一般社団法人島根県木材協会

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

一般社団法人島根県木材協会

実施概要

1.事業の実施概要
(1)実施団体の説明
所在地島根県松江市母衣町55
名称(一社)島根県木材協会
代表者会長三吉庸善

(2)事業内容、事業結果
 
①木材利用に関する情報発信

地域材による木造住宅を促進するため、木の良さをうったえるとともに、県産材証明制度、各種助成制度等の情報を発信した。
 
○山陰中央テレビ放映により川上の森林管理や伐採搬出の話から川下の県産材による住宅建設の話をわかりやすく情報提供した。放映により多くの視聴者の方に木造住宅の良さを理解していただいた。
 
○島根県住宅振興協議会(建築士団体、建築関係団体、建具団体、木材団体等で構成)のなかの島根県木造住宅生産体制強化方策検討会議において、木造住宅を推進するうえで、木材業界、住宅業界等において問題点と今後の対応をどうすべきかをわかりやすく説明したパンフレットが必要であると結論付けられた。パンフレット「 しまねの木造住宅の未来像」を作成し、島根県住宅振興協議会の構成団体に配布した。これにより工務店等に木の長所・短所を理解していただいた。
 
○県産材による住宅完成見学会を出雲市で開催した。35千枚のチラシを作成し、周知を図った。実際に手に触れて木造住宅が健康的にもすばらしく、また、子供を育てるのに適していることを理解していただいた。
 
 ②地域材利用住宅の設計者育成
■木造システム化検討会等
県産材を使用した木構造のフレーム(金物と県産木材を使用)がどの程度  の構造耐力があるのか把握し、今後、そのフレームを使う際の構造計算の参  考とする。
 
 ○県産材を活かそうとする建築士が集まり、木構造のフレーム等の検討やワークショップを行った。
検討会開催日6月13日、7月20日、8月8日、8月22日
ワークショップ開催日10月15日
 
○一定の強度があることが判明し、このデータを活かして建築士が地域材を使いやすくなることが考えられる。
 
 
 
 ■しまね木造建築設計セミナー
   これまで県産木材利用実績が限定的であった中大規模建築物での県産材利  用機会を増やすため、県内事業所の建築士(木造・木質建築物構造設計者)  等に対する講座を企画運営することにより、県産材需要拡大を図る。
 
 ○企画立案、講座コンテンツ制作、実績まとめ
検討委員会を開催し、講座コンテンツ制作、アンケート内容等を検討した。
検討委員会開催日7月27日、10月26日
 
 ○木材コーディネート講座
 ・参加対象者は木材流通業者、製材所、建築士である。
 ・講座内容は県産材の流通事情や利用意義の説明、中大規模建築の木造・木質概論、地域材でつくる学校の説明、グループワークによる関係者間の情報  共有や設計に必要なネットワーク構築等であった。
 ・木材流通業者等と建築士のお互いの考えをグループワークで理解できたの  は大きく、今後の木材安定供給では連携の可能性がある。
 木材コーディネート講座開催日9月1~2日
 
○設計監理講座(木造木質化設計演習講座)
参加者対象者は建築士である。(関心のある製材業者も加わる)
講座内容は中大規模建築構造計画分野、JAS製品・集成材関係分野、防耐  火計画分野、演習課題、グループワークなどで、各分野の専門講師によるわ  かりやすい講座となっており、参加者の感想も好評であった。
  設計監理講座開催日9月12~13日、9月28日、10月26日
○アンケートの結果は大変好評で参考になった様子が伺えた。
 
 
③展示会の開催
しまねWOODフェア2016は製材業者、工務店等の連携による地域材製品等の展示や木育関連の取り組みにより木の良さをPRし、今後の住宅分野等における木材需要拡大を図るため開催した。

○入場者数
4185人(1日開催)
 
○開催場所
松江市「くにびきメッセ」
 
○出展業者数
32業者
 
○対象者
一般消費者、工務店等
 
○内容
・地域材による製材品等の展示
・地域材による木造住宅のPR
・木造住宅関連の建築資材の展示
・木育の推進(将来の木のファンを増やす。)
・木造住宅関係のパネルディスカッション
・その他
 
○開催結果
・多くの来場者により木材製品の良さや木造住宅のすばらしさを直に見、触れていただきPR出来た。
・東京おもちゃ美術館から多くの木のおもちゃを持ってきていただき、子供さん方に触れて楽しく遊んでいただき木育推進に繋がったと考えられる。また、出展業者の小間においても木のおもちゃが展示され、お客を引き寄せていた。
・木造住宅資材である合板にも県産材が使用されていることが消費者に理解された。
・出展した工務店も各自特徴を出し、木造住宅の展示PRが行なわれた。
・ステージでは出展業者の商品等の説明が行われ、来場者に情報提供できた。
・アンケート結果においては木育関係が好評であった。また、購入したい製品は半数の方があったと答えたが、残り半数はなかったとういう結果となり、商品開発必要である。
 
  

 
2.事業実施により得られた効果
①木材利用に関する情報発信
テレビ、パンフレット、チラシにより広くPRできた。県産材による木造  住宅の良さが理解され、県では県産材による木造住宅助成が行われているが、  好評により補助金枠が10月には無くなった。
 
②地域材利用住宅の設計者育成
建築士が県産材を使用するにも強度的に不安があったが、木構造フレームの強度がわかり、フレームの組み合わせ、他の金物の使用など可能性が出てきた。
木材流通業者と製材業者は建築士との間で互いに認識の違いがあった。島根木造建築設計セミナーに参加し、グループワークでお互いに意見を出し  あい、理解が深まったと考える。今後、木材供給において具体的な連携の動きが期待されるところである。
  
③展示会の開催
1日で4185人の入場者数は当県では大規模な展示会となり、大きな反響があった。木のおもちゃは子供とその親が長時間楽しめて、改めて集客力があったと思う。集客力があるところ、木材製品等の展示効果は高いと考える。
出展業者も昨年に比べ創意工夫が見られ、出展内容も改善が見られた。
 
3.今後の課題
①当協会の人員は3人であるが、資金面とスケジュール面で厳しいものがある。
②島根県は東西に200kmもあり、県民の皆様に県産材をより理解をいただくには地域バランスを考えて行う必要がある。来年度の展示会は場所と効果を考慮して行いたい。
(展示会効果が期待される大規模木造施設である出雲ドームで行いたい。)