住宅 全国組織

平成26年度 木造住宅等地域材利用拡大事業

一般社団法人全国木材組合連合会

実施概要

本事業では、(一社)全国森林組合連合会、(一社)全国中小建築工事業団体連合会と協力して、木材、木造住宅の普及啓発、各地域における木材供給の現状把握等を行った。全国団体同士の連携であったことから、特定地域にとらわれず全国規模での木材利用拡大の底上げや木材産業の状況の把握ができるような取組みを意識して事業を実施した。
一般消費者や工務店等の需要者に対して木材利用、木造住宅等への理解を促すため、普及啓発活動として、東京で開催された東京おもちゃショー(平成27年6月18日~21日)、エコプロダクツ2015(平成27年12月10日~12日)、Japan Home & Building Show(平成27年11月18日~20日)に出展した。
東京おもちゃショーへの出展は初めての試みであったが、木のおもちゃの設置や木工策などのコーナーを設け、木育活動の一環として子供に木の持つ暖かさ、親の世代に天然の素材が持つ優しさを伝えた。
エコプロダクツ2015、Japan Home & Building Showでは、JAS製材の実物、長期優良住宅の構造が見える精緻な模型を展示するなど、消費者が木材利用に肯定的な気持ちを持てるような展示を行った他、材木販売業者、工務店向けに木材に関する住宅トラブルを防止するための事例等を紹介したテキストを作成配布した。
また、木材の利用拡大のためには、ユーザーである工務店等が利用しやすい供給体制づくり(品質確保、適正価格、需要に基づいた供給)が必要になるが、今迄の製品市場、問屋、小売店から工務店等への供給の流れが大手メーカーからの直送、ホームセンター等を経由した流れなど流通の形態が多様化していることから、加工流通の実態がつかみにくくなっていたため、全国の県木連会員、会員以外の木材、木材製品取扱い事業者などに、取扱い規模、過去からの推移、経営環境などのアンケート調査を実施した。

冊子「のりえさんちの木の家づくり」(PDF)
 

得られた効果

展示会では様々な種類の木材製品の実物展示ができ実際に見て、触れていただくことができ、木の持つ香り、手触りなど実感していただくことができた。一般消費者からは、木材利用全般の質問に加えて、外構材やリフォームの際の防蟻剤や集成材につかう接着剤などの質問も多く、業界側が考えている以上に一般消費者が木材利用に関してさまざまな疑問を持っているにも関わらず、それに対応する体制整備が不十分であることを再認識させられた。
また、おもちゃショーについては、初めての試みであったが、他のおもちゃメーカーと異なり自分で物語を創造することができる木製玩具が予想外に小さな子供連れの保護者には好評であったことから、今後も住宅だけではなく、幅広い木材利用を訴えることが木材利用拡大の入り口の一つとなりうるという手ごたえを感じることができた。
供給状況については、製材業者から木材製品需要者・取扱い業者を網羅したことで、従来の調査では把握しづらかった流通状況について、少しずつではあるが実態が見え始めた。今後需要拡大が期待される非住宅系での木材利用において、ますます重要になるユーザーが利用しやすい環境づくりを整える際の資料としての活用が期待される。

今後の課題

今後の木材需要の拡大は都市部の木質化が大きな課題となるため、東京で行われる全国規模の展示会は宣伝効果が高く、引き続き出展を継続したいと考えるが、展示会の趣旨、来場者層の分析を行うことでより啓発効果の高い展示方法、掲示物の検討が必要である。また、現在は木材の持つ優しいイメージを前面に押し出した啓発方法が中心だが、数字上でのメリットなどの資料を準備していく必要がある。また、木材に関する住宅トラブルを防止するためのテキストについて評価が高かったことから、消費者が木材に対して持っている誤解を示し、木材の持つデメリットも提示していくことで適材適所での使用を促す必要があると思われる。
また、効果的な普及を図るためには、単なる展示だけではなく、サイドイベントの開催など、解説と質問への応答など「対話・会話」の機会を作る工夫も必要ではないかと感じられた。
また、アンケートについては地域によって回答率の差が大きいこと、今回のアンケートでは網羅できなかった木材利用業者もあったことから、引き続き調査を実施し精度の高い資料とする必要がある。今後は予算の確保を図り、定期的な調査を実施するように努めるとともに、供給体制の改革に熱心な地域の情報等を蓄積・整備・発信をしていく必要がある。