事業者は、事業を廃止した場合を除き、2年間継続した後でなければ簡易課税制度の適用をやめることはできません(簡易課税制度の適用をやめようとする場合には、やめようとする課税期間の開始する日の前日までに「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出する必要があります。)。

◇ 簡易課税制度の適用を選択した事業者が、免税事業者となった場合でも簡易課税制度選択届出書の効力は有していますので、再び課税事業者となり、基準期間における課税売上高が5,000万円以下であるときには、「消費税簡易課税制度選択不適用届出書」を提出している場合を除き、簡易課税制度を適用して申告を行うこととなります。

 

※ このほか、平成16年4月1日から、消費者に対して値札やチラシなどによって、商品やサービスなどの価格をあらかじめ表示する場合には、総額表示(税込価格表示)が義務付けられています

 

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