平成7年3月28日の本協議会臨時総会において決定した「林材業ゼロ災運動の推進」の趣旨に基づく諸対策の着実な推進に努めるとともに、労働大臣が策定公表した「第9次労働災害防止計画」に基づき林材業労働災害防止協会が策定した「林材業労働災害防止計画(平成10年度〜14年度)」及び平成10年度に改定された「木材加工用機械災害防止総合対策」等に定められた諸対策の徹底を図るため、平成14年6月に決定した「平成14年度木材・木製品部会事業計画」に基づく事業活動を部会構成団体の緊密な連携の下に次のとおり推進した。
この結果、改善目標に対する達成状況は、死亡災害についての目標(絶滅を基本)に対して、平成14年は14人となり、前年の21人から7人減少したものの他産業に比較すると高いレベルにある。死傷者数は前年比5%の改善目標に対し、平成14年は3,067人(H13=3,633人)、前年比15.6%減の改善となり、目標を上回る改善を示した。
しかし、収支率については、目標(収支均衡の達成)に対して、保険料率引き下げに伴う保険料収入の減及び木材・木製品製造業の極めて厳しい景況悪化を反映して、平成14年度の収支均衡の達成は困難なものと思われる。
一方、労災保険の料率改定が、急遽、一年繰り上げて実施することが平成14年12月中旬に表面化したことから、林材業の労災保険料率引き下げについて、労働基準局長等へ精力的に要望活動を行った結果、千分の21〔現行:千分の23に対し、8.7%の引き下げ〕に引き下げが実現し、これにより、平成15〜17年度の木材・木製品製造業の労災保険料は、年間12.1億円の負担軽減される成果を得たところである。
◎部会の開催
(第一回)平成14年5月8日
労働災害の現状及び労災保険の収支状況、平成13年度の本部会の事業報告案、収支決算案、平成14年度事業計画案、収支予算案について説明があり、それぞれ原案どおり了承された。
さらに、労働災害及び労災保険収支の状況、平成14年度全国安全週間・林材業労働災害防止強化月間の実施について、協力要請を行った。
最後に、議案について諮ったところ、原案どおり本協議会の総会に提出することで了解を得た。
(第二回)平成14年7月24日(全国事務局担当者会議と併催)
全木連・林災防会長、厚生労働省担当室長補佐、林野庁担当課長補佐の挨拶の後、平成14年度事業計画、労災保険の現状、労災保険の収支状況、林材業ゼロ災運動、ブロック別林材業ゼロ災推進会議、平成14年度全国労働衛生週間等について、資料に基づき説明があり、意見交換を行った。
その結果、中央、地方一体となって一致協力してゼロ災に向けた積極的な活動を展開していくことを申し合わせ、合同会議を終了した。
(第三回)平成14年11月29日
労働災害の現状及び労働災害保険の収支状況、シックハウスの動向、特に、現在の収支率が130%台で推移しているが、過去の料率改定の際、この水準で料率がアップした例があるので、さらに効果的な方法を検討する必要があること、また、林野庁から木材産業が厳しい状況にあるが、死亡災害の発生が例年に比べると少ないので、収支率の面ではやや改善される可能性がある。
自主的な活動を基本にして、災害を減らすことを最優先に取り組む必要がある旨が指摘された。 部会構成団体が一致協力してゼロ災に向けた積極的な活動を展開していくことを申し合わせた。
(第四回)平成15年2月20日(全国事務局担当者会議と併催)
全木連・林災防会長、厚生労働省担当室長補佐、林野庁担当課長補佐の挨拶の後、労働災害の現状、労災保険の収支状況、木材・木製品製造業平成14年死亡災害事例速報、労災保険料率の改定、林材業ゼロ災運動の推進について資料に基づき要点の説明があった。
引き続き意見交換を行い、特に、(1)平成15年4月からの木材・木製品製造業の労災保険料率は、厚生労働省の特段の配慮により、2ポイント引き下げとなったこと、(2)災害が減少しているものの景況の悪化等による事業量の低迷に伴う、労災保険料の収入減により、収支率が悪化していること、(3)林材業ゼロ災運動の推進により、災害防止、労災保険収支改善を末端事業場まで周知徹底を図る必要があること、などの要請があった。
最後に、この会合を契機に、中央、地方一体となって一致協力してゼロ災に向けた積極的な活動を展開していくことを申し合わせ、合同会議を終了した。
◎ 林材業ゼロ災推進中央協議会第17回総会(平成14年6月11日)の開催
秋山会長から、
「わが国の経済情勢は、個人消費の低迷や、高い失業率など、一段と深刻さを増しており、林材業を取り巻く状況も、事業量の減少や採算性の悪化などにより引き続き深刻な状況下にあるが、昨年は、林業基本法が40年ぶりに「森林・林業基本法」として改正され、10月には「森林・林業基本計画」が策定され、森林の有する多様な機能の持続的発揮を基本とした政策展開がスタートすることとなった年である。
また、地球温暖化防止への積極的な対応が重要となっているところであり、林材業界としてもこれらの大きな変換に対して、しっかりと対処していかなければならないと考えている。
このような中で、本協議会は「林材業ゼロ災運動」を中核に据えて、労働災害の防止、労災収支の改善に取組んでいるところであり、平成13年度は、厚生労働省の支援による「かかり木処理作業等災害防止事業」、「林材業21死亡重篤災害撲滅運動」及び「木材加工用機械災害防止総合対策推進運動」並びに、林野庁の「林業労働安全衛生総合対策」、「林業労働災害防止機械器具開発改良事業」の展開をはじめ林材業全国安全キャラバンなどの諸対策を推進してきたところである。
平成13年の災害状況については、死亡災害が林業で対前年1件増の54件、木材製造業で2件減の21件となり、4日以上の死傷災害では林業で対前年5%減の2,633件、木材製造業で9%減の3,633件で、一定の成果を挙げてはいるものの、事業量等が減少するなかでは実質的な効果とは云えない状況にある。
平成14年度は、第9次 林材業労働災害防止計画の最終年度であることを踏まえて、労働災害防止対策及び収支改善対策の一層の定着推進を、さらに進めていただきたいと考えている。
本日は、平成14年度の事業計画等について審議いただくが、実効のある事業計画となるよう審議いただきたい。」
旨の挨拶があった後、厚生労働省本川室長、林野庁伊藤室長からそれぞれ挨拶があった。
引き続き、林業部会及び木材・木製品部会の13年度事業報告・決算、14年度事業計画・予算について、それぞれ部会長から説明があり、原案どおり了承された。
◎ 木材・木製品製造業 ゼロ災推進全国事務局担当者会議の開催
(平成14年 7月24日)
(平成15年 2月20日)
◎木材ゼロ災Webの開設
全木連ホームページ〔http://www.zenmoku.jp/〕の中に、林材業ゼロ災推進中央協議会・木材・木製品部会の活動等を紹介するとともに、末端の木材・木製品製造事業場の労働災害の防止、林材業ゼロ災運動の推進を図り、安全で清潔な魅力ある産業に革新することを目的に普及推進のための「木材ゼロ災Web」を設置している。
ホームページのアドレスは次のとおり。
http://www.zenmoku.jp/ringyou_zero/index.html
◎広報指導活動等
(中央)
「林業・木材製造業労働関係統計指標」、「職場から労働災害をなくしましょう」、「林材業安全衛生関係法令集」を各構成団体へ配布したほか、部会の開催のつど、労働災害防止関係資料、労働安全衛生関連資料を配布するとともに、部会報を5回発行・配布した。
このほか、
- 「林業労働災害防止機械・器具等開発改良事業」の募集のご案内について(平成14年4月15日付け)
- 平成14年度全国安全週間及び「林材業労働災害防止強化月間」の実施について(平成14年4月26日付)
- 林材業全国安全指導キャラバンの実施について(平成13年7月3日)
- 平成14年度(第53回)全国労働衛生週間の実施について(平成14年7月17日付)
- 林業退職金共済制度加入促進強化月間の実施について(平成14年7月26日付け)
- 林業における労災収支改善対策について(平成14年9月13日付け)
- 建築基準法施行令の一部を改正する政令案及び告示案に係るパブリックコメントの募集(シックハウス関連)について(平成14年11月26日付け)
- 「平成14年度年末年始無災害運動の実施」について(平成14年11月26日付)
- 労災保険料率改定の繰上げ実施に係る林材業関係の内示について(平成15年1月15日及び16日付け)
- 「室内の化学物質に配慮した建築基準」の検討動向について(平成13年12月27日付け)
- 労災保険料率の改定について(平成15年2月20日付け)
上記の趣旨に基づき、部会の各構成団体は、傘下の会員に対し、会報(機関誌等)、文書、会議等で労働安全衛生対策及び労災保険の収支改善の周知徹底について指導した。
(中央及び全国)
「ブロック別林材業ゼロ災推進会議」を北海道、青森、埼玉、岐阜、京都、岡山、長崎の7箇所で開催し、人命尊重の理念の下に、林材業ゼロ災運動を推進し、労働災害防止と労災保険収支改善対策の周知徹底を図った。
今年度改定作成した林材業事業所向けのパンフレット「職場から労働災害をなくしましょう」を全都道府県協議会に配布し、末端事業場まで周知徹底に努め、労働災害の防止と労災保険収支改善対策の指導に活用した。
また、林業・木材製造業労働災害防止協会が作成・配布した「木材加工用機械災害防止総合対策」、「帯のこ盤の使用、点検に関する安全上のガイドライン」、「丸のこ盤の使用、点検に関する安全上のガイドライン」、「木材加工用機械自己点検表」により、末端事業場における木材加工用機械の災害防止対策に活用した。
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