木材産業において、木質資源のリサイクル化については、平成3年1月に木質廃棄物リサイクル研究会(本会参加。事務局:(財)日本住宅・木材技術センター)が設置され、数次にわたり研究会が開催され、同年9月に木くずを「ごみ」にしないためにという中間報告が行われました。その後、同センターで、平成4年度〜8年度まで、農林水産省の助成を得て、木質廃棄物の発生抑制及び再資源化を促進することをねらいとして、木質廃棄物の発生抑制・再利用の実態調査及び発生抑制並びに再利用技術に必要な関連技術の開発に取組み、各年度毎に報告書を取りまとめ、平成9年3月には「木質廃棄物再資源化技術開発総集編」として集大成されました。
また、平成3年9月には関係省庁が協調して、リサイクル推進協議会(本会参加。近藤次郎会長、事務局クリーンジャパンセンター)が設立され、リサイクル推進のために各産業分野の関係諸団体、消費者団体が結集して、活動を行っています。
木質資源のリサイクル化の現状は、既に確立されたマーケットとして、
等(紙・パルプ関係を除く)があります。
これ以外にも複合化技術により、新たな製品開発も検討できるといえますが、試験的に製品化できても工業製品化までを橋渡しするブリッジテクノロジーが必要になります。ベンチャー精神、イノベーションの実践が大切ですが、「もの」はできてもそれは必ずしも売れる商品とは限りません。また、売れる商品にするためのテクノロジーと同時に開発段階からのマーケティングが重要といえます。売れるまでの開発期間も長期化する可能性もありますので、その辺を見据えた周到な戦略をねり、状況の変化にも柔軟に対応していくことも必要ではないかと存じます。→3頁の下の図参照
事業化に向けての検討に際し、設備費については、事業家の創意工夫によりコストダウンは可能と思われます。一般的に、貴方任せ(研究者・メーカー等)で設備やプラントを導入しても「もの」はできますが、品質・性能が確保されているか、価格競争力があるか、安定的な販売が可能か、差別化が図れているか、独自性が図れているか などが問われてきます。常に、問題をニーズとしてとらえ、先送りしないで、前向きに改善していくこと、失敗の積み重ねは、逆に言えば、ノウハウの構築になります。軌道に乗せることは信念とやる気、不断の努力以外に優るものはないといえるのではないかと思われます。
新商品開発には県単・国等の各種の補助がありますので、それらを活用することも検討してはどうでしょうか。
異業種を含め共同で開発したり、地域全体として取組むことも検討できますが、役割分担、開発費の分担、商品化後の権利の帰属、利益が出た場合の配分等を開発当初に協議し、書類で取り決めておくことがトラブルを防ぐポイントになります。何はともあれ、事業家としての情熱や熱意なくして成功はないと思われます。