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「労働者の心の健康の保持増進のための指針」について

 

 

 

 「労働者の心の健康の保持増進のための指針について」、厚生労働省労働基準局長から全木連会長に対し、去る平成18年3月31日付け文書(基発第0331002号)をもって、次のとおり、指針の周知徹底について要請がありました。

労働者の心の健康の保持増進のための指針の概要は、別紙のとおりですので、お知らせいたします。

なお、労働者の心の健康の保持増進のための指針の全文は、厚生労働省のホームページに掲載されております。

 http://www.mhlw.go.jp/houdou/2006/03/dl/h0331-1b.pdf

 

 労働基準行政の運営につきましては、日頃から格別の御協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 さて、近年、労働者の受けるストレスは拡大する傾向にあり、仕事に関して強い不安やストレスを感じている労働者が6割を超える状況にあります。また、精神障害等に係る労災補償状況をみると、請求件数、認定件数とも近年、増加傾向にあります。このような中で、心の健康問題が労働者、その家族、事業場及び社会に与える影響は、今日、ますます大きくなっており、事業場においてより積極的に労働者の心の健康の保持増進を図ることは非常に重要な課題となっております。

 このため、厚生労働省におきましては、平成12年8月9日付け基発第522号の2「事業場における労働者の心の健康づくりのための指針の策定について」(以下「旧指針」という。)に基づき所要の対策を推進してきたところですが、今後、事業場におけるメンタルヘルス対策の適切かつ有効な実施をさらに推進するため、旧指針を踏まえつつ見直しを行い、旧指針を廃止した上で、労働安全衛生法第70条の2第1項に基づく指針として、新たに「労働者の心の健康の保持増進のための指針」を別紙のとおり策定し、本日官報公示したところです。

つきましては、貴団体におかれましても、本指針の趣旨を御理解いただき、会員その他関係事業場に対し、本指針の周知徹底につき特段の御配慮を賜りますようお願いいたします。

 

別紙

 

労働者の心の健康の保持増進のための指針(概要)

 

1.趣旨

本指針は、労働安全衛生法第70条の2第1項の規定に基づき、同法第69条第1項の措置の適切かつ有効な実施を図るための指針として、事業場において事業者が講ずるように努めるべき労働者の心の健康の保持増進のための措置(以下「メンタルヘルスケア」という。)が適切かつ有効に実施されるよう、メンタルヘルスケアの原則的な実施方法について定めるものである。

事業者は、本指針に基づき、各事業場の実態に即した形で、メンタルヘルスケアの実施に積極的に取り組むことが望ましい。

 

2.メンタルヘルスケアの基本的考え方

事業者は、事業場におけるメンタルヘルスケアを積極的に推進するため、衛生委員会等において十分調査審議を行い、「心の健康づくり計画」を策定するとともに、その実施に当たっては、関係者に対する教育研修・情報提供を行い、「4つのケア」を効果的に推進し、職場環境等の改善、メンタルヘルス不調への対応、職場復帰のための支援が円滑に行われるようにする必要がある。

また、事業者は、心の健康問題の特性、個人の健康情報の保護への配慮、人事労務管理との関係、家庭・個人生活等の職場以外の問題等との関係に留意する必要がある。

 

3.衛生委員会等における調査審議

メンタルヘルスケアの推進に当たっては、事業者が労働者の意見を聴きつつ事業場の実態に即した取組を行うことが必要である。「心の健康づくり計画」の策定はもとより、その実施体制の整備等の具体的な実施方策や個人情報の保護に関する規程等の策定等に当たっては、衛生委員会等において十分調査審議を行うこと。

 

4.心の健康づくり計画

事業者は、メンタルヘルスケアに関する事業場の現状とその問題点を明確にするとともに、それぞれの事業場の実態と必要性に応じて、その問題点を解決する具体的な取組事項等についての基本的な計画(「心の健康づくり計画」)を策定すること。

 

5.4つのメンタルヘルスケアの推進

メンタルヘルスケアは、「セルフケア」、「ラインによるケア」、「事業場内産業保健スタッフ等によるケア」及び「事業場外資源によるケア」の「4つのケア」が継続的かつ計画的に行われることが重要である。

なお、事業者は、メンタルヘルスケア推進の実務を担当する事業場内メンタルヘルス推進担当者を選任するよう努めるものとする。

 

6.メンタルヘルスケアの具体的進め方

(1)メンタルヘルスケアを推進するための教育研修・情報提供

事業者は、4つのケアが適切に実施されるよう、それぞれの職務に応じ、メンタルヘルスケアの推進に関する教育研修・情報提供を行うものとする。 なお、労働者や管理監督者等に対する教育研修を円滑に実施するため、事業場内に教育研修担当者を計画的に育成することも有効である。

 

 

(2)職場環境等の把握と改善

事業者は、職場環境等の改善に積極的に取り組むとともに、管理監督者等や事業場内産業保健スタッフ等に対し、職場環境等の把握と改善の活動を行いやすい環境を整備するなどの支援を行うものとする。

 

(3)メンタルヘルス不調への気づきと対応

事業者は、個人情報の保護に十分留意しつつ、労働者、管理監督者等、家族等からの相談に対して適切に対応できる体制を整備するものとする。さらに、相談等により把握した情報を基に、労働者に対して必要な配慮を行うこと、必要に応じて産業医や事業場外の医療機関につないでいくことができるネットワークを整備するよう努めるものとする。

 

(4)職場復帰における支援

メンタルヘルス不調により休業した労働者が円滑に職場復帰し、就業を継続できるようにするため、事業者は、その労働者に対する支援を適切に行うものとする。

 

7. メンタルヘルスに関する個人情報の保護への配慮

メンタルヘルスケアを進めるに当たっては、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に配慮することが極めて重要である。 事業者は、健康情報を含む労働者の個人情報の保護に関し、個人情報の保護に関する法律及び関連する指針等を遵守し、労働者の健康情報の適正な取扱いを図るものとする。

 

8.小規模事業場におけるメンタルヘルスケアの取組みの留意事項

小規模事業場においては、事業者は、セルフケア、ラインによるケアを中心として、実施可能なところから着実に取組みを進めるとともに、地域産業保健センター等の事業場外資源の提供する支援等を積極的に活用することが望ましい。

 

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