〔文責:企画部指導課・細貝〕

創造性開発〜新製品開発、職場・業務改善のアイデア発想法

 

日  時             平成10年 9月 8日 18:30〜20:30

場  所             労働ククエア東京6階会議室

講  師             (社)発明学会 平 井 工 常務理事

 

概要

 アイデアとか発明は難しいものでなく、自らの廻りにヒントはたくさんある。それに気がつくかつかないかである。

 身の回りのヒントからアイデアを具現化し、パテント化し企業に提案する。

アイデアを出す人と出さない人と何処が違うか?

生活の中でいやなことわずらわしいものを解決できないか、自分なりに考え、その中からアイデアが生まれる。

篠井聡美氏(若い主婦) ヨダレカケ、夏場、ガーゼで出来ていて分厚く、子供が暑苦しそうで、その下は汗びっしょりとなっていた。それを軽やかに涼しくできないかを考え、TVを見ていて、カーボイがハンカチを首に回していたのを見て、自分で手縫いで作り、子供にかけたところ可愛い感じで、周辺を散歩し可愛いとの評価。

たまたま御主人が発明学会の会員であり、意匠登録ができるのでないかとの判断から特許庁に出願し、企業に提案し、ダイアコーポレーションが採用した。

契約金が30万円と卸売価格の3%のパテント料で契約し、いろいろな色の物が売れ、使う人からも喜ばれた。

その女性は初めてのアイデアで商品化され、アイデアはこの程度でよいのかと体感し、それ以降、赤ちゃんの薬や化粧水等を冷蔵庫のドアの内側に詰め込んでいた。ドアを明ける際に、バラバラと崩れたのを見て、多くのものを整理していれられるものは出来ないか考え、目に付くいろいろな材料を使い、洗濯の網袋を利用して、冷蔵庫の中に小物整理が出来る袋とそれをぶるさげられ、取り付けられるフックを造った。網なので外から見てもすぐ分かり、冷気も通るので、特許出願したところ、先の会社が採用した。商品化後2年間を経過し、昨年だけで100万枚販売できたとのことでヒット商品となった。

この2つの商品の特許料収入は月40万円程度が入るとこのとであった。

周辺のアイデアのヒントを見過ごさないことが大切である。

北海道の大久保氏の例

セーターを脱ぐ際に、口紅や白粉が付き、クリーニングに出す事になり、それがきっかけで、口紅や化粧が付かない方法を考えた。スカーフを頭からかぶるとか、野球ボールのボールの縫い目を見て、→野球ボールはひょうたん型の生地を2枚が合わさっていたのにヒントを得た。頭に半透明な生地をかぶり、セーターを脱ぐと口紅等が付かない。

商品化してくれるメーカーがなかったので、自分で作ることを考え、20時から23時まで手縫いで作り、友達に1500円で販売し、口コミで半年に500枚販売できた。

その売れているのを見て、福祉メーカーが採用し、5%で契約した。

難しいものではなく、画期的なものを考えるとかではなく、自らの身の回りから考えるべきである。

パソコン→CD→ 業務でCDをパッケージ化していた。INETのプロバイダー等が広告媒体としてものすごい数がでていた。

郵送の際のパッケージを工夫し、低コストなパッケージを考え、直径12cmのCDが普通郵便で送れれば、大幅なコストダウンが可能。ケースに入れると定型外になる。→誰も普通郵便で送る方法を考えなかった。CDは中身が重要であり、縁は余り関係ない→ケースの上下を切り、CDがピッタリ入るようにした。特許出願し、多くのCD関係業者が興味を示し、これまでに1400万枚売れた。

自分たちで何かを考えようとする姿勢が重要で、何考えない人と歴然とした差が出てくるものである。

富田氏 子供が卵を食べる際、からを奇麗にむけず、散かしていた→一般的には散かさないようにしつけたりする→日本全国子供の数だけ同じような例で困っていると考え、試行錯誤の結果、→卵の殻を奇麗にむく、散かさない方法 →最初から殻のない卵ができないかを考え、湯飲み茶碗に卵の中身を入れ、そのまま煮た→皿に明けたものを子供がスプーンで喜んで食べていた。→ 子供が喜ぶような形を最初から作る→表面が猫やパンダ、像、等の動物の形のものを作り 新潟の燕三条に家庭用品を作っているメーカーが多くあり、その中の企業が採用。

子供の弁当に入れると喜んで食べてくれ、多くの数が売れ、150万個が売れ、2年間に2百万円の特許料が入ってきた。

この技術を分解すると、プラスチックの金型整形技術である。この方面には専門化が多いが、ヒットするような商品は作れない。アイデアは技術とは別物である。

子供の誘拐未遂事件が多くあった。→子供が名札を付け外に出歩く。知らない人が○○チャン、と呼びかけ、親が事故になったので病院に連れて行くとか。

学校の外に出た時にその名札が見えないようにすればよい→名札を裏返す方法を考え、商品化した。

アンテナをはること、意識を持つことが大切である。

 

アイデアを出すためには効率的な出し方がある。常日頃ズート考えるのではなく、

「クソッ!と腹が立ったら金の卵」

腹が立つということは「不快感情」→かならずその原因がある。

その原因を見ていないことが一般的。→忘れたり、発散させることが一般的。

アイデアを出す人は、腹が立ったその原因を考え→原因(取り除く)を解決する

 

洗濯機の糸屑をとる商品はS48年当時、毎月200万円の特許料収入があり、ロングランの商品でもあった。

喧嘩した亭主の靴下の糸屑を手で取り除く、→腹が立つ→何故糸屑が付くのか→ゴミと一緒に洗濯物が回っている→ゴミを取り除く→使い古しのストキッングを使い、洗濯機の編み袋を手で取っていた→疲れた→洗濯機の中に入ったまま回っていた→洗濯の廻りに取り付け自動的に糸屑を取り除く方法

いやなものを何故いやなのかの原因を突き詰める。

ビルの内装工事をしている職人の中野氏→ビルの壁のでこぼこのセメントをサンダーでならす仕事を20年続けていた。→削り滓がもうもうと煙のように粉塵が立つ。→目に入ったり、吸い込むと毒なので、メガネやマスクで夏は3K職場→何故つらい思いをしなければならないのか→サンダーとセメントの間から粉塵が発生する。

研磨機の先端をお椀のようなものでかぶせる→集塵機で粉塵を吸い取ることを考えた。

しかし、粉塵は出ないが、お椀の中の空気を吸うので真空状態になってしまう→職人仲間で壁に糊で壁紙を張る職人→刷毛で糊を壁に塗る→お椀の周辺を刷毛状にし、刷毛の隙間から空気は入り、粉塵も発生しない商品が完成した。

契約350万円、3%のパテント

契約よりも仕事が楽になったこと、仲間からもよろこばれたこと が一番よかったとのことであった。考えることが嬉しくなった。

アイデアを考える人は生き生きとしている→解決しようとする姿勢があるので、マイナーな問題でもいやがらない。

大阪の金物の社長、右腕をなくしたことが 40歳の時、脱サラ、ゴンドラから下に落ち、手がなくなった。片手がなくなり痛くこと、脱サラ直後だったので 悔やんでいた。

3日間寝ていたため、床づれが発生→床ずれが何故出来るのかを考えた。→寝ていると別途に接している部分が血行が悪い上、汗をかき、皮膚がただれ、細菌が発生し、痛い→汗をなくせばよい→空気を送る、身体を動かす、→海水浴の際の空気マットにヒント→波形の所の表面に穴を明け、空気をコンプレッサーで送り込み、表面から空気が出るようにし→特許→熊本大学の病院で使用され、教授が論文を発表したところ→ヒットした。現在、社員は100名になり、サンケンマット

 

腹が立った時にこれくらいはしょうがないというレベルのもの→なおざりにする→感覚が麻痺してしまうので→どんなに小さな腹立ちでも我慢してはいけない

どんなに小さな「不」でも見過ごさないことが大切

 

靴を脱ぐ時→片方づつ手で脱いだり、上がりかまちに引っかけて脱ぐ→両手で足首をつかみ、靴をつかんで脱ぐ→靴べらを改良し、脱ぐことも出来るようにした。

これから小さな不都合、不快感、を解決したものはこれから売れてくる

10年前は不便なことが多かった→現在は便利な時代→満足しているか。していない→便利さにはすぐなれてしまう→便利が当たり前→いままで気がつかないいやなことが目立ってくる

→ビデオカメラ→ モニターを付けた(その前はファインダー)

当時はビデオは飽和状態で値下げ競争→ビューカム=いままでのビデオを調べ

→生活の記録としてビデオを撮る→ 30代〜40代はメガネをかけていることが多く、ファインダーを見るのが不便だった。→ファインダーを覗かなくてもよい→モニターを一体化した商品を開発→マーケットに出したが、他社はアマチュヤ的として売れないと踏んでいた→便利なのでヒット→些細なものでも解決すれば受け入れられる。

年間特許情報は39万件、過去からのトータルは膨大→無料相談日をもうけている。

 アイデアは自己責任で着想だけでなく、図面にかける状態まで考えないと、特許はとれない