建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律104号)

〔公布:平成12年5月31日〕

 

〔目 次〕

第一章 総 則(第一条・第二条)

第二章 基本方針等(第三条−第八条)

第三章 分別解体等の実施(第九条−第十五条)

第四章 再資源化等の実施(第十六条−第二十条)

第五章 解体工事業(第二十一条−第三十七条)

第六章 雑 則(第三十八条−第四十七条)

第七章 罰 則(第四十八条−第五十三条)

附 則

 

 

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律

第一章 総則

(目的)

第一条 この法律は、特定の建設資材について、その分別解体等及び再資源化等を促進するための措置を講ずるとともに、解体工事業者について登録制度を実施すること等により、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量等を通じて、資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図り、もって生活環境の保全及び国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

 

(定義)

第二条 この法律において「建設資材」とは、土木建築に関する工事(以下「建設工事」という。)に使用する資材をいう。

2 この法律において「建設資材廃棄物」とは、建設資材が廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する廃棄物をいう。以下同じ。)となったものをいう。

3 この法律において「分別解体等」とは、次の各号に掲げる工事の種別に応じ、それぞれ当該各号に定める行為をいう。

一 建築物その他の工作物(以下「建築物等」という。)の全部又は一部を解体する建設工事(以下「解体工事」という。) 建築物等に用いられた建設資材に係る建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を計画的に施工する行為

二 建築物等の新築その他の解体工事以外の建設工事(以下「新築工事等」という。) 当該工事に伴い副次的に生ずる建設資材廃棄物をその種類ごとに分別しつつ当該工事を施工する行為

4 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化」とは、次に掲げる行為であって、分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物の運搬又は処分(再生することを含む。)に該当するものをいう。

一 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物について、資材又は原材料として利用すること(建設資材廃棄物をそのまま用いることを除く。)ができる状態にする行為

二 分別解体等に伴って生じた建設資材廃棄物であって燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものについて、熱を得ることに利用することができる状態にする行為

5 この法律において「特定建設資材」とは、コンクリート、木材その他建設資材のうち、建設資材廃棄物となった場合におけるその再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であり、かつ、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められるものとして政令で定めるものをいう。

 →政令の関係については、17頁参照

 

6 この法律において「特定建設資材廃棄物」とは、特定建設資材が廃棄物となったものをいう。

7 この法律において建設資材廃棄物について「縮減」とは、焼却、脱水、圧縮その他の方法により建設資材廃棄物の大きさを減ずる行為をいう。

8 この法律において建設資材廃棄物について「再資源化等」とは、再資源化及び縮減をいう。

9 この法律において「建設業」とは、建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。

10 この法律において「下請契約」とは、建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者と他の建設業を営む者との間で当該建設工事の全部又は一部について締結される請負契約をいい、「発注者」とは、建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者をいい、「元請業者」とは、発注者から直接建設工事を請け負った建設業を営む者をいい、「下請負人」とは、下請契約における請負人をいう。

11 この法律において「解体工事業」とは、建設業のうち建築物等を除却するための解体工事を請け負う営業(その請け負った解体工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。

12 この法律において「解体工事業者」とは、第二十一条第一項の登録を受けて解体工事業を営む者をいう。

 

第二章 基本方針等

(基本方針)

第三条 主務大臣は、建設工事に係る資材の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るため、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本方針(以下「基本方針」という。)を定めるものとする。

  →基本方針の内容については、10頁参照

 

2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。

一 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の基本的方向

二 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項

三 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定その他特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項

四 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項

五 環境の保全に資するものとしての特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項

六 その他特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する重要事項

3 主務大臣は、基本方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

(実施に関する指針)

第四条 都道府県知事は、基本方針に即し、当該都道府県における特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針を定めるものとする。

2 都道府県知事は、前項の指針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表しなければならない。

 

建設業を営む者の責務

第五条 建設業を営む者は、建築物等の設計及びこれに用いる建設資材の選択、建設工事の施工方法等を工夫することにより、建設資材廃棄物の発生を抑制するとともに、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を低減するよう努めなければならない。

2 建設業を営む者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材(建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を使用した建設資材を含む。次条及び第四十一条において同じ。)を使用するよう努めなければならない。

 

(発注者の責務)

第六条 発注者は、その注文する建設工事について、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用の適正な負担、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の使用等により、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に努めなければならない。

 

(国の責務)

第七条 国は、建築物等の解体工事に関し必要な情報の収集、整理及び活用、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に資する科学技術の振興を図るための研究開発の推進及びその成果の普及等必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

2 国は、教育活動、広報活動等を通じて、分別解体等、建設資材廃棄物の再資源化等及び建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進に関する国民の理解を深めるとともに、その実施に関する国民の協力を求めるよう努めなければならない。

3 国は、建設資材廃棄物の再資源化等を促進するために必要な資金の確保その他の措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(地方公共団体の責務)

第八条 都道府県及び市町村は、国の施策と相まって、当該地域の実情に応じ、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を促進するよう必要な措置を講ずることに努めなければならない。

 

第三章 分別解体等の実施

(分別解体等実施義務)

第九条 特定建設資材を用いた建築物等に係る解体工事又はその施工に特定建設資材を使用する新築工事等であって、その規模が第三項又は第四項の建設工事の規模に関する基準以上のもの(以下「対象建設工事 」という。)の受注者(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請負人を含む。以下「対象建設工事受注者」という。)又はこれを請負契約によらないで自ら施工する者(以下単に「自主施工者」という。)は、正当な理由がある場合を除き、分別解体等をしなければならない。

2 前項の分別解体等は、特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保するための適切な施工方法に関する基準として主務省令で定める基準に従い、行わなければならない。

3 建設工事の規模に関する基準は、政令で定める。

4 都道府県は、当該都道府県の区域のうちに、特定建設資材廃棄物の再資源化等をするための施設及び廃棄物の最終処分場における処理量の見込みその他の事情から判断して前項の基準によっては当該区域において生じる特定建設資材廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認められる区域があるときは、当該区域について、条例で、同項の基準に代えて適用すべき建設工事の規模に関する基準を定めることができる。

 

(対象建設工事の届出等)

第十条 対象建設工事の発注者又は自主施工者は、工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、次に掲げる事項を都道府県知事に届け出なければならない。

一 解体工事である場合においては、解体する建築物等の構造

二 新築工事等である場合においては、使用する特定建設資材の種類

三 工事着手の時期及び工程の概要

四 分別解体等の計画

五 解体工事である場合においては、解体する建築物等に用いられた建設資材の量の見込み

六 その他主務省令で定める事項

2 前項の規定による届出をした者は、その届出に係る事項のうち主務省令で定める事項を変更しようとするときは、その届出に係る工事に着手する日の七日前までに、主務省令で定めるところにより、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

3 都道府県知事は、第一項又は前項の規定による届出があった場合において、その届出に係る分別解体等の計画が前条第二項の主務省令で定める基準に適合しないと認めるときは、その届出を受理した日から七日以内に限り、その届出をした者に対し、その届出に係る分別解体等の計画の変更その他必要な措置を命ずることができる。

 

(国等に関する特例)

第十一条 国の機関又は地方公共団体は、前条第一項の規定により届出を要する行為をしようとするときは、あらかじめ、都道府県知事にその旨を通知しなければならない。

 

対象建設工事の届出に係る事項の説明等

第十二条 対象建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)を発注しようとする者から直接当該工事を請け負おうとする建設業を営む者は、当該発注しようとする者に対し、少なくとも第十条第一項第一号から第五号までに掲げる事項について、これらの事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。

2 対象建設工事受注者は、その請け負った建設工事の全部又は一部を他の建設業を営む者に請け負わせようとするときは、当該他の建設業を営む者に対し、当該対象建設工事について第十条第一項の規定により届け出られた事項(同条第二項の規定による変更の届出があった場合には、その変更後のもの)を告げなければならない。

 

(対象建設工事の請負契約に係る書面の記載事項)

第十三条 対象建設工事の請負契約(当該対象建設工事の全部又は一部について下請契約が締結されている場合における各下請契約を含む。次項において同じ。)の当事者は、建設業法(昭和二十四年法律第百号 )第十九条第一項に定めるもののほか、分別解体等の方法、解体工事に要する費用その他の主務省令で定める事項を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

2 対象建設工事の請負契約の当事者は、請負契約の内容で前項に規定する事項に該当するものを変更するときは、その変更の内容を書面に記載し、署名又は記名押印をして相互に交付しなければならない。

 

(助言又は勧告)

第十四条 都道府県知事は、対象建設工事受注者又は自主施工者の分別解体等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、第四条第一項の指針を勘案して、当該対象建設工事受注者又は自主施工者に対し、分別解体等の実施に関し必要な助言又は勧告をすることができる。

 

(命令)

第十五条 都道府県知事は、対象建設工事受注者又は自主施工者が正当な理由がなくて分別解体等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、分別解体等の適正な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、第四条第一項の指針を勘案して、当該対象建設工事受注者又は自主施工者に対し、分別解体等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

第四章 再資源化等の実施

再資源化等実施義務

第十六条 対象建設工事受注者は、分別解体等に伴って生じた特定建設資材廃棄物について、再資源化をしなければならない。ただし、特定建設資材廃棄物でその再資源化について一定の施設を必要とするもののうち政令で定めるもの(以下この条において「指定建設資材廃棄物」という。)に該当する特定建設資材廃棄物については、主務省令で定める距離に関する基準の範囲内に当該指定建設資材廃棄物の再資源化をするための施設が存しない場所で工事を施工する場合その他地理的条件、交通事情その他の事情により再資源化をすることには相当程度に経済性の面での制約があるものとして主務省令で定める場合には、再資源化に代えて縮減をすれば足りる。

第十七条 都道府県は、当該都道府県の区域における対象建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の発生量の見込み及び廃棄物の最終処分場における処理量の見込みその他の事情を考慮して、当該都道府県の区域において生じる特定建設資材廃棄物の再資源化による減量を図るため必要と認めるときは、条例で、前条の距離に関する基準に代えて適用すべき距離に関する基準を定めることができる。

 

(発注者への報告等)

第十八条 対象建設工事の元請業者は、当該工事に係る特定建設資材廃棄物の再資源化等が完了したときは、主務省令で定めるところにより、その旨を当該工事の発注者に書面で報告するとともに、当該再資源化等の実施状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならない。

2 前項の規定による報告を受けた発注者は、同項に規定する再資源化等が適正に行われなかったと認めるときは、都道府県知事に対し、その旨を申告し、適当な措置をとるべきことを求めることができる。

 

(助言又は勧告)

第十九条 都道府県知事は、対象建設工事受注者の特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するため必要があると認めるときは、第四条第一項の指針を勘案して、当該対象建設工事受注者に対し、特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施に関し必要な助言又は勧告をすることができる。

 

(命令)

第二十条 都道府県知事は、対象建設工事受注者が正当な理由がなくて特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施に必要な行為をしない場合において、特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するため特に必要があると認めるときは、第四条第一項の指針を勘案して、当該対象建設工事受注者に対し 、特定建設資材廃棄物の再資源化等の方法の変更その他必要な措置をとるべきことを命ずることができる。

 

第五章 解体工事業

解体工事業者の登録

第二十一条 解体工事業を営もうとする者(建設業法別表の下欄に掲げる土木工事業、建築工事業又はとび・土工工事業に係る同法第三条第一項の許可を受けた者を除く。)は、当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければならない。

2 前項の登録は、五年ごとにその更新を受けなければ、その期間の経過によって、その効力を失う。

3 前項の更新の申請があった場合において、同項の期間(以下「登録の有効期間」という。)の満了の日までにその申請に対する処分がされないときは、従前の登録は、登録の有効期間の満了後もその処分がされるまでの間は、なおその効力を有する。

4 前項の場合において、登録の更新がされたときは、その登録の有効期間は、従前の登録の有効期間の満了の日の翌日から起算するものとする。

5 第一項の登録(第二項の登録の更新を含む。以下「解体工事業者の登録」という。)を受けた者が、第一項に規定する許可を受けたときは、その登録は、その効力を失う。

 

(登録の申請)

第二十二条 解体工事業者の登録を受けようとする者は、次に掲げる事項を記載した申請書を都道府県知事に提出しなければならない。

一 商号、名称又は氏名及び住所

二 営業所の名称及び所在地

三 法人である場合においては、その役員(業務を執行する社員、取締役又はこれらに準ずる者をいう。以下この章において同じ。)の氏名

四 未成年者である場合においては、その法定代理人の氏名及び住所

五 第三十一条に規定する者の氏名

2 前項の申請書には、解体工事業者の登録を受けようとする者が第二十四条第一項各号に該当しない者であることを誓約する書面その他主務省令で定める書類を添付しなければならない。

 

(登録の実施)

第二十三条 都道府県知事は、前条の規定による申請書の提出があったときは、次条第一項の規定により登録を拒否する場合を除くほか、次に掲げる事項を解体工事業者登録簿に登録しなければならない。

一 前条第一項各号に掲げる事項

二 登録年月日及び登録番号

2 都道府県知事は、前項の規定による登録をしたときは、遅滞なく、その旨を申請者に通知しなければならない。

 

(登録の拒否)

第二十四条 都道府県知事は、解体工事業者の登録を受けようとする者が次の各号のいずれかに該当するとき、又は申請書若しくはその添付書類のうちに重要な事項について虚偽の記載があり、若しくは重要な事実の記載が欠けているときは、その登録を拒否しなければならない。

一 第三十五条第一項の規定により登録を取り消され、その処分のあった日から二年を経過しない者

二 解体工事業者で法人であるものが第三十五条第一項の規定により登録を取り消された場合において、その処分のあった日前三十日以内にその解体工事業者の役員であった者でその処分のあった日から二年を経過しないもの

三 第三十五条第一項の規定により事業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者

四 この法律又はこの法律に基づく処分に違反して罰金以上の刑に処せられ、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から二年を経過しない者

五 解体工事業に関し成年者と同一の能力を有しない未成年者でその法定代理人が前各号のいずれかに該当するもの

六 法人でその役員のうちに第一号から第四号までのいずれかに該当する者があるもの

七 第三十一条に規定する者を選任していない者

2 都道府県知事は、前項の規定により登録を拒否したときは、遅滞なく、その理由を示して、その旨を申請者に通知しなければならない。

 

(変更の届出)

第二十五条 解体工事業者は、第二十二条第一項各号に掲げる事項に変更があったときは、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事に届け出なければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定による届出を受理したときは、当該届出に係る事項が前条第一項第五号から第七号までのいずれかに該当する場合を除き、届出があった事項を解体工事業者登録簿に登録しなければならない。

3 第二十二条第二項の規定は、第一項の規定による届出について準用する。

 

(変更の届出)

第二十六条 都道府県知事は、解体工事業者登録簿を一般の閲覧に供しなければならない。

 

(廃業等の届出)

第二十七条 解体工事業者が次の各号のいずれかに該当することとなった場合においては、当該各号に定める者は、その日から三十日以内に、その旨を都道府県知事(第五号に掲げる場合においては、当該廃止した解体工事業に係る解体工事業者の登録をした都道府県知事)に届け出なければならない。

一 死亡した場合 その相続人

二 法人が合併により消滅した場合その法人を代表する役員であった者

三 法人が破産により解散した場合その破産管財人

四 法人が合併及び破産以外の理由により解散した場合 その清算人

五 その登録に係る都道府県の区域内において解体工事業を廃止した場合 解体工事業者であった個人又は解体工事業者であった法人を代表する役員

2 解体工事業者が前項各号のいずれかに該当するに至ったときは、解体工事業者の登録は、その効力を失う。

 

(登録の抹消)

第二十八条 都道府県知事は、第二十一条第二項若しくは第五項若しくは前条第二項の規定により登録がその効力を失ったとき、又は第三十五条第一項の規定により登録を取り消したときは、当該解体工事業者の登録を抹消しなければならない。

 

(登録の取消し等の場合における解体工事の措置)

第二十九条 解体工事業者について、第二十一条第二項若しくは第二十七条第二項の規定により登録が効力を失ったとき、又は第三十五条第一項の規定により登録が取り消されたときは、当該解体工事業者であった者又はその一般承継人は、登録がその効力を失う前又は当該処分を受ける前に締結された請負契約に係る解体工事に限り施工することができる。この場合において、これらの者は、登録がその効力を失った後又は当該処分を受けた後、遅滞なく、その旨を当該解体工事の注文者に通知しなければならない。

2 都道府県知事は、前項の規定にかかわらず、公益上必要があると認めるときは、当該解体工事の施工の差止めを命ずることができる。

3 第一項の規定により解体工事を施工する解体工事業者であった者又はその一般承継人は、当該解体工事を完成する目的の範囲内においては、解体工事業者とみなす。

4 解体工事の注文者は、第一項の規定により通知を受けた日又は同項に規定する登録がその効力を失ったこと、若しくは処分があったことを知った日から三十日以内に限り、その解体工事の請負契約を解除することができる。

 

(解体工事の施工技術の確保)

第三十条 解体工事業者は、解体工事の施工技術の確保に努めなければならない。

2 主務大臣は、前項の施工技術の確保に資するため、必要に応じ、講習の実施、資料の提供その他の措置を講ずるものとする。

 

(技術管理者の設置)

第三十一条 解体工事業者は、工事現場における解体工事の施工の技術上の管理をつかさどる者で主務省令で定める基準に適合するもの(以下「技術管理者」という。)を選任しなければならない。

 

(技術管理者の職務)

第三十二条 解体工事業者は、その請け負った解体工事を施工するときは、技術管理者に当該解体工事の施工に従事する他の者の監督をさせなければならない。ただし、技術管理者以外の者が当該解体工事に従事しない場合は、この限りでない。

 

(標識の掲示)

第三十三条 解体工事業者は、主務省令で定めるところにより、その営業所及び解体工事の現場ごとに、公衆の見やすい場所に、商号、名称又は氏名、登録番号その他主務省令で定める事項を記載した標識を掲げなければならない。

 

(帳簿の備付け等)

第三十四条 解体工事業者は、主務省令で定めるところにより、その営業所ごとに帳簿を備え、その営業に関する事項で主務省令で定めるものを記載し、これを保存しなければならない。

 

(登録の取消し等)

第三十五条 都道府県知事は、解体工事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、その登録を取り消し、又は六月以内の期間を定めてその事業の全部若しくは一部の停止を命ずることができる。

一 不正の手段により解体工事業者の登録を受けたとき。

二 第二十四条第一項第二号又は第四号から第七号までのいずれかに該当することとなったとき。

三 第二十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。

2 第二十四条第二項の規定は、前項の規定による処分をした場合に準用する。

 

(主務省令への委任)

第三十六条 この章に定めるもののほか、解体工事業者登録簿の様式その他解体工事業者の登録に関し必要な事項については、主務省令で定める。

 

(報告及び検査)

第三十七条 都道府県知事は、当該都道府県の区域内で解体工事業を営む者に対して、特に必要があると認めるときは、その業務又は工事施工の状況につき、必要な報告をさせ、又はその職員をして営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査し、若しくは関係者に質問させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

第六章 雑則

(分別解体等及び再資源化等に要する費用の請負代金の額への反映)

第三十八条 国は、特定建設資材に係る資源の有効利用及び特定建設資材廃棄物の減量を図るためには、対象建設工事の発注者が分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を適正に負担することが重要であることにかんがみ、当該費用を建設工事の請負代金の額に適切に反映させることに寄与するため、この法律の趣旨及び内容について、広報活動等を通じて国民に周知を図り、その理解と協力を得るよう努めなければならない。

 

(下請負人に対する元請業者の指導)

第三十九条 対象建設工事の元請業者は、各下請負人が自ら施工する建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の再資源化等を適切に行うよう、当該対象建設工事における各下請負人の施工の分担関係に応じて、各下請負人の指導に努めなければならない。

 

(再資源化をするための施設の整備)

第四十条 国及び地方公共団体は、対象建設工事受注者による特定建設資材廃棄物の再資源化の円滑かつ適正な実施を確保するためには、特定建設資材廃棄物の再資源化をするための施設の適正な配置を図ることが重要であることにかんがみ、当該施設の整備を促進するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。

 

(利用の協力要請)

第四十一条 主務大臣又は都道府県知事は、対象建設工事の施工に伴って生じる特定建設資材廃棄物の再資源化の円滑な実施を確保するため、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の利用を促進することが特に必要であると認めるときは、主務大臣にあっては関係行政機関の長に対し、都道府県知事にあっては新築工事等に係る対象建設工事の発注者(国を除く。)に対し、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材の利用について必要な協力を要請することができる。

 

(報告の徴収)

第四十二条 都道府県知事は、特定建設資材に係る分別解体等の適正な実施を確保するために必要な限度において、政令で定めるところにより、対象建設工事の発注者、自主施工者又は対象建設工事受注者に対し、特定建設資材に係る分別解体等の実施の状況に関し報告をさせることができる。

2 都道府県知事は、特定建設資材廃棄物の再資 源化等の適正な実施を確保するために必要な限度において 、政令で定めるところにより、対象建設工事受注者に対し、特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施の状況に関し報告をさせることができる。

 

(立入検査)

第四十三条 都道府県知事は、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の適正な実施を確保するために必要な限度において、政令で定めるところにより、その職員に、対象建設工事の現場又は対象建設工事受注者の営業所その他営業に関係のある場所に立ち入り、帳簿、書類その他の物件を検査させることができる。

2 前項の規定により立入検査をする職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者に提示しなければならない

3 第一項の規定による立入検査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

 

(主務大臣等)

第四十四条 この法律における主務大臣は、次のとおりとする。

一 第三条第一項の規定による基本方針の策定並びに同条第三項の規定による基本方針の変更及び公表に関する事項 建設大臣、厚生大臣、農林水産大臣、通商産業大臣、運輸大臣及び環境庁長官

二 第三十条第二項の規定による措置及び第四十一条の規定による協力の要請に関する事項 建設大臣

2 この法律における主務省令は、建設大臣及び厚生大臣の発する命令とする。ただし、第十条第一項及び第二項、第十三条第一項、第二十二条第二項、第三十一条、第三十三条、第三十四条、第三十六条並びに次条の主務省令については、建設大臣の発する命令とする。

 

(権限の委任)

第四十五条 第四十一条の規定による主務大臣の権限は、主務省令で定めるところにより、地方支分部局の長に委任することができる。

 

(政令で定める市町村の長による事務の処理)

第四十六条 この法律の規定により都道府県知事の権限に属する事務の一部は、政令で定めるところにより、政令で定める市町村(特別区を含む。)の長が行うこととすることができる。

 

(経過措置)

第四十七条 この法律の規定に基づき命令を制定し、又は改廃する場合においては、その命令で、その制定又は改廃に伴い合理的に必要と判断される範囲内において、所要の経過措置(罰則に関する経過措置を含む。)を定めることができる。

 

第七章 罰則

第四十八条 次の各号のいずれかに該当する者は、一年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

一 第二十一条第一項の規定に違反して登録を受けないで解体工事業を営んだ者

二 不正の手段によって第二十一条第一項の登録(同条第二項の登録の更新を含む。)を受けた者

三 第三十五条第一項の規定による事業の停止の命令に違反して解体工事業を営んだ者

 

第四十九条 第十五条又は第二十条の規定による命令に違反した者は、五十万円以下の罰金に処する。

 

第五十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。

一 第十条第三項の規定による命令に違反した者

二 第二十五条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

 

第五十一条 次の各号のいずれかに該当する者は、二十万円以下の罰金に処する。

一 第十条第一項又は第二項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者

二 第二十九条第一項後段の規定による通知をしなかった者

三 第三十一条の規定に違反して技術管理者を選任しなかった者

四 第三十七条第一項又は第四十二条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者

五 第三十七条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の答弁をした者

六 第四十三条第一項の規定による検査を拒み、妨げ、又は忌避した者

 

第五十二条 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、第四十八条から前条までの違反行為をしたときは、その行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、各本条の罰金刑を科する。

 

第五十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。

一 第十八条第一項の規定に違反して、記録を作成せず、若しくは虚偽の記録を作成し、又は記録を保存しなかった者

  二 第二十七条第一項の規定による届出を怠った者

三 第三十三条の規定による標識を掲げない者

四 第三十四条の規定に違反して、帳簿を備えず、帳簿に記載せず、若しくは虚偽の記載をし、又は帳簿を保存しなかった者

 

附 則

(施行期日)

第一条 この法律は、公布の日から起算して六月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する。ただし、次の各号に掲げる規定は、当該各号に定める日から施行する。

一 第五章、第四十八条、第五十条第二号、第五十一条第二号、第三号、第四号(第三十七条第一項に係る部分に限る。)及び第五号並びに第五十三条第二号から第四号までの規定 公布の日から起算して一年を超えない範囲内において政令で定める日

二 第三章、第四章、第三十八条から第四十三条まで、第四十九条、第五十条第一号、第五十一条第一号、第四号(第四十二条に係る部分に限る。)及び第六号並びに第五十三条第一号の規定 公布の日から起算して二年を超えない範囲内において政令で定める日

三 附則第五条の規定 公布の日

 

(対象建設工事に関する経過措置)

第二条 第三章、第四章及び第三十八条から第四十三条までの規定は、これらの規定の施行前に締結された請負契約に係る対象建設工事又はこれらの規定の施行の際既に着手している対象建設工事については、適用しない。

 

(解体工事業に係る経過措置)

第三条 第五章の規定の施行の際現に解体工事業を営んでいる者(第二十一条第一項に規定する許可を受けている者を除く。)は、同章の規定の施行の日から六月間(当該期間内に第二十四条第一項の規定による登録の拒否の処分があったとき、又は第二十一条第一項に規定する許可を受けたときは、当該処分のあった日又は当該許可を受けた日までの間)は、同項の登録を受けないでも、引き続き当該営業を営むことができる。その者がその期間内に当該登録の申請をした場合において、その期間を経過したときは、その申請について登録又は登録の拒否の処分があるまでの間も、同様とする。

2 前項の規定により引き続き解体工事業を営むことができる場合においては、その者を当該業を行おうとする区域を管轄する都道府県

知事の登録を受けた解体工事業者とみなして、第二十九条から第三十二条まで、第三十四条、第三十五条第一項(登録の取消しに係る部分を除く。)及び第二項並びに第三十七条の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)を適用する。この場合において、第二十九条第一項中「第二十一条第二項若しくは第二十七条第二項の規定により登録が効力を失ったとき、又は第三十五条第一項の規定により登録を取り消されたときは」とあるのは「この章の規定の施行の日から六月間(当該期間内に第二十四条第一項の規定による登録の拒否の処分があったときは、その日までの間)が経過したときは」と 、「登録がその効力を失う前」とあるのは「当該期間が経過する前」と、「登録がその効力を失った後」とあるのは「当該期間が経過した後」とする。

 

(検討)

第四条 政府は、附則第一条第二号に規定する規定の施行後五年を経過した場合において、この法律の施行の状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。

 

(中央省庁等改革関係法施行法の一部改正)

第五条 中央省庁等改革関係法施行法(平成十一年法律第百六十号)の一部を次のように改正する。

第千三十条の次に次の一条を加える。

(建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の一部改正)

第千三十条の二 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)の一部を次のように改正する。

 第四十四条第一項第一号中「建設大臣、厚生大臣」を「国土交通大臣、環境大臣」に、「、通商産業大臣、運輸大臣及び環境庁長官」を「及び経済産業大臣」に改め、同項第二号中「建設大臣」を「国土交通大臣」に改め、同条第二項中「建設大臣」を「国土交通大臣」に、「厚生大臣」を「環境大臣」に改める。

 

(建設省設置法の一部改正)

第六条 建設省設置法(昭和二十三年法律第百十三号)の一部を次のように改正する。

第三条第五十三号の二中「及び産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成四年法律第六十二号)」を「、産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成四年法律第六十二号)及び建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)」に改める。

 

(厚生省設置法の一部改正)

第七条 厚生省設置法(昭和二十四年法律第百五十一号)の一部を次のように改正する。

第五条第二十八号中「及び特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)」を「、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)及び建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)」に改める。

第六条中第二十七号の六を第二十七号の七とし、第二十七号の五を第二十七号の六とし、第二十七号の四の次に次の一号を加える。

二十七の五 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の定めるところにより、基本方針を定めること。

 

(運輸省設置法の一部改正)

第八条 運輸省設置法(昭和二十四年法律第百五十七号)の一部を次のように改正する。

第三条の二第一項第十一号の三の次に次の一号を加える。

十一の四 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)の施行に関すること。

 

(通商産業省設置法の一部改正)

第九条 通商産業省設置法(昭和二十七年法律第二百七十五号)の一部を次のように改正する。

第四条第七十五号の次に次の一号を加える。 七十五の二 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)の施行に関すること。

 

(環境庁設置法の一部改正)

第十条 環境庁設置法(昭和四十六年法律第八十八号)の一部を次のように改正する。

第四条中第五号の六を第五号の七とし、第五号の五の次に次の一号を加える。

五の六 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)による基本方針の策定、変更及び公表に関する事務で所掌に属するものを処理すること。

 

特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等

の促進等に関する基本方針(建設リサイクル法基本方針)

 

我が国においては、経済発展に伴う生産及び消費の拡大、生活様式の多様化及び高度化による住宅・社会資本の整備及び更新等に伴い、建設資材廃棄物の排出量が増大している。建設産業は我が国で利用される資源の相当部分を利用している産業であることから、産業廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号。以下「廃棄物処理法」という。)第二条第四項に規定する産業廃棄物をいう。以下同じ。)及びその最終処分量に占める建設資材廃棄物の割合も高いものとなっている。

その一方で、廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場がひっ迫しつつあるほか、建設資材廃棄物の不法投棄が全国で多く見られるなど、建設資材廃棄物の処理をめぐる問題が深刻となっている。

また、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られる資源を有効に利用していくことが求められている。このような状況の中で、我が国における生活環境の保全と健全な経済発展を長期的に確保するためには、関係者の適切な役割分担の下で、再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量を図っていくことが重要である。

この基本方針は、このような認識の下に、建設工事に係る資材の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るため、必要な事項を定めるものである。

 

一 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の基本的方向

1 基本理念

(1)特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の基本的な理念

資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るためには、建設資材の開発、製造から建築物等の設計、建設資材の選択、分別解体等を含む建設工事の施工、建設資材廃棄物の廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、建設工事に使用された建設資材の再使用及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築することが必要である。このため、建設資材廃棄物という個別の廃棄物に着目して、その再資源化等を促進するために、建設工事の実態や建設業の産業特性を踏まえつつ、必要な措置を一体的に講ずるべきである。

(2)建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方

建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方としては、循環型社会形成推進基本法(平成十二年法律第百十号)における基本的な考え方を原則とし、まず、建設資材廃棄物の発生抑制、次に、建設工事に使用された建設資材の再使用を行う。  

これらの措置を行った後に発生した建設資材廃棄物については、再生利用(マテリアル・リサイクル)を行い、それが技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合には、燃焼の用に供することができるもの又はその可能性のあるものについて、熱回収(サーマル・リサイクル)を行う。最後に、これらの措置が行われないものについては、最終処分するものとする。なお、発生した建設資材廃棄物については、廃棄物処理法に基づいた適正な処理を行わなければならない。

 

2 関係者の役割

特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に当たって、関係者は、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。

建設資材の製造に携わる者は、端材の発生が抑制される建設資材の開発及び製造、建設資材として使用される際の材質、品質等の表示、有害物質等を含む素材等分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等が困難となる素材の非使用等により、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。

建築物等の設計に携わる者は、端材の発生が抑制され、また、分別解体等の実施が容易となる設計、建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となる建設資材の選択など設計時における工夫により、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が効果的に行われるようにするほか、これらに要する費用の低減に努める必要がある。なお、建設資材の選択に当たっては、有害物質等を含む建設資材等建設資材廃棄物の再資源化が困難となる建設資材を選択しないよう努める必要がある。

発注者は、元請業者に対して、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。

元請業者は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関し、中心的な役割を担っていることを認識し、その下請負人に対して、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。

建設工事を施工する者は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するほか、施工方法の工夫、適切な建設資材の選択、施工技術の開発等により建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。

排出した建設資材廃棄物について自らその処理を行う事業者及び建設資材廃棄物を排出する事業者から委託を受けてその処理を行う者(以下「建設資材廃棄物の処理を行う者」という。)は、建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施しなければならない。

国は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を促進するために必要な調査、研究開発、情報提供、普及啓発及び資金の確保に努めることとする。

地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

 

3 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関する基本的方向

(1)特定建設資材に係る分別解体等の促進についての基本的方向

特定建設資材に係る分別解体等の実施により特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保し、特定建設資材廃棄物の再資源化等を促進するためには、特定建設資材に係る分別解体等が一定の技術基準に従って実施される必要がある。この技術は、特定建設資材に係る分別解体等の実施の対象となる建築物等により異なる場合があり、建設工事に従事する者の技能、施工技術、建設機械等の現状を踏まえ、建築物等に応じ、適切な施工方法により分別解体等が実施される必要がある。

また、特に施工に当たって大量の建設資材廃棄物を排出することとなる解体工事については、最新の知識及び技術を有する者による施工が必要であるため、解体工事を施工する者の知識及び技術力の向上を図るほか、このような技術を有する者に関する情報の提供、適切な施工の監視、監督等を行う必要がある。

(2)特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進についての基本的方向

建設資材廃棄物に係る現状及び課題を踏まえると、その再資源化等の促進を図ることが重要であることから、対象建設工事のみならず対象建設工事以外の建設工事に伴って生じた特定建設資材廃棄物についても、再生資源として利用すること等を促進する必要があり、工事現場の状況等を勘案して、できる限り工事現場において特定建設資材に係る分別解体等を実施し、これに伴って排出された特定建設資材廃棄物について再資源化等を実施することが望ましい。また、分別解体等が困難であるため混合された状態で排出された建設資材廃棄物についても、できる限り特定建設資材廃棄物を選別できる処理施設に搬出し、再資源化等を促進することが望ましい。

なお、これらの措置が円滑に行われるようにするためには、技術開発、関係者間の連携、必要な施設の整備等を推進することにより、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を低減することが重要である。

(3)都道府県の実情に応じた対応についての基本的方向

建設資材廃棄物の発生量や再資源化施設(建設資材廃棄物の再資源化をするための施設をいう。以下同じ。)の立地状況等の建設資材廃棄物を取り巻く環境は地域によって異なる。このため、各都道府県はその地域の実状を踏まえつつ、適切な対象建設工事の規模等についての調査を実施し、必要に応じ、条例によりその規模等に関し、政令等で定める基準に代えて適用すべき基準を定めることが重要である。

 

二 建設資材廃棄物の排出の抑制のための方策に関する事項

1 建設資材廃棄物の排出の抑制の必要性

建設資材廃棄物は、産業廃棄物に占める割合が高い一方で、減量することが困難なものが多い。このため、限られた資源を有効に活用する観点から、最終処分量を減らすとともに、排出を抑制することが特に重要である。

 

2 関係者の役割

建設資材廃棄物の排出の抑制に当たっては、建築物等に係る建設工事の計画・設計段階からの取組を行うとともに、関係者は、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。

建築物等の所有者は、自ら所有する建築物等について適切な維持管理及び修繕を行い、建築物等の長期的使用に努める必要がある。

建設資材の製造に携わる者は、工場等における建設資材のプレカット等の実施、その耐久性の向上並びに修繕が可能なものについてはその修繕の実施及びそのための体制の整備に努める必要がある。

建築物等の設計に携わる者は、当該建築物等に係る建設工事を発注しようとする者の建築物等の用途、構造等に関する要求に対応しつつ、構造躯体等の耐久性の向上を図るとともに、維持管理及び修繕を容易にするなど、その長期的使用に資する設計に努めるとともに、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び建設資材の選択に努める必要がある。

発注者は、建築物等の用途、構造その他の建築物等に要求される性能に応じ、技術的及び経済的に可能な範囲で、建築物等の長期的使用に配慮した発注に努めるほか、建設工事に使用された建設資材の再使用に配慮するよう努める必要がある。

建設工事を施工する者は、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び建設資材の選択に努めるほか、端材の発生の抑制、再使用できる物を再使用できる状態にする施工方法の採用及び耐久性の高い建築物等の建築等に努める必要がある。特に、使用済コンクリート型枠の再使用に努めるほか、建築物等の長期的使用に資する施工技術の開発及び維持修繕体制の整備に努める必要がある。

国は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、建設資材廃棄物の排出の抑制に率先して取り組むこととする。

地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

 

三 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定その他特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項

1 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標の設定に関する事項

再資源化施設の立地状況が地域によって異なることを勘案しつつ、すべての関係者が再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量をできるだけ速やかに、かつ、着実に実施することが重要であることから、今後十年を目途に特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に重点的に取り組むこととし、平成二十二年度における再資源化等率(工事現場から排出された特定建設資材廃棄物の重量に対する再資源化等されたものの重量の百分率をいう。)は、次表の上欄に掲げる特定建設資材廃棄物の種類に応じ、同表の下欄に掲げる率とする。

コンクリート塊(コンクリートが廃棄物となったもの並びにコンクリート及び鉄から成る建設資材に含まれるコンクリートが廃棄物となったものをいう。以下同じ。)

 

 

 

 

95%

建設発生木材(木材が廃棄物となったものをいう。以下同じ。)

アスファルト・コンクリート塊(アスファルト・コンクリートが廃棄物となったものをいう。以下同じ。)

 

特に、国の直轄事業においては、再資源化等を先導する観点から、コンクリート塊、建設発生木材及びアスファルト・コンクリート塊について、平成十七年度までに最終処分する量をゼロにすることを目指すこととする。

なお、特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標については、建設資材廃棄物に関する調査の結果、再資源化等に関する目標の達成状況及び社会経済情勢の変化等を踏まえて必要な見直しを行うものとする。

 

2 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する事項

(1)特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に関する基本的事項

特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するためには、必要な再資源化施設の確保、再資源化を促進するために必要となるコスト削減等に資する技術開発及び再資源化により得られた物の利用の促進が必要となる。

具体的には、国は、税制上の優遇措置、政府系金融機関の融資等を積極的に活用することにより、再資源化施設の整備を促進する必要がある。地方公共団体は、地域ごとに特定建設資材廃棄物の再資源化施設の実態を把握し、その整備を促進するために必要な施策を行うほか、国とともに産業廃棄物の処理に係る特定施設の整備の促進に関する法律(平成四年法律第六十二号)に基づく施策を推進する。

(2)特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための具体的方策等

@コンクリート塊

コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生クラッシャーラン、再生コンクリート砂、再生粒度調整砕石等(以下「再生骨材等」という。)として、道路、港湾、空港、駐車場及び建築物等の敷地内の舗装(以下「道路等の舗装」という。)の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材、コンクリート用骨材等に利用することを促進する。

また、コンクリート塊の再資源化施設については、新たな施設整備と併せて既存施設の効率的な稼動を推進するための措置を講ずるよう努める必要がある。

なお、現状においては、コンクリート塊をコンクリート用骨材として再資源化する費用は、コンクリート用骨材以外のものとして再資源化する費用に比較して高いことから、その費用の低減のための技術の開発等を行う必要がある。

A 建設発生木材

建設発生木材については、チップ化し、木質ボード、堆肥等の原材料として利用することを促進する。これらの利用が技術的な困難性、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合には燃料として利用することを促進する。

なお、建設発生木材の再資源化を更に促進するためには、再生木質ボード(建設発生木材を破砕したものを用いて製造した木質ボードをいう。以下同じ。)、再生木質マルチング材(雑草防止材及び植物の生育を保護・促進する材料等として建設発生木材を再資源化したものをいう。以下同じ。)等について、更なる技術開発及び用途開発を行う必要がある。具体的には、住宅構造用建材、コンクリート型枠等として利用することのできる高性能・高機能の再生木質ボードの製造技術の開発、再生木質マルチング材の利用を促進するための用途開発、燃料用チップの発電燃料としての利用等新たな利用を促進するための技術開発等を行う必要がある。

また、このような技術開発等の動向を踏まえつつ、建設発生木材については、建設発生木材の再資源化施設等の必要な施設の整備について必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

→現状では、建設発生木材の処理施設は不足しているという実態がある。

→コンクリート型枠合板のリサイクル事例としては、清水建設が使用済型枠を粉砕・固形化して、竹編みで補強したリサイクル建材を開発し、自社の工事に使用するほか、販売も行う(2000.12.28:日経産業新聞)。

 

B アスファルト・コンクリート塊

アスファルト・コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生加熱アスファルト安定処理混合物及び表層基層用再生加熱アスファルト混合物(以下「再生加熱アスファルト混合物」という。)として、道路等の舗装の上層路盤材、基層用材料又は表層用材料に利用することを促進する。また、再生骨材等として、道路等の舗装の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材等に利用することを促進する。

加えて、アスファルト・コンクリート塊に係る再資源化施設については、新たな施設整備と併せて既存施設の効率的な稼動を推進するための措置を講ずるよう努める必要がある。

なお、近年、道路等の舗装の表層用材料として、ガラス、ゴム、樹脂等が混入した加熱アスファルト混合物を用いる場合もあるが、再資源化の可能性が実証されていない材料又は再資源化が困難な材料があることから、その再資源化のための技術開発等を行う必要がある。

C その他

特定建設資材以外の建設資材についても、それが廃棄物となった場合に再資源化等が可能なものについてはできる限り分別解体等を実施し、その再資源化等を実施することが望ましい。また、その再資源化等についての経済性の面における制約が小さくなるよう、分別解体等の実施、技術開発の推進、収集運搬方法の検討、効率的な収集運搬の実施、必要な施設の整備等について関係者による積極的な取組が行われることが必要である。

具体的には、次のとおりである。

プラスチック製品は、建設工事に使用される量が多いことから、建築物の解体の急増に伴い、廃プラスチック(プラスチック製品が廃棄物となったものをいう。以下同じ。)の発生が急増すると予想されており、廃プラスチックの再資源化を促進する必要がある。このため、廃プラスチックの再資源化について、

経済性の面における制約が小さくなるよう、関係者による積極的な取組が行われることが重要である。特に、廃プラスチックに係る再資源化施設等が工事現場の近傍にあり、当該施設等に運搬する費用が過大とならないなど、その再資源化が経済性の面において制約が著しくないと認められる場合は、できる限り他の建設資材廃棄物と分別し、当該施設等に搬出するよう努める必要がある。このうち、建設資材として使用されている塩化ビニル管・継手等については、これらの製造に携わる者によるリサイクルの取組が行われ始めているため、関係者はできる限りこの取組に協力するよう努める必要がある。

石膏ボードは、高度成長期以降建築物の内装材として広く利用されており、建築物の解体の急増に伴い、廃石膏ボード(石膏ボードが廃棄物となったものをいう。以下同じ。)の発生が急増すると予想されることから、ひっ迫が特に著しい管理型最終処分場(環境に影響を及ぼすおそれのある産業廃棄物(以下「管理型処分品目」という。)の最終処分場をいう。以下同じ。)の状況を勘案すると、その再資源化を促進する必要がある。このため、廃石膏ボードの再資源化について、経済性の面における制約が小さくなるよう、関係者による積極的な取組が行われることが重要である。また、石膏ボードの製造に携わる者により新築工事の工事現場から排出される廃石膏ボードの収集、運搬及び再利用に向けた取組が行われているため、関係者はできる限りこの取組に協力するよう努める必要がある。

また、再資源化等が困難な建設資材廃棄物を最終処分する場合は、安定型処分品目(環境に影響を及ぼすおそれの少ない産業廃棄物をいう。以下同じ。)については管理型処分品目が混入しないように分別した上で安定型最終処分場(安定型処分品目の最終処分場をいう。)で処分し、管理型最終処分場で処分する量を減らすよう努める必要がある。

なお、特定建設資材以外の建設資材について、それが廃棄物となった場合における再資源化が資源の有効な利用及び廃棄物の減量を図る上で特に必要であるものについては、その再資源化に係る経済性の面における制約について調査、検討等を行い、特定建設資材として指定することについても検討を行うこととする。

→今後最終処分場は、受入量が限定されてきているため、単価の高いものを選別する可能性がある。

 

四 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に関する事項

1 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用についての考え方

特定建設資材廃棄物の再資源化を促進するためには、その再資源化により得られた物を積極的に利用していくことが不可欠であることから、関係者の連携の下で、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物に係る需要の創出及び拡大に積極的に取り組む必要がある。また、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用に当たっては、必要な品質が確保されていること並びに環境に対する安全性及び自然環境の保全に配慮することが重要である。

 

2 関係者の役割

建設資材の製造に携わる者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物をできる限り多く含む建設資材の開発及び製造に努める必要がある。

建築物等の設計に携わる者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用した設計に努める必要がある。また、このような建設資材の利用について、発注しようとする者の理解を得るよう努める必要がある。

発注者は、建設工事の発注に当たり、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り選択するよう努める必要がある。

建設工事を施工する者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用するよう努める必要がある。また、これを利用することについての発注者の理解を得るよう努める必要がある。

建設資材廃棄物の処理を行う者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の品質の安定及び安全性の確保に努める必要がある。

国は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のために必要となる調査、研究開発、情報提供、普及啓発、資金の確保並びに品質基準の策定及び規格化の推進に努めるほか、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するよう努めることとする。

地方公共団体は、国の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

 

3 再資源化により得られた物の公共事業での率先利用

国の直轄事業においては、国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律(平成十二年法律第百号)の趣旨を踏まえ、民間の具体的な取組の先導的役割を担うことが重要であることから、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するものとする。

具体的には、道路等の舗装の路盤材又は建築物等の埋め戻し材若しくは基礎材の調達に当たっては、工事現場で発生する副産物の利用が優先される場合を除き、当該現場から四十キロメートルの範囲内でコンクリート塊又はアスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生骨材等が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮した上で、経済性にかかわらずこれを利用することを原則とするなどの方策を講ずることとする。道路等の舗装の基層用材料、表層用材料及び上層路盤材の調達に当たっては、工事現場で発生する副産物の利用が優先される場合を除き、当該現場から四十キロメートル及び運搬時間一・五時間の範囲内でアスファルト・コンクリート塊の再資源化により得られた再生加熱アスファルト混合物が入手できる場合は、利用される用途に要求される品質等を考慮した上で、経済性にかかわらずこれを利用することを原則とするなどの方策を講ずることとする。木質コンクリート型枠材については、再生木質ボードを製造する施設の立地状況及び生産能力並びに利用される用途に要求される品質等を考慮して再生木質ボードの利用を促進することとし、モデル工事等を通じて施工性、経済性等の適用性の検討を行い、これを踏まえ利用量の増大に努める。また、法面の緑化材、雑草防止材等についても、利用される用途に要求される品質等を考慮して、再生木質マルチング材等の利用を促進することとし、モデル工事等を通じて施工性、経済性等の適用性の検討を行い、これを踏まえ利用量の増大に努める。さらに、その他の用途についても、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進が図られるよう積極的な取組を行う必要がある。

なお、国の直轄事業以外の公共事業においても、国の直轄事業における特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進のための方策に準じた取組を行う必要がある。

 

五 環境の保全に資するものとしての特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及に係る事項

特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の促進は、特定建設資材廃棄物の排出の抑制、再資源化により得られた熱の利用の促進等と相まって、資源エネルギー投入量の削減、廃棄物の減量、環境に影響を及ぼすおそれのある物質の環境への排出の抑制等を通じて、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築していくという意義を有する。

かかる意義を有する特定建設資材に係る分別解体等、特定建設資材廃棄物の再資源化等及び特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用の推進のためには、広範な国民の協力が必要であることにかんがみ、国及び地方公共団体は、環境の保全に資するものとしてのこれらの意義に関する知識について、広く国民への普及及び啓発を図ることとする。具体的には、環境教育、環境学習、広報活動等を通じて、これらが環境の保全に資することについての国民の理解を深めるとともに、環境の保全に留意しつつ、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等が行われるよう関係者の協力を求めることとする。

特に、特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の実施義務を負う者が当該義務を確実に履行することが重要であることから、その知識をこれらの者に対して普及させるため、必要に応じて講習の実施、資料の提供その他の措置が講じられなければならない。

また、発注者が再資源化により得られた物をできる限り利用することが重要であることから、必要に応じて講習の実施、資料の提供その他の措置が講じられなければならない。

 

六 その他特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する重要事項

1 分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に適切に反映させるための事項

特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するためには、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用が、発注者及び受注者間で適正に負担されることが必要である。

このため、発注者は、自らに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用の適正な負担に関する責務があることを明確に認識し、当該費用を適正に負担する必要がある。また、受注者は自らが分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に行うことができる費用を請負代金の額として受け取ることができるよう、分別解体等の実施を含む建設工事の内容を発注者に十分に説明する必要がある。

加えて、国及び地方公共団体は、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に反映させることが分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に直結する重要事項であることを国民に対し積極的に周知し、当該費用の適正な負担の実現に向けてその理解と協力を得るよう努めることとする。

また、対象建設工事の受注者間においても、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用が適正に負担されることが必要である。

 

2 各種情報の提供等に関する事項

国は、対象建設工事受注者が特定建設資材廃棄物の再資源化等を行うに当たって必要となる施設の稼働情報、対象建設工事の発注者等が当該工事の注文を行うに当たって必要となる解体工事業を営む者の企業情報等の提供が十分なされるように、インターネット等を活用した情報システムの整備の支援を行う必要がある。

 

3 分別解体等及び建設資材廃棄物の処理等の過程における有害物質等の発生の抑制等に関する事項

建設資材廃棄物の処理等の過程においては、廃棄物処理法、大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)、ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)、労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)等の関係法令を遵守し、有害物質等の発生の抑制及び周辺環境への影響の防止を図らなければならない。また、建設資材廃棄物の処理等の過程において、フロン類、非飛散性アスベスト等の取り扱いには十分注意し、可能な限り大気中への拡散又は飛散を防止する措置をとるよう努める必要がある。

なお、冷凍空調機器の冷媒として使用されているフロン類に関して、特定家庭用機器再商品化法(平成十年法律第九十七号)に規定する特定家庭用機器に該当するユニット型エアコンディショナー及び電気冷蔵庫の中に含まれるものについては、特定家庭用機器再商品化法又は廃棄物処理法に従って処理されなければならない。このためには、建築物等に係る解体工事等の施工に先立ち、ユニット型エアコンディショナー及び電気冷蔵庫の所有者は、これらを建築物等の内部に残置しないようにする必要があり、過去にこれらを購入した小売業者に引取りを求めることが適当である。また、特定建設資材に係る分別解体等において、これと一体不可分の作業により冷凍空調機器中のフロン類が大気中へ拡散するおそれがある場合は、事前に回収することによりこれを防止する必要がある。

さらに、断熱材に使用されているフロン類については、建築物の解体時におけるフロン類の残存量が不明確であること、経済的な回収・処理技術が未確立であること等の課題がある。このため、これらの課題について技術的・経済的な面からの調査・検討を行い、適正かつ能率的な断熱材の回収、フロン類の回収・処理のための技術開発・施設整備等必要な措置を講ずるよう努める必要がある。

非飛散性アスベストについては、粉砕することによりアスベスト粉じんが飛散するおそれがあるため、解体工事の施工及び非飛散性アスベストの処理においては、粉じん飛散を起こさないような措置を講ずる必要がある。

防腐・防蟻のため木材にCCA(クロム、銅及びヒ素化合物系木材防腐剤をいう。以下同じ。)を注入した部分(以下「CCA処理木材」という。)については、不適正な焼却を行った場合にヒ素を含む有毒ガスが発生するほか、焼却灰に有害物である六価クロム及びヒ素が含まれることとなる。このため、CCA処理木材については、それ以外の部分と分離・分別し、それが困難な場合には、CCAが注入されている可能性がある部分を含めてこれをすべてCCA処理木材として焼却又は埋立を適正に行う必要がある。また、この施設の整備等について関係者による取組が行われることが必要である。なお、このCCA処理木材については、残存するCCAに関する経済的な判別・分離・処理技術が未確立であること等の課題があるため、これらの課題について技術的・経済的な面からの調査・検討を行い、適正かつ能率的なCCA処理木材の分離・回収、再資源化のための技術開発・施設整備等必要な措置を講じ、CCA処理木材の再資源化の推進に努める必要がある。

PCBを含有する電気機器等についても、これらを建築物等の内部に残置しないようにする必要があるため、建築物等の解体に先立ち、これらは撤去され、廃棄物処理法に従って適切に措置されなければならない。

 

4 環境への負荷の評価についての考え方

関係者は、特定建設資材の開発、製造、流通、特定建設資材を使用する建築物等の設計、特定建設資材を使用する建設工事の施工、特定建設資材廃棄物の再資源化等、最終処分等の各段階における環境への負荷の評価(ライフ・サイクル・アセスメント)の手法について、調査研究を進めその確立を図るとともに、その手法の活用に努める必要がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

平成十二年政令第四百九十四号

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の施行期日を定める政令

 

 

内閣は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)附則第一条本文の規定に基づき、この政令を制定する。

 建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律の施行期日は、平成十二年十一月三十日とする。

 

 

 

 

 

平成十二年政令第四百九十五号

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令

 

 

内閣は、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成十二年法律第百四号)第二条第五項の規定に基づき、この政令を制定する。

 

建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(以下「法」という。)第二条第五項のコンクリート、木材その他建設資材のうち政令で定めるものは、次に掲げる建設資材とする。

 

一 コンクリート

二 コンクリート及び鉄から成る建設資材

三 木材

四 アスファルト・コンクリート

 

附 則

(施行期日)

第一条 この政令は、法の施行の日(平成十二年十一月三十日)から施行する。

   (以下略)