平成26年度 木造住宅等地域材利用拡大事業
栃木県木材業協同組合連合会
実施団体名
「とちぎ材利用拡大推進協議会」
川上から川下に及ぶ異業種間連携を密にするとともに、林業・木材産業・設計建築業関係の諸団体と協力し、さらには県行政・県研究機関・大学等とも連携しながら、産官学一体となったとちぎ材利用に関するオールとちぎの体制によって、事業計画を効果的に実施した。
実施概要
① アカデミックギャラリーの整備
トラック等により移動しながら国産材・とちぎ材の良さを普及する移動式展示スペースの開発と、木協連の単位組合の一つである栃木木材協同組合事務所に整備してある「とちぎ木の展示館」を活用したギャラリー展示の実施をすすめた。
② オールとちぎ異業種コラボ製品等展示会への出展
住宅用建物の展示(実大躯体)、県内の企業ブランド製品の展示など、とちぎ材を主役にした展示物を、県内地域特産品とコラボレーションしながら制作。各種展示会に出展し、オールとちぎの家づくりの魅力をPRする取組とした。
③ 「とちぎ材製品カタログ・利用提案書」の作成
公共建築物をはじめとする非住宅建築物の木造・木質化に対する機運が急速な高まりを見せている中、建築士からとちぎ材(一般材・特殊材)の規格に応じた流通性・価格変動性など材料としての詳細や適材適所によるとちぎ材利用法に関する問い合わせが寄せられ、これらへの対応が求められ、今後の木材利用促進のカギとなっており、また、建築士等からの要望に対応し、明瞭化されにくく、民間企業にしか示せない流通の特性(特に価格等)を盛り込んだ従来にない「とちぎ材製品カタログ」の作成に取り組んだ。
④ 「とちぎの木の家に住みたい・暮らしたい」作品集作成
無垢材を特徴とするとちぎの林業・木材産業を支える地域工務店、すなわち国産材使用割合の高い大工工務店は、とちぎ材の利用拡大に重要な役割を担っている
県森連・県木連・建築士会等で構成される栃木県木材需要拡大協議会が中心となって実施してきた「とちぎ県産材木造住宅コンクール」は、平成26年度で第27回を迎え、数百棟に及ぶ優良な建築事例が蓄積されている
これら優良な入賞作品の情報を集約し、受賞工務店には今後の営業ツールとして、エンドユーザーには今後住みたい家づくりの参考図書として使ってもらうための作品集を制作した。
⑤ とちぎ材の認知度向上・魅力アップを図るための“木育活動事業”
エンドユーザーは、木材に対するばく然とした親しみや好感は持っているが、「国産材」や「外材」といった木材の産地に対する認識はあまり高くない。このような状況を打開し、とちぎ材の利用拡大を図るためには、森林資源の有効活用による環境保全への貢献をはじめ、木材の様々な有用性の理解促進を図りながら、木材の主用途である建築用材としても十分な強度等性能を持っていること等をエンドユーザーへわかりやすく発信する活動が必要である。
現状を踏まえ、新たな観点から、エンドユーザーを中心に、工務店や木材販売業と連携して組織された「えがおをつなぐとちぎ木育の会」を基点とし、森林・林業・木材産業からさらに進んだ異業種連携をすすめ、木育活動を行った。
得られた効果
川上から川下に及ぶ企業・関係団体が連携し、合同事業として展開することで、従来少なかった異業種間相互の交流関係の構築に繋がった。今後、安定的・長期的な商取引の実現が期待される。
異業種間連携による取組として、新たなアカデミックギャラリー整備や展示会出展、従来にないとちぎ材製品カタログや優良なとちぎの木の家事例集が作成されることにより、とちぎ材の材料としての優位性・使用方法など技術的な共通認識を進めることが出来た業界全体として事例集等を持つことは、従来困難であった異業種連携によるPR体制構築に繋がるものであり、ひいては、とちぎ材を使用した木造建築物(住宅・非住宅)の建設が促進され、今後のとちぎ材の使用量拡大が期待される。
栃木県環境森林部の協力をうけ事業推進にあたったことから、これまで以上に官民連携したとちぎ材・国産材需要拡大に対する意識づくり・体制づくりが進んだ。県側からは、従前はどちらかというと川上に目が行きがちだった行政としても、川上から川下まで異業種連携した上で木材利用を推進することの重要性が、組織内部に浸透したとの声が聞かれている。
今後の課題
とちぎ材利用拡大推進協議会により、複数の関係団体が連携して取り組んだ本事業では、様々な面で積極的な異業種連携が行われ、従来は考えつかなかったPRの実施や、冊子作成など、盛りだくさんの事業展開を進めることができた
今後、異業種連携が進んだ体制を維持しながら、とちぎ材・国産材利用拡大に資する前向き・積極的な取組を継続していくためにも、関係団体や行政との連携を前提とした、PR活動に必要な予算の確保や、既成概念にとらわれない販路拡大・需要拡大活動が必要になると考えられる
次年度以降も、「もくもくまつり」などを通じエンドユーザー等へとちぎ材・国産材利用拡大を訴えていくが、本事業で取り組んだ内容が一度きりの打ち上げ花火にならぬよう、継続的かつ地道な普及啓発活動を続けて参りたい