「木質資源リサイクル対策」バイオマスエネルギーの現状と方向

〔木質バイオマスエネルギーの現状〕

  • 木屑をエネルギーとして、木屑焚きボイラーで乾燥用のエネルギー化、自家発電を実施している合板、製材等の木材加工工場は全国に数工場存在している。(岡山県:銘建工業(株)「エコ発電所:発電出力1,950kw/h、設備投資額約10億円→ボイラー6.3億円、タービン発電1.6億円等」)
  • 製材工場の中にはおが粉をガス化させ、小規模な自家発電を実施しているケース(三重県美杉村:信栄木材:発電出力80 kw/h、設備投資額3,800万円)もある。
  • 製紙工場では、以前から木屑や工場廃液をボイラー熱源に利用し、自家発電まで実施。
  • 木材加工工場の残廃材や建築廃材等を活用し、ボイラーにより、電気及び熱エネルギー化を図ることにより、木材乾燥へのカスケード的に総合利用を行い、乾燥コストの低減と残廃材の処理を同時に行うことを目的に、@木屑燃料の連続供給、Aボイラーによる燃焼及び廃熱利用、B蒸気タービンによる発電をシステム化することが実用化に向けて技術開発されている。(木質バイオマスエネルギー技術研究組合)
  • 一般的には、木屑焚きボイラーで蒸気を乾燥用のエネルギーとして利用し、余剰分を自家発電に回しているケースが多い。
  • 秋田県米代川流域林業活性化センターでの構想(能代地区を中心に@リサイクル施設の設置→樹皮・廃材のボード化、燃料化、A木屑焚きボイラーで蒸気・電力生産)が進んでいる他、乾燥用のエネルギー化+小規模プラントによる自家発電の実用化に向けて展開しているケースも出てきている。

 

〔参考〕

平成13年2月7日〔林野庁〕

「地域のために豊かなエネルギ−資源の積極的な活用を」〜 国有林野のエネルギ−資源利用検討会報告書(要旨)〜〔検討会座長:熊崎實 氏〕

 

★活用が期待される国有林野の再生可能なエネルギ−資源 

 温暖化等地球規模の環境問題が深刻化し、風力や水力、森林バイオマスなどの地球に優しい、再生可能なエネルギ−資源の利用に対する期待が高まっています。わが国の森林の3割を占める国有林野に賦存する、豊かな資源の活用が期待されます。 

 

★出番を待つ、豊かな森林バイオマス・エネルギ−資源 

森林内に発生する端材や太枝、間伐材はもとより、工事に伴う支障木など再生可能でクリ−ンなエネルギ−資源である森林バイオマスの活用が期待されます。そのためには、廃棄物の再利用とは別に、地域のクリーンな資源を十全に活用する観点で、それぞれの地域の条件に応じて、熱と電気の併給(コジェネレ−ション)や炭等のものづくりも含めた新たな資源活用システムを整備することが期待されます。

〔木質バイオマスエネルギーの特徴〕

・森林の成長により、一定期間で再生産が可能

・ダイオキシン類、CO2、SOX、NOXなどの排出量が小さく、環境負荷が小さい。

・全乾重量当たりのエネルギー密度が低い(石油の1/3、石炭の2/3)。

・ハンドリングが面倒(水分が多く、かさばる、ストック場所と飛散の問題。

 

バイオマスエネルギー資源の利用方法の検討

地域の条件に応じて、

@ペレットに加工し、供給していくシステム

Aキャリアーの充填・排出を繰り返し、炭を生産する簡易な連続炭化システム

Bチップ化又は破砕し、直接燃焼方式による小規模な熱供給主体のシステム

C噴流層ガス化炉にガスタービンを組合せた簡易な熱、電気、炭化物の生産システム

D噴流式ガス化炉に生石灰のコプロダクションを念頭に燃焼ボイラーを組合せた簡易な熱、電気、炭化物等の複合生産システム

等が検討の対象となる。

売電を考えると最低でも2千kw以上、できれば5千kw以上が必要となるが、KW当たりの設備コストが増大するので、規模の経済性を追及する大規模な商業発電に互することは難しい。

従って、熱の生産を重視し、木炭等ものづくり(コプロダクション)をも追求して、全体の効率性を確保することが重要である。(組合わせにより、商業発電より劣る部分をカバーする)

★期待される国有林野の市町村と連携した取組み 

公共施設などの地域の安定したエネルギ−需要と供給を結びつけ、地域の資源を有効に活用しながら、地域の活性化を進めていく上で、市町村のコーディネート機能の発揮が重要です。そうした市町村の取組に積極的に連携を図りながら、国有林野から用地や資源を提供することにより、「魅力ある農山村づくり」に貢献していくことが期待されます。 

→この報告書は、これから木質バイオマスエネルギー化の展開を行う場合、試算等があり参考になる。

問い合わせ先林野庁経営企画課、福田(内線6471)

大竹(内線6496) Tel 03-3502-8111(代表)

〔木質バイオマス利用研究会〕

代表:熊崎實 筑波大学名誉教授

〒160-0004 新宿区四谷1-21 戸田ビル4F

Tel 03-5366-1187  FAX03-3358-5359

 

 

 

バイオマスエネルギーの現状と方向

〔木質バイオマスエネルギーの現状〕

  • 木屑をエネルギーとして、木屑焚きボイラーで乾燥用のエネルギー化、自家発電を実施している合板、製材等の木材加工工場は全国に数工場存在している。合板関係では自家発電の規模は2千kw前後で、その設備投資額は10億円前後となっている。
  • 製材工場の中にはおが粉をガス化させ、小規模な自家発電を実施しているケース(三重県)もある。
  • 一般的には、木屑焚きボイラーで蒸気を乾燥用のエネルギーとして利用し、余剰分を自家発電に回しているケースが多い。
  • 秋田県米代川流域林業活性化センターでの構想(能代地区を中心に@リサイクル施設の設置→樹皮・廃材のボード化、燃料化、A木屑焚きボイラーで蒸気・電力生産)が進んでいる他、乾燥用のエネルギー化+小規模プラントによる自家発電の実用化に向けて展開しているケースも出てきている。

 

〔木質バイオマスエネルギーの展開方向〕

  1. 木屑焚きボイラーによる木材乾燥用(KD)エネルギー化(単独・共同:比較的小規模プラントでも可能)
  2. 木屑焚きボイラーによる公共施設、施設園芸等への熱電併給(CHP)
  3. 中規模プラントによるKD及び地域暖房+電力生産(木質廃棄物の安定的な集荷が前提になるので、木材団地などの木材集積地や木質建築解体材の集荷が可能な地域。ガス化・ガスタービンサイクルによる発電効率の向上を図ることも可能)
  4. 既存の火力発電所での木質バイオマスの混燃
  5. 木質RDF(燃料ペレット化)

 

〔参考〕

平成13年2月7日〔林野庁〕

「地域のために豊かなエネルギ−資源の積極的な活用を」〜 国有林野のエネルギ−資源利用検討会報告書(要旨)〜〔検討会座長:熊崎實 氏〕

 

★活用が期待される国有林野の再生可能なエネルギ−資源 

 温暖化等地球規模の環境問題が深刻化し、風力や水力、森林バイオマスなどの地球に優しい、

 

再生可能なエネルギ−資源の利用に対する期待が高まっています。わが国の森林の3割を占める国有林野に賦存する、豊かな資源の活用が期待されます。 

★海岸部や半島部等で活用が期待される風力エネルギ−資源 

★農山村地域のきめ細かな需要に応え得る小水力エネルギ−資源 

★出番を待つ、豊かな森林バイオマス・エネルギ−資源 

 森林内に発生する端材や太枝、間伐材はもとより、工事に伴う支障木など再生可能でクリ−ンなエネルギ−資源である森林バイオマスの活用が期待されます。そのためには、廃棄物の再利用とは別に、地域のクリーンな資源を十全に活用する観点で、それぞれの地域の条件に応じて、熱と電気の併給(コジェネレ−ション)や炭等のものづくりも含めた新たな資源活用システムを整備することが期待されます。 

★期待される国有林野の市町村と連携した取組み 

 公共施設などの地域の安定したエネルギ−需要と供給を結びつけ、地域の資源を有効に活用しながら、地域の活性化を進めていく上で、市町村のコーディネート機能の発揮が重要です。そうした市町村の取組に積極的に連携を図りながら、国有林野から用地や資源を提供することにより、「魅力ある農山村づくり」に貢献していくことが期待されます。 

→この報告書は、これから木質バイオマスエネルギー化の展開を行う場合、試算等があり参考になる。

問い合わせ先:林野庁経営企画課

総合調整担当企画官 福田隆政(内線6471)

   担当者     大竹武司(内線6496)

 Tel  03-3502-8111(代表)、03-3502-0724(直通)

 

〔木質バイオマスエネルギーの特徴〕

・森林の成長により、一定期間で再生産が可能

・ダイオキシン類、CO2、SOX、NOXなどの排出量が小さく、環境負荷が小さい。

・全乾重量当たりのエネルギー密度が低い(石油の1/3、石炭の2/3)。

・ハンドリングが面倒(水分が多く、かさばる、ストック場所と飛散の問題。

 

〔木質バイオマス利用研究会〕

代表:熊崎實 筑波大学名誉教授

〒160-0004 新宿区四谷1-21 戸田ビル4F

Tel 03-5366-1187  FAX03-3358-5359

 

 

 

 

「木質資源リサイクル対策」 バイオマスエネルギーの現状と方向」

課題名:木質エネルギー利用推進技術の開発
  • 木材加工工場の残廃材や建築廃材等を活用し、ボイラーにより、電気及び熱エネルギー化を図ることにより、木材乾燥へのカスケード的に総合利用を行い、乾燥コストの低減と残廃材の処理を同時に行う。

このため、@木屑燃料の連続供給、Aボイラーによる燃焼及び廃熱利用、B蒸気タービンによる発電をシステム化するもの。

 

〔評価とコメント(試算から)〕

  • 本システムの設備費・維持管理費は、蒸気式乾燥機が小型であるが、木屑焚きボイラーや木材熱処理装置、蒸気タービンなどのバイオマス利用設備が必要となるため、従来の蒸気式と比較した場合とほぼ同様のコストとなる。
  • 端材の投入は、粉砕機及び空送ファンにより省力化
  • 木材乾燥エネルギーコストは灯油換算で本システムが1,237万円と蒸気式の倍近くなっているが、バイオマスエネルギーの利用により、743万円が削減されることからトータルでは163万円/年のコストダウンが図れる。
  • また、木屑焚きボイラーの場合、ボイラーの年次点検コストが掛かるが、基本的にはダイオキシン類の測定コストが不要であるので、焼却炉で処理するのと同じ程度のコストと試算される。(焼却炉の完全燃焼のための灯油などの2次エネルギーコストは加味していない)
  • 1m3当たりの乾燥コストは、11,310円と3.4%のコストダウンとなっている。
  • 蒸気の圧力差を利用した発電は、実績値で7.4kwとメリットが少なく感じるが、年間で55,400kwhと、金額にして100万円以上のコストメリットが得られる。

今後の技術開発により、発電施設の効率化、規模拡大、コストダウン等が図られることを期待。

〔コスト試算例〕

 

 

開 発 シ ス テ ム

一般の蒸気式乾燥機

乾燥の対象材

   スギ心持ち柱材 112×112×3000o

乾燥量

2,028m3/年

(6.5m3×26回×12)

2,160m3/年

(30m3×3室×2回×12)

乾燥方式

二重缶前処理装置(10h)→天乾(5日)→蒸気式乾燥機(3日)

蒸気式乾燥機(14日間)

乾燥用エネルギー

木屑焚きボイラー+小型蒸気タービン

灯油焚きボイラー

(廃材は焼却炉で処理)

設備費・維持管理費

84,210千円(9,357千円/年)

90,000千円(10,000千円/年)

維持管理費(償却費の10%)

 9,357千円/年

 10,000千円/年

人 件 費

7,200千円/年(2名)

7,200千円/年(2名)

所要エネルギーコスト

12,373千円

6,577千円

バイオマスエネルギー削減分

△ 7,428千円

 

トータルエネルギーコスト

 4,945千円/年

 6,577千円/年

廃材処理間接コスト

ボイラー年次点検 500千円

*焼却炉ダイオ測定 500千円

(補助燃料費は見ていない)

  総 合 計

22,938千円/年

  25,277千円/年

1m3当たりの乾燥コスト

   11,310円/年

11,702円/年

注:焼却炉のダイオキシン類測定費用は、修正した。

 

 

バイオマスエネルギー利用技術(木屑焚きボイラー+KD+発電)の開発概要について

〔木質バイオマスエネルギー技術研究組合資料より(一部全木連において修正)〕

 

  • 木材加工工場の残廃材や建築廃材等を活用し、ボイラーにより、電気及び熱エネルギー化を図ることにより、木材乾燥へのカスケード的に総合利用を行い、乾燥コストの低減と残廃材の処理を同時に行う。
  • このため、@木屑燃料の連続供給、Aボイラーによる燃焼及び廃熱利用、B蒸気タービンによる発電をシステム化するもの。

 

〔評価とコメント(試算から)〕

  • 本システムの設備費・維持管理費は、蒸気式乾燥機が小型であるが、木屑焚きボイラーや木材熱処理装置、蒸気タービンなどのバイオマス利用設備が必要となるため、従来の蒸気式と比較した場合とほぼ同様のコストとなる。
  • 端材の投入は、粉砕機及び空送ファンにより省力化
  • 木材乾燥エネルギーコストは灯油換算で本システムが1,237万円と蒸気式の倍近くなっているが、バイオマスエネルギーの利用により、743万円が削減されることからトータルでは163万円/年のコストダウンが図れる。
  • また、木屑焚きボイラーの場合、ボイラーの年次点検コストが掛かるが、基本的にはダイオキシン類の測定コストが不要であるので、焼却炉で処理するのと同じ程度のコストと試算される。(焼却炉の完全燃焼のための灯油などの2次エネルギーコストは加味していない)
  • 1m3当たりの乾燥コストは、11,310円と3.4%のコストダウンとなっている。
  • 蒸気の圧力差を利用した発電は、実績値で7.4kwとメリットが少なく感じるが、年間で55,400kwhと、金額にして100万円以上のコストメリットが得られる。

 

 

課題名:木質エネルギー利用推進技術の開発

小型蒸気ボイラー用木屑燃料連続供給システムの開発〔井上電設(株)〕

木屑燃焼技術と燃焼エネルギー利用技術の開発〔(株)タカハシキカン〕

小型蒸気タービンの開発、排気気圧の制御技術の開発〔(株)シンコー〕

 

 

開 発 シ ス テ ム

一般の蒸気式乾燥機

乾燥の対象材

   スギ心持ち柱材 112×112×3000o

乾燥量

2,028m3/年

(6.5m3×26回×12)

2,160m3/年

(30m3×3室×2回×12)

乾燥方式

二重缶前処理装置(10h)→天乾(5日)→蒸気式乾燥機(3日)

蒸気式乾燥機(14日間)

乾燥用エネルギー

木屑焚きボイラー+小型蒸気タービン

灯油焚きボイラー

(廃材は焼却炉で処理)

設備費・維持管理費

84,210千円(9,357千円/年)

90,000千円(10,000千円/年)

維持管理費(償却費の10%)

 9,357千円/年

 10,000千円/年

人 件 費

7,200千円/年(2名)

7,200千円/年(2名)

所要エネルギーコスト

12,373千円

6,577千円

バイオマスエネルギー削減分

△ 7,428千円

 

トータルエネルギーコスト

 4,945千円/年

 6,577千円/年

廃材処理間接コスト

ボイラー年次点検 500千円

*焼却炉ダイオ測定 500千円

(補助燃料費は見ていない)

  総 合 計

22,938千円/年

  25,277千円/年

1m3当たりの乾燥コスト

   11,310円/年

11,702円/年

注:焼却炉のダイオキシン類測定費用は、積算では1,500円/年とあったが、減額した。

 

バイオマスエネルギー利用技術の開発報告書(木質エネルギー利用推進技術の開発)

平成13.3月、木質バイオマスエネルギー技術研究組合 Tel 03-3552-6184

〔システムについての問合わせ先〕

(システム全体)(株)タハカシキカン名古屋市昭和区白金3-7-8 Tel 052-871-6731

(発電機)   (株)シンコー 広島市南区大洲5-7-21 Tel 082-508-1010

(燃料供給システム)井上電設(株)名古屋市中区金山4-3-17 Tel 052-322-5271

 

 

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