このページを >保存 >お気に入りへ >印刷 特定非営利活動法人「木の建築フォラム」第1回総会のご案内〔意見交換会テーマ〕 〜木造の現場再考・大工の声を聞く〜 |
特定非営利活動法人「木の建築フォラム」(代表理事:東京大学大学院 坂本 功 教授、同 有馬孝礼 教授)では、下記により第1回総会/意見交換会を開催されます。 この総会/意見交換会への参加は非会員(総会における議決権なし)の参加も可能です。意見交換会のテーマは、「木造の現場再考・大工の声を聞く」となっており、近年の木造住宅の建築現場では、住宅の合理化・システム生産化、品確法、性能規定化などにより、旧来の現場のルールが大きく変わってきています。木材の流通についても、既存流通のシェアが縮小する傾向にあります。 現場の大工・工務店に支持されるような木材生産・流通・供給システムを再構築し、いわゆる顔の見える木造住宅として、顧客からも信頼される形にしていく上で、参考になる意見交換会ではないかと存じますので、ご案内申し上げます。 また、会場の東京大学の弥生講堂・一条ホールは、大型木造建築物としても話題になったところです。 東京大学農学部 弥生講堂(一条ホール)を紹介したURL
記 NPO「木の建築フォラム 第1回総会/意見交換会」
木の建築フォラムが、木造住宅にかかわる関係者にとって日頃からお互いの考え方や方法を確かめ合える場であるならば、そこには信頼関係がはぐくまれます。さらに、その人のつながりは建設プロセスを円滑に運び、建築主にとって愛着のある木造住宅を生み、やがて、この住宅は地域に根づいていくということが想像できます。 建物を建てる際の地盤や基礎以上に大事なのが、建てる前の、現場にかかわる人々の信頼関係です。この信頼関係は仕事を通じて互いの言葉を交わすことで徐々に形づくられていきますが、ふり返ってみると、この「現場に入る前の会話」は十分であったとは言えません。現場には柔軟性に富んだ「仕事のルール」という不文律がありますが、ややもすると習慣に流され、歴史の変化に対応できずに機能しなくなることが見受けられます。 今、私たちは大きな歴史の変化の中にいます。この変化は、19世紀後半の明治維新や20世紀半ばの世界大戦終結に匹敵すると言われています。住宅にかぎってみても、不足を満たす時代はすでに90年代初めに終わり、今後の新築着工件数は社会の高齢化と人口減少によって、過去数十年の平均の半分になると予測されています。すでに、市場は「売り手市場」から「買い手市場」に移る中で、今までの仕事のルールが機能しなくなっていることを実感されている方も多いのではないでしょうか。「工事完成保証の無い請負契約」、「性能表示要件を満たさない設計図書の仕様規定」などの機能不全が起きている、と聞きます。 この第1回総会で行なう意見交換会は、このような大きな時代の変化を背景に、上にのべた木造住宅にかかわる関係者の「現場に入る前の会話」を増やそうという試みです。顔見知りの会員同士の間で、あるいは新しい出会いの中で、話し合い、意見を交換しあおうではありませんか。今回は、まず、「大工の声を聞く」ところから始めたいとおもいます。 参考までに、この企画に際して私たちの間で交わされたメモを下に列記(順不同)します。 [メモ(1)] <設計者が大工に聞きたいこと> ・大工が日常の仕事の中で本当に合理的と考える構法はどのような構法ですか? ・大工に求められる役割とは? ・大工が設計者に求める役割とは? -若い大工に聞きたい- ・大工を志した動機は何ですか? ・どのような仕事にやりがいを感じますか? ・分からないことは何ですか? -ベテランの大工に聞きたい- ・現場で何が変わっていますか?昔と今では?。 ・伝統的と言われる構法は現代でも合理的ですか? ・分からないことは何ですか? [メモ(2)]<旧フォラム「木の建築52号」巻頭記事には「大工に目を向けよう」という異口同音の声がのっています。> 「...建築基準法が「構法規定」から「性能規定」に変わるにともない、木造の新たな可能性がひろがった。同時に、木造に携わる者にとっては自ら、その性能を表示しなければならず、今、中小の木造工務店を悩ましている。 ...」 -内田祥哉会長- 「...なぜ、木材なのか。なぜ木造なのか。地球環境、リサイクルと安易に言うなかれ。その答えは諸君が自身の頭の中から搾り出したものなのか。住宅は大工が造るのである。基準のあり方も、図面の画き方も、研究の纏め方も、本の書き方も大工を意識し、目線を大工と同じくしなくてはならない。...」 -杉山英男副会長- 「...我々はやや全体的、観念的に過ぎる行動しかしてこなかったのでは、と反省させられる。新しいNPO法人木の建築フォラムでは、木造住宅生産にかかわる川上から川下までの流域ごとの地域問題も大切にし、より具体的な問題解決ができる組織になることを期待する。..」 -上村 武副会長- 「...技能の継承、職人の育成は、従来は当事者の個別問題であったが、木造建築、木造住宅を山林から町づくりまでを含めた環境形成の中で捉え直し、住まい、町づくりを担い、地域社会との交流、貢献、支持と援助を引き出すことが良いとされるようになっている。...」 -神山幸弘副会長- [メモ(3)]<品確法が大工におよぼす影響> -フォラム通信第5号参照 [メモ(4)]<削ろう会の杉村幸次郎さんに聞く -木を生かす技能と道具について-> 「木造らしい木造」を造るには、台ガンナで仕上げるのが一番、ということは木造の仕事に携わる人なら誰でも知っている。しかし、台ガンナでシュッ、シュッと削る音が現場から消えて久しい。今や、機械加工による「超仕上げ」が台ガンナに代わって登場しているが、果たしてあれでよいのか?、という疑問は残る。 宮大工を本業とする杉村幸次郎さんによると、「昔の木造は、新築したばかりの時は、みなピカピカ光っていたはずなんです。」と言う。クリアラッカー仕上げやウレタン塗装ならまだしも、「木が光っている」状態を現代の私たちが想像することはむずかしい。しかし、その光りを見てみたいような気がする。杉村さんは、台ガンナで削ったカンナくずのことを「削り華」という。ただし、このカンナくずは10ミクロン以下だそうで、たしかに、「くず」ではなく「華」になりそうだ。 どうして、削ろう会を始めたのか?なぜ、大工や素人が年2回の全国各地で開く削ろう会大会に数百人も集まるのか?ここをまず聞きたい。そして、「削り」をする前の「研ぎ」の事も聞きたい。研ぎのことを聞き出すと、道具の「刃物」のことも聞きたい。こうして、「削り」から始まって、「研ぎ」-「道具の刃物」を聞くうちに、「大工の腕(技能)ってなんですか?」と聞きたくなる。 杉村さんは「大工の仕事は面白いことが多過ぎて、私は困るんです。」と、こともなげに言うが、私たちにはタイヘンそうにしかみえない。この「面白過ぎる」ところはぜひ聞きたい。
”活動派”募集!! の「活動ギャラリー」もお忘れなく! 意見交換会は当日のプログラム上、時間が十分とはいえません。会員の皆さんの中で、上に述べたような意見交換会の趣旨に対して、ご意見を持っておられる方は、ぜひ、活動ギャラリーの展示スペースをご利用ください。パネルにしなくても、A4サイズ数枚または新聞用紙見開き程度の大きさの紙にまとめていただければ、画鋲でとめられる展示台を用意します。 意見交換会の前でも後でも、会員をご自分の展示スペースに誘い、アピールしてください。懇親会では、缶ビールを片手に、もう一度、展示スペースでワイワイガヤガヤ大いに盛り上げてください。フォラム会員でない方にも声をかけ、ぜひお誘い合わせのうえ、ご来場ください。 |