平成14年 3月13日

(社)全国木材組合連合会

「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則」及び

「特定建設資材に係る分別解体等に関する省令」の制定について

「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」(いわゆる建設リサイクル法)が平成14年5月30日から完全施行されることから、3月5日、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則」及び「特定建設資材に係る分別解体等に関する省令」を交付されました(施行:平成14年5月30日)。

概要は下記のとおりとなっておりますのでお知らせいたします。

〔国土交通省の情報掲載URL〕

他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.mlit.go.jp/kisha/kisha02/01/010304_.html

また、建設リサイクル法等の概要については、別添のとおりとなっております。

〔担当:企画部指導課・細貝〕

1 .建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則

1.         分別解体等の施工方法に関する基準
(1)分別解体等の施工方法
   1 対象建設工事に係る建築物等に関する事前調査の実施
   2 1 の調査に基づく分別解体等の計画の作成
   3 2 の計画に従い、工事着手前における作業場所の確保等の事前措置の実施
   4 2 の計画に従い、工事の施工
(2)分別解体等の手順
   1 建築物
   イ 建築設備、内装材等の取り外し
   ロ 屋根ふき材の取り外し
   ハ 外装材及び構造耐力上主要な部分の取り壊し
   ニ 基礎及び基礎ぐいの取り壊し
   2 工作物(建築物以外のもの)
   イ さく、照明設備等の附属物の取り外し
   ロ 工作物のうち基礎以外の部分の取り壊し
   ハ 基礎及び基礎ぐいの取り壊し
(3)分別解体等の方法
   1 手作業又は手作業及び機械による作業
   2 建築設備、内装材、屋根ふき材等の取り外しの場合は、原則、手作業による。

2.         指定建設資材廃棄物に係る距離に関する基準
 
指定建設資材廃棄物(木材が廃棄物となったもの)について、一定の距離内に再資源化をするための施設が存しない場合には縮減に代えることができるが、この一定の距離に関する基準を50kmとする。
 また、この距離基準とは別に、地理的条件、交通事情等により経済性の面で制約がある場合にも縮減に代えることができるが、その要件としては、運搬車両が通行する道路が整備されておらず、かつ、縮減を行う施設までの運搬費用が再資源化をする施設までの運搬費用より低い場合とする。

3.         発注者への報告に関する事項
 対象建設工事の元請業者は、再資源化等が完了したときには発注者に書面で報告等をすることとされているが、この発注者に報告する事項を次のとおり定める。
   1 再資源化等が完了した年月日
   2 再資源化等をした施設の名称及び所在地
   3 再資源化等に要した費用

4.         再資源化等の報告徴収に関する事項
 都道府県知事は、対象建設工事の発注者等に対し、再資源化等の実施の状況に関し報告を求めることができ、その具体的な事項は政令で定めることとされているが、その政令の規定を受け、さらに詳細な事項については省令で定めることとされている。この省令で定める事項として、法第13条の規定により交付した書面(対象建設工事の請負契約に係る書面)等を定める。

2 .特定建設資材に係る分別解体等に関する省令

1.         届出事項
 対象建設工事の届出事項は法第10条第1項第1号から第5号までに具体的に規定されているが、このほか、法第10条第1項第6号「その他主務省令で定める事項」も届出事項として規定されている。この省令においては、法で定める届出事項以外の事項について定めるものである。
 法律、省令も含めた届出事項は、以下のとおりである(太文字は省令で定めた事項)。
 また、届出書には、設計図又は写真を添付することとする。

建築物
<解体工事>

建築物
<新築工事等>

工作物
<解体工事>

工作物
<新築工事等>

商号、名称又は氏名及び住所並びに法人にあっては代表者の氏名

工事の名称及び場所

工事の種類

工事の規模

請負契約によるか自ら施工するかの別

対象建設工事の元請業者の商号、名称又は氏名及び住所

元請業者が建設業者の場合
・許可行政庁名、許可番号
・主任技術者・監理技術者名

元請業者が解体工事業の場合 
・登録行政庁名、登録番号
・技術管理者名

事前説明を受けた年月日

解体する建築物等の構造

解体する建築物等の構造

使用する特定建設資材の種類

使用する特定建設資材の種類

工事着手時期

工程の概要

分別解体等の計画

解体する建築物等に用いられた建設資材の見込量

解体する建築物等に用いられた建設資材の見込量

2.         対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項
 対象建設工事の請負契約についても、建設工事の完成を請け負うものであることから建設業法第19条の規定の適用を受け、契約事項について書面で記載すべきこととされているが、対象建設工事の場合には、法第13条の規定より、建設業法に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用等を記載しなければならないこととされている。これらの事項も含めた必要的記載事項を次のとおり定める。
 @分別解体等の方法
 A解体工事に要する費用
 B再資源化等をするための施設の名称及び所在地
 C再資源化等に要する費用

3.         分別解体等の報告徴収に関する事項
 都道府県知事は、対象建設工事の発注者等に対し、分別解体等の実施の状況に関し報告を求めることができ、その具体的な事項は政令で定めることとされているが、その政令の規定を受け、さらに詳細な事項については省令で定めることとされている。この省令で定める事項として、法第13条の規定により交付した書面(対象建設工事の請負契約に係る書面)等を定める。

別 添

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の概要公布:平成12年5月31日

1. 建築物等に係る分別解体等及び再資源化等の義務付け

〇一定規模以上*の建築物その他の工作物に関する建設工事(対象建設工事)については、一定の技術基準に従い、当該建築物等に使用されている特定の建設資材を分別解体等により現場で分別することを義務付け

〇分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化を義務付け、リサイクルを推進(再資源化が困難な場合には縮減)

*政令では、

@ 建築物に係る解体工事:当該建築物の床面積の合計が80u

A 建築物に係る新築又は増築工事:当該建築物の床面積の合計が500u

B 建築物に係る新築、増築、解体以外の工事:当該工事に係る請負代金の額が1億円

C 建築物以外の工作物に係る解体工事又は新築工事等:当該工事に係る請負代金の額が500万円

@対象建設工事

特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が一定基準以上のもの。

なお、都道府県の条例により、対象建設工事の規模の引き下げ可能。

A特定建設資材

コンクリート、コンクリート及び鉄から成る建設資材、木材 、アスファルト・コンクリートの4品目。

B分別解体等実施義務

対象建設工事受注者に対して、分別解体等を義務付け。

分別解体等は、一定の技術基準に従い、建築物等に用いられた特定建設資材に係る廃棄物をその種類ごとに分別しつつ計画的に工事を施工する等により実施。

C再資源化等実施義務

対象建設工事受注者に対して、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物の再資源化を義務付け。

なお、木材については、一定距離内に再資源化施設がないなど、再資源化が困難な場合には、縮減を実施。

2.分別解体等及び再資源化等の実施を確保するための措置

発注者による工事の事前届出や元請業者から発注者への事後報告、現場における標識の掲示等により、適正な分別解体等及び再資源化等の実施を確保

@元請業者から発注者への説明

対象建設工事の元請業者は、発注者に対し、分別解体等の計画等について書面を交付して説明。

A発注者から都道府県知事への工事の届出

発注者は、工事着手の7日前までに、建築物等の構造、工事着手時期、分別解体等の計画等について、都道府県知事に届け出。

B元請業者から下請業者への告知

元請業者は、下請業者に対し、都道府県知事への届出事項を告知。

C標識の掲示

解体工事業者は、解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に標識を掲示。

D元請業者から発注者への事後報告

元請業者は、再資源化等が完了したときは、その旨を発注者に書面で報告するとともに、

再資源化等の実施状況に関する記録を作成、保存。

〇発注者・受注者間の契約手続きの整備により、受注者への適正なコストの支払いを確保

@契約書面への解体工事費等の明記

対象建設工事の契約書面においては、分別解体等の方法、解体工事に要する費用等を明記。

3. 解体工事業者の登録制度の創設

〇解体工事業者の登録制度及び解体工事現場への技術管理者の配置等により、適正な解体工事の実施を確保

@解体工事業者の登録

解体工事業を営もうとする者に、都道府県知事への登録を義務付け。

但し、土木工事業、建築工事業及びとび・土工工事業に係る建設業の許可者は除く。

A技術管理者の選任

解体工事業者に、解体工事の技術上の管理をつかさどる技術管理者の選任を義務付け。

4. 再資源化及び再生資材の利用促進のための措置等

○再資源化等の目標の設定、発注者に対する協力要請等により、再資源化及び再資源化で得られた建設資材の利用を促進

@基本方針における目標の設定等

基本方針において、再資源化等に関する目標や再生資材の利用の促進のための方策を策定。

なお、基本方針には、廃棄物の発生抑制や資材の再使用についても明記。

A対象建設工事の発注

対象建設工事の発注者等に対し、再資源化で得られた建設資材の利用について、都道府県知事等から協力を要請。

5.その他

@罰則

分別解体等及び再資源化等に対する命令違反や、届出、登録等の手続きの不備等に関する所要の罰則規定を整備。

A施行

施行は公布の日(平成12年5月31日)から、基本方針等については6ヶ月以内(H12.11.30)、解体工事業者の登録等については1年以内、分別解体等及び再資源化等の義務等については、平成14年5月30日に施行される。

〔参考〕

建設リサイクル法基本方針

建設リサイクル法では、基本方針において再資源化に関する目標や再生資材の利用の促進のための方策を策定することとしています。これを受けて、関係省庁では平成13年1月17日に基本方針を策定・公示しました。なお、基本方針には、廃棄物の発生抑制や資材の利用の再利用についても明記されています。

●基本方針の概要

@分別解体等及び再資源化等の促進等

・建設資材の開発、製造から建築物等の設計、建設資材の選択、建設工事の施工、廃棄物等に至る各段階において循環型社会経済システムを構築

・優先順位として第一に発生の抑制、第二に建設資材の再使用、第三にマテリアル・リサイクル(再生利用)、第四にサーマル・リサイクル(熱回収)、最後に最終処分

・関係者による適切な役割分担下でそれぞれが連携しつつ参加する

・分別解体等の技術力の確保、解体工事を行うものに関する情報提供、適切な施行の監視・監督

・対象建設工事のみならず対象建設工事以外の工事に係る再資源化等の促進

・都道府県の実情に応じた対応

A排出抑制のための方策

・計画・設計段階の取組が効果的

・建築物等の長期間使用、再使用

・耐久性の向上、長寿命設計

・端材の発生の抑制

・工法、建設資材の選択

・技術開発、維持修繕体制 等

B目標の設定等再資源化等の促進のための方策

・平成22年度再資源化等目標

 Co(コンクリート塊) 95%

 As(アスファルト・コンクリート塊)95%

建設発生木材  95%

・直轄事業では平成17年度までに最終処分量ゼロ

・再資源化施設の確保

・再資源化により得られた物の用途開発・高価値化

・コスト削減等再資源化を促進するための技術開発

・特定建設資材以外の建設資材に係る分別解体等及び再資源化等の促進、その再資源化に係る経済性の面における制約の調査、検討

C再資源化により得られた物の利用促進のための方策

・リサイクル材市場の形成

・品質の確保、安全性・自然環境保全への配慮

・リサイクル材の利用・選択、開発・製造、品質確保、品質基準・規格化

・国による率先利用

D意義に関する知識の普及

・環境教育、環境学習、広報活動等

・講習の実施、資料の提供等

Eその他重要事項

・費用の適正な負担

・各種情報の提供

・有害物質等の発生の抑制

・ライフ・サイクル・アセスメント(環境への負荷の評価)

〔その他参考〕 「建設発生木材」のリサイクル化に関連する内容

・ 施工者が自己処理を行う場合→工事発注者、所管廃棄物部局との調整が必要

  事業者が自ら処理する場合は、「産業廃棄物の収集、運搬、処分等の基準」に従い、処理する必要があります。現場内で処理を行う場合でも木くずの破砕施設(処理能力が5t/日を超えるもの=現場での移動式破砕機は除く)は許可を受ける必要があるほか、技術管理者(講習を終了した)を置く必要があります。→処理施設の設置については、所管廃棄物部局との調整が必要。

・ 「有償売却される木くず」は、廃棄物ではないので、廃掃法の適用は受けない。但し、形式的、脱法的な場合は「処理」として扱われる。また、現在の廃棄物の定義が総合判断説(占有者が自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物をいい、これに該当するか否かは、その物の性状、排出の状況、通常の取扱形態、取引価値の有無及び占有者の意思等を総合的に勘案して判断する)をとる地域が多くなってきている。環境省では、廃棄物の定義の見直しを検討しており、より定義を明確にして、かつ、リサイクル可能物も廃掃法の規制対象に拡大する方向で検討される可能性がある。

・ 現状における「建設木くず」のリサイクル率は38%であり、特定建設資材として指定されている中でリサイクル率が一番低い実態。建設木くずの中間処理(チップ化等)業者の中には、平成14年5月の分別解体等及び再資源化等の義務等が施行されることをにらみながら、ビジネスチャンスとして、施設・設備を増強しているところや木材産業からの新規参入を検討している事業者もある。

・ 指定建設資材廃棄物(木材が廃棄物となったもの)について、一定の距離内(50q)に再資源化をするための施設が存しない場合には縮減(焼却等)に代えることができる。また、この距離基準とは別に、地理的条件、交通事情等により経済性の面で制約がある場合にも縮減に代えることができるが、その要件としては、運搬車両が通行する道路が整備されておらず、かつ、縮減を行う施設までの運搬費用が再資源化をする施設までの運搬費用より低い場合となっている。

 → キーワード 最終処分場の枯渇による処理費のアップ、遊休地の活用、中古設備の活用

〔建設廃棄物及び建設リサイクル法の詳細情報〕

国土交通省のリサイクルホームページを参照してください。

http://www.mlit.go.jp/sogoseisaku/region/recycle/menu13.html