平成26年度 木造住宅等地域材利用拡大事業
一般社団法人 北海道林産技術普及協会内上川地域水平連携協議会
実施概要
北海道では、40~50年前に拡大造林されたトドマツやカラマツが成熟期を迎え、今後大径材が豊富に確保できる状況にある。このような中で、当協議会では今までにトドマツの構造材やフローリング材、家具の試作品開発を行ってきた。
今回、トドマツ圧密材を開発した林産試験場、家具開発や家具試験に関する蓄積がある
旭川市工芸センターの両機関をオブザーバーに、これまで家具製造に適さないとされてきたトドマツ家具の製品を目指し、無垢材を主にトドマツ圧密材も利用した家具を開発し、地域材の利用拡大を図ることとした。
トドマツは、柔らかい、傷つきやすい等から家具に使われてこなかったが、テーブルや椅子など最も使用頻度が高い家具においては、逆に経年により傷がつくことが味につながるというユーザーの反応がある。そのようなことから、トドマツ材の新たな利用の可能性を探るために、一般家庭よりもハードな環境で使用される店舗用のテーブル、椅子を開発し、東京新丸の内ビル(丸の内ハウス)の飲食店に設置してモニター調査を実施した。
また、同ビルで「Todo Fir普及展示会」を開催し、パンフレット、動画等を用いて道産材トドマツの情報発信及び普及を図った。
①企画委員会の開催
本事業関係者からなる「地域材を利用したモデル的な家具の開発等企画委員会」を5回開催し、家具の開発、展示、モニターテスト、アンケート調査等を企画、検討した。
②トドマツ家具の開発
柔らかい、傷つきやすい等で家具に不適とされたトドマツを材料として、ハードな環境での使用を試すために店舗用のテーブル、椅子を製作し強度試験を実施した。テーブルにはトドマツ無垢材と圧密材の組み合わせ、椅子はトドマツ無垢材と広葉樹材の組み合わせによりデザイン性、強度を高めた。
③家具のモニター調査、普及展示会
東京新丸の内ビル(丸の内ハウス)飲食店の協力により、トドマツのテーブル、椅子を設置してモニターテスト、情報収集を行った。
また、丸の内ハウスの展示スペースで「Todo Fir普及展示会」を開催し、家具や建材等道産材トドマツの普及を図った。1週間の来場者数は概ね500人、期間中1日行った「トドマツを体験する1日」の木の皮むき体験等イベントには130人が来場した。
④針葉樹総合パンフレット、動画制作
「Todo Fir普及展示会」には針葉樹総合パンフレットの配布、トドマツ普及用動画を上映して普及活動を展開した。
得られた効果
新たに開発したトドマツ家具は、テーブルについては表面にトドマツの特徴である色の白さを見せ、縁にはトドマツ圧密材を使用して強固な製品を作ることができた。椅子は、広葉樹との組み合わせで強度面の克服を図り、座面等の表面にトドマツ無垢材の白い色を見せ、暖かみを感じさせる出来栄えとなった。
実際にモニターとなって使用している東京丸の内ハウス飲食店では、傷や食品のシミ等に対して実用上の問題は特に発生していない。
また、「Todo Fir普及展示会」を通じて道産材を普及できたことは、今後の木材利用促進
を図る上で有効な取り組みであった。
今後の課題
トドマツ無垢材と圧密材の組み合わせ、トドマツ無垢材と広葉樹材の組み合わせで、家具として利用できる新たな可能性が分かった。今後は積極的なPRのためインターネット等を活用し、地域材の利用促進を図る必要がある。
記録写真
実施概要
1.テーブルの製作
2-1.Todo Fir普及展示会
2-2.普及展示会(トドマツを体験する1日)
- トドマツオイル抽出
- トドマツオイル抽出
- トドマツオイル抽出
- 削り馬による皮むき
- 削り馬による皮むき
- 森のおはなし
実施報告
1.企画委員会
- 企画委員会1回目
- 企画委員会2回目
- 企画委員会3回目
- 企画委員会4回目
- 企画委員会5回目
2.①椅子の製作
2.②完成したテーブルと椅子
3.丸ノ内ハウス飲食店でのモニター調査
4.成果報告
- 針葉樹総合パンフレットの抜粋
- 針葉樹総合パンフレットの抜粋
- 針葉樹総合パンフレットの抜粋
- 針葉樹総合パンフレットの抜粋