木材・木製品製造業における死亡災害は、平成14年に過去最低を記録したところでありますが、本年に入り死亡災害が従来にないテンポで増加し、尊い生命が失われるという極めて残念な状況にあります。
このため、今般、林業・木材製造業労働災害防止協会において、別添のとおり、表記の緊急対策を都道府県支部に通知すると共に、当協議会に対し、特段の協力要請がなされたところであります。
つきましては、当協議会の構成団体におかれては、協議会の基本理念を踏まえ、林災防並びに都道府県支部と密接に連携し、関係行政機関等の御支援をいただきつつ、強力な取り組みを講じられるようお願いいたします。
特に、都道府県の木材・木製品製造業関連団体においては、林災防支部等関係団体と連携して、末端事業場まで緊急対策が周知・徹底を図り、災害ゼロを目指して強力な活動を図っていただきますようお願い申し上げます。
〔全木連担当:角谷・細貝〕
別添
平成15年9月
林材業労災防止協会
林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策の実施について
林業・木材製造業における死亡災害は、平成14年にそれぞれ過去最低を記録したところであるが、本年に入り両業種ともに死亡災害が従来にないテンポで増加し、尊い生命が失われるという極めて残念な状況にある。15年度は、1年前倒しで労災保険の料率改定が行われ、林業の業種統合と統合料率の設定並びに木材製造業の料率引き下げが実現し、労災収支改善の基盤が整った初年度であり、この基盤自体が崩壊する恐れがある。
このため、本年の死亡災害の内容等を踏まえて、下記により、別紙の「林材業死亡災害防止緊急対策」(以下、「労災防止緊急対策」という。)を実施することとした。
本対策を推進するに当たっては、重点支部にあっては、「緊急対策会議」を開催すると共に、重点以外の支部を含めて、現在推進している巡回指導、作業変化対応安全対策推進事業等をはじめとして各種の会議等の機会をとらえて、本部が作成配布する緊急リーフレット等を活用し、類似災害の防止を重点とした「労災防止緊急対策」の周知徹底を図ること。
なお、支部にあっては、本緊急対策事項に、支部における災害状況を踏まえた対策事項を加えるなどの対応をされたい。
記
- 緊急対策期間
平成15年9月中旬〜11月中旬
- 区分
林業、木材製造業の別に、死亡・死傷災害状況を踏まえ、重点支部を選定
- 支部実施事項
- 重点支部
- 緊急対策会議の開催(巡回会議の開催も可)緊急巡回指導の実施
- 今後実施の事業、会議等あらゆる機会を捕らえて周知徹底
- 重点以外の支部 ・緊急巡回指導の実施
- 今後実施の事業、会議等あらゆる機会を捕らえて周知徹底
- 本部実施事項(支部は、(1)は事業体まで (2)は作業現場まで 配付すること)
(1)「林材緊急対策」リーフレットの作成・配布(付 15年死亡災害概要速報)
(2) 作業現場用の緊急対策(林業編、木材製造業編)リーフレット作成・配布
(3) 災害原因・対策緊急調査(本部主体に支部の支援)、主要支部会議への参加指導
別紙
林材業死亡災害防止緊急対策
1.15年度の林業、木材製造業における労働災害の発生状況
(死亡:7月末累計 死傷:6月末累計)
林業 |
: |
死亡災害 |
36件 |
(25件) |
11件増 |
144.0% |
|
|
死傷災害 |
675件 |
(681件) |
6件減 |
99.1% |
木材製造業 |
: |
死亡災害 |
10件 |
(8件) |
2件増 |
125.0% |
|
|
死傷災害 |
879件 |
(936件) |
57件減 |
93.9% |
( )は14年数値
死亡災害における特記すべき状況
林業
- かかり木放置による災害が連続し、更に伐倒方向の変化等による災害多発
- 林内作業車等の車両系機械その他の滑落・転落災害が多発
- 蜂災害が既に3件
- 経験年数10年以下が50%(14年18%、13年29%)うち1年以下4割
木材製造業
- フォークリフト、クレーン等の災害10件中5件
- 異物除去、修理等の非定常的な災害多し
- 巻込まれ災害10件中2件
- 経験年数10年以下80%(14年63%、13年59%)
2.林材業死亡災害防止緊急対策事項
共通 事項
- 労働災害防止のための基本動作の厳守を改めて徹底すること。
- 事業主による作業の一斉点検を実施し、潜在する危険要素を洗い出し、その改善対策を決定し、実行すること。
- 作業単位ごとの始業時のミーティングを行い、危険予知訓練を活用して当日の作業についての災害防止の重点事項を決め、指差し呼称等によりその徹底を図ること。
- 新規就労者、作業内容が変わる就労者、長期間当該作業を離れていた者等への安全衛生教育を徹底すること。
木材製造業
- フォークリフト、クレーン等の運転、操作は、移動速度を周囲の状況に応じ、低めに設定するとともに急な旋回、発進等は行わないこと。吊り荷の重量は、機械・機種に応じた範囲を守ること。クレーン等における荷の一点吊りは避けること。
- 異物除去、修理、点検等の際は、必ずスイッチを切り、ブレーキをかけ機械の動きが停止したことを確認してから行うこと。
他の作業者が起動しないよう、修理中等の表示、及び関係作業者への修理中、並びに、終了の周知を徹底すること。
- 機械を起動、再起動する際は、合図をし、周囲の安全を確認してから行うこと。
- 手ぬぐい、頭髪、袖等、機械に巻込まれる恐れがないか服装の点検を励行すること。
- 高所作業等に脚立等を使用する場合は、脚立等に使用する足場板等を確実に固定させるとともに、高さ2m以上での作業には安全帯の使用を徹底すること。
- 新規就労者等作業未熟者を危険度の高い作業へ就労させる場合は、ベテラン作業者を配置するなどにより、当該作業を本人の判断のみで行うことによるリスクの排除に努めること。
林業
- かかり木処理作業での禁止事項を確実に守らせること。特に、やむを得ず放置する場合には立入禁止の表示を行うこと。処理までの間、造材等他の作業をかかり木が倒れてくる等の恐れのある危険区域では絶対に行わないこと。危険区域の認識を周知させること。
- 伐倒方向を確実にするため、伐木における正しい作業手順に立ち返り、省略等を行わせないこと。
- 急傾斜地等においては、滑落を防止するための歩行補助用ロープの設置と安全帯の使用又は、迂回移動を励行させること。
- 新規就労者等作業未熟者を危険度の高い作業へ就労させる場合は、ベテラン作業者を配置するなどにより、当該作業を本人の判断のみで行うことによるリスクの排除に努めること。また、単独の作業環境とならないよう連絡合図をこまめに行うなどに努めること。
- 危険区域への立入、近接作業・上下作業の徹底排除のため、作業者と林内作業車、集材機等との間、作業者間などの連絡合図の方法を再度点検し、不充分な場合は改めて連絡合図の方法を改善整備し、その励行を徹底すること。
- 緊急連絡体制の有効性を再度点検し、模擬訓練を行うこと。
- 蜂刺され防止のため、防蜂網等の着用と肌を露出しないこと。本年8月に使用承認されたエピペン(メルク株式会社)の導入が有効であること。
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