平成29年度 工務店等と林業・木材加工業の連携による住宅づくり等への支援事業
朝日ウッドテック株式会社
事務局所在:大阪府実施概要
(1)事業のねらい
建築物の構造材や基材を対象とした国産材の需要は、集成材やCLT、合板の針葉樹化等のB材を主体として推進されつつある。一方、A材の需要開発が遅れており、その開発が喫緊の課題となっているが、建築物の内装用途に関して、エンドユーザー(住まい手)の”目に見える”形での国産材の活用は十分ではない。そこで、地方の材木店・工務店が主体となって国産材A材の需要拡大を図っていく組織、「国産材A材需要拡大協議会」を設置し、これを核として国産材A材のブランド化を図った内装建材を用いてエンドユーザー(住まい手)に差別性のある住空間を提供し、経営力の向上を図ることができる環境づくりに取り組んだ。
具体的には、木質建材メーカーの朝日ウッドテック㈱が中心となり、地方創生の意欲のあるエリアの材木店・工務店の経営者が、本協議会の趣旨に賛同する仲間を増やし国産材A材の需要拡大の取り組みを進めていくために、国産材A材のブランド化を図った内装建材を用いてどのようなマーケティングを行えばエンドユーザーの心に響くのか具体的手法を学ぶとともに、国産材A材利用の必要性や課題、地域材A材のブランド化を図った内装建材の差別化について学ぶ実践的なセミナーを実施した。
(2)国産材A材需要拡大セミナーの実施
①セミナーの概要
仙台市、名古屋市、福岡市の3ヶ所で合計4回のセミナーを実施した。- 7月6日第1回名古屋セミナー(於:名古屋市中区 りそな名古屋ビル)
- 7月22日福岡セミナー(於:福岡市中央区 電気ビル共創館)
- 10月12日仙台セミナー(於:宮城木材文化ホール)
- 12月11日第2回名古屋セミナー(於:名古屋市中村区 TKPガーデンシティPREMIUM名駅西口)
【講演】
- 「マーケティング総論」
講師:オラクルひと・しくみ研究所 小阪裕司先生
- 「地域材A材を活用して本物の木のある暮らしを!」
講師:東京大学名誉教授 安藤直人先生
【来場者数】
- 合計343名
②アンケート調査
国産材A材の需要拡大に向けた課題洗い出しをねらいとして、「国産材A材を使って価値の高い内装材や住空間を創るための課題は何か」を問うた。アンケート結果から、エンドユーザーに情報を伝える側(工務店等)が、国産材A材活用の意義についてまだまだ認識不足であることと、実際に国産材A材を活用した価値の高い内装建材や住空間に触れ学ぶ機会が少ないことが大きな課題であることが洗い出された。
事業実施により得られた効果
工務店経営者等の来場者に対し、エンドユーザー(住まい手)の心に響くマーケティングの具体的方法と国産材A材を活用する意義について理解を深めていただくことができた。一方で、来場者アンケートの分析から、国産材A材活用の必要性についてまだ十分に認識されていないこと、国産材A材を活用した価値の高い内装建材や住空間に具体的に触れ学ぶ機会が少ないことなどが今後の課題として得られた。
今後の課題と次年度以降の計画
(1)今後の課題
■情報提供及び啓蒙
来場者アンケートでは、「こんなに良い材料があることを理解し、価値を伝えられるだけの熱意が必要」、「国産材を使っていく意義を業界人がまず理解すること」、「設計者が木材を理解すること」などの声が目立った。このことから、工務店等住宅関連事業者に対して、まだまだ、国産材活用の必要性が伝わっておらず、そういう意味で、もっと木の知識や国産材を活用する意義を理解していただくために、今回のようなセミナー等、情報提供や啓蒙の機会を提供し続けていきたい。■具体的な商品及び住空間の提案
工務店等の住宅関連事業者が国産材活用の意義を理解しても、実際に国産材を活用した価値の高い内装建材がなければ具体的な住空間の提案にはつながらない。アンケートでは、「住宅展示場等で本物の木を使って現代に合った住空間を造ることで、お客様にも共感を持ってもらえるのではないか」、「実際に国産材を使用した事例や経験を伝えることが必要」、「売る側の国産材を使った商品への理解と愛着が必要」、「使い方を学び提案していかなければならない」等の声が目立った。
このことから、工務店等住宅関連事業者が実際に国産材を活用した価値の高い内装建材や住空間の具体的事例に触れ学ぶことができる機会を提供し、エンドユーザー(住まい手)に提案できるよう支援していきたい。