平成15年度における事業活動は、平成7年3月28日の本協議会臨時総会において決定された「林材業ゼロ災運動の推進」の趣旨に基づく諸対策の着実な推進に努めるとともに、厚生労働大臣が策定公表した「第10次労働災害防止計画」(平成15年度〜19年度)」及び平成10年度に改定された「木材加工用機械災害防止総合対策」並びに平成15年6月に決定した「平成15年度木材・木製品部会事業計画」に基づき、部会構成団体の緊密な連携の下に推進した。
しかし、8月以降、死亡災害が急増したことから、9月に「林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策」を実施し、さらに、12月にその継続実施を年度末まで展開したところである。
その結果、改善目標に対する達成状況は、絶滅を基本とした死亡災害が21人と前年より7人増加、前年比5%以上の減少を目標とした死傷者数は、3,093人と前年より26人増加した。一方、平成15年度の収支率については、災害発生の増加に加え、労災保険料率の引き下げに伴う保険料の減少により、収支均衡の達成は極めて困難な状況となった。
◎部会の開催
(第一回)平成15年5月7日
労働災害の現状及び労災保険の収支状況、平成14年度の本部会の事業報告案、収支決算案、平成15年度事業計画案、収支予算案について説明があり、それぞれ原案どおり了承された。
さらに、労働災害及び労災保険収支の状況、平成15年度全国安全週間・林材業労働災害防止強化月間の実施について、協力要請を行った。
最後に、議案について諮ったところ、原案どおり本協議会の総会に提出することで了解を得た。
(第二回)平成15年7月29日(全国事務局担当者会議と併催)
全木連・林災防会長、厚生労働省担当室長補佐、林野庁担当課長補佐の挨拶の後、平成15年度事業計画、労災保険の現状、労災保険の収支状況、林材業ゼロ災運動、ブロック別林材業ゼロ災推進会議、平成15年度全国労働衛生週間等について、資料に基づき説明があり、意見交換を行った。
その結果、中央、地方一体となって一致協力してゼロ災に向けた積極的な活動を展開していくことを申し合わせ、合同会議を終了した。
(第三回)平成15年10月 2日
労働災害の現状及び労働災害保険の収支状況、「林材業死亡災害防止緊急対策」の推進について、説明があり、特に、9月7日現在の速報値ベースで既に死亡災害が14名と昨年のトータルと同レベルの水準にあり、このままでは20名を超えることが予想されること、死亡災害の内容が不注意による災害が多く、経験年数が浅い人の災害や林災防のアウトサイダーの割合が5割を超えていることから、緊急対策を強力に推進していくことを申し合わせた。
(第四回)平成15年12月25日
労働災害の現状及び労働災害保険の収支状況、「林材業死亡災害防止緊急対策」の継続、労災保険の民間開放についての動向について、説明があり、それぞれ原案どおり了承された。
また、死亡災害の発生が12月7日現在の速報値ベースで既に20名に達しており、さらに増加することが予想されることから、緊急対策を継続して強力に推進していくことを申し合わせた。
(第五回)平成16年2月19日(全国事務局担当者会議と併催)
全木連・林災防会長、厚生労働省担当室長補佐、林野庁担当課長補佐の挨拶の後、労働災害の現状及び労災保険の収支状況、林材業における死亡災害増加に伴う労働災害防止の徹底、林材業死亡災害防止緊急対策の継続について、資料に基づき要点の説明があった。
引き続き意見交換を行い、特に、@8月頃から死亡災害が増加していることから9月に緊急対策を実施し、さらに、12月に緊急対策の継続をお願いしていることから、地域で工夫して災害防止に努めること、A災害を減らすことができれば料率を引き下げられること、B労働災害防止活動は平素の地道な活動の積み重ねてやっていくことが重要であること、C林材業ゼロ災運動の推進により、災害防止、労災保険収支改善を末端事業場まで周知徹底を図る必要があること、などの要請があった。
最後に、この会合を契機に、中央、地方一体となって一致協力してゼロ災に向けた積極的な活動を展開していくことを申し合わせ、合同会議を終了した。
◎ 林材業ゼロ災推進中央協議会第18回総会(平成15年6月2日)の開催
秋山会長から、
「わが国の経済情勢は、個人消費の低迷や、高い失業率など、一段と深刻さを増しており、林材業を取り巻く状況も、事業量の減少や採算性の悪化などにより引き続き極めて深刻な状況下にある。森林・林業については、一昨年40年振りに改正された「森林・林業基本法」の基本理念を踏まえ、森林・林業、木材製造業への行政支援の強化のため、森林法改正、改善資金の適用範囲の拡大等の法改正等が先日成立したところである。地球温暖化防止への10ヵ年の積極的な対応が重要となっているところであり、林材業界としてもこれらの大きな変換に対して、しっかりと対処していかなければならないと考えているところである。
本協議会は「林材業ゼロ災運動」を中核に据えて、労働災害の防止、労災収支の改善に取組んでいるところであるが、林災防を中核として、平成14年度においても、厚生労働省の支援による「かかり木処理作業等作業変化対応対策」、「林材業21死亡重篤災害撲滅運動」及び「木材加工用機械労働災害防止運動」並びに、林野庁の「林業労働安全衛生総合対策」、「林業労働災害防止機械器具開発改良事業」等の展開とともに、ブロック別の林材業ゼロ災推進会議などの諸対策を推進してきたところである。
平成14年の災害状況については、関係者の大変なご努力により、死亡災害については、林業で対前年5件減の49件、木材製造業で7件減の14件となり、4日以上の死傷災害では林業で対前年3.9%減の2,531件、木材製造業で15.6%減の3,067件で、これまでにない成果を挙げてはいるものの、事業量等が減少するなかでは、残念ながら実質的な災害減少とは云えない状況にあることを認識する必要がある。
このような中で、林業の収支改善については、二ヵ年に渉る検討を行いつつ、節目ごとに行政に対しその実現に向けての支援を要請してきたところであるが、労働行政においては、昨年末に料率改定の繰上げ実施を固め、本年4月適用の改定が実施されたところある。その内容は、既にご承知の林業における業種統合と統合料率59、並びに木材・木製品製造業の2ポイントの引き下げである。これら林材業に係る労災保険の新たな基盤が実現できたことは、両行政の御力添えによるものであり、特にタイトな時間の中で実現いただいた労働行政の取り組みに対し、改めて厚く感謝を申し上げる。
平成15年度は、第10次労働災害防止計画の初年度であり、業種統合、料率改定が実施されたことを踏まえて、労働災害防止対策及び収支改善対策を一体的に進める林材業ゼロ災運動の一層の推進・定着化を図っていきたいと考えている。
本日は、平成15年度の事業計画等についてご審議いただくが、実効のある事業計画となるよう審議いただきたい。」
旨の挨拶があった後、厚生労働省南室長、林野庁篠原室長からそれぞれ挨拶があった。
引き続き、林業部会及び木材・木製品部会の14年度事業報告・決算、15年度事業計画・予算について、それぞれ部会長から説明があり、原案どおり了承された。
◎ 木材・木製品製造業 ゼロ災推進全国事務局担当者会議の開催
(平成15年 7月29日)
(平成16年 2月19日)
◎木材ゼロ災Webの開設
全木連ホームページ〔http://www.zenmoku.jp/〕の中に、林材業ゼロ災推進中央協議会・木材・木製品部会の活動等を紹介するとともに、末端の木材・木製品製造事業場の労働災害の防止、林材業ゼロ災運動の推進を図り、安全で清潔な魅力ある産業に革新することを目的に普及推進のための「木材ゼロ災Web」を設置している。
ホームページのアドレスは次のとおり。
http://www.zenmoku.jp/ringyou_zero/index.html
◎広報指導活動等
(中央)
「林業・木材製造業労働関係統計指標」、「職場から労働災害をなくしましょう」、「林材業労働災害防止年報(平成15年版)」「作業手順を作ろう(木材加工用機械作業編)」、「林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策(木材製造業編・林業編)リーフレット」、「作業現場用の緊急対策リーフレット(木材製造業の急増する死亡災害を阻止しよう!!)」、「作業現場用の緊急対策リーフレット(林業の急増する死亡災害を阻止しよう!!)」を各構成団体へ配布したほか、部会の開催のつど、労働災害防止関係資料、労働安全衛生関連資料を配布するとともに、部会報を6回発行・配布した。
このほか、
- 「林業労働災害防止機械・器具等開発改良事業」の募集のご案内について(平成15年4月8日付け)
- 平成15年度全国安全週間及び「林材業労働災害防止強化月間」の実施について(平成15年4月23日付)
- 木材製造業における支部活動の強化について(平成15年4月24日付け)
- 労働災害防止計画(第10次)の推進について(平成15年7月4日付け)
- 「労働者の疲労蓄積度自己診断チックリスト」の送付について(平成15年7月 11日付け)
- 「小規模事業場産業保健活動マニュアル」の活用による小規模事業場における産業保健活動の促進について(平成15年7月17日付)
- 平成15年度(第54回)全国労働衛生週間の実施について(平成15年7月17日付)
- 林業退職金共済制度加入促進強化月間の実施について(平成15年8月12日付け)
- 林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策について(平成15年9月24日付け)
- 「平成15年度年末年始無災害運動の実施」について(平成15年12月4日付)
- 林材業における死亡災害急増に伴う緊急対策の継続について(平成15年12月 26日付け)
- 林材業における死亡災害増加に伴う労働災害防止の徹底について(平成16年1月20日付け)
上記の趣旨に基づき、部会の各構成団体は、傘下の会員に対し、会報(機関誌等)、文書、会議等で労働安全衛生対策及び労災保険の収支改善の周知徹底について指導した。
(中央及び全国)
「ブロック別林材業ゼロ災推進会議」を北海道、岩手、山梨、福井、滋賀、香川、熊本の7箇所で開催し、人命尊重の理念の下に、林材業ゼロ災運動を推進し、労働災害防止と労災保険収支改善対策の周知徹底を図った。
15年度改定作成した林材業事業所向けのパンフレット「職場から労働災害をなくしましょう」を全都道府県協議会に配布し、末端事業場まで周知徹底に努め、労働災害の防止と労災保険収支改善対策の指導に活用した。
また、林業・木材製造業労働災害防止協会が作成・配布した「木材加工用機械災害防止総合対策」、「帯のこ盤の使用、点検に関する安全上のガイドライン」、「丸のこ盤の使用、点検に関する安全上のガイドライン」、「木材加工用機械自己点検表」等により、末端事業場における木材加工用機械の災害防止対策に活用した。
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