平成28年度 地域材利用の木材関係者等への支援対策事業
一般社団法人愛媛県木材協会
実施概要
実施団体の説明
- 名称:一般社団法人愛媛県木材協会
- 設立:昭和49年11月13日 会長:井関和彦 会員数:144
- 住所:愛媛県松山市三番町4丁目4-1
事業の目的
豊富な森林資源の有効活用を図り、地域材の利用を促進することで、林業を成長産業へ育成することが、本県の課題であり、平成27年度事業(事業期間:平成28年3月~10月)を継続し、設計・建築業等との連携をさらに深め、中大規模木造建築の具体化に向けた取り組みを進めるとともに、愛媛ブランド材「媛すぎ・媛ひのき」を核とした普及・PR活動や展示施設の整備を行う。
事業内容、事業結果
①木造建築業者との連携強化事業
前事業の成果を踏まえ、建築業と木材加工業が連携し、中大規模木造建築の具体化に向けて、木造トラスの設計・組立て・性能評価を行い、相互理解と協力関係を深めるとともに必要となる地域材の品質や加工、供給方法等を検討し、木造建築の拡大に資する。
- 第1回検討会議
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- テーマ 中大規模木造建築の具体化に向けて
- 日時 平成29年2月3日(金)13:00~16:00
- 場所 愛媛県水産会館6階大会議室(松山市二番町)
- 対象 木材協会員、県建築士会員、行政担当者 55名
- 内容
①これまでの検討経緯と今後の取り組みについて(事務局)
②「中大規模建築に使用するトラスの体験~設計・試作と性能評価」
木構造振興㈱ 客員研究員 原田浩司
③「トラスの試験方法について」
愛媛県林業研究センター 主任研究員 玉置教司
④「トラスの設計・試作を行うグループとその分け方について」
中大規模木造建築物構造設計地域リーダー 柚山一利
- 第2回検討会議
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- 日時 平成29年3月9日(木)13:30~16:30
- 場所 林業会館3階大ホール(松山市三番町)
- 対象 木材協会員、県建築士会員、行政担当者 52名
- 内容
①各班のトラス設計内容発表- 東予グループ 政石信行(建築設計エイチ・エム)
- 中予グループ 矢野昭宏(愛媛県建築指導課営繕室)
- 南予グループ 井上 剛(㈲マルヨシ)
- 講評 木構造振興㈱ 客員研究員 原田浩司
- 木造トラスの公開試験
- トラスの作成条件
- ①スパン8m
- ②愛媛県産の構造用製材使用
- ③目標 設定荷重の3倍以上の強度(900N/m2)
設定荷重時に中央部分のたわみ20mm以内 - ④トラスの材料費と加工費は、150,000円/体 等
性能評価試験は、愛媛県林業研究センター(久万高原町)にて公開により実施
- トラス7体(JISトラス1体、3グループ×2体)
- 平成29年6月7日、7月4日、7月5日、7月19日、7月20日、7月21日に試験実施
トラス性能評価試験の内容と結果報告書(別添のとおり)
検討会議の開催
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トラスの公開試験愛媛県林業研究センター(久万高原町)
- 強度試験前
計測機器の設置 - 強度試験後
講師による破壊形態等の解説
えひめ国体施設での展示・ミロク高知射撃場
②愛媛ブランド材展示施設整備事業
平成29年に本県で開催される「えひめ国体」の施設で地域材のベンチを展示するほか、四国四県の木材協会団体と連携し、四国霊場八十八カ所の寺院へベンチを展示し、普及・PRを行う。
- 媛すぎ・媛ひのきの展示施設整備事業
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- えひめ国体施設 ベンチ10基 展示
- 四国霊場八十八カ所の寺院(本県26霊場中、希望のあった別紙22霊場で展示)
22基 展示
- えひめ国体での展示用ベンチ
- 四国88カ所霊場での
展示用ベンチ - 42番札所・繁多寺 宇和島市
- 48番札所・西林寺示 松山市
- 50番札所・繁多寺 松山市
③愛媛ブラン材普及・PR事業
- 木材の良さの普及・PRを行う木製品を作成し、イベント、会合等で配布
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名刺入れ10個、ストラップ 200枚、コースター200枚、バインダー20枚作成
- 名刺入れ
- ストラップ
- コースター
- バインダー
臨時事務職員の雇用
補正予算事業の事務補助を行うために雇用
- 川端彩愛(愛媛県森林組合連合会より派遣・10,800円/日)
雇用期間 平成29年1月~3月 56.0日 - 金本知久(日々雇用・10,000円/日)
雇用期間 平成29年4月~7月 31.5日
事業実施により得られた効果
平成27年度の補正予算事業では、中大規模建築の木造化をテーマにして、関係者で検討会議を開催し、地域材の品質、供給体制、設計・施工の課題等を協議し、設計士は木造の設計経験が少なく、木造や木材についての知識が不足していること、木材関係者は木材製品の品質や供給体制に関する説明が十分でないことが判明した。
平成28年度の補正予算事業では、引き続き検討会議を開催し、関係者の認識の共有化を図る中で、中大規模建築物に使用できる実大トラスの設計・材料調達・仕口加工・組立・性能評価を通じて、設計士と木材関係者が、木造や木材加工の要件等を体得してはどうかと意見を集約した。
その後、地域により3グループに分かれて、それぞれトラスを作成し、性能評価を公開試験で行っており、関係者は貴重な経験と知識を得ることができた。
試験結果により、各トラスの破壊形態や性能向上を図る改善策のほかコストを分析し、現場に提案可能なトラスの考察を行い、報告書にまとめた。
また平成29年度本県で開催される「えひめ国体」の施設や四国四県で連携して四国霊場88カ所において、地域材製品の展示を行うとともに普及・PR用品を作成し、配布した。
今後の課題と次年度以降の計画
中大規模建築の木造化をテーマとした一連の取り組みにより、本県の木材業界と建築業界とは提案可能なトラスを考察することができたが、現場で使用するためには長期荷重によるトラスのたわみや接合部の変形を把握することが課題であり、また性能を向上させるためには仕口の加工方法に関する試験が必要であること等について、知見が得られた。
今後の計画は、これらの追加試験を行い、今回まとめたトラスの提案・報告書をバージョンアップし、関係者を参集して発表会・研修会を開催することで、本県が推奨するトラスの信頼性を高め、現場へ定着させることである。
また地域材の展示による利用拡大に向けた普及・PRや営業活動については、より多くの機会を通じて、多様な対象に働きかけることが必要であり、継続して実施したいと考えている。