岐阜県木材協同組合連合会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

岐阜県木材協同組合連合会

実施概要

① 大型イベント施設でのイベント実施活動
岐阜県、岐阜県森林組合連合会、岐阜県私立幼稚園連合会、岐阜県民間保育園連盟、地球温暖化防止活動推進センターに後援いただき、平成28年8月20日~21日に、ぎふの木の住まい協議会と共催して岐阜産業会館での展示会「ぎふの木住まい博覧会2016」を開催した。
「豊かな岐阜の森を次世代へ」を理念にしているため、子ども達及びその親向けに、できるだけ木に触れてもらうイベントを展開。2階建ての骨組み木造住宅をイベントシンボルとして設置。工務店ブースのすべてで工作教室などのワークショップを展開し、また、自然・アウトドアに関連する事業者に出展いただき、全体のテーマに損なわないように努めた。木工教室が子供たちの夏休みの工作に合ったこともあり、2日間で約2000人の来場が得られた。また、アンケート結果では、新築・リフォームのご予定があると回答されたご家族は約116組も有った。

イベント実施風景
 
 
 
 
 
② 県産材を用いた引きボルト式ラーメン工法の開発
都市型木造住宅等への県産材利用促進に大きく資する新工法(製材ラーメン)の開発を行う。外国産材を中心とした高強度な集成材を用いた木造ラーメン工法は既に開発されているが、一般製材品を用いた工法はほとんどない。その主な理由は、製材特有の「強度のばらつき」や、「割れや節の多さ」である。
本事業では製材の欠点を補うために、接合部に引きボルトを用い、ボルトで変形・破壊させることで、安定した性能を発揮する、新しい工法を開発するものである。また、引きボルト式のデメリットである初期剛性の低さを、構造用ビスなどを用いることで、初期剛性を高める工夫をしている。
なお、本年度は、仕様の検討と基礎的な実験を行い、来年度以降、評定の取得を目指す計画である。

実験機材及び実験風景

 

 
 
③ 木造平行弦トラスの普及宣伝活動
平成27年度より継続中の平行弦トラス(タイプ1)クリープ試験体について、引き続きデータを収集し、経過を観察するとともに、木造平行弦トラスの利用について、実大物トラスを見てもらいながら普及宣伝活動を実施した。

試験体の経過観察の様子
 

事業実施により得られた効果

① 大型イベント施設でのイベント実施活動
昨年に引き続き、木材活用という意味では、最も川下(伐採を川上とし、製材、加工と流れていく中での川下)である工務店が、具体的に活用方法を消費者に提示し、訴求したところに意味があったと考えている。また、昨年の実績よりこの博覧会をきっかけに、工務店に直接来場し、木の家を新築、リフォームしたエンドユーザーもいる。
 ・対面での訴求者数(イベント来場者数):約2000名
 ・本事業をきっかけとした会員工務店への来店者数:約20名
 会員があらためて岐阜県産材の利用を強く意識することができ、県全体として木造住宅需要促進に向けて今後も活動していくことが確認できたことも大きな成果だと考えている。
② 県産材を用いた引きボルト式ラーメン工法の開発

・ヒノキ製材を用いたラーメンフレームの仕様検討、基礎データ収集のための実験を行い、目標耐力を上回る結果(短期基準耐力8.29kN)を得た。

・建築基準法上は、今回の実験結果を用いて実物件に使用することが可能と考える。(ただし、認められるか否かは建築主事の判断となるため、実務上は不透明)

・試験体作製の実績から、1フレームあたりのコストを把握した。木材費用、木材加工費用、金物費用(塗装なし)を含んだ概算は3mフレームで13万円程度、6mフレームで16万程度である。

・モデルプランの設計において示したとおり、実物件において有効に使用できることが分かった。

・試験データから推定される反曲点高さ比を用いて基礎の設計を行い、標準的な仕様を把握することができた。厳密な比較をすることはできていないが、メーカーのラーメンフレームの基礎仕様に比べて、かなりコストを抑えることができていると思われる。

 
③ 木造平行弦トラスの普及宣伝活動
平行弦トラス(タイプ1)のクリープ試験のデータを収集し、分析を行った。試験開始から9ヶ月時点のたわみは42mm程度(試験開始時の初期たわみは17mm程度)であった。
 

今後の課題と次年度以降の計画

① 大型イベント施設でのイベント実施活動
 今後の課題として、意識の高い消費者は、昨年も同様に、県産材、地域材使用の意義を理解しているが、一般レベルではまだその効用等は理解されていないため、民間レベルでも引き続き普及活動が必要と考えられる。
 これからの建築予定者である1次取得エンドユーザーにターゲットを向け、「木を使うこと」の普及を様々な面で行政のサポートもいただきながら、後押しをする必要がある。
 次年度以降の計画については、今後の課題も踏まえ、規模等を考慮しながら継続して実施していく。
② 県産材を用いた引きボルト式ラーメン工法の開発
今後の課題、計画を以下に示す。

・評価用の試験体において、1/15rad.付近で柱脚のせん断破壊が生じていた点については、若干の改良の余地がある。来年度以降、3次試験の結果を足がかりに改良仕様の検討、試験を行いたい。

・広く一般に普及させるためには、指定性能評価機関の技術評定を取得する必要があると考える。来年度以降、評定取得を目指したい。

・コストについては、フレーム組み立てにかかる費用、金物の塗装費用、も含んだ全体のコストを把握する必要がある。

・評定取得後、普及宣伝活動を積極的に行いたい。

・更に高耐力の仕様も開発したい。

・3階建て狭小間口住宅の間口方向の耐力要素(1階)を、ラーメンフレームのみ(耐力壁を設けない)の計画とする場合、今回得られた耐力値では不足すると思われるため。

③ 木造平行弦トラスの普及宣伝活動
平行弦トラス(タイプ1)のクリープ試験のデータをの収集、分析を引き続き行うとともに平成27年度に県木連が新たに開発した、タイプⅠ、タイプⅡの平行弦トラスの普及宣伝も併せて実施する計画である。