〔文責:企画部指導課・細貝〕

(財)日本住宅・木材技術センター新春講演会

 

 

日  時       平成13年1月12日(金)15:00〜18:00

場  所       (財)日本住宅・木材技術センター研究所 会議室

 

講演1 国産競争時代における木材加工業のあり方「中国木材の事業展開と将来展望」

堀川保幸 中国木材梶@代表取締役社長

 


はじめに

10年前に自宅を新築したが、その際、グリーン材を使用した。1年後には床がガタガタに波打つなど欠陥住宅となった。これが我々の供給している木材の住宅であろうかと思い、それなら、早く乾燥化しなければ欠陥商品を売ることになり、企業として致命傷になりかねないということを強く感じた。

その際、我々の立場でいくら説明しても信頼されないので、公の機関にデータを出してもらうために住木センターにお願いした。その結果から、グリーン材と乾燥材のデータ差がはっきり出たので、そのデータを工務店に持っていたが、当時はなかなか理解してもらえなかった。

それが93年頃で、その後、95年に阪神・淡路大震災が起きた。地震が起きた時、仕口やボルトが緩んだ程度の問題に止まらず、在来構法それ自体の欠陥が指摘され、在来構法がだめになるのではないかとの危機感を持って、香川県の多度津で大掛かりな実験をやった。

 

1.中国木材の沿革と事業展開

中国木材は変化を続けてきた会社で、祖父の代は樽屋で戦後、樽から瓶に変わり商売がなくなり貧乏した。戦後、父の代(昭和28年)になってチップを始めたが、その後、チップも輸入チップの時代になりだめになったことから、昭和42年に北洋材の製材を始めた。北洋材の製材で垂木、さん木というものだけでは将来がないと考え、集成材なども始めた。昭和48年には北洋材製材を2シフトで年間12万m3こなした。北洋材も当時のソ連では原木の入荷が不安定で原木が切れたことがあった。製材工場にとって原木が切れるということは致命的であり、また、当時、米材の全盛期でもあったことから、瀬戸内筋で米材を集めベイマツの製材を昭和52年に始めた。ベイマツの製材も状況が厳しくなり、何とか生き残るためには大型製材しかないと思い、年商の数倍の投資をして工場を建設した。

その間、乾燥の他、95年にプレカットを始めた。プレカットは3ラインで31日24時間回せば2万坪できると考えた。プレカット工場も最初は本社第5工場の三階に作ったが、現在は郷原工場に集約化している。プレカットは場所がないから次の場所でやるというよりは、一箇所集中でやった方が効率が上がる。

集成材も97年からやっている。乾燥も昭和62年からやり始め、現在、420基となっている。13mの長さのベイマツが60m3入る蒸気式の乾燥炉である。乾燥は最初は低温除湿、スピドラ、遠赤外線、高周波などいろいろ試し、蒸気式でも90℃、120℃と試したが、現在は蒸気式の80℃とし、13〜18日の乾燥スケジュールでD20以下(含水率計は針式の電気抵抗型で測定しているが、全乾法でも測定し、常に差異を見て調整している)としている。乾燥炉から出てきた木材は、10〜22%の含水率となるが、20%以上はハネている。平均すると15%というのが中国木材の乾燥である。

 

2.生産規模

2000年の生産状況は、原木消費量が1,667千m3、グリーン材は生産量が落ちてきて645千m3、乾燥材が前年比161%の278千m3、集成材が24千m3、プレカット加工が115千坪となっている。

2001年は製材で100千m3増やす予定で、1,770千m3の原木消費量、乾燥材が445千m3、集成材も60千m3を予定している。乾燥の能力は乾燥材が足りないため欠陥住宅を増やすということがないように月40千m3でかなりの余裕をもって展開しようとしている。集成材の生産能力も月10千m3体制に設備を増強中で、今年の秋くらいまでには完成させる予定である。

乾燥材、集成材、プレカットで現在の顧客の要望に応えるように努力している。

 

3.グリーン材時代から乾燥時代へ

3-1 グリーン材時代の米材流通(国内挽きと現地挽きの比較)

今回、国際競争化時代における木材加工業のあり方という演題なので、内容に入りたい。グリーン材時代の製材の場合は、丸太を輸入して日本で製材するということは日本の製材工場にとっては大変都合が良かった。本国挽きでカナダ、米国からグリーンの製材が入ってきてはいたが、競争力は日本の製材工場の方が勝っていたことは間違いがない。理論上は北米の製材工場がどんなに合理化しても日本の製材工場に勝てないということがある。というのは、グリーン材は一日一日乾いてくると、縮んだり、狂ったり、色が変わりなどで変化する。北米で製材して直ぐに船に積むことにはならない。2万トン前後の船に積むまでに15〜20日掛かる。また、北米で2〜3港で積むことになると10日間以上掛かるので、船に積み終わるまでに一ヶ月掛かることになる。北米から日本まで16日見当掛かる。日本で複数の港に降ろすことになるので10日掛かる。そうするとこれで約2ヶ月掛かる。更に、在庫なしで売れるかというとそうではなく、本国挽きの在庫を見ていると1ヶ月前後ある。従って、トータルでいうと、本国挽きのグリーン材は、日本の顧客まで行くのに2〜3ヶ月ということになるため、縮んでクレームが発生し、色も悪くなるため、グリーン材の時代は、本国挽きよりも内地挽きの価値があった

では何故、北米から製材製品が入ったかというと、保護貿易ということが背景にあり、丸太は輸出禁止のため北米の製材業者が使う丸太は我々の使う輸出丸太より同じ規格のものが2〜3割安く、本国挽きは安い丸太で安く売らないと売れないということがあった。そのように安い製品が日本の商社や製品問屋に入ってきてもグリーン材の時代には製品で持っていた人はほとんどいなかったのでないかと思われる。

それに対して、日本の業者は丸太を輸入して製材して顧客のところに届ければ直ぐ金になり、狂っていないし、色も良いということでグリーン材の時代は国内挽きの優位性があった。

 

3-2 乾燥時代に入ると国際競争が激化(日本市場を虎視眈々と狙う海外企業)

しかし、現在、乾燥の時代になって、まともな乾燥材や集成材は6ヶ月おいても品質に変わりはなく、商品価値が落ちるということはない。今からが、本当の熾烈な国際競争になるのではないかと思われる。逆に、今までのグリーン材の製材では苦しむことになる。現在、ヨーロッパの乾燥材、集成材がものすごい勢いで増えている。

日本ではいろいろな面で高コストである。例えば、人件費が高い(日本100%、米国70%、カナダ60%、ヨーロッパも同様、ニュージーランド半分以下。中国・ロシアは更に低い。為替の問題もあるが、ある意味で日本で作る意味がなくなっている。)。それと土地が高い。2年前にドイツへ木材加工企業の視察に行った際、そこでは製材、乾燥、集成材、プレカットをやっていたが、100千坪の土地が坪5千円であった。当社で乾燥のために96年から昨年の秋までに37千坪の土地(郷原団地)を買ったが、坪10万円であった。そうすると20倍の差があることになる。

国産競争になるとどのように為替問題に対処(為替との競争)するかということがある。例えば、ドルが95年4月に79.75円まで下がったが、98年の8月には147.64円と185%上昇した。しかし、製品輸入との競争では有利になる。現在、約117円、ユーロを見ても99年の1月から132円で出てきて、2000年の10月には88円、ヨーロッパの集成材業者、乾燥板を集成材のラミナとして供給する業者はコストが60%台になるので元気が出るはずである。為替の問題というものは日本で木材を扱う以上、当然、対処していかなければならない。

また、ヨーロッパからの輸送コストつまりフレート(との競争)がなぜ安くなったのかということを考えなければならない。現在、ヨーロッパからくるコンテナは6500石入り、10年前は3500石入りで運賃は同レベルなので、運賃は6割の水準と言える。コンテナは大型化して、輸送コストが安くなっているのである。10年後には8500石入りのものも出てくる可能性もある。但し、港の荷役の関係があるので現在のサイズで留まる可能性もある。

コンテナは行き荷と帰り荷とのバランスでべらぼうに安くなる。例えば、ヨーロッパから米国の東海岸までのコンテナ運賃と、日本に運ぶ運賃はむしろ日本までの方が安い。距離は日本に来る方が約3倍ある。何故かと言うと、コンテナを持っていくと空荷でも持って帰らなければならないので、帰り荷はべらぼうに安くなる。反対に、帰り荷の方が多くなると帰り荷の運賃の方が高くなる。従って、ヨーロッパからの運賃は安くなる。しかし、これがいつまでも続くとは考えにくい。運賃は帰り荷とのバランスにより半分になったり、3倍にもなったりする。只、日本までの運賃は安いということは間違いがない。フレートがどうなるかということを見ておく必要がある。

日本で物作りする場合、人件費、土地が高いとということに加えて、電気代が高いという問題もある。今までのように一日も早く、製材して届けるということが通用しないので、日本の木材業はこれから更に厳しくなってくる。新たな展開をする場合、土地が半分の値段になったとしてもドイツの10倍であり、コストが高くなるということは覚悟しなければならない。

 

4.「製材業は物流業」の理念実現に向けて

〜物流コストを如何に下げるかが課題

4-1 北米原木の大量輸送体制の確立

製材業は、丸を角にするだけでは厳しくなるので、加工度を上げる必要がある。また、当社の場合、製材コスト1に対して、物流コスト(米国のウエアハウザーの丸太を船に積むコスト、フレートコスト、日本での荷降しコスト、工場まで入れるコスト、できた製品を顧客に届けるコスト)は2.5倍である。顧客は、プレカットが多いが、物流が大切である。現在、当社では、3万t前後の船6〜7隻をはりつけてピストン輸送しているが、そのコストを見ると、例えば、公共バースでトレーラーに積み、工場まで500m走り、そこで降ろすと500円/m3程度掛かる。そうすると、年間150万m3あるので、7.5億円掛かることになる。このようなことから、当社では、自家用バースを21億円掛けて造ったが、3年で償却でき、後は、その分のコストダウンが図れることになるというもくろみからである。また、1港積の1港降しとしているため、現在の船で64千$掛かり、52隻となるので、約3.7億円である。

自家用バースに加え、今、自社では水面貯木場(約1万坪)を埋めて岸壁揚にするよう計画(今年の夏完成)しているが、これにより総貯木能力が 6万m3→10万m3へ拡大させる予定である。さらに、これから考えているのは、船を3.5万tにすると、積み出し(積込み等のコスト)が25%程度アップするが、全体で17〜18%はコストダウン可能である。米国から工場に入るコストだけでも12億円掛かっているので、今後、5〜6億円のコストダウンが図れるはずである。

 

4-2全国展開へ、販売・物流体制を確立

 〜工場立地が重要〜港湾製材のメリットを最大限に活かして物流コストを下げる

製品についても当社は80%船で出している。本社、岩国支社から全国6箇所の物流センター(仙台、東京、静岡、名古屋、大阪、岡山)に、499型専用船(2,000m3)2隻と630型専用船(2,500m3)1隻、その他内航船で輸送している。例えば東京についてみると、現在、年間20万m3を送っているが、これらを2,500m3の船でピストン輸送している。船は最初は700m3であったが、1,500m3、2,000m3と大きくしている。コストはフレートだけで800円、積み込みと積み下ろしを加えてもトラックで運ぶことを考えると1,500円は違う。これだけで約3億円である。東京だけでこれだけのコストの差が出ることを考えると如何に物流が大切であるかわかる。

日本で製造することは外国に比べてコストが高いと言うことがあるが、一方ではこのようなコストダウンの方法もあるので、合理化の道があるのではないかと思われる。

 

5.今後の課題〜国際競争に生き残るためにはどうすべきか 〜世界レベルで競争できる

製材・乾燥材・集成材を目指す

5-1 製材〜更なる生産性の向上・多種多様なユーザーニーズに対応

これから、本当の国際競争になるのであるから、製材においても乾燥においても集成材においても日本ではコストが合わないというのではなく、どのように対処するか考える必要がある。ヨーロッパから、何故これだけ製品が入ってくるかと言うと。製材の合理化が終わっているということがある。例えば、ヨーロッパの製材スタイルはリンクスタイル(工程間の統一:大割から末端工程まで加工待ちなどのロスタイムがなく、同じスピードで流れる。)が多いが、最初は毎分60mのスピードで始まったが、現在では120mというのが普通である。将来は180mを目指そうとしているようである。しかし、60mと120mでは同じ工場で倍の仕事をすることになるので生産性に大きな優位性がある。ヨーロッパの製材工場では3シフトが当たり前であるが、2シフト、3シフトで倍もやれば4シフト以上になる。ヨーロッパはこれまでの長い間に製材工場の合理化に取り組んできたことからユーロが安くなってくると日本に攻めてこれる。逆の立場になったときに、日本の製材が攻めていけるかというと、もう既にかなりの格差がついているのではないかと思われる。

しかし、日本で製材できる以上は、それに近づくことを考えておく必要がある。当社は一人当たり19〜20m3/8時間の生産性であるので、今の世界レベルの製材工場では60〜80m3の生産性は案外簡単に行くものと思われる。最近の世界レベルの製材工場はセンサーがよくなってきているので、製材する前に細かく工程分析することが可能で、日本でもツインソーの台車で往復挽きでやっているのが多いが、欧米では、今後、クワッド(帯のこ4枚)、スラバー(丸鋸2枚)付きシーャープ・チェーン(爪付きチェーン送材)の方式に移行し、バックなしの連続送り、切削の製材になるものと思われる。当社の製材は分速60mであるが、120mはいくものと思われる。

そうなると、2枚鋸がクワッドで4枚に、スラバを付けて6枚に、スピード倍で、6倍、バックなしなので合計で10倍程度になるので、一人8時間当たり80m3位の生産性になると思われる。世界と競争する以上は世界のトップレベルになる必要がある。

現在、プレカットをやっていて、端材が1割とか1.5割とか発生する。これは無駄なので1/3とか1/5にすることができる製材ができないかということが、当社の次の課題である(ユーザーニーズに沿ったきめ細かな製材:短尺材)。また、乾燥化、集成化によるロスが8%あって、これを金額にすると、約4,800円/m3ということになる。この無駄を排除するため色々な工夫を凝らせているが、このようなきめの細かさはおそらく海外ではできないものと思われる。我々はできる可能性がある。まだやっていないし、時間もかかるがそのような可能性を求めている。

それと、プレカットと一体となった製材(乱尺材によるロス無しプレカット)、例えば、CADでどのようなものがどれだけ必要かということが直ぐわかる。それと直結した体制作りが求められる。我々は、顧客に種類の多いものを間に合わすことが大切ではないか。そのようなことを考えると、連携プレーが将来できるのではないか。そのような道もあるのではないかと検討している。

 

5-2 ドライ・ビーム〜乾燥事業は基本的には電気代と蒸気代

ベイマツ・平角に対しては、お金さえもらえるのであれば全て乾燥(ドライ・ビーム)し、D20以下のものをお届けするということを準備をしている。現在でも4万m3/月の生産能力があるが、それだけの準備をして間に合わす体制を考えている。しかし、乾燥と言うものは究極的には「電気代」+「蒸気の熱源」であるので、それを如何に下げるかと言うことしかないのではないか。いろいろな考え方があるかもしれないか基本的には電気代と熱源ではないか。

現在、重油を炊いてかなりの乾燥炉ができているようであるが、国際競争時代には生き残れるシステムとはいえないのではないか思われる。

私は、乾燥機メーカーには今のような乾燥機では、現状では売れても直ぐにだめになるのであるから、直ぐ、外して、当社の工場に持ってこれるようにしてもらいたいと話している。そうしないと、折角、国の補助事業で投資した乾燥炉がスクラップになってしまう。我々は、それを有効に使わせてもらって安い乾燥ができる。重油で炊くと言うことは国際競争に生き残れないので基本的には止めるべきではなかろうかと思われる。

ではどうしたらよいかと言うことになるが、建設リサイクル法で解体材のリサイクルが必要になっていること、プレカット工場や木材加工工場で焼却炉を設けているが、ダイオキシン問題があること、このような現状を考えると、廃木材を集めて、その廃熱で乾燥することが、国産的に競争できる乾燥ではないかと思っている。従って、自家発電付の乾燥が考えられる。現在、当社では660Kw(330kW×2基)の発電機を使っているが、今年中に2000kW級の設備を増強することを進めている。将来は、1〜2万kWの自家発電を付けてやるくらいのことを考えたい。2000kW程度では10%程度の発電効率であるが、2万kWになると、30%になるので、電源開発とも相談しながら検討している。

→大きな発電機と熱源が必要。そのためには乾燥事業の大型化が必須

乾燥炉は低圧蒸気で乾燥熱源が取れるものが必要で、電気を取りながらやる必要がある。原料も建設リサイクル法などで、無償や処理費がもらえる燃料チップが手に入るのではないかとも思える。そういうことを考えながら、乾燥事業を考えていけば生き残れるのではないかと思われる。

例えば、2万m3の製品を供給すると言うことになると、その製品を運んだ帰りに、廃木材を集めてくればよいことになる。わざわざ廃木材を集めるのではないので集めるためのオイルもいらない。帰り荷を利用した廃木材の回収を考えていきたい。

乾燥事業は、蒸気と電気でやればスギ(国産材)の乾燥についてもいっしょにやることが可能となるので、スギを救うことが可能ではないか。乾燥事業なくしてスギを救うことはできないと思われる。

乾燥事業については、大きな赤字をつぎ込んだが、乾燥なくして軸組なしという信念から展開している。

当社は、全乾法でD20以下になるようにしているが、最終的にはD15以下(上限)まで挑戦すべきではないかと思っている。何故かというと、木造住宅の良さを出すためには、構造体の壁の中や天井の中に入れるのではなく、木を見てもらう工法(柱・梁あらわしの木造軸組住宅)が重要ではないか。今の在来軸組は、外から見ても中から見てもツーバイやプレハブと変わらないと言うことは木材を殺している。現し工法で梁や柱を見てもらえるようなことになると乾燥が重要であると言うことを工務店が認めてくれるのではないか。また、このような工法にしていかないと、軸組の将来がないのではないか。

これまでにもプレカットは進化してきたが、今後も進化を続け、最終的には内装までプレカット(→内装材のプレカット)となる。現場で鉋がけなども不要になり、加工部材は、ビスを打つだけといったことになる可能性もあり、坪5万円とも6万円とも言われている大工手間賃も半分になるかもしれない。そうなると、プレカットの精度も一段と上げる必要があるので、D15というのが必要になってくる。それも含水率計で計測して表面の含水率でD15というのは通用しない。材の芯まで乾かさないとごまかし商法になってしまう。

乾燥事業でこれまで30億円の損失となっているが、これからハウスメーカーではなく、大工さんの時代が来て、現場では取り付け中心で、大工コストが下がり、乾燥が理解(コストが受け入れられる)されるようになると思われる。

最終的には、D15の時代がくることを確信している。技術的には十分可能である。

 

5-3 ラミナ・ビーム〜世界レベルの機械を集め、世界最高レベルの集成材工場を担う

ラミナ・ビーム(集成材)であるが、近年、根太のない、厚板合板を使った工法が出てきている。また、垂木も売れない住宅工法になってきている。小割材は価格的にも下がってきている。壁にも間柱、筋交が不要なパネルでやることになる。屋根もそのようなパネル工法になると母屋角があっても垂木はいらないと言う可能性もある。製材をやる以上は割り材をこなせる体制を作っていかなければいけないので、その意味でも集成材をやらないと成り立たないと言うことがある。

グリーン材の小割→ラミナへの転換による製品バランスの維持と量的拡大

住宅の色々な工法の動きを見ていると、まだまだ小割の需要が減少し、価格も下がっていく可能性がある。

集成材についても世界のコストに競争できる工場を作る必要がある。現在、やろうとしている工場は、スゥェーデンのワコー(WACO)社の毎分300m走るプレーナを設備する予定である。3mの板は0.5秒で走る。欠点除去も肉眼で見てカットしていたわけであるが、カメラで色々な角度からチェックして、欠点を自動的にカットしていくと今までの十倍の効率化が図れる。そういう世界最先端の機械を導入することが必要である。銘建工業はオーストラリアで合弁の工場を稼動させているが同じ機械が入っている。相談したわけではないが、世界レベルとなるとそのよう機械になるようである。その他、フィンガーやプレス機についてもドイツの優秀な機械がある。世界のレベルで集成材工場も作っていく必要がある。

きめ細かさと言うことも考えておく必要がある。例えば、ランドワーク部材(屋外用部材)や内装材を作ることも始めなければならないと思われる。

スギとの異樹種混合集成材というものも研究している。スギは鹿児島の山佐木材が担当し、ベイマツとスギでヤング100程度のものは比較的簡単に作れると考えている。ヤング120というものを正直に作るとすると欠点のカットの連続になり、できることはできるが歩留まりが極端に悪化する。

ヤングについては、100と140にしたほうが合理的で、120は中途半端である。集成材はE105を作ってこれが、確かに105であるという作り方、JASのE120は本当に120で作られているのかという問題がある。

乾燥材、集成材、製材は世界的コストで競争できる体制作りが重要である。それと、立地ということを考える必要がある。

 

5-4機械プレカット〜進化はこれから、無限の可能性とプレカットの進展

プレカットに求められること

= 品質 コスト 納期 情報

プレカットは先ほど話したように進化しているが、1ラインが10〜15坪/時、24時間、31日回すことをやっていくことが必要である。プレカットは、注文あっての話なので、売れるときは24時間、31日で回していく必要がある。売れないときは、2シフトくらいでゆっくりと回すことが重要ではないか。

プレカットと手加工は屋根に登ると直ぐ分かるくらい精度が違う。プレカットラインは、24時間3シフトで回せば顧客のところに直ぐ届けられるので納期が早くなる。CADでは、情報も強度計算や品確法の性能表示もできるようになる。羽柄のプレカット、サイディングプレカット、面材プレカット、パネル化などまだまだ進化する。最終的には内装材のプラモデル化まで進展(建物の精度確保)金物接合プレカット工法が普及してきている。

品確法時代においては、機械プレカットCADの販売・生産の連動が欠かせない

今後はプレカットが中心になってくると思われるので、意欲のある材木店(小売)との連携が重要になっている。

今更、意欲のある材木店でプレカットに投資できないと言う向きには、端末CADを設置すれば、プレカット材を扱える。端末CADとハブになる大型プレカットメーカーとの連携と言うものが今後のプレカット業界の再編にもなると思われる。

→CADデポを核にした「安くてよい住宅が早くできる」体制作りが必要

 現在CADデポ16社19台→ますます増やして将来ハブ・プレカット体制を目指す

注:CADデポ(DEPOT−倉庫、駅)とは、CADの出張所という意味合いで、プレカットの端末CADを材木店におき、そこで入力したものをメール等でプレカット工場に送り加工してもらう。とかくプレカットは材木小売店の中抜きと言われるが、こういう方式に参加すれば、材木店も立派に生き残れるという考え方。中国木材のプレカット量の6割は関西地区でのCADデポが占めている。ハブ・プレカット(いわゆるハブ空港と同じ図式)とは、プレカット工場をハブにして、複数のCADデポが周りを取り巻くという考え方。

 

この20年間で国産材においても大きく変化しており、例えば、供給量では広葉樹が1/3、アカマツ・クロマツも1/3になっている。一方、ベイツガの丸太は激減となっている。北欧の集成材、昨年は200%近い伸びとなっているし、同時に集成材も伸びているし、製材製品も伸びている。10年前にベイツガが減少することやヨーロッパから製品が入ってくることを予想した方はいなかったのではないかと思われる。これくらい変化するのであるから、我々加工業は変化に対して如何に早く対処するかと言うことが重要で、うかうかしていると何も仕事がなくなってしまう。スピードの時代なので変化に対応するスピードが重要である。コストの高い土地で木材加工を展開しているがまだやる道はあると確信している。

→ドライ・ビーム、ラミナ・ビーム、機械プレカットの3点セットを徹底的に推進し、木造軸組住宅の生き残りを図る。

 

 

 

 

〔キーワードとコメント〕

当初は、樽からスタートしたが、当時としては売上についても利益についても高いとはいえないものがあったと考えられる。

中国木材が自企業を取り巻く経営環境の変化を分析し、試行錯誤の中で新しい考え方により次のステップに進み新たな収益の大黒柱を築くという経営革新を行っていること、それが賞味期限を迎える前に、新たな柱を考え、集中的に設備投資を行うという持続的な革新の繰り返しにより、現在の姿になっている。多角化というよりも木材の「多柱化」展開とも言える。

それがあるのは、堀川社長がトップとして、常にこれでよいのかと、客観性をもち、考えて、考え抜いた「基本的な考え方」に基づく、企業ビジョンと戦略、戦術が機能して実現しているものと思われる。

・     基本的な考え方と信念と情熱

・     常にチャレンジ精神

・     経営の結果を他人のせいにしない

・     時代の変化にあわせて企業を革新

・     モノづくりの革新と同時に物流革新

・     顧客満足度の向上

・     木材企業のオリンピック選手として優位を保つ

 

 



          表1 中国木材の沿革 〜時代の変化に合わせた企業革新〜

戦前

酒樽製造(祖父の代)

戦後1953年(昭和28年)

木材チップ工業の日本における初企業化

1955

中国チップ工業叶ン立、広島県より発明研究奨励金

1957

広工場建設(旧軍港市転換法により旧海軍用地の払い下げを受ける)

1961

社団法人日本木材加工技術協会より木材加工技術賞

製材業、そして木材加工業への転換

1967年(昭和42年)

北洋材製材開始(関連会社マルホ木材工業叶ン立)

1968年(昭和43年)

中国チップ工業鰍中国木材鰍ニ商号変更

1968年(昭和51年)

呉市虹村工業団地内に虹村工場(現第5工場)建設

1977年(昭和52年)

米材製材開始(全工場を改造:米材・北洋材両樹種製材体制確立)

1983年(昭和58年)

米材専門大型工場の建設着手、稼動開始

1985年(昭和60年)

北洋材製材停止、米材製材に経営資源を集中

1987年(昭和62年)

ベイマツ平角材の乾燥研究開始。第七工場完成稼働開始

1988 年

第八工場完成し稼働を開始

1989年

樺国木材バースを中国木材工業鰍ニ商号変更し新体制発足

1989年

乾燥平角「ドライ・ビーム」製造開始

1991年(平成3年)

本格的な乾燥工場の建設着手、稼動開始

1992年

本社に3万8千トンバース完成

1994 年

乾燥平角「ドライ・ビーム」の商標登録認証、第5工場(乾燥・プレカット工場)建設着手

1995年(平成7年)

プレカット工場稼動開始

1997年(平成9年)

集成材工場稼動開始、ベイマツ集成材「ラミナ・ビーム」JAS認定取得

1988年

中国木材工業(株)と合併

2000年(平成12年)

乾燥炉420基(12月末現在)

 

表2 中国木材の過去5年間の生産・販売実績

 

1996年

1997年

1998年

1999年

2000年

原木消費量(本社/岩国)

1,407,273

1,176,832

1,225,302

1,422,821

1,667,000

グリーン材販売量

 799,084

 674,627

 632,087

 672,439

  645,000

乾燥材販売量

  87,909

  70,138

104,539

172,998

  278,000

集成材販売量

       86

      822

7,425

   15,557

   24,000

プレカット加工量(坪)

   25,619

   30,584

   37,931

   79,207

  115,000

 

表3 国産材丸太樹種別生産量の推移

 

国産材

針葉樹

広葉樹

スギ

ヒノキ

赤・黒マツ

カラマツ

エゾ・トドマツ

1980

3,405

2,143

1,262

845

357

421

119

292

1990

2,930

1,955

  975

859

318

277

164

260

1999

1,874

1,503

  371

790

237

144

155

145

99/80

(55%)

(70)

(29)

(93)

(66)

(34)

(130)

(50)

 

表4 外材丸太の輸入量の推移 (単位:万m3) 表5 米材製材品の輸入量の推移(単位:万m3)

 

米 材

ベイマツ

ベイツガ

北洋材

 

 

製材品計

ベイマツ製材品

ベイツガ製材品

1975

930

314

467

721

 

1975

   223

    25

   144

1980

1,044

481

429

567

 

1980

   384

    27

   263

1990

1,055

621

248

402

 

1990

   572

    78

   320

1999

  466

339

     69

574

 

1999

   453

   131

   162

 

表6 構造用集成材の生産量及び輸入量の推移

 

 

 

 

 

 

国産集成材

輸入集成材

欧州産輸入集成材

欧州産輸入集成材

1992

12.7

2.1

0.0

0.4

1993

14.0

5.9

0.1

23.7

1994

17.4

9.0

1.8

55.8

1995

20.8

14.8

3.4

83.2

1996

34.0

23.1

6.5

120.0

1997

38.5

26.7

12.0

176.0

1998

37.4

14.8

6.5

110.1

1999

48.4

27.1

16.0

187.0

2000予

約65

約45

約30

約220

資料:日本集成材協同組合(国産材集成材はメンバー会社の集計量)

注1:欧州産輸入集成材は±0.2程度の誤差がある。

 

注2:欧州産輸入集成材にはプレハブ用原板や造作用集成材のラミナを含む。

 

 

〔参考:平成12年9月11日:日本木材加工技術協会年次大会(松江)における中国木材堀川社長講演より木材乾燥の実情を抜粋〕

 

1.    乾燥材の実情

1-1       様々な乾燥材

天然乾燥させたもの(桟木を入れて自然に平角を乾燥させると平衡含水率に達するまでに1〜2年の乾燥期間が必要)から、乾燥機に一日だけ入れたものまで様々な乾燥が存在する。

マーケットに出回っている乾燥材の品質は、含水率25%のものが大半を占める

しかし、木材は含水率30%程度から収縮が始まる。含水率25%程度の乾燥は、その重量を少しは軽くするが、本物の乾燥ではない。本物の乾燥は含水率15%前後である。

含水率15%とするベイマツ平角の乾燥コストは約2万円掛かるので、含水率1%当たりの乾燥コストは1,330円(2万円÷15%)ということになる。従って、含水率25%の木材は15%の人工乾燥材よりもその差額の10%(13,300円)分安い評価になることがいえる。

 

1-2       人工乾燥材の真の目的

重量を軽くして輸送コストを下げる。あるいは、カビが生えないようにするためだけではなく、

家を建てて、何年経っても狂いがほとんどなく、変化が極めて小さい材料が本物の乾燥材である。

 

1-3       中国木材のドライ・ビーム

日本の気候に適した平衡含水率は12〜15%である。

・     当社のドライ・ビームは全乾重量法による測定で、現在は、平均含水率15%台に管理している。

・     既存の携帯型の含水率計では、一般的に、材表面部分の測定であるため、全乾法と同じ結果を得ることは困難。特に、製品の断面寸法が大きくなればなるほど、表面と内部の含水率の差は大きくなるので正確な含水率測定は困難。→ 全乾重量法が最も正確な含水率測定法

・     ドライ・ビームの価格の推移

         1992年       1993年      1995年      1999年実績

グリーン材+15,000円/m3 → 12,000円/m3 → 15,000円/m3 → 18,000円/m3

 

2-3       乾燥コスト

乾燥コスト=収縮費+乾燥、加工コスト(m3当たり)

(平均含水率を18%以下にするためのコスト、歩留り81%の場合)

 

 

収縮費

  グリーン材価格   歩留り    丸太価格    グリーン材価格    収縮費

35,500円/m3 ÷  0.81  =43,200円/m3 − 35,000円/m3 = 8,209円/m3

   40,000円/m3 ÷  0.81  =49,383円/m3 − 40,000円/m3 = 9,383円/m3

45,500円/m3 ÷  0.81  =55,556円/m3 − 45,000円/m3 = 10,556円/m3

 

乾燥・加工コスト                                                    単位:円/m3

 

46期実績

47期実績

48期目標

数年後

変動費(主に電力費と輸送費)

2,333

2,300

2,200

2,000

人件費

2,226

    2,200

    2,100

  1,500

その他経費(減価償却費)

8,741

    7,000

    5,500

  2,000

    合  計

13,300

   11,500

9,800以下

5,500前後

 

 製材と乾燥加工の投資額比較

〔製材:当社7工場〕

  投資額 約25億円 → 2シフト製材量  35,000m3/月  71,400円/m3

〔乾燥:当社5工場〕

  投資額 約40億円 → 製品出来高    10,000m3/月  400,000円/m3

乾燥材の多品種大量生産方式が必要

乾燥コストを低下させるには、如何に耐用年数の長い乾燥炉を選択するかが重要なポイント

合計コスト

   

グリーン材価格

収縮費

 

乾燥、加工コスト

 

コスト合計

    35,500

     8,209

         11,500

  19,709

    40,000

     9,383

         11,500

    20,883

    45,000

    10,556

         11,500

    22,056

 

住宅一戸当たりのコスト

2階建て、総床面積40坪の住宅で2階床に使用する平角の量は平均3.2m3であるので、

    3.2m3 × 20,000円/m3  = 64,000円/m3(1,600円/坪)のコストアップ

 横架材全てでは、8.0m3×20,000円/m3 =160,000円/m3(4,000円/坪)のコストアップ

 注:グリーン材での上棟は、狂うことを前提に大工技能者が長い時間をかけて補正する「人件費」に占める割合が5〜6万円/坪と大きい。今後の乾燥材・集成材の普及とプレカットの利用で、住宅のプラモデル化により、大工賃を3〜4万円/坪程度まで引き下げることができれば、乾燥使用のコストは十分元がとれる。また、加工精度の向上によるクレーム減少効果も大きくコスト低下に寄与する。

 


講演2 地域ネットワークによる住宅建築〜IT(情報技術)を軸とする関係業種連携〜

高橋寿美夫 鹿児島建築市場協議会代表(潟xンシステム 代表取締役)

 


1.建築ネットワークの概要 

〜3ヶ月連続住宅受注ゼロを革新〜

市場の概要は、1996年に鹿児島で7社の建築業・不動産業が不動産情報ネットワークシステムを立ち上げ、その後30社になったのが98年であった。その頃、ある会員が最近おかしいとの話が出てた。その内容は、最近受注が取れなくなったということであるが、経営者同士の集まりでは、受注が取れないという話が中々出てこないものであるが、その話題をきっかけにメンバーのほとんどが受注ゼロとの話になった。参加メンバーは大体、年間20〜30棟の住宅を手がける工務店であるが、それが3ヶ月も受注が取れないというのはこれまでなかった。当時の鹿児島県の平均的な住宅の受注坪単価は40〜42万円程度であった、

受注が取れない原因は何かと言うことを分析するため、マーケットリサーチ(市場調査)を行った。住宅メーカーは坪60万円程度の住宅を供給するのがこれまでだった。地方の工務店の場合、大手ハウスのブランド力に対抗するため、大手と比べ同じグレードのもので2割程度安くないと受注が取れないものであった。受注が取れない理由は、大手ハウスが1998年頃から、坪45万円で販売するようになったことが分からなかったため、相変わらず40〜42万円で販売していたため、価格差が1割もないということがあった。

このようなことから価格面で受注が取れるようにしないといけないということになり、価格と言うもので受注が取れるようにする必要があった。同じ品質で、住宅メーカーより2割安い坪32万〜35万円の住宅を造ろうとして、皆で知恵を出し合った。最初に、ネットワークを立ち上げ「建築資材及び設備工事の共同受発注」をやろうとした。資材メーカや1次卸店に交渉した結果、20棟や30棟では相手にされないため年間500棟位のロットを集める必要があった。

そのためとりあえず、年間500棟の共同受発注のためのマーケットを造ろうとしたのが出発点であった。基本的な考え方が受注を拡大するという単純な考え方であった。

 

2.SCMに基づく建築EDI

それ以降、2年掛けて、SCM(サプライチェーンマネージメント:原材料や部品の調達に始まり、生産/物流/販売へと至る一連のモノの流れから「ヨドミ」を取り払う経営手法で、サプライチェーン(供給連鎖)横断的に、実需をつかみ、売れるだけ製造し、早く顧客に届ける仕組みの実現をめざすもの。顧客満足を向上させ、実需に即応できるように最適化する取り組み。)による建築EDI(電子データ交換:異なる企業間で、商取引のためのデータを、通信回線を介して標準的な規約を用いて、コンピュータ間で交換するもの。)の構築をテーマに皆で取り組んだ。出発点は、単純に受注を取りたいと言うことでスタートしたのが鹿児島建築市場であった。

現在、鹿児島県で150社のネットワークに育ち、昨年度は、宮崎県建築市場(南・北それぞれ)、福岡県建築市場、九州広域市場が立ち上がり建築市場の情報ネットワークの拡大を行っている。そして、昨日、関西広域市場(2府・4県)の立ち上げのための協議会が立ち上がり、SCMに基づく、建築EDIのネットワークシステムが広がりつつある。住宅産業は基本的には地域の地場産業で地域の経済の活性化というものに焦点を当てている。SCMという供給連鎖と言う中で工務店経営、若しくは、建設業界全体のSCMを考える必要があるのではないかと思われ、鹿児島建築市場を展開している。

SCMに基づく建築EDIの基本的なものの考え方は、工務店の支援システムをやろうじゃないかとして、工務店がBtoC(企業対消費者)顧客の集客機能を先ず持つ必要がある。顧客を集客した後、その顧客の希望する住宅をリアルタイムにレスポンス(応答)を早く、設計図面のプレゼンテーションを作らなければならないというのが最初の入り口の支援システムであった。

これまで建てた住宅の2000プランの設計図(平面・立面・パース)のデータベース化した。通常、住宅メーカーはCD(記録媒体の一種)に記録された情報をノート型パソコンで活用した営業をしているが、鹿児島建築市場の会員の場合は、ネットワークでその2000プランのデータベースを活用する。

営業支援システムとして、不動産情報検索システムをBtoCのポータルサイトとして立ち上げ、土地を持っていない顧客が年間2〜2.5千人インターネットで入ってきて、その80%の成約率となっている。

顧客がサイトに入ってくると、検索で選んだその土地の上にどのような住宅が建つかということに関心が高い。それが、リアルタイムに平面図、立面図、パース図が目の前で出てくれば意思決定が早い。

このシステムを一昨年の11月にネットワーク上に搭載したところ一昨年の8月頃、ほとんど受注を取っていない工務店が、二人の営業マンでもって、昨年一年間で、月3棟の受注ペーストなった。鹿児島県の北部は、ミサワホーム、積水ハウスなどの住宅メーカーと競合する。ネットワーク全体でCADセンターも運営しているが、そこで、設計・積算のレスポンスが、顧客とあってから、ノートパソコンを持ち込み1〜2回で決定している。従来は、プランが決定するまでに一ヶ月掛かっていたものが、今は2〜3日で決まる。このレスポンスの速さは、2000プランのデータベースが貢献している。会員からも実務面で好評を得ている。2〜3日で決まった図面に対して、住宅メーカーは顧客からの要望を聞いて1週間でプレゼンテーションボードを持っていっている。先に、画像としてイメージアップした方が、顧客の印象も強い。

CADセンターに設計・積算の依頼が入ると、翌日には設計・積算書を電子メールで添付ファイル(エクセルに変換したデータ)が工務店に届くようになっている。工務店はそれを顧客の所に直ぐに持っていけるため、顧客としては、自分の希望するプラント、設計・積算が一週間以内に手に入ることになる。住宅メーカーと地方の工務店が決定的に戦えなかったのがここの部分だった。従来、一ヶ月掛かって、それも青焼きの平面図を顧客のところに持っていったが、その間に住宅メーカーが一週間でプレゼンテーションボードと積算書が出ていて勝負にならなかった。

これに対して、地方の工務店が住宅メーカーよりも早いレスポンスでしかも簡易CADを使い設計積算を行うということを先ずやるということは、顧客にとって、ある意味で、信頼のブランドである。工務店の親父は転勤もないし、その子供は地域の学校に通い地域で生活している。その工務店の親父が最新の情報システムを活用し、住宅関係の図面や積算書を作成する。しかも、それは一人ではなく、100社以上の鹿児島の工務店がネットワーク化されている。

これまで、1件だけ事故があり、それは99年の1月、あるネットワークの会員が倒産した。CADセンターでは部材・資材の拾い出しが全部できていた。同時に、エンドユーザーから過払いの代金をいただいていなかったという条件下で、加盟の工務店が役務保証を掛けた。そのようなことで顧客には何の被害もなく、残りの工事を施行した工務店もまったく損害がなかった。このようなことが口コミで小さな地方の中に広がり信頼を得た。

会員工務店が、ネットワークの強さを認識しだしたと言うことが昨年一年間の動きだった。この中で、CADシステムを一社で導入しようとすると500〜600万円掛かるが、情報ネットワークシステムの中でCADセンターをアウトソーシングすれば、設計・積算(確認申請が取れるレベル)で約10万円で可能になるので、大きな設備投資をしなくても地域の情報武装化ができる。これを使うことによりハウスメーカーに勝てるのではないかという自信がでてきて、会員全体のスキームが情報ネットワークに対して高くなってきた。

 

3.Webカメラにより現場管理を革新

昨年の春から夏に掛けて、実証実験で、建築現場にWeb(ウエッブ)カメラ(現場に据えたカメラをINET(インターネット)を使い遠隔操作により、画像をパソコンに取り込むもの:Webカメラの関連サイトのアドレス→http://www.hart.co.jp/webwatchman/)を据えることを行った。一番喜んだのは現場の職人だった。今までは、建築は段取り八分とか九分とかいわれている中で、カメラにより現場の様子が分かるので、遠く離れた現場でも一々段取りしに現場に行って、施工状態の確認をする必要がなくなった。ネットワークの会員の中には現場に走った方が早いという方もいたが、仲間の職人から事務所で直ぐ確認できるのに、わざわざ現場に行くのかと馬鹿にされ、最後は、INETを使い出した。また、会員のために3年前から水曜日と土曜日を除き、パソコン教室を無償で開催しているが、親方だけでなく、その家族も全員が電子メールを打てるようになっている。

このような中で、現場監督により施工指示、施工工程、Webカメラによる現場の検索、そして、現場写真を142工程に分けて必要な数を全て取り込んでいる。このような工程管理を行っているが、次に、建築市場で考えていることはCADで設計・積算により拾い出した部材データと工事の生産工程における生産プロセスの記録を全て、センターサーバーの中に地域の建築情報として収録していく。これは単に、品確法の10年保証のDB(データベース)だけということではなく、将来において、建てた住宅が時を経て、中古住宅になり、劣化をどのような形で防ぐため、メンテナンスについても対応し、住宅の価値を新築時と同じレベルで維持するための情報として、新築時の部材情報が必要になるので、生産プロセスを含め一連の情報を収録している。

建築業は不動産業と一体のものであるが、住宅産業に置ける中古住宅の評価のためにも、新築時の生成情報が必要になる。現在、不動産業界では中古住宅の評価はアバウトに行っているため、築15年の住宅は価値がゼロとしているが、中古住宅のマーケットの仕組みが存在する以上は、新築時に良い住宅とは何ぞやというテーマを解決しなければいけない。10年、20年経っても値打ちのある住宅とするためには、それを正当に評価できるシステムというものが必要であるが、中古住宅の流通の時に再評価するための部材情報が日本にはまったくない。

品確法ができて、性能表示がスタートしたが、この時に、一つ一つの情報蓄積して、将来の中古住宅流通の基礎データとしていきたい。また、不動産情報と一緒にGIS(地理情報システム:分散している貴重なデータを一元管理し、地図情報と一体化することで、データの活性化を実現するもの)の地図DBを使うが、現在、ゼンリンに頼んでいるが、入手コストが高いので、別の地図メーカーと交渉して近く、日本地図の中に不動産情報、新築時の生成プロセスをGISに乗せていこうと考えている。

これにより、将来における住宅情報の重要な資産インフラとして育てていく必要がある。現在、会員一人一人にこのことをしっかり理解してもらい、現場の工程管理におけるプロセスの画像と記録を蓄積していこうとしている。同時に、最終的に、よい品質の住宅を安く地域の顧客に如何に提供できるのかということが、工務店経営の基礎であることから、単に、地域の資材の共同受発注ということに止まらず、大きなマーケットリユースを作ろうと考えている。それは、インバース・マニファクチャリング(作る時点からリサイクル考える)による廃材のでない住宅づくり、これは森林の中から作る必要があるので、地域の森林組合と共同実験をやろうということで、山の中で伐採したスギの廃材を、地球環境そのものを循環型の資源の再生ということで廃材は土に戻すのが一番よいのではないかということで、乾燥とプレカット加工し、現場出荷する。建設EDIの物流システムの実証実験を早稲田大学の建設EDIの中で2年間行ったシステムを利用して、CAD、CAMで飛ばしたデータを山の製材所でプレカットし、町場の建築現場に直送する。建設現場で棟があがったことをWebカメラで確認し、請求書を出すという考えでやろうじゃないかということをしている。

そのためには木材の標準化が必要で、鹿児島の場合、「南九州の家」、宮崎の場合は、「新宮崎の家」福岡の場合は「北九州の家」という名前で住木センターに合理化認定の申請を行い、鹿児島は認定をいただいた。同時に、全国ブランドが必要なので、JR九州の使っているTS工法を共通ブランドに育てることをしている。それに部材の標準化をすれば情報システムにデータベースとして全て載ってくるので、それを、いわゆる、IT技術を使い、EC(電子商取引)マーケットと受発注を掛ける。特に、スギの場合、従来の考えでは1等材、2等材など見た目の美しさでやっているが、品確法の関係から、含水率18%以下、ヤング係数いくらなど構造強度の面を表示することで、CAD、CAMで共同受発注の可能性が出てきた。その実証実験に入っていこうとしている。

 

4.電子物流センターにより、ジャストイン邸別巡回配送システムを構築中

材工分離発注という面は、住宅の品質を高めるために取り組まざるを得ないが、先般、基礎工事を終え、中間検査を申請したところ、検査員から問題点が指摘され、皆で調べた結果、アンカーボルトが錆びていた。そのアンカーボルトは中国製のものであった。材工一式を下職の職人に要求するとコストの問題で、安い資材を購入して、現場で使おうとする。ここをコントロールするため、鹿児島建築市場の場合、ネットワークの中に共同物流センター(調達機能を持つ)を立ち上げ、物流センターは鹿児島県、鹿児島市、鹿児島建築市場の三者でネットワーク内の物流効率化研究会を立ち上げてプログラムの開発を行っている。これは邸別巡回配送システムをジャストイン納材することで物流コストを如何に削減するかということである。従来は一建材店の例を取ると、一つの建築現場を仕上げるために鹿児島の場合27回配送している。それが、Webカメラが入ることにより、工務店の配送回数が11回で済んだ。さらに、SCMの考え方を導入することにより、理論値ではあるが8回の邸別巡回ジャストインタイム納材が構築できた。後は、プログラムを如何に落とし込んでいくかということになり、3月までにプログラムを作り、今年の夏までに、8回の邸別巡回を目標にシステム構築を目指して実証実験を行う。

このように、情報化されていない時からWebカメラ等のロジックを組み合わせ、情報システムを導入すると生産性ははるかに上がる。その生産性を更に10%程度向上させることを行いたい。10%は小さいかもしれないが、緻密な生産性の向上と品質向上と同時並行的に実現される。

鹿児島建築市場は、ISO9000と14000を集団として取得する予定であるが、10%の生産性の向上に取り組んでいく。例えば工程管理システムは、Webカメラを使うことにより工程表がぶれなくなる。これまで25年間建築をやっているが、工程表がずれて当たり前の世界が、住宅を造るための下職専門チームが約20業種あるが、全員が情報の共有化を図ることによりネットワークの中でバーチャルエンタープライズ(  )が形成され、それが、誰の指示を受けることなく、工程表を遵守する中で、生産性の向上が図れる。このような中で現場仕事であるから天候に左右されるが、工程表の自動組替え、ある工程における施工の遅延をその職人の手でデータ入力することにより、後工程の職人に連鎖的に工程表の組換えが行われる。その工程の中で、どこの工程でどの部材が必要かということがシステムの中で連動しているので、緻密な住宅の生産プロセスというものが構築されようとしている。

この緻密な生産システムは、住宅メーカーが工場で住宅を生産するようになって、住宅の品質と生産性が飛躍的に伸びたが、現場でしかできなかった常識を住宅メーカーが覆したが、逆に、建築市場の傘下の工務店は現場に、Webカメラを据えることにより、現場を工場化してしまい、建築廃材を出ないような住宅を造ることにより、生産プロセスの管理をITのネットワークで管理することにより、住宅メーカーと同じように住宅の品質や生産性を上げることを日本全国で展開すれば、まさに革命になり、住宅は地域に住む住民が必要としているわけであり、地場産業である地域の工務店が地域の経済の活性化が図れる。鹿児島県で働く人たちが、鹿児島県で必要とする住宅を鹿児島県の地場産業である地域工務店が生産性を上げながら、地域経済の活性化を担い、もう一度、産業の集約に踊り出ることは、品確法をベースにして、住宅の性能を上げ、標準化をし、型式認定は地域の工務店が自分たちの保有するスキルを住宅メーカーと同等の技術を地場の工務店は持っているということを私たちは誇りとしていきたい。

自主性能表示の中で、品質が確認できるような住宅を今までのようなスクラップアンドビルドではなく、社会的資産として地域の住宅をサブテージするためにはITを導入しなければならないと考える。

そのために、鹿児島県で150社の他、先の地域でその考え方を広めている。ある住宅評論家は、それは鹿児島県の特殊事情で、他の地域には無理と酷評されたが、他の地域でも無理ではないということが証明された。

 

 

 

〔企画部指導課コメント〕

IT関連ビジネスは、米国が先行しているが、書籍等のECを行うアマゾンが多量の在庫を抱え、創業以来の連続赤字経営、株価がピーク時の数十分の一に低迷しているネット企業など、常に革新していかないと消滅するなど、企業の賞味期限が短くなっている。

わが国においても、例えば、BtoCのECサイト「楽天市場」の例にあるように、電子市場の有力なテナントが独自のサイトを立ち上げたり、売れないテナントは出店料が支払えず、テナントから離脱したり、競合するサイトが増えるなど苦戦を強いられている。如何に多くの顧客を集め、購買に結びつけるための魅力がなければいずれは賞味期限切れとなってしまう可能性もある。

住宅・建設・土木・建材分野においては、IT化が急展開しているが、関連サイトの増加とサイト間の競争が激しくなってくることが予想される。

今後、新陳代謝が激しくなり、生き残りのためには、魅力的なコンテンツを常に革新していくことが共通した課題ともいえる。

一方、ITを取り巻く環境は次のような状況であり、日々変化している。

・     パソコンの出荷台数がカラーテレビを抜く(平成11年度)

・     モーバイル通信(携帯、PHS、自動車電話)が加入電話の台数を逆転(平成11年度末)

・     INETの普及では利用者数が、平成11年で2,700万人→平成17年7,600万人に拡大予想

・     INETが社会の標準媒体となる 新聞→ラジオ→テレビ→INET

・     機器のモバイル化が進む → パソコンと移動電話の融合化

・     若年層が変革の担い手になっている → 世代交代と伴に無理なく進展

・     INETが業務の必須手段となる

・     建設分野においては、国土交通省が中心となり、建設CALS(部門別、企業等において、設計から、製造、流通保守に至るまでの製品等のライフサイクル全般にわたるそれぞれの情報を電子化し、技術情報や取引情報をネットワークを介して交換及び共有し、製品等の開発期間の短縮、コストの削減、生産性の向上を図ることを目的としている活動であり、概念である。)

・     建設CALS/ECの効果は、発注者にとっては、調査・設計から工事・管理に至るまで公共施設のライフサイクルにわたる情報の活用→品質向上、コスト削減、事業執行の迅速化・効率化が図れ、受注者にとっては、発注者や関連企業との間で、より正確・迅速な情報交換、経済的な資材調達 →重複入力の回避、移動コストの削減、企業としての競争力強化が図れるとしている。

 


 

〔鹿児島建築市場のホームページアドレス→http://www.ben.co.jp/ichiba/

 

〔参考:鹿児島建築市場関連情報〕

 

鹿児島建築市場協議会設立趣旨

 

全国の世帯数の4300万世帯に対して既に4800万戸の住宅が建築され約500万戸の余剰住宅時代と成り、今後良質な住宅への建て替えか、リフォーム等の市場が「品質を落とさずしてもっと建築費を安くしてほしい」という消費者ニーズの中で今後の建築市場は推移して行くだろうと考えられます。その為に、建築費コストの引き下げをどの様に実現して行くかという事が急務となってきています。その為にはハードとソフトのトータルコストによるコストダウンをはかる必要があります。管理コスト・製造コスト等あらゆる分野の見直しをしながら建築関連企業が協業し会って「建築市場」をつくりあげました。

更にこの「建築市場」では、インターネット、イントラネット等の情報通信技術を駆使した建築資材の流通受発注システムとCADオープンネットワークシステムを利用した積算業務や設計業務の簡素化、工程オープンネットワーク管理システムによるデジタル化等々各種のシステム化をネットワーク技術を利用して実現しました。

 この様なすばらしい情報システムの進化を取り入れることによって、在来木造住宅の高性能住宅の実現とコストの削減を目指し地域に根ざした住宅づくりを提唱しようという試みです。

 是非皆様のご支援とご鞭撻をお願い申しあげるものです。


 

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(注)このニュースはPDF形式です。ご覧になるためには、アクロバットリーダーが必要です。アドビアクロバットリーダーの無料ダウンロードはここから! 
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E-mail kkichiba@ben.co.jp

 

 

建築市場とは一つのシステムだけで完結させるのではなくいくつかの利便性を共有できるシステムを合わせ、複合的に組み合わせる事で、より優れた機能や利便性を創り上げるという、利用者の立場に立ったシステムづくりを目指しております。このようなハイブリッド化による高次複合システムの積み重ねが地域情報化システムの原点といえるでしょう。

 

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間 口

奥行き

 

1階部屋数

2階部屋数

3階部屋数

延べ坪


鹿児島建築市場協議会規約

 

(名称)

 第1条 この会は、鹿児島建築市場協議会(以下「協議会」という)と称する。

 

(目的)

 第2条 協議会は、地域に適した木造住宅開発・普及、生産供給体制の整備、大工、工務店等の技術・経営力向上を図り、その実現の為に次世代省エネ・省資源住宅の実現と情報通信     技術の高度利用を駆使したシステム構築を利用して、もって住宅関連事業の活性     化と地域特性に応じた良質な木造住宅の供給を推進することを目的とする。

 

(事業)

 第3条 協議会は、前条の目的のため、次に掲げる事業を実施する。

  (1)木造住宅供給生産体制の整備に関すること。

  (2)木造住宅の工法及び技術開発に関すること。

  (3)住宅関連技能者の育成に関すること。

  (4)住宅における県産材の活用及び重要促進にかんすること。

  (5)大工・工務店の技術・経営力向上に関すること。

  (6)木造住宅に関する情報整備及び需要者に対する情報提供に関すること。

  (7)情報通信技術を高度利用した建設資材の電子商取引に関すること。

  (8)建設業の物流EDIサプライチェーンマネジメントの確立を図ること。

  (9)建設CALSの実現を図ること。

  (10)その他木造住宅振興に関すること。

 

(構成)

 第4条 協議会は、会員及び顧問をもって構成する。

   2 会員は、協議会の目的に賛同する木造住宅供給関連団体、中小法人、個人等とする。

   3 顧問は、協議会の目的に賛同する学識経験者及び関係行政機関、団体等とする。

 

(会費)

 第5条 必要に応じて徴収する。

 

(役員)

 第6条 協議会には、次の役員を置く。

     会 長 1名

     副会長 2名以内

     幹事  10名以内

     監 事 2名以内

   2 役員は、会員の中から総会により選出する。

   3 役員の任期は、2年とする。但し、補欠のため選任された役員は、前任者の残任期間とする。役員は、再任されることができる。

   4 役員は、任期満了後も後任の就任まで引き続きこの職を行う。

   5 会長は、協議会を代表し、その会務を総理する。

   6 副会長は、会長を補佐し、会長に事故がある時は、その職務を代理する。

 

(会議)

 第7条 協議会には、総会のほか、必要に応じ幹事会及び部会を置くことができる。

 

(総会)

 第8条 総会は、通常総会及び臨時総会とする。

   2 通常総会は、毎年1回5月中に開くものとする。

   3 臨時総会は、会長が必要と認めたとき又は会員の3分の1以上から請求があったとき開くものとする。

   4 総会は、会員の2分1以上の出席により成立し、議長は、会長が務める。

   5 やむを得ない理由のために会議に出席できない会員は、他の者を代理人として表決を委任することができる。

   6 総会は、この規約に別に規定するもののほか、次の事項を議決する。

   (1)規約の変更

   (2)会費の決定

   (3)事業計画及び予算の決定

   (4)事業報告及び決算の承認

   (5)本会の解散及び清算

   (6)本会の運営上特に重要な事項

   7 総会の議決は、出席の過半数をもって決し、可否同数の場合は、会長の決するところによる。

 

(幹事会)

 第9条 幹事会は、幹事長及び幹事をもって構成する。

   2 幹事は、各会員に所属するものから、各会員の推薦による。

   3 幹事長は、幹事の中から互選し、会長が任命する。

   4 幹事会は、幹事長が必要と認めたとき召集する。

   5 幹事会は、その構成員の2分1以上の出席により成立し、議長は、幹事長が認める。

   6 幹事会は、次の事項を議決する。

   (1)事業の執行に関する事項

   (2)その他会務運営上、必要な事項

   7 幹事会の議決は、出席者の過半数をもって、決し可否同数の場合は幹事長の決するところによる。

 

(部会)

 第10条 部会は、専門的な事項・検討等をおこなう。

   2 部会は、部長及び部員をもって構成する。

   3 部会長は、部会の事務を所掌し、検討事項等について、協議会に報告する。

 

(加入)

 第11条 加入は入会審査を役員会にての過半数の承認による。

 

(脱会)

 第12条 脱会は役員会に報告の上承認する。

 

(事務局)

 第13条 協議会の事務を処理するために、事務局を真砂町11-7、3Fに設置する。

 

(事業年度)

 第14条 協議会の事業年度は毎年4月1日より翌年3月31日迄とする。

 

(その他)

 第15条 この規約に定めるもののほか、協議会の運営に必要な事項は、会長が別に定める。

 

(附則) この規約は、平成 11年 8月 1日から施行する。