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平成15年度林材業ゼロ災推進中央協議会
「木材・木製品部会」事業計画


   

 

1. 基本方針

木材・木製品製造業を取り巻く経営環境は、総需要の低迷、海外製品との競争が激化している中で、コストダウン、品質・性能の向上等の要請など、構造的な問題に起因した非常に厳しい状況が続いている。加えて、廃棄物の適正処理、リサイクル化を含め環境負荷の低減、シックハウス対策の推進など、コストアップ要因の克服を図る必要があり、零細事業場が多い実態の中で、活力を回復することが喫緊の最重要課題となっている。

このような中で木材・木製品製造業の労働災害は、傾向的には減少となっていたが、平成14年の死亡災害は14名と前年より7名減少し、過去最低の発生人数(19人)を下回った。死傷者数は傾向的には減少を続け、平成14年は前年比15.6%減の3,067人まで減少した。最もこれは過去に例をみないレベルの事業量の減少がその要因としてあるものと推察され、気を引き締めて災防活動の再構築を図る必要がある。

また、安全で快適な職場環境の形成は、職場は魅力ある産業として位置づけられる上で最低限必要な要素であるが、木材・木製品製造業の労災保険料率は製造業の中ではワースト3にランクされている。 引き続き、災害ゼロを目標に強力に取組むため、次の事項を基本に推進することとする。

  1. 平成7年3月28日の本協議会臨時総会において決定された「林材業ゼロ災運動の推進」の趣旨に基づく諸対策の着実な推進を基本とする。
  2. 併せて厚生労働大臣が策定公表した「第10次労働災害防止計画」(平成15年度〜19年度)」及び平成10年度に改定された「木材加工用機械災害防止総合対策」等に定められた諸対策の徹底を図る。
  3. これまで加盟団体が一致協力して労働災害の防止と労災保険の収支改善に取り組んできた成果を踏まえ、2.の改善目標の実現に向けた重点事項の励行・定着に努めるものとする。なお、本部会のこれまでの活動の成果が評価され、労災保険料率は、平成7年度に千分の26→千分の24、平成10年度に千分の24→千分の23、平成15年度千分の23→千分の21に引き下げられることなったことから、千分の26の料率に比べ年間30億円もの保険料の負担軽減となり、大きな経済効果を生んでいる。
    しかし、逆に言えば、労災保険料の会計上は収入の減少を意味し、労災保険収支率の更なる悪化が懸念されるので、より一層の林材業ゼロ災運動を強力に推進する。

 

2.改善目標

  1. 死亡災害については、絶滅を基本とし、重大災害の大幅な減少に努める。
  2. 死傷者数については、前年比5%以上の減少を目標とする。
  3. 収支率については、収支均衡の達成に努める。

 

3.重点事項

(1)収支改善に係る事項

ア、労災保険料の適正な申告・納付の推進

  1. ブロック別林材業ゼロ災推進会議の実施
  2. 労災保険制度の周知・徹底及び講習会の開催
  3. 末端事業場までの指導啓発の徹底

イ、木材・木製品製造業の経営体質の強化

  1. 近代的経営感覚を養うための研修会への参加の呼びかけ
  2. 企業としての経営体質及び安全意識を強化するための図書等の配布・斡旋・紹介

(2)災害防止に係る事項

ア、中央段階における災防活動の強化

  1. 木材・木製品部会の体制整備と部会活動の強化
    • 林材業ゼロ災運動(ブロック別林材業ゼロ災推進会議の実施、林材業ゼロ災の集いの開催、林材業ゼロ災推進指導員の養成・配置、林材業ゼロ災推進指導員による現場指導の実施等)の周知徹底
    • 地方協議会の代表者・事務局担当者の全国会議の開催
    • 部会の定期開催
    • 部会報の発行・配布
    • 死亡災害実態調査の取りまとめ及びこれに基づく安全対策の策定・指導
    • 「ゼロ災」に関するリーフレット、ワッペン、ステッカー等の作成・配布及びビデオの活用
    • 木材ゼロ災Webの充実により、林材業ゼロ災運動、労働災害防止対策、労災保険収支改善対策の推進
  2. 部会構成団体における災防活動の強化徹底
    • 林材業ゼロ災運動の周知徹底
    • 「ゼロ災運動」及び災害防止対策の末端事業場までの周知徹底
    • 業種別の改善目標の設定と指導啓発活動の充実強化
  3. 木材加工用機械の安全性能の向上及び作業手順の整備

イ、地方段階における災防活動の活性化

  1. 各地方協議会の木材・木製品部会活動の活性化と「ゼロ災運動」を中心とした実践的な災防活動の推進(ブロック別林材業ゼロ災推進会議等の開催・参加)
  2. 「林材業労働災害防止強化月間」の実施(7月)
  3. 地区における安全活動の活性化
  4. 末端事業場までのゼロ災運動の普及促進
  5. 事業場の安全衛生管理体制の点検と安全意識の高揚
  6. 死亡災害の実態調査とその報告
  7. 零細事業所に対する安全指導の強化

ウ、当面の災害防止重点事項の設定とその指導の徹底

  1. ゼロ災推進体制の確立
  2. 木材加工用機械の安全化の促進及び点検整備の励行
  3. 木材加工用機械作業に係る安全な作業方法の徹底
  4. 木材加工用機械の安全装置の設置及びその有効保持の徹底
  5. 災害防止重点作業(自動送材車付き帯鋸盤、テーブル丸鋸盤、ギャングリッパ等の木材加工機械作業及びフォークリフト等による荷役作業、トラック運搬による作業等)における安全教育の徹底
  6. 塗装、接着作業等における局所排気装置等の設置の徹底
  7. 上記作業における点検等の非定常作業における安全対策の徹底
  8. 作業主任者の適正な配置及び職務の励行
  9. シックハウス症候群に関連した化学物質の濃度低減対策の促進
  10. 毎朝のミーティングの励行と的確な作業指示
  11. 服装、機械・設備の始業点検の励行
  12. 職場の実態に即した「危険予知(K・Y)」と「指差し呼称の励行」
  13. ゼロ災ワッペン等の着用
  14. パンフレット、ビデオ等の活用による具体的・効果的な災防教育の実施

 

《付記事項》

木材・木製品製造業の労働災害は、減少傾向となっており、平成14年の死傷者数は3,067人と前年比15.6%減を示し、過去最低を更新した。しかし、これは事業所の減少や過去に例を見ない需要の不振による事業量の落ち込みを映じたものと推察される。

一方、木材・木製品製造業の労災保険収支率は、平成3年度の86.5%から、年々上昇傾向で推移し、平成13年度は労災保険収入額が139億円、支出が183億円と44億円の赤字となったことから、収支率は132.0%と前年の131.6%よりは微増し、依然として危機的な水準となっている。もっとも、木材木製品の労災保険収入は平成9年度までは200億円を上回っていたので、収支改善には、ゼロ災の推進に加え、経営改善及び労災保険の納付率の向上を図ることが重要である。

労働災害保険の料率についても千分の21と製造業の中ではワースト3にランクされ、製造業で最も低い業種の千分の5に対し、4倍強の料率となっており、危険な業種の実態にある。死亡災害が1人発生すると、労災保険の会計から約5千万円が支出され、保険収支に大きく影響する。

木材木製品製造業の労災保険料率は、本部会の活動が評価され、昭和56〜平成6年度の 千分の26から、

平成7〜9年度 千分の24〔2ポイント引下げ(年間15.2億円の負担軽減)〕
平成10〜14年度 千分の23〔1ポイント引下げ(年間7.6億円の負担軽減)〕
平成15〜17年度 千分の21〔2ポイント引下げ(年間12.1億円の負担軽減)〕

となっている。

しかし、逆にいえば、保険収入がその分減少するので、収支率は悪化する。事実、平成11年度以降の収支率は、130%を上回る水準にあり、平成15年4月からの引下げでさらに収支は大きく悪化することが予想され、極めて憂慮される。

ゼロ災を実現させれば当然、保険料率が大幅に引き下げられ、個別事業所の負担が軽減されることになるので、木材・木製品製造業の労働災害防止の観点から、木材・木製品製造業界が一致団結してゼロ災運動・収支改善対策の推進等、抜本的な改善を図り、魅力のある産業としていくことが重要である。

このようなことから、今年度の林材業ゼロ災運動、労働災害防止対策、労災保険収支改善対策は、末端事業場まで含め、気を引き締めた災防活動を強力に実施することが極めて重要である。

 

 

 

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