平成28年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業
福島県木材協同組合連合会
実施概要
事業の目的
震災後の県内森林の現状と県産木材の流通・加工の実態を把握する。
設計者・建築業者等に県産材を活用した新技術・新工法を付与し木材需要拡大につなげる。
県産材を活用した各種木製品を開発・試作し、性能評価や普及方策等を検討する。
事業の内容
1 県内・森林及び木材業界の実態把握
- (1)県内木材業界の実態調査とホームページ及びリーフレットの作成・活用
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- ①県内木材業界の実態調査
素材生産業者、製材業者、木材市場、チップ工場の実態をアンケート及び現地調査等に把握し、今後の推進方策検討の基礎資料とした。 - ②県木連HPの更新と企業紹介リーフレットの作成
県木連のホームページを新規情報により更新し、県内外に発信した。
県木連組合員企業等の最新情報を掲載した企業紹介リーフレットを作成し、県内の関係機関や工務店・建築士等へ配布した。 - ③県産材スギ合板パンフレットの作成
県産スギ材を使用した合板を製造し、利活用を進めるためPRパンフレットを作成した。
- ①県内木材業界の実態調査
- (2)相双地方生産木材の流通・加工システムの検討
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東京電力㈱福島第一原子力発電所事故により避難を余儀なくされてきた相双地方の各市町村において、徐々に帰還が進み林業・木材生産活動も始まりつつあることから、そこから生産される材を利活用するための流通・加工システムの検討を行った。
- ① 放射能汚染状況の把握
- ② 相双地方から生産される木材の流通・加工システムの提案
提案イメージ図
2 木造住宅等への地域材の利活用
- (1)企画等会議の開催
- 岩手県・宮城県・福島県三県の地域型復興住宅推進協議会による連絡会議を実施した。
①被災三県事務局会議 開催月日 4月7日・6月8日・7月11日・8月17日
②地域住宅生産者グループ会議 開催月日 4月26日
③木材利用拡大三県連絡会議 開催月日 7月21日 - (2)木造住宅等の普及・PR
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①イベント等への出店PR
県内外のイベントに出店し、新工法木造住宅や県内各企業が生産している木製品等の紹介・PRを行った。また、一般消費者に、木材の良さを体感してもらうため木製遊具の展示と木工教室等を行った。- ア、woodコレクション2017
開催月日 1月19~20日
開催場所 東京ドームシティプリズムホール
開催内容 県内企業の構造材・内装材等展示PR - イ、うつくしま住まいとリフォーム展
開催月日 3月4~5日
開催場所 ビックパレット福島
開催内容 - ウ、青空マーケット
開催月日 6月10日
開催場所 パルシステム神奈川ゆめコープ 麻生センター(川崎市)
開催内容 木工教室ほか - エ、木と住まいの大博覧会(ナイスフェア)
開催月日 7月8・9日
開催場所 夢メッセみやぎ(仙台市)
開催内容 県内企業の構造材・内装材等展示PR - オ、2017年パルシステム福島商品展示会
開催月日 9月2日
開催場所 21世紀の森(いわき市)
開催内容 木工教室・木製遊具コーナーほか
- 青空マーケット
- 2017年パルシステム福島商品展示会
- カ、自転車街づくり博
開催月日 9月8日
開催場所 ベルサール高田馬場(東京都)
開催内容 木製サイクルポートの展示
②地元新聞等を活用したPR
住宅需用者が理想のマイホームを実現するための、家づくりのポイント等の情報を地元新聞に掲載した。③小学生向け教育読本による授業実施及び木工・工作コンクールの実施
これまでに作成した小学生高学年向け教育読本を活用し、県内の2小学校において「木の大切さ、木材の素晴らしさ」の理解を高める授業を行った。また、小学生を対象とした木工・工作コンクールを実施した。 - ア、woodコレクション2017
- (3)研修会等の開催
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地域住宅生産者グループ構成員の設計者、施工者、林業関係者等を対象に県の新しい補助事業制度や県内で開発された県産材を使用した新技術・新工法に関する情報を提供する講習会・研修会を開催した。
- ① 域住宅生産者向け技術講習会 開催月日 4月19日
- ② 新技術・新工法研修会 開催月日 7月5日
- ③ 中・大規模木造設計・建築・講習会 開催月日 9月14日
3 県産木材を活用した新製品・新商品の開発と普及・PR
- (1)全国植樹祭用木製ベンチ等の試作
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平成30年6月10日福島県南相馬市で開催される第69回全国植樹祭会場で用いられる木製ベンチの試作品を2種類作成し、本大会での採用に向けた取組を行った。
試作 木製ベンチ - (2)木製サイクルポートの開発・試作
- 観光地等で活用できる県産スギ材を使ったデザイン性に優れたサイクルポートを試作し、実用化に向けた検討を行った。また、 試作されたサイクルポートを各種イベント等で展示しPRに努めた。
- (3)移動式木製品展示ルームの製作
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各地で開催される県産材需要拡大イベント等において展示できる、運搬可能な組み立て式「茶室」を製作した。
組み立て式「茶 室」
事業実施により得られた効果
- 震災後の県内素材生産業・製材業等の木材流通の実態を把握することができ、今後の木材流通加工の合理化や木材需要拡大を進めるための基礎的資料が蓄積された。
- 大工・工務店・設計者に、県内製材業等の最新情報を提供することにより、木材業界と設計・建築業界との連携が図られた。
- 東電福島第一原発事故により大きな影響を受けた地域から生産される木材を、安心して利活用するためのシステム構築の検討ができた。
- 県内木材企業のリーフレットの作成・配布通して、設計者・施工者等に木製品を紹介・PRができた。
- イベント等では一般消費者に対して、木工教室や木製遊具等を活用した木とのふれ合う機会の創出により、木材の良さや親しみやすさを普及できた。
- 研修会を通して地域住宅生産者グループ構成員に県の新しい補助事業制度等が理解され、制度を活用した木造化・木質化の推進が期待される。また、県内の設計者・建築者・工務店等に県内で開発された県産材を使用した新技術・新工法が付与され、公共建築物をはじめとする大型建築物の木造化・木質化の促進とそれに伴う県産材の需要拡大が期待できる。
- 木製ベンチ等の各種木製品を県内施設などに設置・展示することにより木材にふれあう機会を創出し、その良さをPRすることができた。
今後の課題と次年度以降の計画
依然として厳しい状況に置かれている県内林業・木材産業の再生・活性化を図るには木材の需要拡大が必要であり、復興住宅や公共施設等への積極的な県産材の活用を行政と連携し進めていく必要がある。
県内素材生産業・製材業等の木材流通の実態と意向に即した木材流通合理化と木材需要拡大に取り組む必要がある。 東電福島第一原発事故により、大きな影響を受けた地域、特に相双地域の木材を安心して利活用するため関係市町村・関係機関と検討を継続し、安全な木製品の生産・流通システムを構築する必要がある。
研修会や意見交換の場を設けるなど木材業界と建築・設計者との連携を一層深め、木造建築物への理解と実需につながる取組みを強化していく必要がある。
福島県では県外への販路拡大には、安全性に配慮した素材・製材品の出荷が求められることから放射能に対する検査体制の構築に向けた取組みを継続実施していく。