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新エネルギー利用等の促進に関する基本方針の改定について(概要)

   

 

バイオマスは、平成14年に新エネ法の新エネルギーとして位置づけされたところでありますが、経済産業省資源エネルギー庁(新エネルギー対策課)は、平成14年12月27日、新エネルギー利用等の促進に関する基本方針の改定について(概要)公表されました。

《問い合わせ先》

経済産業省資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部
新エネルギー対策課: 濱田  
電話:03−3501−4031(内線:4551)


情報掲載URL 他サイトもしくは別ウインドウを開くhttp://www.meti.go.jp/kohosys/press/0003553/

 

新エネルギー利用等の促進に関する基本方針の改定について(概要)

  1. 趣旨
    平成14年1月の政令改正に伴い、バイオマス及び雪氷のエネルギー利用を、「新エネルギー利用等の促進に関する特別措置法(平成9年法律第37号)」における「新エネルギー利用等」として位置づけたこと等を踏まえて、「新エネルギー利用等の促進に関する基本方針(以下、「基本方針」という。)」について、所要の改定を行う。
    また「石油代替エネルギーの供給目標(以下「供給目標」という。)の改定(平成14年3月22日閣議決定)に伴い、改定前の供給目標を引用している基本方針の参考部分について、所要の改定を行う。

  2. 改定の内容
    1. 基本方針における「新エネルギー利用等」にバイオマス及び雪氷のエネルギー利用を付け加えるとともに、エネルギー使用者等が講ずべき措置等に関する基本的な事項等について改める。
      • 〔追加されるエネルギー利用等〕
        • ア 「動植物に由来する有機物であってエネルギー源として利用することができるもの(バイオマス)」を原材料とする燃料製造(バイオマス燃料製造)
        • イ バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料の発電利用(バイオマス発電)
        • ウ バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料の熱利用(バイオマス熱利用)
        • エ 雪又は氷(冷凍機器を用いて生産したものを除く。)を熱源とする熱を冷蔵、冷房その他の用途に利用(雪氷熱利用)
    2. 参考に掲げる各新エネルギー利用等の種類別の導入目標を別添のとおり改める。

別添の改定後の目標〕

(参考)本基本方針に掲げる新エネルギー利用等の種類別の導入目標

本基本方針に掲げる新エネルギー利用等について「石油代替エネルギーの供給目標」(平成14年3月22日閣議決定)の前提となっている導入目標を示せば、以下のとおりである。

新エネルギー利用等の種類 2010年度
太陽光発電 約482万kW
太陽熱利用 ※約439万kl
風力発電 約300万kW
廃棄物燃料製造 ―― (注1
廃棄物発電 約417万kW
廃棄物熱利用 約14万kl
バイオマス燃料製造 ―― (注2
バイオマス発電 約33万kW
バイオマス熱利用 注3) ※約561万kl
温度差エネルギー ※約58万kl
雪氷熱利用  
クリーンエネルギー自動車 注4約322万台
天然ガスコージェネレーション 注5約464万kW
燃料電池 約220万kW

※当該新エネルギー利用等の導入量を原油の数値に換算したものである。
注1)廃棄物燃料製造は、廃棄物発電及び廃棄物熱利用の内数。
注2)バイオマス燃料製造は、バイオマス発電及びバイオマス熱利用の内数。
注3)バイオマス熱利用は、黒液・廃材等(494万kl)を含む。
ただし、黒液・廃材等は発電として利用される分を一部含む。
注4)電気自動車、燃料電池自動車、ハイブリッド自動車、天然ガス自動車、メタノール自動車。
注5)燃料電池によるものを含む。

 

〔バイオマス関連抜粋〕

第4 その他新エネルギー利用等に関する事項

以下、重点的に導入を進めるべき新エネルギー利用等の種類別に、当該新エネルギー利用等の内容、特性及び今後期待される分野について示す。なお、これら新エネルギー利用等を行うに当たっては、環境保全に配慮するものとする。

  1. バイオマス燃料製造(バイオマスを原材料とする燃料を製造すること)
     これは、バイオマスを原料としたメタンガス等の燃料製造を行う場合を指すものであり、バイオマス発電及びバイオマス熱利用等のために行われるものである。

     バイオマス燃料製造は、バイオマスの固形化等により、保管、運搬等がしやすくなり、また、ガス化等により、天然ガスなどの鉱物性燃料と遜色の無い品質の燃料を製造することが可能であることから、バイオマス利用の範囲が拡大するとともに、単位体積当たりの熱量も増加し、より効率の高いエネルギー利用が可能となる。最近では、下水汚泥から得られるメタンを都市ガス利用するなどの先進的な取組も見られる。

     しかしながら、公共施設等で規模が大きい比較的安定した熱需要の確保や地域熱供給事業など大規模需要に対応するためには、現在のところ、エネルギー密度が低く、種類によっては腐敗性があるため長期保管ができないなどバイオマスの特性により、バイオマスの収集・輸送コストが高いことや、畜糞尿、食品厨芥等によるバイオマス燃料製造後の消化液の処理問題の関係から大規模な製造が難しく製造コストの低減が難しいなどの課題が存在する。

     今後、地域に賦存するバイオマスの種類、特性に合致したバイオマス燃料製造の進展を図るためには、経済的な収集・輸送方法の確立、バイオマス燃料製造技術及び消化液処理方法の向上等による製造コストの低減を進めることが重要である。

  2. バイオマス発電(バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料を発電に利用すること)
     これは、バイオマス又はバイオマス燃料等を燃焼させ、その焼却熱を利用して発電を行う場合を指すものである。

     バイオマス発電は、燃料に供されるバイオマスによって含水率や収集量に差があるため、焼却熱を利用して水蒸気タービンにより電力を得ることが有効であるものや一旦ガス化しガスエンジン等により電力を得ることが有効であるものなどがあり、それぞれバイオマスの特性に応じた発電利用を行うことが重要である。最近では、食品廃棄物等から得られるメタンを利用し発電を行うと同時に、残渣は肥料として利用するなどの取組や木材加工団地から発生する製材残材を利用し熱電併給を行う取組が見られる。

     しかしながら、現在のところ、水蒸気タービンを利用する施設に関しては燃焼炉の熱回収効率が一般の発電より低いこと、また、ガス化など中間処理を要する利用方法については、追加的な設備を導入することによるコスト増などの課題がある。

     今後、技術開発により発電効率の向上を図るとともに、発電設備の低コスト化のための技術開発やバイオマスの経済的な収集・輸送方法の確立等による製造コストの低減を進めることが重要である。

  3. バイオマス熱利用(バイオマス又はバイオマスを原材料とする燃料を熱を得ることに利用すること)
     これは、バイオマス又はバイオマス燃料等を燃焼させ、その焼却熱を利用して熱供給・熱利用を行う場合を指すものである。

     バイオマス熱利用は、製糖工場において生ずるさとうきびの絞りかすや製材所において生ずる木くず等を燃焼させて発生する焼却熱を工場内で利用するなど一定の潜在的な導入量が見込まれる。また、バイオマスやバイオマス燃料の焼却熱を利用して、周辺地域に熱供給を行ったり、高効率熱利用を行うことが可能である。最近では、木質ペレット燃料をボイラーに使用して公共施設内の暖房に利用するなどの取組が見られる。

     しかしながら、公共施設等の規模が大きい比較的安定した熱需要の確保や地域熱供給事業など大規模需要に対応するためには、現在のところ、エネルギー密度が低く、種類によっては腐敗性があるため長期保管ができないなどバイオマスの特性により、バイオマスの収集・輸送コストが高いこと、地域熱供給のためのインフラが整備されておらず、必要な追加的設備のコストが高いなど、主として経済性の面での課題が普及に向けた制約となっていることから、十分な普及には至っていない。

    今後、一層の製造コストの低減、地域熱供給のための環境整備を進めることが重要である。

 

 



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