おおさか都市木プロジェクト

令和3年度 顔の見える木材での快適空間づくり事業

おおさか都市木循環プロジェクト

事務局所在:大阪府

事業計画

事業計画(pdfで表示されます)
 

実施概要

実施団体の説明
 大阪の木材に関係する川上~川下のメンバーが集まり、大阪市内へおおさかの木を地域事業者が連携して大阪の都市部物件に届ける「おおさか都市木循環プロジェクト」を組成し、取組を行った。
 
事業の目的

 近年、SDGsや脱炭素化を背景とした都市の木造木質化の需要やウィズコロナ・アフターコロナ社会の要請として都市のオープン空間での活動の需要が高まっている。
 大阪は、都市部として、木材の一大消費地としての役割がある一方、森林があり、林業が営まれ、また小さな製材所が存在している。森林問題への取組、国産材を利用する機運が高まりつつあるが、それに反して理由は様々だが、製材業がどんどん減少している状態である。
 これらの維持のためには、大量消費大量廃棄ではなく、顔の見える山~製材所~使い手のサプライチェンの構築が必要なことが必要である。
 また、都市部でも、木材利用にあたっては、維持管理やメンテナンスに関する心配があり、それらを解消するためにも、上記の木に関わる顔の見える関係による持続的なコミュニケーションが必要と考える。
 そこで、本プロジェクトでは、森林も都市マンションユーザーも持続可能な木材循環活用モデルを構築し、大阪のまちに“顔の見える地域の木材が増殖“することを目的としている。
 

事業内容・結果

①A材丸太の付加価値が高く、森林と都市の継続的な循環を生み出すビジネスモデルの創出(ニーズ調査/企画)
 整理したニーズは下記の通り。

■川上・川中側のニーズ
  • 数年前の台風被害による風倒木が現在、整備が進み搬出されだしている
  • 一方、風倒木であること、品質が様々であることから、建材等では利用されず、チップ用材に回されるケースが多い。
  • 製材所も、主要材を引いた後の端材については、活用できると一本の歩留まりが高まり、その活用策を持っているかどうかで製材所のもうけも変わる。
  • 発注がはっきりせず、突然、納期依頼が来て、川上・川中で調整をすることがある。
■川下【マンションオーナー】
  • 木材を活用してみたいが、維持管理をどのようにしたらよいか、また費用面が気になる。
  • 活用するなら、地域産材を活用したい
  • (今回のターゲットエリアの寺田町)若い女性の流入が多く、感度が高い(また家賃も周辺より高めである)。
  • ウィズコロナ、アフターコロナ社会における、人々の幸福、人と人との出会い、新たなコミュニティの創造につながる集合住宅を目指したい
  • 1階部分には、居住者だけでなく地域の方々も含めた、日常的な憩いや交流、生活サービスを提供する店舗を配置し、グランドレベルでの地域コミュニティの場づくりをしたい
【子育て広場】
(価格面)
  • 同じ形のプラスチック製品と比較して、1.5倍までの費用であれば、購入可能という意見があった。
(デザイン面)
  • 男女問わないデザインがいい。(兄弟で使いまわすことができる。)
  • 規格があり、追加購入する拡張性があればよい。
    (例:レール)
  • 修理して長く使えればよい。
(安心できること)
  • 国産材であればよい。県や地名までわかればなおよい。
  • 認証マークは購入する条件やきっかけになる。
(付帯する価値)
  • 廃材利用など、制作の背景が見えるとよい。
  • 背景を知ることで、環境によいことをしているという意識を持つことができる。


②A材丸太の付加価値が高く、森林と都市の継続的な循環を生み出すビジネスモデルの企画
 ヒアリング結果を受けて、森林と都市の継続的な循環を生み出すための商品群の企画を行った。その結果を下記に示す。
 また、まちへのにぎわいを生み出す仕掛として、おもちゃとのセットで音を仕込んだ商品群とすることとした。
 
■A 群:都市マンション導入の板材等 ※既存商品 ■B群:端材や風倒木など通常価値が高い
とされない箇所を活用した都市シェア・にぎわい商品 ※新規開発
・共用空間活用なウッドデッキ用床材
・バルコニーへの軒天井
・エントランスの外壁材
・空調室外機景観素材 など
 
・シェア屋台
・ベンチ
・プランター
・レンタル板間
・レンタル舞台
・おもちゃのレンタルなど
 
③循環を生み出すA材丸太の付加価値の高い製品群の開発・制作
 
都市空間シェア商品やにぎわいを生み出す商品として、屋台、ベンチ、プランター、おもちゃ、サインの5商品の開発・試作した。

 



 
④製品群のビジネスモデル普及のためのパンフレット作成、販促計画の検討

 製品群のビジネスモデル普及のためのパンフレットの作成を行った。なお、パンフレット作成にあたっては、顔の見えるコミュニケーションを創発することを目的として、制作者の想いを伝えること、またプロセスが見えることに留意して作成した。
 今後、寺田町プロジェクト等シェア商品とともにパンフレットを配布する予定である。


 
 ⑤試行(フィールドテスト)、報告会開催およびモデル検証のための体制構築

 
フィールドテストおよびアンケート調査結果(まちづくり・設計関係者34名)は下記のとおりである。屋台については、約70%が借りてみたいという結果となった。また、アンケート調査の結果、大阪産材活用に向けて、「どんなものが制作できるのか気軽に問合せ出来る窓口」「木材やメンテナンスなどに関する情報提供」「森林伐採者や製材者とのコミュニケーションの場」のニーズが確認できた。
製品 レンタル価格 販売価格 ニーズなど
屋台 2,691円 18,773円 ・看板や椅子などとのセット
・持ち運び用ベルトがあるとよい
ベンチ 1,631円 9,931円 ・保証・アフターサービスなど
プランター 5,638円 ・強風時などの安定感
玩具 754円 2,255円 ・収納袋やバリエーションなど
※レンタル価格、販売価格は平均値 
 
 

事業実施により得られた効果

  • おおさかの川上・川中による製品群の開発 5商品
  • 賃貸マンション・まちづくり拠点を想定した製品・ビジネスモデル
    ウッドデッキを10年くらいで交換として、シェア屋台1年に1台更新とした場合、1回千円以上のレンタル費用を賄う必要があるが、アンケートの結果、マンションオーナーのメンテナンス費用をまかなえる可能性が明らかとなった。
  • 1m3における製品単価向上
    チップが従来、3,000円/m3単価とすると、屋台の場合、69,000円/m3と向上する
 

今後の課題と次年度以降の計画

大阪での“顔の見える地域の木材が増殖“に向けて、下記が課題となる。
  • さらなる商品開発、ビジネスモデルの・ブラッシュアップ(サブスク木育玩具など)
  • 顔の見える木材にアクセスできる環境づくり(WEBへの導線や窓口・体制構築)
  • モニタリングおよび維持管理の検証