徳島県木の家づくり協会

平成28年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業

徳島県木の家づくり協会

実施概要

 徳島県木の家づくり協会は、森林を育成する林業家、製材業者、プレカット業者、大工工務店で組織され、川上から川下まで徳島すぎを用いた顔の見える家づくりと、その研究開発・普及活動を行う団体である。

【徳島県木の家づくり協会メンバーの役割】
森林経営・素材生産 製材・製材品販売 プレカット 大工工務店
TSウッドハウス協同組合 那賀川すぎ共販協同組合 協同組合スーパーウッディシステム 協同組合スーパーウッディシステム
  TSウッドハウス協同組合 那賀川すぎ共販協同組合 ハウスジー住宅センター協同組合

 今回は、地域材を使った「板倉構法による省エネ住宅建築のマニュアル」を作成し、その成果を活用して徳島県木の家づくり協会が地域材を使った顔の見える家づくりの普及活動を行った。

検討会、検討報告会の写真


事業実施により得られた効果

 次世代省エネ基準を見据え、地域材を使った、気候風土適応住宅の板倉モデルの実大模型を作成して温熱環境調査を行ったところ、伝統的構法が旨とする高温多湿な夏期に対応した特徴を活かしながら、断熱材の効果や間取り・採光を考慮すれば、比較的温暖な地域(6を中心とした4・5・7の4地域)に区分される徳島県でも充分対応可能な住宅が建築できることが分かった。

 写真

 そこで、別事業で開設した徳島すぎを展示・PRする木質内装スペース「とくしま木づかいプラザ」を有効利用し、9月・11月・1月の3度にわたり住宅相談会を開催した。相談会では木の家づくり協会の特徴である1級建築士と工務店、木材供給業者が一体となった説明を行うことにより、地域材をふんだんに使う伝統構法も地域風土適応住宅に対応が可能なことが、一般の消費者に向けてより分かりやすく普及が行えた。これにより、伝統構法は時代遅れであるようなイメージを払拭し、新たな法整備に対応可能であることを広く周知出来たと考える。

 イベント相談会写真

 また、平成28年3月に「とくしま木づかい県民会議」が設立され、県や市町村と連携して林業・木材産業から建築、家具・建具、子育て、教育、商工団体まで幅広い業種での「県民総ぐるみ」で木材利用を推進する体制を構築しており、平成29年度の総会では安藤邦廣氏を招聘し、今回の事業成果である「板倉構法による省エネ住宅建築のマニュアル」の成果報告を行う予定。
 

今後の課題と次年度以降の計画

1) 板倉の温熱環境測定実証実験の継続
 本事業で実施した無断熱タイプに屋根のみ断熱材を追加、無断熱タイプ、断熱タイプの両方に南北に開口部を設けるという改変を行った板倉実験小屋の実証実験を継続し、温熱環境の基礎的データを得る。
 
2) 徳島型気候風土適応住宅板倉モデルの温熱環境の実証計算
 本事業及び上記1)の成果を基に徳島型気候風土適応住宅板倉モデルの温熱環境の実証計算を行う。
 
3) 徳島型気候風土適応住宅板倉モデル施工と工費の検討
 今回の事業成果を取り入れた徳島型気候風土適応住宅板倉モデル実例を建築する機会をつくり、そこで施工方法、工期、工費の実証研究を行う。
徳島型気候風土適応住宅の 板倉モデルの標準価格なども定めてゆき、問題点や改良点があれば対応し、次世代の木造住宅へと昇華していきたい。