「有機性資源循環利用の促進のための基本方針」について(要約)
有機性資源循環利用推進協議会
1 経緯
○生ごみ、食品産業廃棄物、家畜排せつ物、下水汚泥等の有機性資源(廃棄物)は、有用な資源として再生していくことが可能。しかし、現在は、その多くが逆にエネルギーを使いながら処分。
人口・食料・環境・資源等が地球規模の問題となりつつある中で、有機性資源の 循環利用に取り組んでいくことは、物質循環の回復や生態系の保全を通じ、こうした 地球規模での問題の解決に大いに貢献。
○このような状況を踏まえ、平成11年8月に、有機性資源の循環利用に関わる10省庁・15団体により「有機性資源循環利用推進協議会」を設立。
○本協議会では、有機性資源の循環利用を促進するために、当面、関係省庁・団体が取り組むべき基本的事項について協議・検討を行い、今般、「有機性資源循環利用の促進のための基本方針」を取りまとめた。
2 基本方針の概要
○有機性資源の循環利用に当たっては、[1]再利用・リサイクルの推進、[2]最適規模での利用の促進、[3]最適用途での利用の促進、[4]環境容量内での利用の促進を図るとの基本的考え方に沿って推進。
○具体的には、[1]情報の共有化、[2]各種プロジェクトの共同化、連携の促進、[3]調査の計画的整備、[4]地域の組織体制の整備、[5]啓発活動の促進等を推進
3 今後の取組
○今後、協議会においては、基本方針に基づき具体的な活動・事業を展開。
(問い合わせ先) 有機性資源循環利用推進協議会事務局 農林水産省大臣官房企画室(技術調整室) 担当:宮田、中山、赤羽 電話:代表3502-8111内線2437,2041 直通3502-0014 環境庁水質保全局企画課(海洋環境・廃棄物対策室) 担当:伊藤、児島、木野 電話:代表3581-3351内線6620,6625 直通5521-8312 |
有機性資源循環利用の促進のための基本方針
有機性資源循環利用推進協議会
1.基本的考え方
有機性資源とは、生物(動植物(人を含む)や微生物)に由来する資源で、生物学的分解によって、環境中に安全に還元していくことが可能であり、かつ再び有用な資源として再生していくことが可能なものである。しかしながら、現在は、その多くが、逆にエネルギーを使いながら処分されている。
人口・食料・環境・資源等が地球規模の問題となりつつある中で、有機性資源の循環利用に取り組んでいくことは、物質循環の回復や生態系の保全を通じ、こうした地球規模での問題の解決に大いに貢献することであると考えられる。
このような特徴を持つ有機性資源の循環利用に当たっては、以下の基本的考え方に沿って推進するものとする。
なお、本方針で取り扱う代表的な有機性資源は別表のとおりであるが、今後の再利用・リサイクル技術の発展によって、変更があり得るものである。
(再利用・リサイクルの推進)
力図った上で、B再生利用できない廃棄物について、脱水や焼却等の中間処理を行い、最終処分量を抑制するという廃棄物処理の基本的考え方の下で、生物学的に分解可能で、かつ再生可能な資源であるという特性を踏まえ、再利用やマテリアル・リサイクルを推進し、再生利用されないものについても脱水・焼却等の中間処理の段階でエネルギーや焼却灰等のリサイクルを行い、埋立による最終処分量を極力削減していくものとすること。
(最適規模での利用の促進)
メリットの確保とともに、高水分で腐敗し易く減容化し難いという有機性資源の特性から派生してくる処理や輸送のコスト・エネルギー消費・環境負荷等の増加を総合的に勘案し、最適な規模(地域的広がり)での利用を促進すること。
(最適用途での利用の促進)
るため、地域内で発生する多種多様な有機性資源の性状等を踏まえ、環境負荷を極力抑制でき、かつ資源の価値を最大限発揮できる最適な用途への利用の促進を図ること。
(環境容量内での利用の促進)
うライフサイクルアセスメント(LCA)等の手法により適切な評価を行い、環境容量の範囲内で、その促進を図ること。
(ライフサイクルアセスメントとは)
2.リサイクル目標
有機性資源のリサイクル目標については、当面、政府の「ダイオキシン対策推進基本指針」に基づく「廃棄物の減量化の目標量」(平成11年9月ダイオキシン対策関係閣僚会議決定)の実現を目指す。 なお、中間目標年度を平成17年度とし、その達成状況や社会経済情勢の変化等を踏まえつつ、必要な見直しを行うこととする。
有機性資源のリサイクル目標
(単位:百万トン、%)
排 出 量 |
再 生 利 用 量 |
再 生 利 用 率 |
||||||||
8年 |
17年 |
22年 |
8年 |
17年 |
22年 |
8年 |
17年 |
22年 |
||
一般廃棄物 |
53 |
52 |
50 |
5.5 |
10 |
12 |
10 |
19 |
24 |
|
厨芥類 |
… |
… |
… |
0.05 |
0.78 |
1.29 |
… |
… |
… |
|
産業廃棄物 |
426 |
460 |
480 |
181 |
219 |
232 |
42 |
48 |
48 |
|
汚泥 |
199 |
220 |
233 |
11.5 |
16.2 |
17.7 |
6 |
7 |
8 |
|
動物のふん尿 |
94 |
94 |
94 |
87 |
89 |
89 |
92 |
95 |
95 |
|
その他 |
47.5 |
49.4 |
49.7 |
20.0 |
27.3 |
29.0 |
42 |
55 |
58 |
注1:「廃棄物の減量化の目標量」(H11.9ダイオキシン対策関係閣僚会議決定)から作成。
2:「動物のふん尿」については、発生量をそのまま排出量と推定。
3:「汚泥」は、無機性の汚泥を含む。
4:「その他」は、「汚泥、動物のふん尿、がれき類及び鉱さい」を除く一切の産業廃棄物で、
有機性資源としては、木くず、動植物性残さを含み、平成8年の排出量ベースで「その他」の23%を占める。
3.情報の共有化
有機性資源の循環利用に係る各省庁・団体所管の制度・事業について、共通のフォーマットでデータベースを構築し、インターネット等の メディアで公開し関係者の情報の共有化を促進する。また、このための適切な組織体制についても今後検討する。
4.各種プロジェクトの共同化、連携の促進
(共同プロジェクトの推進)
地域における有機性資源全体の需給バランスに配慮しつつ、総合的な循環利用を促進するための各省庁・団体による共同プロジェクトを以下 により総合的に推進する。この場合、特に、民間企業・団体が参加し易い条件整備に配慮するものとする。なお、具体的な共同プロジェクトについては、今後各省庁・団体による協議を進め、公表する。
に支援するとともに、同プランに基づく関連事業の優先採択に努める。この場合、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に基づく「一般廃棄物処理計画」・「産業廃棄物処理計画」や「下水汚泥処理総合計画」等との調整に十分留意する。
(2)各省庁・団体の事業を連携して行う場合の事務手続や連絡調整等の体制を整備する。
(3)各種の地域整備構想において有機性資源循環利用関連プロジェクトを積極的に位置付
ける。
る。
(5)施設整備後も、各省庁横断的組織により運営状況等を評価する。
(技術の共同開発・普及の促進)
有機性資源の多様な利用のため、各省庁・団体による技術の共同開発・普及を促進する。
(技術の例)
・コンポスト製造の低コスト化・高性能化
・嫌気性消化技術によるエネルギー抽出技術
・炭化技術
・燃料電池化技術
・生分解性材料製造技術
・生物機能利用技術(分解、再生)
5.循環利用に関する調査の計画的整備
有機性資源の循環利用に関する調査について、以下により計画的に実施する。
(1)既存統計の分野・事項別整理とデータベース化
有機性資源の各種リサイクル施設の設置・運営状況等)
(3) 有機性資源に係る産業連関表の作成の検討
6.循環利用のための地域の組織体制の整備
都道府県等地域レベルにおける有機性資源の総合的な循環利用推進体制の整備を以下により推進する。
に支援する。
(2)各都道府県推進機関の全国的な連絡体制の整備について積極的に支援する。
7.循環利用に関する普及啓発活動の促進
(意義・必要性等に関する普及啓発の促進)
有機性資源の循環利用の意義・必要性等についての普及啓発を図るため、以下のような活動を促進する。
計データを掲載する。
機関誌(各構成員の取組状況等の紹介等)等の発行やシンポジウムの開催を行う。
(3) 表彰事業、例えば、バイオ・リサイクル・コンクール(仮称)等を検討する。
(4) 環境教育・環境学習の充実(教材の作成、インストラクターの養成を含む)を図る。
(リサイクル製品の利用拡大)
有機性資源のリサイクル製品の利用の拡大を促進するため、以下のような取組を行う。
(1)リサイクル製品の生産者と利用者との交流を促進する。
(2)リサイクル製品の品質、安全性等に関する適切な知識・情報の普及を図る。
(3)リサイクル製品の需給情報の収集・提供体制を整備する。
(国際交流の促進)
有機性資源の循環利用に取り組む諸外国の政府機関やNGO機関との交流や情報提供を促進する。
8.その他
廃棄物の減量化を推進するため、現在進められている以下のような新たな方策の検討の中で、有機性資源の循環利用の促進のあり方についても検討を進める。
→今後本格化してきます。
・食品廃棄物のリサイクルの推進
・国の率先実行計画等によるリサイクルの推進
(民間レベルの活動・事業の積極的展開)
上記以外に民間レベルで独自に取り組まれている活動・事業について、共同シンポジウムの開催、アドバイザー等の派遣、資料等の提供等を通じ、積極的に支援する。
(例)
・生ごみリサイクル全国ネットワークの活動
・グリーン購入ネットワークの活動
・エコマーク等環境ラベル制度
(別表)
主な有機性資源 |
概 要 |
わら類 家畜ふん尿 畜産物残さ 樹 皮 おがくず 木 く ず
動植物性残さ 食品産業汚泥 生ごみ
木竹類 下水汚泥 し尿 浄化槽汚泥 農業集落排水汚泥 |
稲わら、麦わら、もみがら 牛、豚、鶏の排せつ物 食肉の加工段階で発生する骨、脂肪等の残さ類 丸太の外皮 製材工程において鋸によって材木を切る時に排出される木粉 背板、端材、チップ屑等製材工程で発生する残廃材、建設工事から発生する木材 食品製造業から発生する搾汁粕、野菜くず等の残さ 食品製造業の排水を処理することにより発生する汚泥 家庭、食品流通業・外食産業から発生する食べ残し、調理くず等の厨芥類(一般廃棄物) 剪定枝、芝刈りくず等の木竹類の廃棄物 下水道において生活排水を処理することにより発生する汚泥 人の排せつ物 浄化槽において生活排水を処理することにより発生する汚泥 農業集落排水施設において生活排水を処理することにより発生する汚泥 |
【参考:協議会のメンバー】
通商産業省、建設省、自治省
日本環境保全協会、全国清掃事業連合会、(社)日本農業集落排水協会、全国農業協同組合中央会、(財)畜産環境整備機構、(財)食品産業センター、(社)全国木材組合連合会、(財)クリーン・ジャパン・センター、(社)日本下水道協会、生ごみリサイクル全国ネットワーク、日本生活協同組合連合会、有機質資源化推進会