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現地調査報告
まえがき
森林の違法伐採問題に関し2000年のG8沖縄サミットにおいて採択されたコミュニケのなかで、木材生産国のみならず木材消費国においても何らかの対策を取るべきという合意がなされたことを受け、林野庁としても我が国の木材業界がこの問題にどう取組んでいくのかについて関心を示し、木材業界の立場を明確にするよう示唆された。そこで全木連は学識経験者、木材業界、輸入商社、NGO、消費者団体等を構成員とする「森林違法伐採問題検討委員会」を設置し、この問題の解明と対策について検討することとした。同委員会の審議の過程において同委員会委員をメンバーとする現地調査団の派遣を決定し、昨年10月インドネシア及びロシアへ派遣した。 本報告書は、これら両調査団の報告を取りまとめたものであり、森林の違法伐採問題が森林環境や地域経済に及ぼす深刻な影響について、一般市民の理解を得、問題解決に協力してもらう下地作りに必要な一般的情報は得られたものと考える。 また、木材業界としても今後違法伐採問題について業界内部の意思統一を図りつつ、自らのスタンスを明確にしていかなければならないと考えている。併せて、一般市民の理解と協力を得るため、この問題の深刻さをどのように周知していくか今後の課題である。 ここに、本件調査にあたってご協力を頂いた方々に厚く御礼申し上げます。
1.調査の目的
調査団の目的は、本検討委員会の実施要領にあるとおり、木材輸出国における違法伐採の現状等を把握するため、関係者との意見交換、関連情報の収集を行うとともに、違法伐採対策への取組みの実態、今後の展望等について聴取することである。これに加えて,この問題の国際的反響に鑑み、さらに踏み込んで次のように目的を明確にした。 この事業の最終目的は持続可能な森林経営のために日本の木材産業界が果たすべき役割(potential roles)を明確にすること、これをレポートにして政府に提出することである。そのため調査団では、違法伐採の現状に関する情報の収集、関係機関の担当者との面談等を通じ、我が国の政府や木材業界の果たすべき役割を明確にすることである。さらに、輸出国の関係者が求めている対策や支援のあり方について検討する情報も併せて収集し報告することである。 違法伐採問題は随分以前から現地では大きな問題になっていたが、G8沖縄サミット以降、輸入国側もこの問題を真剣に考えなければならないという気運が盛り上がった。特に世界市場から木材を大量に輸入している我が国は早急に何らかの態度を表明しなければならないと考える。木材が環境に優しい、温暖化防止に役立つ資材であるという宣伝の一方で世界の森林が違法に伐採され、持続的森林経営が危ぶまれる事態を招く原因の一端が我が国の木材利用にあるとすれば、木材業界も消費者も反省すべきである。このような事態を起こさないためには輸出国側の法律、規則などの的確な施行と適正な貿易ルールの確立・遵守さらには行政官、森林所有者、コンセッション所有者等の教育訓練などを通じ輸出国側における違法伐採問題への取組みに加えて、輸入国側においては、適正な輸入管理のためのモニターリングシステムの確立、管理された森林から生産された木材のみを取り扱うのだと言う業界の意思表示と共に、最終消費者の理解と協力を得る努力が必要である。 また、今回の調査で、分かったことだが、一口に違法伐採といってもその国によって受け止め方は大きく違うということである。特にインドネシアでは政府、国際機関も含め違法伐採問題の存在を認め、その対策について関係者一体となって取組んでいる。このようなところでは、違法伐採について関係者がなんでも情報をくれるが、政府が違法伐採の存在を認めてないロシアでは、非公式には種々の情報を出してくれるが、具体的な事案や詳細な数字はなかなか出てこない。このような事情も考慮して今後の対策や支援のあり方を検討しなければならない。
2.調査団の構成と日程 (1)インドネシア班
日 程
(2)ロシア班
日 程
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