木材は、調湿性に優れる、断熱性が高い、リラックス効果があるなど、人にやさしい、心安まる素材であるとともに、再生産可能な自然素材であり、その利用を推進することは、森林のもつ多面的機能の発揮を通じて地球温暖化の防止や資源循環型社会の形成にも資するものである。また、地域の森林で生産された木材を地域の住宅や公共施設等に幅広く利用することは、地域の森林の適切な整備に資するだけでなく、地域の活性化につながるものである。
このため、農林水産省では、平成8年に省内の関係部局からなる「農林水産省木材利用推進連絡会議」を設置し、各種事業における木材の利用状況等に関する情報交換や木材の利用推進に向けた連絡調整を行ってきた。
これらの取組の結果、治山・林道事業における間伐材等の木材の利用や農林水産省本省における木製事務机の導入において、着実にその実績を上げてきた。
しかしながら、平成13年の我が国の木材需要量は、新設木造住宅着工戸数が落ち込む中で、約9千万m3と、昭和58年以来の低水準となった。今後の木材の需要を確保していくに当たっては、公共部門において木材利用の拡大を図り、民間部門の先導役としての役割を果たしていくことが重要である。
また、農林水産省は、平成14年12月26日に策定した「地球温暖化防止森林吸収源10カ年対策」において、健全な森林の整備等とともに、木材及び木質バイオマス利用の推進を重要な柱の一つとして位置付けた。
これらを踏まえ「先づ隗より始めよ」という諺にもあるように、農林水産省、及び関係機関を挙げて自ら木材利用の拡大に取り組むこととし、そのための行動計画を定める。
なお、本行動計画の実施に当たっては、公共工事等のコスト縮減に取り組む必要性にも十分留意する。