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化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について(H15.9.4掲載)


   

 

厚生労働省労働基準局長から、本会に対し、平成15年8月11日付け文書(基発第0811002号)をもって、“化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について”、次のとおり、周知方の依頼がありましたのでお知らせいたします。

 

化学物質等(化学物質及び化学物質を含有する製剤その他の物をいう。以下同じ。)による眼又は皮膚への障害の防止については、当省といたしましてもかねてからその徹底を図ってきたところですが、依然として、化学物質等による眼又は皮膚への障害は、化学物質等に起因する業務上疾病全体の約半数を占める状況にあり、その件数は近年増加傾向さえ認められるほか、重篤な障害となった事例も発生しているところです。

また、これらの健康障害は、配管の点検、容器の開閉等の短時間作業を含む作業においても、水酸化ナトリウム、硫酸、鉱物油等の化学物質等が飛散して労働者の身体に接触する等により発生しているところです。

これらの健康障害の発生を防止するためには、適切な保護具の使用等を徹底することが重要であることから、当省といたしましては、別添により、一層の防止対策の徹底を図ることといたしました。

つきましては、貴団体におかれましても、この趣旨をご理解いただくとともに、傘下会員事業場等に対する周知等、本対策の推進にご協力を賜りますようよろしくお願いいたします。

 

別添

基 発 第0811001号
平成15年8月11日


都道府県労働局長 殿

厚生労働省労働基準局長

 

化学物質等による眼・皮膚障害防止対策の徹底について

 

化学物質等(化学物質及び化学物質を含有する製剤その他の物をいう。以下同じ。)による眼又は皮膚への障害の防止については、かねてよりその徹底を図ってきたところであるが、依然として、化学物質等による眼又は皮膚への障害が、化学物質等による職業性疾病全体の約半数を占めており、その件数は近年増加するとともに、重篤な障害となった事例も発生しているところである。

また、これらの健康障害は、配管の点検、容器の開閉等の短時間作業を含む作業においても、水酸化ナトリウム、硫酸、鉱物油等の化学物質等が飛散して労働者の身体に接触する等により発生しているところである。

これらの健康障害の発生を防止するためには、適切な保護具の使用等を徹底することが重要であることから、下記の事項に留意の上、これらの化学物質等を取り扱う事業者等を指導されたい。

また、別添(略)により関係事業者団体等に対して傘下会員事業者への周知等を要請したので了知されたい。

 

  1. 皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な物には、次のものがあること。
  2. (1) 特定化学物質等障害予防規則(昭和47年労働省令第39号。以下「特化則」という。)第44条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与えるおそれのある特定化学物質等には、別紙1に掲げるものが含まれること。

    (2) 労働安全衛生規則(昭和47年労働省令第32号。以下「安衛則」という。)第594条に規定する皮膚障害防止用保護具の備付けが必要な皮膚に障害を与える物には、別紙2に掲げるものが含まれること。

  3. 安衛則第593条に規定する有害物で保護眼鏡等の眼障害防止用保護具を備えなければならないものには、別紙3に掲げるものが含まれること。

  4. 保護具の備付けが必要な化学物質等を取り扱う作業には、当該化学物質等を容器に密閉したまま取り扱う等労働者がばく露するおそれのない作業は含まれないものであること。

  5. 短時間であっても、化学物質等が眼又は皮膚へ接触し当該器官に障害を与えるおそれのある作業を行う場合には、保護眼鏡、保護衣、保護手袋等の保護具を使用するよう事業者等に対して指導すること。

  6. 保護眼鏡、保護衣、保護手袋等の保護具は、取り扱う化学物質等の性状、化学物質等を取り扱う作業等に応じた適切なものを選定するよう事業者等に対して指導すること。なお、これらの保護具に係る規格として、JIST8115(化学防護服)、JIST8116(化学防護手袋)、JIST8117(化学防護長靴)、JIST8147(保護眼鏡)等があること。

  7. 破損等のない適切な保護具の使用を徹底するため、使用前の保護具の点検及び日常の保守管理を適切に実施するよう事業者等に対して指導すること。

  8. 適切な保護具の使用等を徹底するため、作業規程等に保護具の使用等を明記するとともに、安衛則第35条に基づく雇入れ時等の教育はもとより、あらゆる機会を捉えた労働者に対する教育の実施及び労働者の保護具の使用状況の確認を行うよう事業者等に対して指導すること。

  9. 特化則別表第3の(十七)の五酸化バナジウムを製造し、又は取り扱う業務の項の下欄第三号中「指端の手掌部の角化等」の「等」には、皮膚炎及び結膜炎が含まれること。

  10. 眼又は皮膚に障害を与える化学物質等を取り扱う業務に従事する労働者については、当該化学物質に係る労働安全衛生法第66条第2項に基づく健康診断を受診している者を除き、事業者は安衛則第44条又は第45条に基づく定期健康診断実施の際、当該労働者がばく露するおそれのある化学物質等の名称及びその有害作用、ばく露することによって生じる症状・障害等に関する情報を化学物質等安全データシート(MSDS)等を用いて当該健康診断を行う医師に通知の上、自覚症状及び他覚症状の有無の検査にあわせて眼又は皮膚の障害の有無の確認を求めることが望ましいこと。

 

別紙1

特化則第44条に規定する皮膚に障害を与えるおそれのある特定化学物質等

  • アクリルアミド
  • アクリロニトリル
  • アルキル水銀化合物
  • アンモニア
  • エチレンイミン
  • エチレンオキシド(別名酸化エチレン)
  • 塩化水素
  • 塩素
  • 塩素化ビフェニル(別名PCB)
  • クロム酸及びその塩
  • コールタール
  • 五酸化バナジウム
  • 三酸化砒(ひ)素
  • 臭化メチル
  • 重クロム酸及びその塩
  • 硝酸
  • トリレンジイソシアネート(別名TDI)
  • フェノール
  • 弗(ふっ)化水素
  • ベータプロピオラクトン
  • ベリリウム及びその化合物
  • ベンゾトリクロリド
  • ペンタクロルフェノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩
  • ホスゲン
  • ホルムアルデヒド
  • 沃(よう)化メチル
  • 硫酸
  • 硫酸ジメチル

 

別紙2

安衛則第594条に規定する皮膚に障害を与える物

  • アクリル酸エチル
  • アクリル酸ブチル
  • アクロレイン
  • アニシジン
  • アミン系の樹脂硬化剤
  • アリルアルコール
  • アンチモン及びその化合物
  • 3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシル=イソシアネート(別名イソホロンジイソシアネート)
  • ウルシオール
  • エタノール
  • エチレンジアミン
  • エピクロロヒドリン
  • 塩化亜鉛
  • 塩化白金酸及びその化合物
  • 塩素化ナフタリン
  • 黄りん
  • 過酸化水素
  • カルシウムシアナミド
  • カーボンブラック
  • ぎ酸
  • グルタルアルデヒド
  • クレゾール
  • クロム及びその化合物(クロム酸及びその塩並びに重クロム酸及びその塩を除く。)
  • クロルジニトロベンゼン
  • クロールスルホン酸
  • クロルヘキシジン
  • クロロアセトアルデヒド
  • クロロピクリン(別名トリクロルニトロメタン)
  • 鉱物油
  • コバルト及びその化合物
  • 酢酸
  • 酸化カルシウム
  • 2−シアノアクリル酸メチル
  • ジクロルメタン(別名二塩化メチレン)
  • ジチオカーバメート系化合物(エチレンビス(ジチオカルバミド酸)亜鉛(別名ジネブ)及びエチレンビス(ジチオカルバミド酸)マンガン(別名マンネブ))
  • ジニトロフェノール
  • 1,1′−ジメチル−4,4′−ビピリジニウム=ジクロリド(別名二塩化1,1′−ジメチル−4,4′−ビピリジニウム又はパラコート)
  • N,N−ジメチルホルムアミド
  • 臭素
  • 水酸化カリウム
  • 水酸化ナトリウム
  • 水酸化リチウム
  • すず及びその化合物
  • スチレン
  • セレン及びその化合物(セレン化水素を除く。)
  • N−(1,1,2,2−テトラクロルエチルチオ)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシミド(別名ダイホルタン)
  • テトラヒドロフラン
  • テトリル(別名2,4,6−トリニトロフェニルメチルニトロアミン)
  • 1,3,5−トリス(2,3−エポキシプロピル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6−(1H、3H、5H)−トリオン(別名トリグリシジルイソシアヌレート)
  • トリニトロトルエン(別名TNT)
  • ニッケル及びその化合物
  • バナジウム及びその化合物(五酸化バナジウムを除く。)
  • パラ−ターシャリ−ブチルフェノール
  • パラ−フェニレンジアミン
  • パラ−メトキシフェノール(別名4−メトキシフェノール)
  • ビスフェノールA型及びF型エポキシ樹脂
  • 砒(ひ)素及びその化合物(三酸化砒(ひ)素及び砒(ひ)化水素を除く。)
  • ヒドラジン
  • 2−ヒドロキシエチルメタクリレート
  • ピリジン
  • フェニルフェノール
  • フェネチジン
  • 弗(ふっ)素及びその水溶性無機化合物(弗(ふっ)化水素を除く。)
  • プロテアーゼ
  • ヘキサメチレンジアミン
  • ヘキサメチレン=ジイソシアネート
  • 無水フタル酸
  • 無水マレイン酸
  • メタクリル酸メチル
  • メタノール
  • メチルエチルケトン
  • 4,4′−メチレンジアニリン(別名4,4′−ジアミノジフェニルメタン)
  • メチレンビス(4,1−シクロヘキシレン)=ジイソシアネート(別名ジシクロヘキシルメタン−4,4′−ジイソシアネート)
  • メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(別名メチレンビスフェニルイソシアネート又はMDI)
  • 沃(よう)素
  • レソルシノール(別名レゾルシン)

 

別紙3

安衛則第593条に規定する有害物で保護眼鏡等の眼障害防止用保護具を備えなければならないもの

  • アクリロニトリル
  • アクロレイン
  • アンチモン及びその化合物
  • アンモニア
  • イソペンチルアルコール(別名イソアミルアルコール)
  • エチレンイミン
  • エチレンオキシド(別名酸化エチレン)
  • エチレンクロロヒドリン
  • エチレンジアミン
  • エピクロロヒドリン
  • 塩化亜鉛
  • 塩化水素
  • 塩化白金酸及びその化合物
  • 塩素
  • カルシウムシアナミド
  • クレゾール
  • クロロピクリン(別名トリクロルニトロメタン)
  • 2−クロロ−1,3−ブタジエン(別名クロロプレン)
  • 酢酸
  • 酢酸エチル
  • 酢酸ノルマル−ブチル
  • 酢酸ノルマル−プロピル
  • 酢酸ノルマル−ペンチル(別名酢酸ノルマル−アミル)
  • 1,4−ジオキサン
  • シクロヘキサノール
  • シクロヘキサノン
  • 1,2−ジクロルエタン(別名二塩化エチレン)
  • 2,4−ジクロルフェニル=パラ−ニトロフェニル=エーテル(別名NIP)
  • ジクロルメタン(別名二塩化メチレン)
  • 1,1′−ジメチル−4,4′−ビピリジニウム=ジクロリド(別名二塩化1,1′−ジメチル−4,4′−ビピリジニウム又はパラコート)
  • N,N−ジメチルホルムアミド
  • 臭素
  • 硝酸
  • 水酸化カリウム
  • 水酸化ナトリウム
  • 水酸化リチウム
  • スチレン
  • セレン及びその化合物
  • N−(1,1,2,2−テトラクロルエチルチオ)−4−シクロヘキセン−1,2−ジカルボキシミド(別名ダイホルタン)
  • テトラクロルエチレン(別名パークロルエチレン)
  • テトリル(別名2,4,6−トリニトロフェニルメチルニトロアミン)
  • トリクロルエチレン
  • 1,1,2−トリクロロエタン
  • トリレンジイソシアネート(別名TDI)
  • 1,5−ナフチレンジイソシアネート
  • 二酸化硫黄
  • 二酸化窒素
  • バナジウム及びその化合物
  • パラ−ニトロフェニル=2,4,6−トリクロルフェニル=エーテル(別名CNP)
  • パラ−フェニレンジアミン
  • ヒドラジン
  • ピリジン
  • フェノール
  • 弗(ふっ)素及びその水溶性無機化合物
  • ブラストサイジンS
  • プロテアーゼ
  • ヘキサメチレン=ジイソシアネート
  • ベリリウム及びその化合物
  • ベンゼンの塩化物
  • ペンタクロルフェノール(別名PCP)及びそのナトリウム塩
  • ホスゲン
  • ホルムアルデヒド
  • 無水フタル酸
  • 無水マレイン酸
  • メタノール
  • メチレンビス(4,1−フェニレン)=ジイソシアネート(別名メチレンビスフェニルイソシアネート又はMDI)
  • 沃(よう)素
  • 硫化水素
  • 硫化ナトリウム
  • 硫酸
  • 硫酸ジメチル
  • レソルシノール(別名レゾルシン)

 

 

 

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