人にやさしい家を考える会

平成28年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業

人にやさしい家を考える会

実施概要

1.小国杉バスツアーイベント 第1弾(小国森林視察研修)
開催日時:平成28年9月14日(水) 阿蘇郡小国町
① 丸太入札体験 小国森林組合若宮共販所
実際に丸太の入札を体験。一般の方でも補償金を納めれば誰でも入札ができる事を知りました。
 
② 小国杉を利用した家作りセミナー  時松建具店モデルルーム
小国杉を使用したモデルルームを見学。時松建具店様の私用建築物で、地産材の拡販と普及に貢献されています。室内で開催されたセミナーでは小国杉の特徴や木材の持つ木の特性をとても判りやすく説明を頂き、環境を配慮した材料として考えた場合に住宅における木材の重要性というものを改めて感じることができました。
 
2.小国杉バスツアーイベント 第2弾(小国森林視察研修)
開催日時:平成28年11月9日(水) 阿蘇郡小国町
① 丸太入札体験 阿蘇森林組合南小国共販所
この日は年に一度行われる小国、南小国合同の優良市の日でした。直径が人と同じ(170cm)位の大きさの丸太を見て感動しました。
 
② 地熱乾燥システムの見学
日本でも唯一といわれる木材地熱乾燥システムです。化石燃料を使用せずCO2削減にも一役かっており、地域の特色を活かした取り組みにも感銘を受けました。昼食は地熱を利用した調理法を用いて野菜の旨みが引き出された100%無添加の食べ物を摂らせていただきました。

③ 伐採 → 製材
実際に山の中に入り小国杉の伐採を見せていただきました。目の前で木が倒れる所を見ると迫力があり同時に神秘的なものを感じた気がします。住宅に使われる木材はこうして一本一本丁寧に人の手で扱われ製品となり人の命を守る住宅へと変成するのだと実感しました。
 
3.木材セミナー 
①第1弾 開催日時:平成28年10月6日(木)  みやま市高田町
 【プロでも意外と知らない木の知識】
 秋田県立大学 木材高度加工研究所 所長/(兼)教授 林 知行 様
林先生が日刊木材新聞社より発行されている「今さら人には聞けない木のはなし」に付帯した内容で、CLTの開発や木の強度の話等、納得できる話を沢山聞く事ができました。
 
② 第2弾 開催日時:平成28年10月28日(金)  みやま市高田町
 【木材がもたらす生理的リラックス効果】
 千葉大学環境健康フィールド科学センター 副センター長/教授 宮崎 良文 様
木材・森林・花がもたらす生理的リラックス効果を非常に判りやすくご説明頂きました。
 
③ 第3弾 開催日時:平成28年11月29日(火)  みやま市高田町
 【神戸里山住宅博 発足からコンセプトについて】日置建設㈱ 代表 日置 尚文 様
神戸の里山住宅博は全国でも関心を呼び訪問者が後をたたないと聞いています。そこには自然素材に拘りぬいた工務店の結集体が作り出した新しい展示場の形があります。木材をふんだんに利用した職人が造った日本の住宅が楽しめます。

④ 第4弾 開催日時:平成28年12月7日(水)  みやま市高田町
 【住まい手の感性をくすぐる木材】
 京都大学大学院農学研究科 准教授 仲村 匤司 様
人の感性に働きかける木材。杢目や木の色、匂い等がどのように人に影響を与えているのか。この分野で第一人者でもあります仲村先生のセミナーは遊び心たっぷりでユーモアに溢れたセミナーとなりました。
 
⑤第5弾 開催日時:平成29年1月26日(木)  みやま市高田町
 【国産材の現状と可能性】
 東京大学 名誉教授  有馬 孝禮 様
近年急激に変化している国産材の現状、それを踏まえて今後木材をどのように使っていくべきか等、最新の知見をご講演いただきました。
 
4.子供大工教室
① 第1弾 開催日時:平成28年12月27日(水)  福岡県みやま市瀬高町下庄小学校
 【木と触れあう~椅子つくり・大工と上棟式体験】
 
② 第2弾 開催日時:平成29年1月21日(土)  福岡県みやま市瀬高町大江小学校
 【木と触れあう~椅子つくり・大工と上棟式体験】
子供たちに実際に木に触れながら、木の持つ温かさ、物づくりの楽しさを体験してもらう企画です。多くの関係者様にご協力賜りました。皆様に感謝頂き今後も続けてほしいとの声を聞き感激いたしました。
 

事業実施により得られた効果

 今回の事業は、消費者に対して木材の品質・性能等をPRすることと工務店等に対して木材に関する知識を学ばせるための大きく2つにわけて開催した。
まず、小国杉視察研修では、九州以外の地方の方で小国杉が多く使われ、ネームバリューも通っているため熊本県と福岡県の工務店が参加して、森林組合・地熱乾燥・製材所・伐採現場を見学することで、より小国杉のもつ品質等を学ぶことができ、熊本地震による熊本復興の一環も踏まえて、小国杉を取り扱う工務店が増加した。この研修は、消費者も参加しており、実際に木を伐採、製材、プレカットの一連の流れを間近で見学することで、木の匂いや品質についてはじめて理解することができた。これにより木造住宅並びに国産材の魅力UPにつながった。
 木材セミナーでは、工務店が知っているつもりで実は意外と知らない木の知識を再確認することができ、木材がもたらす生理的リラックスのことを改めて把握し、県産材の活用の仕方を学び、木材のもつ感性や国産材の現状や今後の可能性を含めてセミナーで学ぶことができた。これにより、国産材の品質の良さを再認識し、消費者にむけて木材の説明ができるHPもあわせて作成したのでこれを活用することで国産材のPRにつなげることができた。
 子供大工教室では、子供にたいして、木材を実際にさわらせることで、木材のもつ本来の匂いや感触等を通して、木材に興味をもってもらうことができた。

 

今後の課題と次年度以降の計画

 今後の課題として、子供の中には、木材の匂いを嫌がる人も多く、木材離れにつながる可能性があるので木工教室等をつうじて、木材の良さをひろげていけるようにしていきたい。
 熊本地震で木造住宅の倒壊などが大きく報道されている関係もあり、熊本県周辺では木造住宅よりもプレハブ関係の会社が多く新築を建てている傾向もみられるので、工務店が木材のことを消費者に説明できるようにしていかなければならない。
 これらをふまえて、次年度も継続的に大工教室と木材セミナーを中心に活動を図っていく。