平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業
一般社団法人東京都木材団体連合会
実施概要
〇実施体制
(一社)東京都木材団体連合会、(一社)全国木材組合連合会、NPO法人木づかい子育てネットワーク、NPO法人チルドリン〇活動内容
我が国最大の消費活動および情報発信の中心地である東京から一般消費者がより木材の魅力を感じてもらえる取組み(普及啓発活動・木育活動)を実施するほか、様々な課題を抱える木材産業界が持続的に発展していくようなハンドブックの作成を行う。具体的な取組みとして
1 木材の普及啓発活動
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木材住宅や木製品に強い関心のある子育て世代をターゲットとした木育イベントや子育支援イベントを通して、下記のような木造住宅、木材利用の普及・啓発活動を行った。
(1) 子育て支援イベントでの木育活動・KIZUKIママ養成講座
木造住宅、生活環境の木質化に積極的で、暮らしの質的向上を目指す「KIZUKIママ」養成に向けて、全国に向けた人材養成事業の基本設計とその実践をNPO法人チルドリンが実施する「ママまつり」と同時開催で8月21日(大阪)と9月30日~10月1日(東京)で開催した。
①第1回KIZUKIママ養成講座(8月21日、イベント参加者約4,800名)
会 場:ATC ITM棟2階 セントラルアトリウム
「エネママまつりin大阪ATC」 の中にKIZUKIママゾーンを展開
講 師:島根大学名誉教授 山下晃功
受講者:1回目 約30名 2回目 約25名
KIZUKIママゾーン風景 |
KIZUKIママゾーン風景 |
②第2回KIZUKIママ養成講座(9月30日・10月1日、イベント参加者約7,308名)
会 場:東京ビッグサイト 西ホール「ベビー・キッズ&マタニティショー」内の
「ママまつり」ゾーン内に「KIZUKIママゾーン」を併せて展開
講 師:埼玉大学教授 浅田茂裕
受講者:9月30日 約70名/10月1日 約80名
KIZUKIママゾーン | |
KIZUKIママ養成講座 | |
(2)オープンソースのツール開発
自発的な木造住宅、木材利用の普及・啓発活動を喚起するため、誰もが利用できる木育用設備の開発を行った。また、これを利用した普及イベントを養成講座と同会場で実施した。
①コドモのあしば
11月3日おおさかATC「森のママまつり」内「森と木の楽市楽座」ゾーンにてお披露目 | |
②SUGIユラユラseries BENCH
9月30日、10月1日東京ビッグサイト「KIZUKIママソーン」にてお披露目
(3) 東京おもちゃショー
「東京おもちゃショー2016」(6月9~12日、東京ビックサイト)の「キッズライフゾーン」に出展。
「Sound mind,Sound Woods(健全な精神は、健全な木のおもちゃから)」をキャッチフレーズに、一般消費者、特に、未来の消費者であるキッズ層(親子層を含む)を対象に、新たな木材の需要分野の開拓のため、木とふれあうコーナーを展示した。
16万人を超える来場者がある中、また、国内外の大手玩具メーカーが大規模な展示を行う中、本コーナーにも数千名の来場者が訪れ、木とふれあう機会を体験した。特に、コーナーでの滞在時間は幼児を連れた家族連れで20分以上にもなることも珍しくなく、来場者より木の温かみ・心地よさ・木の香りがよい、玩具店等で扱わないのかといった意見が聞かれた。
ワークショップコーナー |
積木コーナー |
ヒノキの木の玉プール |
3 木材業の経営改善参考ハンドブックの作成
木材業を取り巻く経営環境の変化により、量・価格の低迷が続き、事業者の経営展開についても多様化が進む一方、事業者の数も大きく減少してきている現状から、このような状況の中で中小企業の経営の問題として、「資金繰り」に関連する問題が多くあることを取り上げ、木材事業者向けの経営基盤作りの助力となるようなハンドブック「大転換期の木材業界社長の決断が会社を変える!~資金難からから立ち直った会社の再起~ 」の作成、関係業者へ発送した。事業実施により得られた効果
1 木材の普及啓発活動
展示施設や木にふれあうイベントで、今回取り組んだ木材の現状・魅力を伝える機会やツールを活用することで、伝える側が積極的に消費者へ伝えることができた。2 木育活動
(1)子育て支援イベントでの木育活動・KIZUKIママ養成講座今回のイベントの参加者は、木づかい運動や木育について熱心で行動的な参加者が主体的であったが、一方で関心があっても今まで行動に移さなかった周辺的参加者層の参加も見られた。そうした消費者に対して木材の良さ・新しい木材利用について「触れる」「感じる」など対象に適した新しいアプローチを実行することができた。「KIZUKIママ養成講座」では、より関心の高い参加者が集まり、木育を「学ぶ」場となった。
(2)オープンソースのツール開発
今回開発した木育用玩具・設備等は、国産材の良さを周知するツールとして、特にイベントでの展示の時に実際「触れる」「感じる」といった体感アプローチの有効性を発揮した。
(3)東京おもちゃショー
上記のイベントとは異なり、数ある玩具・遊具の中で、自由に木のおもちゃ・木材に触れ合う機会を提供し、木の魅力をより多くの一般消費者に対して体感してもらうことができた。
3 木材業の経営改善参考ハンドブックの作成
木材企業の実態等を調査し、その現状分析や改善策を事例とともに紹介することで、今後の木材産業の成長産業化の実現に向けた経営体質の改善につながることを目標に作成した。発行後、多くの行政・業界団体・企業より問い合わせがあった。今後の課題と次年度以降の計画
1 地域材への関心を高める木育用玩具・設備、普及資料等とその基本フォーマットの普及- 対象に応じた普及資料の更なる開発によるバリエーションの増加により、新たな普及客体掘り起しと訴求
- 開発した玩具等の使用方法などソフトウェアと一体化したパッケージの開発及び体感する機会の普及
- 木育用玩具・設備、普及資料の開発だけでなく、それらを活用した大規模商業施設等での恒久展示とイベントとの組み合わせなどパッケージとしての提案を行うことで、よりライフスタイルに対する木がある暮らしの適合をイメージしやすくする。
- 「触れる」「感じる」「知る」という、木材・木造住宅普及のための基本フォーマットのさらなる改善を行う。
- 関心がたかまりつつある消費者に対する積極的なアプローチのための手法検討
- 新たなマーケティング手法に対する企業等の参加に向けた周知活動
- より関心の薄い層に対する普及啓発活動のストラテジーの検討
- 地域材の供給者・生産者との積極的な連携、異業種・異分野との協働
- 消費者自身によって形成されたネットワーク・スキームへのアプローチ