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木材価格表示検討委員会中間報告
木材価格表示に関する全木連からの提案

   
  1. はじめに
     現行の木材価格の表示は、長年の商取引の中で木材業界がもっとも便利な表示方法として採用し、定着して来たもので、それぞれ合理性がある。従って、今後とも表示方法を一律に決めてしまうということは出来ない。

     しかし、木材生産流通の変化、住宅市場の多様化、消費者の要求の変化等を踏まえ、消費者視点立って、時代にあった価格表示の方法は何かを検討する必要がある。また建築費に占める木材価格の割合が明確になる表示方法とはどのようなものかについても検討する必要がある。

     木材業界としては木材の利用拡大を図ることが重要課題であり、木材の需要喚起のため消費者に木材について直接対話をすることが望まれるが、その際の話題として木材価格が分かりやすく表示されていることが必要である。

  2. 現行の単価表示と相場表
     木材価格の公表は、木材業界新聞が週に一度ほどの割合で各地の原木市場情報、外材情報、製品市場情報等様々な市況を紙上に掲載している。一般紙は基準となりうる木材製品の卸売価格を掲載している。月刊建築物価は製材品の工務店持ち込み価格を掲載している。これらはいずれもm3(立方メートル)当たり単価である。(特殊なものを除く。)

     これに対し、合板、集成材などは1枚あるいは1本単価が表示されている。これらは工場出荷時から1枚、1本単価が表示されている。

     一方、木材業界内で発行されている価格表はm3単価と併せて1本単価も載せている。例えば新東京木材商協同組合が毎月発行している「販売価格表」(店頭売り単価)では1本単価とm3単価を、首都圏木材市売問屋組合連合会の市況調査委員会が毎月発行している「東京市売商報」(市売り単価)では1本単価を、また、東京木材問屋協同組合の木材価格市況調査委員会が発行している「1丁1本木材価格表」は1本単価を表示し、参考にm3単価を記載している。

     これらはいずれも、印刷物として配布されているが、組合員向けの内部参考資料という位置づけである。従って通常では一般の消費者の目に触れることはない。

  3. 価格表示の考え方
     情報公開が原則になってきた社会的風潮の中で、住宅建築の場合でも消費者はより詳しい情報を求めるようになって来た。その消費者を納得させるためには構造材、内装材などの木材を始め住宅機器の種類や性能、金額など全ての情報を提供しなければならない。木材業界としてもこれに協力する必要がある。

     在来工法における使用木材の金額については木拾い表によって詳細な説明が出来る。木拾い表は通常1本1丁単価を用いて計算するが、そのため木材仲買商は上記2.のような相場表が必要になる。

     一方、消費者が住宅建築用の部材を直接買うことはないので、それらの小売価格が分かっても実用的ではない。実際現場で住宅を建築する場合は運賃や加工賃が加算されるため、個々の部材の価格表示は極めて難しい。従って木材業界が提示する価格では大工・工務店が説明に混乱するばかりであるという意見もある。また、大工・工務店のなかにはガラス張りの設計見積りに対し消極的であり、木材価格のみ明らかになるのは反対だという意見もある。

     しかし、住宅機器などの価格は明確になっているのに対し、木材価格だけ詳細が分からないというのでは不信感を招く恐れがある。消費者に対し個々の部材の価格や性能を全て明らかにし、納得して契約することによって、後のトラブルも防止できると考える。木材業界も大工・工務店の営業支援という意味からも説明責任を果たすべきである。

  4. 提案
     木材業界としては、消費者に木材の良さと地球温暖化防止に貢献する木材利用の重要性をPRしつつ、木材需要の拡大につなげる必要があり、そのためには木材価格を含め分かりやすい情報提供を心がけるべきである。そこで全木連は、会員各位に対し次のように提案する。

    1. 木工事一式を算出するために利用する木拾い表を活用して、木材金額を明確に計算し、消費者に比較考量できる情報を提供すること。
    2. 木材価格表示については次のように取扱うこと。
      1. 木材展示会、品評会などで木材価格を表示する場合は、消費者の目に触れることを前提に、原則として1本1丁価格を表示する。
      2. 既存の価格表、相場表については、1本1丁単価表示を原則とし、参考にm3単価を付して公表する。
      3. 表示する木材価格については、取引条件を明示することによって、消費者に誤解を与えないよう工夫する必要がある。
      4. 業界内取引おいて行われている価格表示方法は、この限りではない。
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