平成28年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業
一般社団法人千葉県木材振興協会
実施概要
木材の良さなどを広く伝え、地域材の利用拡大を図ることを目的に公共建築物等の事例集の作成や木の快適性を広く普及するためのパンフレットの作成及び講演会の開催等の事業を関係する団体等と連携・協力して、次の3種目、5事業の事業を実施した。
1 木材利用の優良事例集の作成と事例集の一般公開
幼稚園等の教育施設や老人施設等の公共的な施設や会社等の施設等で、地域材を積極的に利用した優良な利用事例を県内の関係機関及び関係者から情報を収集して、千葉県木材利用事例集(木造・木質化公共施設等 編)「木の街」を作成した。(この完成により、個人住宅の事例集である「木の家」と対とすることができた。)
作成した事例集「木の街」は、県庁関係の機関や県外の関係者並びに県内各市町村及び県内の企業や団体等に配布して、窓口等で閲覧できるように協力願いを行い、地域材の利用の拡大を促すこととした。
また、優良事例集を千葉県木材振興協会のホームページで公開している。
- 事例集「木の街」の内容
- 事例集の仕様:フルカラー印刷 48ページ、22事例を収録、5,000部を印刷
- 事例集
「木の街」と「木の家」 - 事例集
「木の街」に掲載した事例
- 事例集
2 木材の快適性を科学的に証明するパンフレットの作成と公開並びに講演会の開催
千葉大学環境健康フィールド科学センター教授、医学博士の宮崎良文氏の監修を受けた、「木の快適性を科学的に証明する」パンフレットを作成した。(パンフ名:スギ太郎と木材の不思議)
また、講演会等で配布、ホームページで公開するとともに、広くパンフレットの内容を広めるため、ホームページに搭載したい団体等を募り、希望者に電子データを提供した。
また、木材等が人間に及ぼす影響とその効果を科学的実験の基に得られた成果を、全国に広く普及・啓発するため、東京の新木場の木材会館を会場として講演会を開催した。
- 木の快適性を科学的に紹介するパンフレット作成の内容
- パンフレットの仕様:
フルカラー印刷 8ページ中綴じ 10,000部印刷
併せてA4で表裏1枚のチラシを 3万枚印刷
パンフレットの内容:
女性や子供で分かりやすく親しみが持てるように、「スギ太郎とこのは」という漫画のキャラクターを登場させて、木の快適性を物語り風に紹介するとともに、木の快適性を科学的に証明する実験写真や実験結果のデータをグラフで示して、解説を加える内容とした。
また、主人公が木の匂いを嗅ぐジーンに合わせて、パンフレットに千葉県産ヒノキで製作した木の折り紙を挟みこんだ。
配 布 先:
全国の木材団体、全国の報道と雑誌等メディア関係社
県内の木材関係社や団体、県庁・市町村等の官公庁、講演会やイベント等で配布
公 開 方 法 :
千葉県木材振興協会のHP及び会員等のHP
全国のHP掲載希望者にパンフレットの情報を提供した。
- 木の快適性を科学的に証明する講演会の開催
- 日 時:平成29年8月22日(火)午後1時30分~4時10分
場 所:東京新木場「木材会館」7階大ホール
参加実績:千葉県、東京都、関東近県、全国から221名が参加
演 題:「木の快適性を科学的に証明する」
講 師:宮崎良文教授(千葉大学環境健康フィールド科学センター副センター長)
宋チョロン特任助教(千葉大学環境健康フィールド科学センター)
池井晴美研究員(国研 森林総合研究所)
講演の概要:
最初に、宮崎教授から脳活動を計測するデモ実験の解説が行われ、人間のストレスやリラックス時に脳の前頭前野がどう反応しているのかを、会場に映しだされたモニターで説明した。次に、宮崎教授から「木材セラピーと木育の概念」という内容で講義があり、続いて池井研究員から「木材の生理的リラックス効果」という内容で講義があり、更に宋特任助教から「森林の生理的リラックスと生体調整効果」という内容で講義があった。休憩時間に質問用紙を回収して、その後、質問に対する回答を宮崎教授等から行い、更に、会場との質疑応答、ディスカッションを行った。
アンケート調査の結果:講演会:満足62% やや満足33%
パンフレット:満足34% やや満足35%
- パンフレット
「スギ太郎と木材の不思議」 - 木の快適性を
科学的に検証する講演会の様子 - 脳前頭前野計測の
デモ実験の様子 - 脳前頭前野の状況が
リアルタイムにモニターに投影
3 千葉県産木材等地域材の利用促進に向けたパンフレット作成事業
ちばの森林・林業、木材等を紹介するパンフレットを作成して配布した。
また、県の中部地域での地場の木材や木材加工、地域材を利用した建築等を紹介するパンフレットを作成して配布した。
- ちばの森林・林業、木材を紹介する「ちばの木づかい」パフレットの作成
- パンフレットの仕様:フルカラー印刷 8ページ中綴じ 10,000部印刷
- 千葉県中部地域の木材や木材加工、地域材での建築等を紹介するパンフレット作成
- パンフレットの仕様:フルカラー印刷 8ページ中綴じ 6,000部印刷
- 県全体版のパンフレット
- 県中部地区版のパンフレット
事業実施により得られた効果
一昨年の26年度補正の「木造住宅等地域材利用拡大支援事業」の実施、昨年の27年度補正の「地域材利用の木材関係者等への支援対策事業」の実施に続いて、本年度は、上記の各個別事業により公共建築物等の優良な木材事例集の作成、パンフレット等の印刷物の作成と木の快適性を科学的に検証する講演会を実施したことにより、千葉県産木材等の地域材や木材の人間に与える効果を積極的にアピールするアイテムを得ることができ、本県における木造住宅を始めとした県産木材や地域材の利用拡大の活動を更に拡大する足掛かりを整備することができた。
これにより、木材生産業者、製材業者、木材流通業者、地域に活動拠点を持つ大工・工務店、建築設計関係者等との連携が更に進み、県産木材・地域材・合法木材等が理解され、県民ユーザーへの県産木材・地域材・合法木材の利用拡大が期待される。
加えて、今回の事業により整備されたパンフレットや講演会の開催により、広く木材の良さなどを発信することができ、また、これらのアイテムで今後も情報を発信することにより、今後の県産木材や地域材の普及・啓発の拡大と充実を得ることができた。
今後の課題と次年度以降の計画
昨年度の助成事業及び本助成事業により、多種・多様な地域材の利用拡大の事業に取り組むことができたが、本事業を一過性に終わらせることなく、実施した事業を足掛かりに、更に、積極的に広く事業展開を図る必要がある。
今後は、今回、作成した「スギ太郎と木材の不思議」や「ちばの木づかい」等のパンフット等を活用して、更に普及・啓発に力を注ぎ、モデルルーム等を会場にセミナーや研修会及び見学会等を行い、また、優良木造住宅事例集である「木の家」と優良公共等木造施設事例集である「木の街」なども活用して、木造住宅の建設や公共建築物の建設に際して、地域材の活用と地元工務店等の活用を積極的に展開する必要がある。
更に、一般のユーザーに対しては、木材のリラックス効果をわかりやすく伝え、かつ、科学的な数値で木の快適性を説明した「スギ太郎と木材の不思議」パンフレットを活用し、また、当パンフレットのホームページ掲載会社や団体等を増やすことにより、積極的に木の快適性を広く普及・啓発して、一般ユーザーに木の素晴らしさを理解していただき、木材をあらゆる場面で活用してもらう必要がある。
「スギ太郎と木材の不思議」パンフレットのキャラクター
「このは」と「スギ太郎」