国産材等流通促進協議会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

国産材等流通促進協議会

実施概要

①木造軸組住宅における国産材の利用実態に関する調査
 ~横架材の使用実態と横架材への国産材利用促進について~  

 昨年度実施した「木造軸組住宅における国産材利用の実態調査」の調査結果を踏まえ、本事業では、横架材(桁・梁)への国産材利用促進やムク国産材の利用拡大を目的とした調査を行った。昨年度の調査に協力頂いた621社に横架材の利用状況に関するアンケートを行い回答率45%の回答を得た。
 アンケート調査の結果として、横架材の使用樹種では杉KD材の比率が高くなっており、これは調査対象がJBNと木青連の会員工務店で、従来国産材に関心の高い対象であったためだと推測される結果となりました。入手の容易性が増したことや乾燥技術の向上により品質が安定してきたことで以前より国産材を使いやすくなったといった声がある一方で、国産材の横架材を使用する理由として国の補助金に対応しているからといった回答も多く見られ、今後も補助金の有無によって国産材の使用率が大きく影響されると考察できました。

 
②「地域材住宅の今後を考える」シンポジウム開催
●日時:平成28年10月12日(水)
●会場:ワークピア広島 3F「蘭」
●受講者:30名

●日時:平成28年10月20日(木)
●会場:エッサム神田ホール1号館 301号室
●受講者:64名

 昨年度は、「木造軸組住宅における国産材利用の実態調査」を実施し、部材別の木材使用状況を明らかにし、今年度は、昨年度の調査結果を踏まえ、横架材への国産材利用促進やムク国産材の利用拡大を目的とした調査・検討を行った。今事業では、これまで調査した結果を発表するとともに、今後の地域材住宅における国産材利用のあり方について考えるシンポジウムを開催致しました。

プログラム
1)木造軸組住宅における国産材の利用実態に関する実態調査報告
2)『建築物における国産木材活用マニュアル(仮)』-木材の取扱説明書-について
3)パネルディスカッション

 パネルディスカッションでは京都府立大学 古田裕三教授をコーディネーターとし、主に実態調査の報告をもとに、横架材の国産材の利用について工務店や供給側などの意見をまじえて行われました
 

広島会場

東京会場
 
③国産材等の利用促進に関する視察研修(熊本県)
 九州は木造住宅での国産材利用率が高く、なかでも熊本県は熊本県産材の利用率が多い。本州と比べ国産材率が高い理由を、熊本県内でも特に国産材の無垢材を多く使用している工務店や国産材の取扱いが多いプレカット会社を視察し意見交換することで明らかにすることを目的に視察研修を行った。
参加人数:9名

【日程スケジュール】
◆    1日目 (7月11日)
1)工務店現場視察① ㈲村田工務店
2)工務店現場視察② ㈱エバーフィールド:
3)協同組合熊本ランベックス視察
4)㈱佐藤林業ログ事業部会議室にて意見交換会

◆    2日目 (7月12日)
1)御船町の仮設木造住宅視察
2)ホテルエミナース会議室にて委員会



応急仮設木造住宅視察

 
④建築物における国産木材活用マニュアル 作成─ 木材の取扱説明書―
 建築物における木材利用を促進するためには、建築主が木造化や木質化の効用を理解し納得して発注できるようにすることが必要である。そのために、建築主等と直接的に接点をもつ設計者や施工者が、木造化・木質化に関する知識を習得し、その特性(良い点や悪い点、配慮すべき点など)を建築主等に説明できることが重要である。そうした説明が、建築物の引渡し後におけるトラブル回避にもつながると考えられます。
 今事業で「建築物のおける国産材活用マニュアル」を作成することで、住宅生産事業者に国産木材(製材)の特性などを理解し、建築主等への説明などに役立ててもらうことを意図しました。
 テーマとしては以下の4つの事項を取り上げました。
  1.木材・木構造の性質(正しく木を使うための基礎情報)
  2.木材活用利用による効用(木を使うことの良さ)
  3.建築物への木材の活用方法(木の使い方)
  4.地域の木材供給体制の構築・再生(地域の木を使うために)

 関連情報として、地域材活用に関する助成制度の概要を整理した。 

 

事業実施により得られた効果

昨年度「木造軸組住宅における国産材利用の実態調査」を実施し、部材別の木材使用状況を明らかにした。今年度は、昨年度の調査結果を踏まえ、横架材への国産材利用促進やムク国産材の利用拡大を目的とした調査、検討を行った。この調査結果を発表し、今後の地域材住宅における国産材利用のあり方について考える機会としてシンポジウムを開催した。広島会場と東京会場の受講者は、木材関係者もきていたが工務店の参加者がおおくみられた。国産材をする利用する工務店が多くなってきており、横架材やムク国産材への興味をもつ工務店の増加もみられた。
 国産材等流通促進協議会は10月12日に広島で、10月20日に東京で当事業の報告会を実施しました。報告では、平成27年度に実施した「木造軸組住宅における国産材利用の実態調査」の結果を踏まえ、その回答者に対して再度「横架材の国産材利用促進やムク国産材の利用拡大」を目的とした調査を行い、結果を発表した。
 アンケートによると横架材の使用樹種では杉KD材の比率が高くなっており、調査対象がJBNと木青連の会員工務店で、従来国産材に関心の高い対象であったためだと推測される結果となりました。現状、国産材が選ばれる大きな理由は、補助金が挙げられており、補助金がなくなれば国産材の採用割合が減ってしまうことも考えられると報告した。
 今回の調査では、アンケート対象に偏りがあったが、国産ムク材を使う場合は木材販売店との関係が強く、販売店が工務店に適材適所のアドバイスができるようにしていくことで、更に需要が拡大する可能性があります。こうした需要拡大策に対し、当事業で作成した木材の取扱マニュアルは工務店の担当者が国産材を活用する上で理解しておくべきポイントを抑えており、国産材活用の一助になると考えられる。
 

今後の課題と次年度以降の計画

今後は、作成したマニュアルを元に各地でロールプレイング等を含んだ研修の実施を行い、マニュアルの更なるブラッシュアップを行っていきます。また、施主向けの木材の取扱マニュアルも作成し、施主から国産ムク材が逆指定されるような、独り歩きできる冊子の作成も行い、国産材利用拡大をすすめてく予定。