山形県プレカット協会

平成29年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業

山形県プレカット協会

事務局所在:山形県

実施概要

①地域材利用拡大連携協議会の開催
(担当:山形県プレカット協会)
 9月15日(金)パレスグランデール(山形市)を会場に、標記協議会(松田賢会長)を開催したところ、委員及びアドバイザーなど15名が出席した。本協議会は「工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業」の事業計画等について、関係業界や行政機関等から様々な意見を伺うものであり、今回特に力を入れた住宅建築への広葉樹の利用拡大策等について活発な意見交換ができた。
 2月26日(月)山形国際ホテル(山形市)を会場に10名の委員等が出席し、事業の実績報告や課題、今後の活動について意見交換された。

 
②広葉樹材試作品作成
(担当:山形県広葉樹利用研究会)


 
 
 県産広葉樹の主要樹種(ブナ、ナラ、クリ、オニグルミ、カツラ、ホウ、ヤマザクラ、キリの8種)によるイベントPR用パネルを製作した。
 県産広葉樹材の品質特性試験のための試験片を作製し、各公設試験場に納品した。
 情報収集として、9月8日(金)林業講演会「国内広葉樹資源の需給実態」(盛岡市)(主催:ノースジャパン素流協、後援:林野庁)を受講した。9月19日(火)林業講演会「広葉樹利用による地域再生」(長岡市)(主催:東北大学、森林総研東北支所、後援:新潟県、長岡市、新潟大学)を受講した。
 試作品の品質検査(摩耗・キズ・変色・強度等)を10月2日(月)山形県工業技術センターと受託研究契約を締結し、県産主要広葉樹の品質特性を把握した。また、山形県森林研究研修センターと素材提供による共同乾燥試験を実施し、乾燥特性を把握した。
 11月10日(金)山形県広葉樹利用研究会による現地研修会(生産現場と流通現場)を開催し、生産実態(伐採・集荷・流通等)を把握した。


 
③県内外の木材関係イベント等への出展
(担当:プレカット協会、広葉樹利用研究会)
 10月14(土)~15日(日)に開催された第27回山形県林業まつり(天童市:入場者数約4万人)に、住宅部材(県産スギのプレカット構造躯体と広葉樹壁・フローリング等)を展示し、オール県産材の家の技術と品質を来場した一般県民にPRした。
 2月16(金)~18日(日)に開催された「木と住まいの大博覧会」(東京ビッグサイト:入場者数約7万人)に広葉樹材をメインテーマとしたフローリング・壁材・木工品等を展示し、首都圏の消費者に対し山形県の住宅部材の技術と品質をPRした。













 
④しあわせウッドライフ相談会開催
(担当:やまがた県産木材利用センター)
 10月14(土)~15日(日)に開催された山形県林業まつりに出展し、県産木材利用住宅建築の相談、住宅パンフレットの配布、県産木材の集成材・合板等の展示、木材利用相談、木製ネームプレート作成体験等多くの県民にPRできた。
 
⑤木造建築フォーラム
(担当:やまがた県産木材利用センター)
 2月5日(月)ホテルメトロポリタン山形(山形市)を会場に、東京大学大学院農学生命科学研究科教授 稲山正弘氏 を講師に、「住宅用流通材とプレカットを用いて経済的な中大規模木造建築を地域でつくる」をテーマに基調講演をいただき、山形県林業振興課と建築住宅課も加わり質疑応答をするフォーラムを開催した。対象者は製材・建築設計・建築大工等関係者で約100名が参加し、地域経済を支えるやまがたの木を利用し、流通材とプレカットを活用した木造建築物を実践することで、持続可能な社会の構築に貢献していくというやまがた県産木材の可能性を議論した。
 
⑥木材利用セミナー
(担当:やまがた県産木材利用センター)
 12月4日(月)ホテルメトロポリタン山形(山形市)を会場に、一般社団法人日本木造住宅産業協会専務理事松川隆行氏とパワープレイス㈱(内田洋行グループ)代表取締役社長前田昌利氏を講師に、それぞれ「木造住宅・建築の動向について」と「地域・人・空間を元気にする国産材活用デザイン」と題して講演をいただいた。対象者は、木材業界、設計業界、建築業界関係者で約70名が参加した。各業界が連携し、公共・民間施設の非住宅分野の木造化・木質化を推進していくための事例・アイディアが紹介された。
 
⑦パンフレット作成
(担当:プレカット協会、広葉樹利用研究会)
 広葉樹試作品パネル等の評価等を取り入れながら、印刷・写真等では表現できない肌触り感等を醸し出すカットモデル付のパンフレットを作成した。広葉樹は種類も多く、地域によっては馴染みのない樹種も多いことから、樹形写真と特徴等基本事項も掲載した。また、公設試験場の中間報告データを記載した資料も添付した。2月16(金)~18日(日)に開催された「木と住まいの大博覧会」(東京ビッグサイト:入場者数約7万人)にて、業界関係者や広葉樹に興味を持っている方に配布したところ、山形県の広葉樹の分布や製品の品質と技術に理解をいただくことができた。また、同時に県産スギ利用拡大の為にプレカットの意味や流れを理解してもらうパンフレットを作成し県内・首都圏のイベントで配布した。


 
⑧報告書の作成
(担当:プレカット協会)
 本「各団体の実施概要」を始め、事業実績、事業の実施により得られる効果、収支決算等について、工務店と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等の普及推進のため、計画から事業実績、成果までをまとめて報告する。
 

事業実施により得られた効果

  • 本県森林面積の約7割を占める広葉樹資源分布と有効利用等について、県民や首都圏の消費者に再認識してもらうことができた。
  • これまでパルプ材、木質エネルギー等低位利用の広葉樹(並材)を無垢フローリングや木工品等の付加価値を高め製品化することができた。
  • 本県主要広葉樹について、公設試験場にて品質特性試験を実施し、樹種毎やスギ材との比較など建築部材としての適材適所の利用の目安に利用することができた。
  • 「木と住まいの大博覧会」では、国産広葉樹材(特に無垢フローリング)の展示が本県ブースのみで首都圏の消費者の広葉樹に対するこだわりを実感できた。
  • 県産スギ材利用についても、県林業まつりのプレカット躯体展示やパンフレット・チラシによる普及活動のほか、木材セミナー、建築フォーラムによる最新の木造建築について、大工・工務店を中心に理解が深まった。
 

今後の課題と次年度以降の計画

  • 戦後全国的に始まった針葉樹植林木が各県とも利用伐期に達し差別化が困難となり、とりわけ針葉樹大径材の利用拡大策が喫緊の課題である。
  • 少子化等による人口減少が顕著な本県では、非住宅施設の木造木質化が重要課題である。
  • 広葉樹材フローリングのパネル化など消費者が使いやすい製品開発などが必要である。
次年度以降の計画としては、
 
  • 針葉樹材の利用拡大のため、出荷材の品質確保を徹底し、差別化を図っていく。具体的には、県産無垢針葉樹材の乾燥JAS材とプレカット材の普及推進を図り、高品質・高精度な部材を提供していく。県JAS連絡協議会や県プレカット協会の強化・連携を図り、合同研修会や現地検討会等を開催し、非住宅分野でも連携を深めていく。
  • 本県では、他県に少ない広葉樹材を付加価値の高い住宅部材への利用拡大するため、引き続き首都圏等の大消費地での普及推進を図っていく。