秋田県木材産業協同組合連合会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

秋田県木材産業協同組合連合会

実施概要

 事業の実施にあたり、事業計画をより効果的なものとすることに併せ、地域材の需要拡大に向けた関係機関との合意形成を得るため、原木供給から木材加工、さらには需用者としての建築設計士や関係行政等、川上から川下までの関係機関が一体となる協議会を3回開催して事業の推進を行った。今年度の事業内容は以下の通り。
 
1「住宅フェア」の開催

木材の主産地の特性を生かし、高品質な木製品を品揃えした住宅フェアを県内3カ 所で開催するとともに、来場者へのアンケート調査を実施。また、県事業で実施した県 外の一般製材品の展示会に「住宅フェア」を出展したほか、県主催の韓国の展示会にも 木材のサンプル提供を行うなど、地域材利用の普及啓発と情報収集に積極的に努めた。

実施状況
① 第1回住宅フェア(県中央地区)  来場者 3千人(2日間)
と き 
平成28年8月27日・28日

ところ 
秋田市「イオンモール秋田 セントラルコート」
 
② 第2回住宅フェア(県北地区)   来場者 千人(2日間)
と き 
平成28年10月1日・2日

ところ 
北秋田市「いとく鷹巣ショッピングセンター特設会場」
 
③ 第3回住宅フェア(県南地区)   来場者 2千人(2日間)
と き 
平成28年10月22日・23日

ところ 
美郷町「美郷町総合体育館 リリオス」
 
④ 第4回住宅フェア(埼玉県戸田橋市)    100人(1日間)
一般製材品展示会に相乗りして開催
と き 
平成28年10月18日

ところ 
埼玉県戸田市((株)吉貞戸田市場)
 
2「秋田県地域材利用モデル住宅の提案募集」

昨年に引き続き、建築を学ぶ学生を対象に標記提案募集を実施した。今年度は新たに 東北地区の大学の学生も対象としたが応募がなかったのは今後の課題。

実施状況
① 応募総数     
22件

② 表彰式の開催   
平成28年10月22日(土)10:00~11:30

③ 応募作品集の発行
 
3「地域材利用促進講演会」の開催

上記「提案募集」の表彰式に併せて、大規模木造建築物と内装木質化の先進事例に ついて学ぶため、「福島県国見町役場の内装木質化」と「東京都調布市の桐朋学園大 学木造高層校舎建築」をテーマとした講演会を開催

と き  
平成28年10月22日(土)13:00~16:00

ところ  
秋田市「森林学習交流館 クリプトン」

参加者  
100名(建築、木材、木材流通関係)
 
 
講 師  
(株)安藤・間 東北支店 野堀 俊之 氏
       前田建設工業(株)    永松 航介 氏
 

事業実施により得られた効果

 天然秋田杉等の高樹齢材からの製品生産により、全国に名高い秋田杉ブランドを構築した本県の木材産業は、その後の高樹齢資源の減少に加え、木材の需要ニーズへの変化に
対応が遅れたことなどにより、製材品の出荷量が低迷した期間が長く続いていた。
しかしながら、近年は本県のスギ人工林は成熟期を迎えており、木材・木製品の出荷量は拡大傾向が見られるようになっているものの、日本一のスギ人工林資源を有する本県が健全な森づくりを計画的に進める上で、今後の木材・木製品の出荷量を拡大することは急務となっていることから、地域材の需要拡大を目的に当該事業を実施している。
事業実施効果は次のとおり。

・    県木連が県内の関係業界を一同に集めた「協議会」を設置したことから、県内における原木の安定供給や、需要ニーズに対応した木材・木製品の加工の方向性、効果的な木材の利活用の推進などについての幅広い意見交換を行っている。
この結果、当該協議会は「事業の進行管理」に止まらず、より効果的な事業を推進する上でも大きな成果をあげている。
また、他業種の委員からの提案等への積極的な対応により、関係業界からの地域材の需要拡大に対する必要性についての合意形成が促進されはじめた。

・    「住宅フェア」の開催は、一般県民に対する県産の木材・木製品の紹介を目的として開催したが、県産製品の品揃えを前面に出した展示を実施したことにより、来場者からの好評が得られ、木材・木製品の良さについての効果的なPRが出来た。
また、フェア会場でアンケート調査を実施したが、その結果は今後の木材・木製品のPR活動に生かしていく。
なお、「住宅フェア」開催に向けて準備した展示品のサンプル等は、今後も自力実施も含め、木材・木製品のPR活動が可能となっている。
このため、県からの受託事業等で実施している県外におけるスギ一般材製材品等の展示会でも、その会場の一部で「住宅フェア」を試行開催しており、今後は県外市場の開拓に向けて「住宅フェア」の県外開催も視野に入れることが出来る。

・     「地域材利用モデル住宅の提案募集」は、昨年に引き続き、学生を対象として実施したが、県内の建築系の学科を持つ教育機関からは、学生が木造建築に対する関心を高める契機となったと高く評価されるようになっている。
・     また、作品の審査会の開催を通じ、より建築士等との交流が深まっており、こうした取組を地域材の需要拡大に結びつけていく効果も期待できるほか、今後の若手木造建築者の確保にも貢献できることを期待している。

・    「地域材利用促進講演会」は、県内での大規模木造建築物建設への関心を高めるため、先進県の取組事例の報告会として開催したが、参加者からの活発な質問が出されるなど、木造施設への関心も高まっており、今後の木造の大規模集合住宅など、新たな地域材の需要拡大に結びつく取組に繋がることが期待される。
 また、木材需要拡大に先進的な取組を行っているゼネコン等への講師の依頼と、講演会場への県産の木材・木製品の展示はアピール度も高く、効果的な県産材のPRに貢献している。
 

今後の課題と次年度以降の計画

(1)今後の課題
 本県の日本一のスギ資源が利用期を迎える中で、人口減少や高齢化が進む本県では県内需要だけでは資源活用にも限界がある。
 本来であれば、県外での木材の需要拡大に向けて、県内の関係機関が連携を強化しながら県産の木材・木製品の良さを効果的に普及して、県外での需要拡大を進めていくことが望ましい。
一方で、県内で、需要者の主体である建築業界や、製品を供給する木材加工業界は経営基盤が弱い企業が多く、新製品開発等のスピードアップも難しい。
 このため、今後も、県内における関係機関との連携の強化を図るとともに、県外の有力なビルダー等との連携も視野に入れた取り組みも急がれる。
 このようなことから、今後は県内における関係機関の一層の強化に加え、県外市場での
PR活動を強化していきたい。
 また、現在、進めている若手の木造建築者の育成には時間が必要であることから、継続した普及啓発を実施するとともに、次年度以降は、県民からの一層の理解を得るため開催している「住宅フェア」等の開催を県外でも行うことで、地域材での利用拡大も進めたい。
このため「協議会」を主体に、関係事業の効果的な推進に一層努めたい。

(2)次年度以降の計画
 (1)に記した課題を踏まえ、次年度以降は次の事業を主体に取り組みたい。
① 関係業界の連携強化と効果的な事業の推進のための「協議会」開催
 
② 一般県民を対象とする「住宅フェア」は、県外も加えた県産木材・木製品の求評活動を実施
 
③ 県内で若手の木造建築担い手の育成を目的に「地域材モデル住宅の提案募集」の実施
 
④ 県外の先進的な木造建築への取組を紹介する「地域材利用推進講演会」の開催
 
住宅フェア開催

中央地区

中央地区

県北地区

県南地区
 
地域材利用モデル住宅表彰式・講演会

コンクール審査会

受賞者プレゼンテーション

講演会

講演会