さる2004(H16)年11月11日(木)に、東京都内で日本の林業・木材関連団体とアメリカ木材関係者会合が開催されました。この会合は、恒例となっているアメリカからの木材関係者の使節団の訪日にあわせて毎年この時期に行っているもので、今年は例年より幅広い方面から多くの出席者がありました。会合では日米双方から現在の木材産業に関するトピックスが紹介されました。短い時間ではありましたが活発な意見が出され、有意義な情報交換が行なわれました。以下にその概要をご紹介します。
日時:2004(H16)年11月11日(木)9:30〜12:00
場所:ホテルオークラ 本館2階オークルーム
主な出席者(敬称略):
アメリカ側(23名)
ロジャー・レディファー レヨニヤー社 森林資源・ログ・マーケティングディレクター(使節団代表)
マイケル・カルドウェル アメリカ木構造協会 副会長
ダグ・カルバート カルヴァートインダストリーズ社 社長
アイヴァン・イーストン ワシントン大学 教授、木材製品国際貿易センター 副所長
アン・ロブレスキー 全米林産物製紙協会(AF&PA) 副会長 国際部門担当
ラッド・マクダニエル AF&PA 日本代表 他
日本側(22名)
中川清郎 日本林業協会 専務理事
真下正樹 日本林業経営者協会 副会長
木下紀喜 全国森林組合連合会 副会長
細田安治 日本集成材工業協同組合 会長
前川豊志 (財)日本木材総合情報センター 理事長
庄司橙太郎 (社)全国木材組合連合会 会長 他
議事:
1.
アメリカ側からの説明
1.1アメリカにおけるグリーンビルディング最近の動向
ラッド・マクダニエルAF&PA日本代表より米国グリーンビルディング評議会(USGBC)が策定したグリーンビルディング評価システム(LEED)についての概要の説明があった。現在米国ではこのシステムによって評価を受けた建物が増えているが、LEEDの評価には、木材製品に対する差別的取扱い(特定の木材製品を優遇する等)があり、評価プロセスはコンセンサスを得ていない。米国木材業界としては評価プロセスや評価基準の変更を要求しており、これが受け入れられない限りはLEEDの活用には反対していくことが発表された。また、LEEDの代替評価システムとしてAF&PA等が提唱している、カナダの建築物評価システム−グリーン・グローブスについての紹介があった。
1.2木材とコンクリート/鉄鋼の環境パフォーマンスに関するCORRIMの研究
アイヴァン・イーストン ワシントン大学教授から、標記のタイトルでCORRIM(再生可能な産業資材に関する研究協議会)が行った、建築材料としての木材の環境パフォーマンスを評価する研究成果の紹介があった。この研究では、住宅建設の環境パフォーマンスは、木造住宅が環境面で他の資材(鉄骨住宅、コンクリート骨組み構造住宅)より優位であることが確認された、という結果が紹介された。今後は、木材業界としては木材の持つこれらの他の資材からの優位性を強調していくべきであるという話があった。
2.
木材自主表示システムについて
全木連角谷常務理事より、現在設立準備が進められている木材表示推進協議会(FIPC)と木材の自主表示制度についての概要説明があった。
質疑応答では、アメリカ側から合板の表示についてはどうするのか、また違法伐採対策と自主表示制度をどのように結び付けていくのか等の質問が出された。
3.
日本へのアメリカ木材輸出の状況について
(財)日本木材総合情報センター武田調査課長から、米材の日本への輸出動向について現状の分析の説明があった。
日本への米材の輸入量が近年減少傾向にあることについては、欧州からのWW集成材、カナダ材等の輸入攻勢で競争が激化し米材離れが生じていること、米国内の需要増にともなって日本への輸出意欲が減退減退していること等の要因があげられた。
これに対し、アメリカ側からは日本市場を重要視しなくなったわけではなく、今後原材料の価格が下がって競争力がついてきたら、是非日本への輸出を増やしたいとの意見が出された。
4.
日本から中国への木材輸出について
日本林業協会中川専務から、中国への木材輸出について現状説明があった。
これに対し、5年前から北京と上海で事務所を開いているという駐在員(アメリカ側)から、中国では木材利用の伝統がないので木造住宅に関する法律の整備が遅れていること、中国市場にはユニークなニッチ市場(家具、楽器、最近造成が進むニュータウン周辺の景観整備における木材利用等)があるといった情報が提供された。
最後に、アメリカ側代表レディファー氏より、今後もこのような話し合いの場を設けて、継続的に交流を図っていきたい旨の挨拶があり会合を終了した。