〔文責:企画部指導課・細貝〕
セミナー これからの住宅モジュール
“インフィルを主体とした新モジュール体系への提案”
日 時 平成10年 9月11日 13:20〜17:00
場 所 尚友会館 8階会議室
概 要
§1 インフィルを主体とした新モジュール体系への提案
鰹W工舎 建築都市デザイン研究所 近角真一 代表取締役
モジュールに対する常識として、
@モジュールが大きく混乱しているものの統一され得ないことも知られている
Aモジュールにはクローズドシステムとオープンシステムがあり、混乱しているのは各企業で持つクローズドシステムであるが、これが混乱していては社会で共通のオープンシステムは成立しない
B我が国の伝統的なモジュールは910でデファクトスタンダードとも言えるが、国際的には通用せず、建築の世界だけが古い尺度に縛られている。
注:このような見方もあるが「伝統」というべきものではないか→わが国では一般
的には伝統は古きよきものというような理解が多いが、よいものよりも悪いもの
の方が多いのである。
ことが指摘され、新モジュール体系研究の動機は、既存のモジュールはコスト高になる
り、建材の国際的な流通の妨げになっている上、バリアフリーが実現できない実態にあることからこの解決への道筋をつけた。
統一モジュールの視点は、スケルトンの統一は極めて難しいので、それ以外を統一すれば、リーズナブルでコストパフォーマンスの高い商品が供給可能となる。→どんなスケルトンのものでも使える部品群。
モジュールについてのパラダイムシフトは、@生産者基準から利用者基準へ、A心心基準から面々基準へ、B単体基準から集団基準へ、Cもの基準から空間基準へ である。
統一モジュールの候補は、910モジュールは真壁のものであり、900モジュールは集合住宅や一部のプレハブ、コンパネ等が採用した。メーターモジュール(1000)は大手プレハブの採用、木材の歩止りがよいこと、分かりやすいことなどの点があるが、外国では、ソ連・東欧が主張していた規格で過去のものとの意見が多いが、バリアフリーが実現可能である。
従って、基本モジュールは、インフィルのモジュールを重視し、100mmを1Mモジュールとし、優先モジュールは3・6・9Mとし、910を捨て、スケルトンは極力大まかに
かつ、大スパンとする。インフィルは面々基準で修めることが必要ではないか。
さらに、在来戸建設計では、大きな区画でスケルトンを作る(最小区画2700角とし、1800スパン、900スパンは極力使わない)こと、壁の厚さを外壁は150、内壁は50、75、100を使い分ける等が求められる。
§2 新モジュールと企業の対応
三井ホーム梶@商品開発部 井 上 潔 次長
1.シェル=変革
今後の傾向として、敷地は小さく、建物は大きくと相反する多様化が求められ、その解決手段としてシェルモジュールが重要になる。つまり、箱(シェル)のスケルトンのみを規制し、箱の中身は自由にするものである。
ユニットバスの例では、仕上げてとしての壁、調整としての壁、ユニットバスの自立としての壁のように重複する壁があり、ユニットバスの壁と間仕壁を共用し、機能寸法の900を確保するものである。ユニットバスのパネル化が考えられる。
2.シェル+パネル=革命
これにより、価格競争、多様化、メーカー指向、職人問題等の住宅が低迷している問題を協業化、多能化、特能化により、変革をもたらすことが可能になるのではないかと思われる。
また、次のようなことが考えられ、異業種の参入などにより活性化が図られる。
シェルメーカー:構造躯体の施工、工務店が集合体として進化、新木構造の開発
サニタリーメーカー:水回り(間仕切含)施工、設備メーカー、サニタリーパネルの
システム化
パネルメーカー:間仕切壁施工、事務機(設備)メーカー、住宅用間仕切壁のシステ
ム化
フィニッシュメーカー:造作・内装施工、内装の多能=多能工化、造作材後施工のシ
ステム化
§3 新モジュールと設備機器への応用
ミサワホーム梶@上 手 正 行 取締役商品開発部長
1.モジュールの意味
今から新しい需要分野にむけて 特にインフィル部分を変革することが必要で、インフィル部分はメーカー毎に独自の寸法を作る必要はない。
SI住宅については、寸法部分にもっとコンセプトを持つ必要があるのではないかと思われる。
質的には、初期性能値が維持されることが重要で、木、鉄、コンクリート等の構造は顧客は意識しないのが一般的である。また、ハウスメーカの中には鉄骨が主体でも木に力を入れている。窓はアルミにシフトしているが、その材料の特徴は、→軽い→機能が充足している。各種の用途に使える。材料は関係なく、大切なのは人間が利用する内側の空間であり、共通化→はっきしりしたもので表す。標準化が必要。
キッチンの中にビルトイン→標準化→そのために必要なのは大きさ、寸法。
サッシは色、サイズの差で300万種類ともいわれている。顧客の1割はどんなキッチンでも満足しない。
こだわりはどれまで通用するか→5年先、10年先まで通用するか。食べるものが小さくなるわけではない(音楽メディアのような変化はない)
トイレ洗面、1200、1300 100N、モジュールが変わっても便器等の寸法に変化はない。
空間がこれしかないとすればモジュールは自ずと決まる
2.CHS(センチュリーハウジングシステム)への道程
継続する住空間 100年継続する → 絶対条件はモジュールではないか。耐久性ではない モジュールがはっきりしていれば、30とか50年後は対応可能ではないか。
供給や変更がおぼつかない? 継続する力がなければ意味を成さない
欧州の家が200〜300年続いているのは、構造躯体が変っていないからということもある。
3.収まりとデザイン
車椅子→バリアフリーとか ガイドラインのようなことを言っているが、車椅子には的確な基準がない。手で動かす幅が必要ということで750になっているのではないか?。910のモジュール、1m、1200でも車椅子は回転はしない。
4700万戸のストックで 910が中心 800で回転する3〜4cmの段差も乗り越えることが可能な車椅子の開発が行われている。勾配もOKであり、テクノロジーの進歩・変化を無視できない。
120万人が車椅子の人口で、うち、70万人が介護を必要とし、300万人が使えるのであれば使いたいとしている。また、スポットで使いたいという人もある→怪我等。
PBモジュール900、太陽エネルギー→ソーラ?
スタンダードにして標準化 共通化 屋根をソーラのモジュールにあわせる屋根勾配も?テクノロジーを駆使して住空間にあわせる問題?
二酸化炭素の問題でいえば、空間がこれ以上大きくなるとは思えない面もある。
§4 新モジュール住宅産業への効果
潟Wェス 我孫子義彦 代表取締役社長
1.住宅産業の新時代対応
モジュールの検討に際し、価格破壊との関連があった。→部品を安くしなければならない→安くなければ買われない。価格を2/3にするアクションプログラムなど、単一企業だけでは対応できない。産業を横で見た場合 → モジュールの話し になり、一方、検討に入る前にモジュールが変れば何が代わるかを論議した。
2.新モジュールの果たす役割
モジュール影響関連図参照。
さらに、木造のサッシメーカーから種類が多すぎるとの指摘もあり、面々モジュール、サッシがバラバラだとガラスも対応が大変との指摘があった。
これまで、心心寸法で対応してきた →建築基準法との関連もあった。
このような中で、2010年位になって、新築が80万戸の時代が到来する。今から新しい需要分野に向けて、特にインフィル部分を変革することが必要であるとの認識に立った。
インフィル部分はメーカー毎に独自の寸法を作る必要はない。
SI住宅 寸法 部分にもっとコンセプトを持つ必要があるのではないか
壁そのものの新しい開発が必要になるのではないか
新モジュールがうまく行けば 新産業も生まれる
ISO規格との対応
ある程度普及しないと効果はない
モジュールで具体的に家を作ってみたい
ISOの14000と9000、環境と品質管理の問題
ユーザーオリエント、インフィルとスケルトンに分けた製品を自社で持っていること、
フロンと部分のオープン化
インフィル部分である程度共通化
品種が多い商品でも 実際に多く使われているものはかなり絞り込みができる。
モジュールから外れたものは高いですよという提案も必要
間連業界相互の検討会も必要になる
期待したいのは、将来、このような概念で作られた部品供給体制を作っていかないとうまくいかないのではないかと思われる。
〔質疑〕
Q:平面→垂直方向に対する考えは。
A:水平がまとまれば垂直、断片的でまとめるまではいかなかった。90の倍数の180がよいとか、窓枠の高さ120がよいとかがあった。デファクトスタンダードで天井高240
2600という天井高、ISOは20きざみ。?階高は3mとか上は3.2なのか3.3なのかというものがでる?
100mmを基本に考えればよいのではないか
Q:構造体の150の内訳は。
A:120〜135までの大断面構造体が入る。外壁は150のバンドの外側にきてもよい。
スケルトンとしては大きなスパンを飛ばすことを考えている。
125角×125 の構造体がJASの規格でそのようなものが対応できるか。?
新モジュールを 12.5の倍が入る ? 架空の論議の段階。
あるいは、120でパッキンで修めるか 125の心材で大スパンを取ることが基本になるのではないか。
建材メーカーが最初に動いてもらいたい。コンパネ、合板、プラスターはmが難しくなくなってきている
コンパネ→mサイズ、商品イメージを組み立てる必要がある。
ゼネコン、デベロッパーには、ハウスメーカーは自前のモジュールを押し付けそれに従わないところは相手にしない。
例えば、数億の物件がある時に モジュールの概念を持ち込むとよいのではないかと思われ、設計者には→設計の基準線の考え方をパラダイムシフトしてもらいたい。
心心あわせ→面々あわせに 対応できる。システムキッチンは既に150刻みの概念がある