住宅 北海道・東北

実施概要

１．企画等のための会議　　実施期間：7/27～10/8

大崎市に県産材を用いた木構造展示物を展示するため、企画会議を行った。
設計・施工や管理体制・協力要請等については会議を重ねることで、問題なく展示フェアを開催できた。
 

２．地域材を活かした「実物大模型展示の制作及び展示」並びに見学会の実施　

実施期間：9/12～10/31
一般消費者を対象に地域材の普及促進を図るため、大崎市にある民間展示場に地域材を用いた木構造展示物を設置し、内部の構造、配置、木組みが見える演出により、木材を使用する良さをPRした。来場者からは「木のぬくもりと良い香りが実感できる」、「リフォームの際は、このような空間がよい」等、木に憧れを感じている様子であり、大好評であった。来場者の工務店からは木材の普及には価格の安定に努力が必要との意見があった。
 

３．地域木材活用した木材利用ポイント採用住宅事例集　実施期間：8月に発刊及び発送

地域工務店が建築した優れた木造住宅を消費者に示し、一般消費者、住宅生産事業者、住宅再建者向けに、県産材の需要拡大を図るため、林野庁が行った木材利用ポイント事業等におけるポイントを活用して、工務店を通じて建築した住宅の「住宅事例」の募集を行い、「みんなの”木にいる””木になる”住まい」として５，０００部発刊した。各市町村を通じて仮設住宅居住者、また、ローソン等のコンビニにフリーペーパーとして設置を依頼した。コンビニでは特に若い世代の人気を得て、県産材の需要拡大に寄与した。
 

４．展示会等の開催及び出展　地域材をＰＲする目的の住宅フェア等イベントの開催

実施期間：8/19、8/20、9/25
仙台駅の中央改札口前で「地域木材利用拡大」のキャンペーンを実施。1日20万人といわれる利用客や一般消費者を対象に、木造住宅の内装・外装を施した実物大模型の展示と木工教室等を開催し、木材の魅力や地域材を使った住まいの特徴や構造をＰＲした。実物大模型と木工教室の木材は宮城県産の檜、杉を使用している。木工教室ではカンナ掛けの実演、木遊具の展示、スマホ台の製作などで木に親しんだ。子供達の積木の絵付けによる「木のまち」づくりには１日200名余の親子が参加した。さらに木造の部位別施工模型(実物大模型)の展示を行ったことによって、2000名を超える来場者からは「木の香りが良い」、「木造の空間が落ち着く」、「木のおさまりが美しい」等の感想が、特に女性から多く寄せられるなど、一般の消費者に対して木材の魅力を十分に伝えることができ、ＰＲ効果は絶大であった。今後、住宅を建築する際、木材の良さを思い出して、県産材の需要拡大に繋がることが期待できる。
 

５．地域材利用を促進するための技術検討　

ＣＬＴ建築普及の検討及び講演会・研修会の開催　　実施期間：10/9
木質材料においてＣＬＴ(直交集成材)材が今後の林業・木材、建築の分野に大きな影響を及ぼすと言われており、宮城県においても「ＣＬＴ等普及推進協議会」の設立を目指す等、木造建築の非住宅分野の動きの活発化に期待し、消費者、行政職員、林業関係者、建築設計者・施工者等を対象に木造建築の普及啓発を目的に、ＣＬＴ建築が住宅等都市建築に普及していくための方法について講演会を開催した。「木造建築の未来とその課題」テーマに東京大学名誉教授　有馬孝禮氏、東北大学工学部教授　前田匡樹氏を講師に招き開催した。講演会の来場者は163名であった。講演後には建築に採用する「材」は設計者や工務店が建築主と話しあって決まることから、「無垢材、ＣＬＴ、ＬＶＬ等」の特性や利用方法など、新しい木質材料の今後に期待する旨の感想とともに、取組むための法整備が待たれることなど、講師と意見交換や質疑が自然発生的に行われた。東北大の前田教授に同内容のセミナーを依頼している企業もあり、本講演会の効果は大きかった。
 

得られた効果

消費者の住宅取得の傾向は、自家用車購入と同様の感覚で住宅展示場の非木造住宅を選択していることが多い。仙台駅キャンペーンでは木工教室に1日約200名を越える親子が参加し、子供達が木と親しみ「木育」として高い評価を得られた。また、仙台駅キャンペーンの木のおもちゃ展や、住宅展示場における実物大木構造模型を見学した人が実物展示にふれ、「住まい手と作り手が、ともに育む住まいづくりは地域の木材でつくる木造住宅に最も魅力を感じる」と数多くの反響を得た。
 

今後の課題

地域木材の利用拡大は、建築主と直接関わる設計者や工務店が、地域木材及び里山の森林を理解し消費者と森林の間を取り持つことが最も重要と考えることから、引き続き建築士及び工務店関係者が住宅・非住宅に関わらず、地域木材の伝道者となるための育成活動を消費者ＰＲとともに展開していきたい。