群馬県地域材活用推進協議会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

群馬県地域材活用推進協議会

実施概要

  • 群馬県地域材活用推進協議会は、川上の原木供給者から川中の木材・製材業、川下の住宅建築業までの関係者で構成する団体で、これまでも木材利用ポイント事業や木造住宅等地域材利用拡大事業などに取り組んできた。
  • 本事業では、協議会の事務局を担当している一般社団法人群馬県木材組合連合会が事業実施主体となって協議会員と連携して次の(1)から(5)の事業を実施し、地域材の利用拡大を推進するとともに、合法木材への理解を深めた。
 

事業内容及び結果

(1)地域材活用推進協議会の開催 
  • 川上から川下の関係者により1回開催し、地域材利用の拡大のための企画・普及方法等について協議した。
    〇開催日:10月24日 木材振興センター
     ア)地域材利用の木材関係者等への支援対策事業の実施状況について
     イ)地域材(県産材)の利用拡大方策について
(2) 地域材の普及啓発の実施
  • 県民に県産材を広くPRするため、新聞等の広告掲載をはじめ、冊子の作成、普及啓発資材の整備、モデルハウスに住宅相談員を置くなど、木材利用の普及啓発を図った。
① 新聞等への掲載
  • 地元紙、朝日、読売新聞などに「ぐんまの木で家づくり支援事業」を中心に県産材利用、合法木材等の広告を掲載(延べ24回)するなど、積極的な広報活動を展開した。その結果、県民の県産材への理解・関心が高まり、ぐんまの木で家づくり支援事業の申請件数は、年間800戸を上回るペースで好調に推移した。
  
② パンフレット、冊子の作成
  • これから家を建てる人や木造公共施設建設を考えている市町村等に参考となるように、県内で県産材を使って建てられた住宅や公共施設の事例集を作成した。設計コンセプトごとに施設の特徴や県産材の良さが伝わってくる内容となった。また設計・施行者も掲載することで、問い合わせにも応じられるように工夫した。
     また、中小大工・工務店で組織している県木造住宅産業協会及び素材生産業者で組織している県素材生産流通協同組合が、それぞれの取組を紹介するパンフレットを作成し、専門的立場から県産材の安定供給と県産材を使った家づくりをアピールした。
    • 「木造住宅事例集」 1,000部
      (設計士、大工・工務店、新しく家を建てる人向け)
    • 「木造公共施設事例集」 1,000部 
      (県、市町村、設計士向け)
    • 「木造住宅産業協会 つながる家 パンフレット」1,000部
      (木造住宅を建てる人向け、県産材住宅・各種補助事業の紹介)
    • 「群馬県素材生産流通協同組合 パンフレット」2,000部  
      (素材流通~製材加工業者向け、県産素材と木質バイオマス利用の紹介)
③普及啓発資材の整備
  • 地元産材で作った学童用県産材天板を小中学校に試供したほか、イベント等で使用するのぼり旗、木製テーブル、巣箱、カスタネットなど、様々な体験資材を整備した。本事業のイベント等でも活用し、県民に県産材の効果的な普及啓発を図ることができた。  

学童用天板(自然乾燥スギ材)

のぼり旗のイベント掲示

木製テーブル

のぼり旗(ぐんま優良木材)


④ぐんま優良木材認証工場の柱材品質調査
  • ぐんま優良木材認証工場32社のぐんま優良木材(柱材)11本の含水率、寸法を調査し、品質管理の状況を把握した。各工場には調査結果を通知し、「ぐんま優良木材」の品質の向上につながった。  
⑤「つながる家」の相談員等の設置
  • 群馬県木造住宅産業協会で建設した「ぐんま型」モデルハウスに相談員を常駐し、地域材を使用した木造住宅について情報発信した(相談日数:46日)。
    住宅建設のプロが直接、相談にのることで、来場者の信頼も増し、県産材住宅の良さをPR出来た。
   
(3) 研修会・講演会の開催
①新技術講演会開催
  • 木材供給業者、建築・設計士、大工・工務店、行政担当者等を対象に最近
    話題のCLT新技術の現況と今後の可能性について講演会を開催した。
     講師:エムロード環境造形研究所 小見山陽介
     演題:「欧州CLTの現況、国内の動向及び可能性」
     参加者:170名
  • 国内外でCLTの普及に活躍する県内の設計士を講師にしたことで、CLT
    をより身近に感じられ、新しい木材利用の可能性を考える良い機会となった。

CLT新技術講演会

CLT講演会場風景


②木育教室の開催
  • 幼少期から森林や木材への理解・関心をもってもらうため、幼稚園児を対象に、木とふれあう教室を開催した。自分だけのコマ、カスタネットを作って遊び、園児に木に触れながら木の良さを体感してもらうことができた。

カスタネットでお遊び

カスタネット


③ふるさとの木体験ツアーの実施
  • 「群馬の森体験教室」と称して都市部の子供たちとその保護者を対象に山での伐採現場や製材工場を見学するツアーを実施した。間伐の必要性や木材利用の意義などについて理解を深めることが出来た。
     
(4)イベント等の開催   
 一般県民を対象に森と木の祭り等の各種イベントにおいて、木工工作等を通じて木材に直に触れ、木の良さや加工のし易さ等について理解促進を図った。
①21世紀の森まつり 1カ所
②森と木の祭り等  4カ所
③親と子の木工広場 9カ所
④ぐんまウッドクラフト展の開催

わたらせ森と木の祭り

下仁田町 木工広場

高崎市 木工広場

21世紀の森まつり木工広場
 
(5)展示施設の整備
 木材振興センターは、スギの集成材を使用した先駆的モデル施設として、木材関係者への情報提供、研修施設、木材産業振興の拠点となっており、年間数千人が訪れる。今回、来場者に県産材の良さをPRし、より県民に親しめる展示施設となるよう事業実施期間に次の整備を行った。
①腰壁(内装材)の整備
  • クロス張りの壁を腰壁まで地域材を利用した内装とした。58.3㎡
②展示施設等の整備
  • 木造住宅模型の展示台や木の触れ合いスペースの遊具等を整備した。
    展示台2台、遊具4個、靴履き用椅子1脚

展示台(木造住宅模型等の展示)

腰壁(スギ内装材)整備

    

事業実施により得られた効果

①川上から川下の関係団体で地域材利用について共通認識を持ち、木材利用を推進することができた。当協議会を母体として、関係者が連携して利用拡大に取り組む体制が整ってきた。
②木造住宅事例集や木造公共施設事例集等により、これから家を建てる人や設計士、県・市町村など、様々な分野での木材利用への理解が進み、需要拡大につながった。また、イベント等で使用するのぼり旗等の普及啓発資材を整備することにより木材への関心が高まり、効果的な普及啓発ができた。 
③CLT講演会では、関係者が木材の新たな利用の可能性を知ることになり、新技術への期待とともに、利用拡大に取り組む機運が醸成された。
 また、次世代を担う子供達に木の良さを楽しみながら実感してもらえるように幼児や小学校生等を対象に木育活動、体験ツアーなどにも取り組み、幼少期から森林や木材への理解・関心を高めることができた。
④県産材を普及啓発するために、様々なイベントに参加・開催し、多くの県民に直接、地域材の良さをPRできた。
⑤群馬県木材振興センターの腰壁、遊具等、木との触れ合いの場所を整備することにより、来場者に気軽に楽しみながら森林資源への理解と、木の素晴らしさを体感してもらうことができた。
 

今後の課題と次年度以降の計画

①県産材の利用拡大を推進するには、県民の県産材に対する理解促進が不可欠である。昨年及び今回の事業で醸成された機運を次に繋げていくため、同様な事業に継続して取り組んで行く必要があり、そのための予算確保が課題である。
②木を使うことの意義に対する県民理解が十分とは言えない。木材利用が森林を守り、地球環境の保全につながることを県民に訴え、理解していただく運動を幅広く取り組んで行く必要がある。そのために県民向けのセミナーなどを開催していく。
③イベント等については、規模、企画内容を吟味して、より効果的な実施方法を検討する。
④木材振興センターを県民が気軽に来所して木に触れることができるよう、HP等を利用してPRしていく。