宏栄産業(株)

平成27年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業

宏栄産業株式会社

その他の記録写真はこちら

実施概要

「高耐久性針葉樹エクステリア部材の商品化に向けた試作と評価」
 
宏栄産業株式会社
高耐久性木材開発研究会
 

<事業の目的>

 スギ・ヒノキなどの国産針葉樹材に樹脂(グリオキザール樹脂、ビニルエステル樹脂、メラミン樹脂等)を注入・処理することで高機能化木材を製造し、この高機能化木材に合わせて調合された高耐候性塗料を塗布することにより耐用年数15~20年程度のウッドデッキ等外構部材・エクステリア部材を開発する。
 

<実施内容>

企画等の為の会議の開催
・企画等会議
イペ、ウリン、ジャラ等に代表される耐候性が高い南洋材と同等又はそれ以上の耐久性を国産針葉樹に付与し、かつそれらより安価なウッドデッキ等エクステリア部材を開発することによって地域材の需要拡大へ貢献することを目的とし、構想・企画、開発・設計、課題検討の為の企画等会議を計19回開催した。
 
写真1 4/16企画会議風景(宏栄産業食堂)
写真1 4/16企画会議風景(宏栄産業食堂)
 
・エクステリアエキシビジョンの視察
エクステリア・外構業界の動向を知るためにイベントを視察した。住宅内装業界同様大手を中心に木材離れ、すなわち、木材からプラスチック等へ材料の代替が進んでいるが、数少ないながらも本物の木材を何とか使っていこうとする企業もみられた。また、木材の欠点を克服した高機能木材が出始めているが、業界としてはまだ数社と少ない。特に国産針葉樹の白さを活かしたウッドデッキは皆無で、耐久性のある南洋材や、熱処理木材、フェノール等注入木材等色の濃いものが多く提案されていた。住宅内装は白い材のフローリングの需要もあるが、そうしたところとトータルコーディネートで提案出来るものがないのが実情であった。
 
高耐久性針葉樹家具の試作と評価
上記会議によって企画・設計されたウッドデッキ・ウッドフェンスを試作した。
エーテル化処理を施したヒノキのウッドデッキに関しては、1次試作品を京都大学生存圏研究所に施工し屋外暴露試験を実施、経過観察中である。
 
写真2 京都大学生存圏研究所に施工したウッドデッキ
写真2 京都大学生存圏研究所に施工したウッドデッキ
 
ステンレスビスを用いて施工すると著しい鉄汚染が発生することが判明した。また、浮造り加工や造膜塗装が滑りやすい事も判明した。鉄汚染に対する対策として、2次試作ではビスを表面に出さない工法を考案した。
 
写真3 再現実験で顕著になったエーテル化処理無塗装品の鉄汚染
写真3 再現実験で顕著になったエーテル化処理無塗装品の鉄汚染
 
普及事業の実施
本事業によりデザイン・試作された部材サンプルを展示会等に出展し、エクステリア・外構部材としてのニーズを調査した。また試作された木製品や開発された技術等のリーフレットを作成し展示会等で配布した。

■リーフレット作成
技術PR用に本補助事業で試作した製品のリーフレットを1,000部作成し、展示会等で配布した。


■展示会
下記展示会に出展した。
・「第38回ジャパンホームショー」 2016年10月26日(月) ~ 2016年10月28日(水)(3日間)
 
写真4 ジャパンホームショー展示風景
写真4 ジャパンホームショー展示風景
 

事業実施により得られた効果

県産材の高付加価値化、高機能付与木材の普及・利用促進
ジャパンホームショーでは、全国より住宅・木材等関係者が多くご来場された。公式発表では会期3日間で32,831名のご来場があった。化学修飾木材としては、安い外国産材が多く使われているのが、国産材を利用したエーテル化処理木材を周知する機会として多くの関係者にPRをすることができた。また、エーテル化処理木材を用いた商品開発を行い、ウッドデッキ、ウッドフェンスを提案することができた。
 

今後の課題と次年度以降の計画

県内及び都市圏等における屋外用木製品の普及・利用促進
1次試作のウッドデッキにおいて、想定外の課題が発覚した。課題を克服した新仕様で作成したウッドデッキを屋外暴露試験で性能を検証し、商品化に繋げたい。国産針葉樹を化学修飾し、通常のものより長寿命化したウッドデッキを普及することで地域材の利用拡大に貢献したい。

記録写真